Linux普及の軌跡
【Linuxの誕生:Linus Torvalds氏の自伝より】
Linus Torvalds氏は大学2年の夏、UNIXの小さなクローンOSであるMINIXについて本で勉強した。
彼はMINIXを有用だと思い新しいPCを購入してMINIXを動かしてみた。
しかしMINIXのターミナル・エミュレーション機能に失望し、自分でターミナル・エミュレータを作成しようと考えた。
その自分だけのターミナル・エミュレータはMINIXを必要とせずにPC上で単独で動作するものであった。
それにディスクドライバ、ファイルシステムドライバを追加開発していくうちにそのターミナル・エミュレータがOSに進化してしまった。
彼はそのOSをLinuxと命名した(最初はfreaxという名称にする積りだった)。
MINIXはアムステルダムのフリイエ大学のAndy Tanenbaum氏がゼロから作成したUNIXクローンOSです。
またLINUX(Linux)という名称はLinusとMINIXのXを合わせた造語です。
以下にLinuxを取り巻く環境の推移を含めてLinux普及の軌跡をまとめてみました。
特に1990年以降の年譜にご注目下さい。
【参考文献】
・「Software Design 1999/1月号」(技術評論社発行)
・「LINUXがWindowsを超える日」(日経BP社:1999年7月19日発行)
・「日経Linux 創刊前号」(日経ソフトウェア/1999年8月号増刊)
・「OS戦線 異変あり」(日経BP社:2000年1月24日発行)
・「新パソコン入門」(岩波書店:2000年11月20日発行)
・「UNIXの1/4世紀」(アスキー社:2000年12月1日発行)
・「ソフトウェアの20世紀」(翔泳社:2000年12月1日発行)
・「OS図鑑」(工学社:2004年5月20日発行)
・History of Linux at Red Hat (http://fedora.redhat.com/about/history/)
・その他いろいろ
- 1946年:世界最初の実用かつ汎用コンピュータとしてENIAC誕生。
- 1957年:FORTRAN誕生(FORTRAN:FORmula TRANslationの略、即ち数式変換の意)。
- 1958年:関数型プログラミング言語LISP誕生。
- 1959年:ノースアメリカン航空がFORTRAN Uモニタシステム(OSの原型)開発。
- 1959年:DEC社がミニコンピュータ「PDP-1」を発売(1台:12万ドル)。
- 1960年代
- 1960年:米国防総省COBOL委員会にてCOBOL60を制定。
- 1962年:米国の大学のコンピュータ学科登場。
- 1963年:MIT、AT&Tベル研究所、GE社による産学協同の「Multics」OS開発プロジェクトが編成。
- 1963年:ASCII(American Standard Code for Information Interchange)制定。
- 1964年:米国ダートマス大学にてBASIC誕生(これはパブリックドメインとして無償公開)。
- 1968年:Multicsはマルチプロセッサ/マルチタスク/マルチユーザ機能に留まらず年々機能拡張して肥大OSに成りすぎ、使いものにならないと判断されて開発中止となる。
- 1969年:AT&Tベル研究所にてPDP-7用「Unics」OSが誕生(非商用OS)。
「Unics」は多機能の「Multics」OSからマルチユーザ機能を含めた多くの機能を削除したという意味で命名された(その後の1970年にUnixに改名:UNIXとも表記)。
このUnics(UNIX)はアセンブリ言語で書かれていた(コンピュータへの負荷軽減のため)。
UNIX用の最初の高級言語はB(BCPLの簡易バージョン言語であるがインタプリタ)であった。
- 1969年:インターネットの前身でネットワークの元祖でもある「ARPANET」稼動(パケット交換を採用し、4台のコンピュータ接続からスタート:ネットワーク速度は50Kbps)。
- 1960年台の終わり:エンゲルバート氏がビットマップディスプレイと木製マウスを考案。
- 1970年代:UNIXは多くの大学に普及した。
- 1970年:Xerox社がPARC(パロアルト研究所)設立。
- 1970年:DEC社がミニコンピュータ「PDP-11」を発売。
- 1970年:ALOHA NET(無線ネットワーク)誕生。
- 1971年:PDP-11用UNIX誕生。
- 1971年:AT&Tベル研究所がPDP-11を購入。
- 1971年:AT&Tベル研究所がPDP-7用UnicsをPDP-11用に移植する際に「マルチユーザ機能」を追加したものが「初代UNIX」となった。
- 1971年:E-mail(Electronic mail)開発。
- 1971年:Intel 4004(4ビット版)マイクロプロセッサ誕生。
- 1972年:Intel 8008(8ビット版)マイクロプロセッサ誕生。
- 1972年:Xerox社がミニコンピュータ「Alto」を開発(AltoはPDP-10の模造品)。
【Altoの特徴】
- ビットマップディスプレイと3ボタンマウスの装備によるGUIの実現。
- 個人レベルで操作するコンピュータ(ワークステーション)の原型となる。
- 開発環境用標準言語:Smalltalk(オブジェクト指向言語)
- 1973年:Bell研究所にてC言語誕生(Denis Richie氏はその開発者の一員)。
- 1973年:UNIX V4(大部分をC言語で書き直し)
- 1973年:UNIX V5完成
- 1973年:Xerox社のパロアルト研究所(PARC)にてAltoを使用したコンピュータネットワークの研究成果からデータ伝送規格としての「Ethernet」技術確立(当初の伝送速度:2.94Mbps)。
- 1974年:Intel 8080(8ビット版)マイクロプロセッサ誕生。
- 1974年:Intel 8080マイクロプロセッサ用のOSとして「CP/M」開発。
- 1974年:Xerox社がミニコンピュータ「Alto」を発売。
- 1974年:AT&TがUNIXソースを公開開始(但し、「教育利用に限定」という条件付き)。
- 1974年:カリフォルニア大学バークレー校(UCB)がUNIX V4のソースを入手し、PDP-11/45に導入。
- 1974年:バークレー校で開発されたINGRESデータベースリリース。
- 1975年:DEC社がPDP-11/70を出荷。
- 1975年:バークレー校がPDP-11/40を購入しUNIX V5を導入(更にPDP-11/70にUNIX V6を導入)。
- 1975年:バークレー校にてUNIX V6のPascalプログラミングシステム改良のためのPascalコンパイラを開発。
- 1975年:Bill Gates氏が8080用BASICを開発。
- 1975年:Microsoft社設立(最初の名前はMicro-soft)。
- 1975年:UNIX V6完成。
- 1976年:DEC社がPDP-11(16bit)の後継機としてVAX-11(32bit)を開発(OSはVMS)。VAXはVirtual Address eXtensionを意味する。
- 1976年:1BSD公開。
- 1976年:Apple社設立。Apple I誕生。
- 1976年:米国3Com社設立。
- 1976年:国内雑誌「I/O」創刊。
- 1977年:Microsoft社がCP/M対応FORTRANを出荷。
- 1977年:Apple社がApple IIを出荷。
- 1977年:国内雑誌「ASCII」創刊。
- 1977年:カリフォルニア大学のバークレー校で大幅な機能拡張(Pascalコンパイラ含む)したUNIXが「BSD(Berkley Software Distribution)」として公開。
- 1978年:UNIX V7[Seventh Edition]リリース(V7からはソース公開中止)。
- 1978年:DECがVT100(ASCIIコードベースのターミナル)を発表。
- 1978年:Intel 8086(16ビット版)マイクロプロセッサ誕生。
- 1978年:32ビット版UNIX誕生。
- 1978年:東芝日本語ワープロ専用機(JW-10)誕生。※出荷は1979年2月開始(630万円)。
- 1979年:Microsoft社が8086BASIC、8080/Z80用アセンブラ出荷。
- 1979年:Xerox社の投資を受けていたApple社がAltoを目指したプロジェクトを発足(本プロジェクトの成果は1983年にLisaとして結実)。
- 1979年:Apple II用に世界初の表計算ソフト「Visicalc」が発売。
- 1979年:日本電気が「PC-8001」を発表。
- 1979年:ジャストシステム設立。
- 1979年:Oracleが商品化される(対象OSはDECのミニコン用OSであるVMS他)。
- 1980年代
- 1980年:バークレー版4.0BSD公開。
- 1980年:Xerox社で開発された「イーサネット」技術分野にDEC、Intelが参加してイーサネット機器を商品化。
- 1980年:Microsoft社が8086用AT&T UNIX開発開始。
- 1980年:Microsoft社とSCO社が共同でUNIX System V7のソースライセンを取得してIntel x86用に移植したXENIX(商用UNIX)開発。
- 1980年:Microsoft社がIBMからの依頼を受けてIBM PC用「MS-DOS」の開発開始。
- 1981年:IBM PC(5010 Personal Computer)出荷。
- 1981年:MS-DOS 1.0リリース。
- 1982年:Intel 80286(16ビット版)マイクロプロセッサ誕生。
- 1982年:Microsoft社がApple/IBM PC用表計算ソフト「Multiplan」を出荷。
- 1982年:TCP/IPプロトコル確立。
- 1982年:SMTPプロトコル確立。
- 1982年:Eric Allman氏がsendmailを開発。
- 1982年:SGI(Silicon Graphics Incorporated)社設立。
SGI社はコンピュータグラフィックスを得意とするハード(ワークステーション)/ソフトを開発。
- 1983年:MS-DOS 2.0リリース(階層構造サポート)。
- 1983年:TCP/IPが米国防総省採用の標準プロトコルになる。
- 1983年:DNS誕生。
- 1983年:DOS用「Lotus 1-2-3」出荷(日本語版の出荷は1986年)。
- 1983年:AT&TのUNIX System V R1(SVR1)が商用UNIXとなる。
- 1983年:4.1BSDをベースとした商用UNIX「SUN OS 1.0」搭載ワークステーション「SUN」出荷。
- 1983年:TCP/IP等を搭載した4.2BSDリリース。
- 1983年:UNIX版Oracleリリース。
- 1984年:リチャード・ストールマン氏がGNUプロジェクトを開始(UNIX互換システムの開発を目標にまずEmacsを開発)。
- 1984年:JUNET(電話回線利用の日本UNIXネットワーク)運用開始。
- 1984年:AT&TがBSDの機能を取り込んだSystem V R2リリース。
- 1984年:Microsoft社が「Word 1.0 for Mac」を発表。
- 1984年:Microsoft社が「Word 1.1 for DOS」を出荷。
- 1985年:BSDでTCP/IPサポート。
- 1985年:Intel 80386(32ビット版)マイクロプロセッサ誕生。
- 1985年:IBM PC/AT誕生。
- 1985年:Microsoft社はMS-DOSビジネスに注力するためにSCOと共同開発したXENIXから手を引く。
その後、SCO単独でそれを「SCO UNIX」と改名して継続開発(後にIntel用UnixWareも開発)。
- 1985年:MS-DOS 3.1リリース。
- 1985年:11月18日 米国にてWindows 1.0リリース。
- 1985年:産学共同のWnnプロジェクト開始。
UNIX上の連文節変換対応のかな漢字変換システムとして「私の名前は中野です。」という文章を一発変換できることを目標にした。
ちなみにここでの「中野」とはWnnプロジェクトリーダの中野秀治氏を指す。
- 1986年:ノーツR1リリース(日本でのリリースは1993年のノーツR3から)。
- 1986年:2月13日 NIFTY-Serveサービス開始。
- 1986年:Sun Microsystems社独自でSUN OSに追加したNFS機能を搭載した4.3BSDリリース。
- 1986年:日本におけるUNIX専門誌「UNIX MAGAZINE」創刊。
「UNIX MAGAZINE」は2006年3月号までの月刊誌としての役目を終え、2006年4月号から年4回(3/6/9/12月)刊行の季刊誌へ。
- 1987年1月:ソニーがエンジニアリングワークステーションとしてUNIX系OS(BSD)搭載のNEWS(ニューズ)をリリース。
- 1987年5月:Wnnがマイコンショウのオムロンブースで公開される。
Wnnはオムロン社、アステック社、京都大学数理解析研究所の共同開発プロジェクトとして完成。
- 1987年:12月9日 米国にてWindows 2.0リリース(ウィンドウのオーバーラップ表示サポート)。
- 1987年:AT&TのSystem V R3リリース。
- 1987年:NIFTY-Serveにロータスステーション開設される。
- 1988年:WIDE(専用線利用の国内インターネット)運用開始。
- 1988年:AT&T社とSun Microsystems社で「UNIX System V」を共同開発することを決定。
- 1988年:OSF(Open Software Foundation:DEC,HP,IBM等が参加)設立。
- 1988年10月:朝日新聞社が雑誌「ASAHIパソコン」を創刊。
- 1989年2月:GPL(GNU General Public License) Version 1を正式公開。
- 1989年:Intel 80486(32ビット版)マイクロプロセッサ誕生。
- 1989年:AT&TのSystem V R4リリース。
- 1989年:UNIXの標準ウィンドウシステムX11R4にWnn4標準添付。
- 1989年:OSFがMotifユーザインタフェースを発表(その後Sun MicrosystemsもMotifを採用)。
Motifとは商用UNIXの標準GUIライブラリです。
- 1989年:日本語変換エンジンCannaの開発開始(1991年に公開される)。
- 1989年:kinputリリース。
- 1989年:最初のWordリリース。
- 1989年:スイスの高エネルギー研究所にてWWWシステムの開発着手。
- 1989年:Notes Release 1正式発表(開発元:Lotus傘下のIris Associates)。
- 1990年
・UNIXの版権がAT&TからUSL(UNIXシステム・ラボ)へ。
・CERNにてWWW開発。
・DOS/V(IBM DOS J4.0/V:ソフトウェアによる日本語表示)誕生(DOS/VのVは640x480ドットのVGAの意)。
・1990年5月:Windows 3.0リリース。
・1990年12月:世界初のWebブラウザとしてNeXT上のWorldWideWebが誕生(後にNexusと改名)。
- 1991年
- 1991年2月:Windows3.0日本語版リリース。
- 1991年4月:Linus Torvalds氏がLinux(OS)開発開始(1969年12月28日生まれの21歳)。
- 1991年6月:FSF(Free Software Foundation)がGNU General Public License(GNU一般公有使用許諾書) Verion 2を公開。
- 1991年6月:MINIXを参考にしたLinuxカーネルらしきものが完成(ソースコードはゼロからの構築でMINIXのコードは含まない)。
- 1991年8月:Linus Torvalds氏がLinux開発中(386/486対応)でbash(1.08),gcc(1.40)等の移植完了の旨ニュース投稿。
- 1991年9月17日:Linux Kernel 0.01をFTPサーバにアップして公開(「ls -Rl」で表示した公開ファイル名一覧:Kernelソースファイルの合計サイズは230Kバイト)。
http://www.kernel.org/pub/linux/kernel/Historic/にて入手可能。
- 1991年10月:Linux Kernel 0.02リリース(ソースコードのコンパイルにはMINIXとgccが必要)。
- 1991年11月:Linux Kernel 0.03リリース。
- 1991年11月:Linux Kernel 0.10リリース。
- 1991年12月:Linux Kernel 0.11公開。
- 1992年:スイスの高エネルギー研究所にてWWWシステムの開発完了。
- 1992年:日本にて外資系商用インターネットサービスプロバイダ「Spin」のサービス開始。
- 1992年初頭:Samba誕生(当初の名前はsmbserver)。
- 1992年1月:Linux Kernel 0.12公開。
- 1992年1月:MINIXの作者(Andy Tanenbaum氏)がUsenetのcomp.os.minixニュースグループに「Linux is obsolute.」という記事をポスト。
この記事でのAndy Tanenbaum氏とLinus Torvalds氏との意見交換内容はhttp://www.kde.org/history/linux_is_obsolete.phpでも参照できます。
- 1992年3月8日:Linux Kernel 0.95リリース。
- 1992年3月:SLS(Softlanding Linux System)誕生(但し、初期のSLSはスタンドアロン型インストールではなくMINIXを利用してLinuxをインストールする形態)。
- 1992年4月:Linux Kernel 0.96/0.96cリリース。
LinuxオリジナルのExtファイルシステム(最大2Gバイトサポート)はLinux Kernel 0.96cから実装された。
- 1992年4月:Linux用の最初のニュースグループ「comp.os.linux」がスタート。
- 1992年6月:FSF(Free Software Foundation)の機関誌「GNU's Bulletin」13号でLinuxが紹介される。
- 1992年8月:Linux Kernel 0.97リリース。
- 1992年9月:Linux Kernel 0.98リリース。
- 1992年9月:東京国際見本市会場で開催されたデータショウ'92にてアスキーからInformix(RDBMS)+Wingz(ワークステーション向け表計算ソフト)連携の出展あり。
Wingzは最初Macintosh用に開発されたものであるが、その後UNIX(Linux含む),Windows,OS/2版もリリースされた。
Informix自体のLinux版は1998年リリース。
- 1992年10月:XFree86の最初の公開版であるXFree86 1.1のリリース。
- 1992年10月:Peter MacDonald氏がSLSの最初のスタンドアロン型インストール化をアナウンス。
- 1992年10月:雑誌「Super ASCII」10月号にてLinuxが紹介される。
- 1992年12月:Linux Kernel 0.99リリース。
- 1992年?月:Pacific HiTech社設立。
- 1992年?月:独SuSE LINUX社設立。
- 1993年:USLがNovell社に売却(その後SCO)へ(SCO:Santa Cruz Operation)。MS-DOS 6.2リリース。Intel Pentiumプロセッサー誕生。
Microsoft Office 1.0誕生。
- 1993年4月19日:NetBSD 0.8リリース(Netはネットワークでの開発を意味する)。
- 1993年4月:イリノイ大学がWebブラウザ「Mosaic」をリリース(X Window向けα版は1993年1月公開)。
- 1993年5月:Windows3.1日本語版リリース。
- 1993年5月:NIFTY-ServeのFUNIXフォーラムに「Linux会議室」開設。
- 1993年6月:世界初の商用スタンドアロンディストリビューションとしてSlackwareがリリース。
- 1993年8月:Debian (GNU/)Linuxの開発開始。
- 1993年8月:Linux関連の最初の書籍「Linux Installation and Getting Started」(初版)発行。
- 1993年8月〜12月:Debian Linux 0.01〜0.90リリース。
- 1993年10月24日:XFree86 2.0リリース。
- 1993年11月:Laser5より「日本語Linux + JE」(Kernel 0.99pl12)のCD-ROM発売。
- 1993年11月:Chicago Build73完成【Windows3.1(16ビットOS)の後継OSとしての32ビットOS】。
- 1993年12月:FreeBSD 1.0リリース。
- 1994年:Red Hat Software社創立。
- 1994年1月:Debian Linux 0.91リリース。
- 1994年3月:Linux Journal 創刊号発行。
- 1994年3月14日:Linux Kernel 1.0リリース。
- 1994年4月5日:SLS 1.05リリース(Linux Kernel 1.0搭載)。
- 1994年4月26日:XFree86 3.0リリース。
- 1994年4月:モザイク・コミュニケーションズ社設立。
- 1994年5月:FreeBSD 1.1リリース。
- 1994年7月29日:Red Hat Linuxディストリビューションβ版公開。
- 1994年10月:Mosaic Communications社が「Netscape Communications」社に社名変更。
- 1994年10月31日:Red Hat Linux 0.9 (Halloween)が最初のRed Hat Linuxディストリビューションとしてリリース(Kernel 1.0.9)。
- 1994年11月8日:NetBSD 1.0リリース。
- 1994年?月:SLSとSlackwareをベースに開発されたS.u.S.E. Linuxがリリース。
- 1995年:Intel Pentium IIプロセッサー誕生。
- 1995年1月:FreeBSD 2.0公開。
- 1995年2月10日付け:「Linux 入門 − PC互換機の最新UNIX環境」(アジソン・ウェスレイ・パブリッシャーズ・ジャパン発行)付属CD-ROMにSlackware 2.1(Kernel 1.1.59)収録。
- 1995年4月20日付け:「Linuxお気楽・極楽インストール」発行(カットシステム)。
各セットアップ画面ついて詳説されている(CD-ROMにはXFree86 3.1.1も収録されている)。
- 1995年4月27日付け:「DOS/VユーザーのためのLINUX」発行(蕗出版)。
SCSI HDD使用時のI/Oポートアドレスの制限、LILOのインストール警告、Xウィンドウ等についての詳説あり(CD-ROMは付属せず)。
- 1995年3月7日:Linux Kernel 1.2リリース。
- 1995年3月18日:NCSA httpd 1.3に対してパッチを当てたWebサーバという意味をもつApacheの0.2がリリース。
詳細はhttp://www.apache.jp/misc/history.html参照。
- 1995年3月:Debian Linux 0.93リリース5公開。
- 1995年4月:Apache 0.6.2リリース。
- 1995年4月:Linux Expo開催。
- 1995年4月:東京インターネットが低価格でのサービス開始。
- 1995年5月:Red Hat Linux 1.0(Mother's Day 1.0)リリース。
- 1995年8月1日:Red Hat Linux 1.1(Mother's Day 1.1)リリース。
- 1995年8月24日:Windows95欧米にてリリース。
- 1995年9月20日:Red Hat Linux 2.0リリース(これに先立って2.0β版もリリース済み)。
- 1995年9月:雑誌「Networks」('95/11月号)にAIX(アスキーインターネット接続サービス)無償接続アカウント付属(利用期限:9/29〜10/13)。
- 1995年11月:Red Hat Linux 2.1リリース(XFree86 3.1.2付属)。
- 1995年11月:Debian Linux 0.93リリース6公開。
- 1995年11月23日:Windows95日本語版リリース。
- 1995年12月4日:Linus Torvalds氏が京都大学にて初来日講演。
http://www.linet.gr.jp/~kawai/linux/lecture/にてOHPを使用した講演内容を確認できます。
http://www.linux.or.jp/JF/JFdocs/linus-lecture/intro.htmlにて日本語訳を確認できます。
- 1995年12月7日:Microsoft社がインターネットへの本格参入計画を発表。
- 1995年12月:Apache 1.0リリース。
- 1995年12月:Novell社がUnixWare製品をSCO社に売却。
- 1996年:X/OpenとOSFが合併して「The Open Group」設立。
- 1996年1月:WindowsNT 3.51リリース。
- 1996年1月:Red Hat Linux 2.0のCD-ROM付き書籍「Linux 入門キット」(初版第1刷:秀和システム出版)発行。
- 1996年2月:GIMPの初期バージョン0.5リリース。
- 1996年2月:日本Linuxユーザ会設立。
- 1996年2月:日本語Solaris 2.5 x86版リリース。
OpenWindows、CDE(共通デスクトップ環境) 1.0、Wabi(WindowsアプリをSolaris上で実行させるソフト) 2.0標準サポート。
- 1996年3月15日:Red Hat Linux 3.0.3(Picasso)リリース。
- 1996年3月:Debian Linux 1.1リリース。
- 1996年4月:Red Hat Linux 2.0のCD-ROM付き書籍「Linux 入門キット」(初版第2刷:秀和システム出版)発行。
- 1996年6月9日:Linux Kernel 2.0リリース。
- 1996年7月31日:Microsoft Windows NT 4.0出荷。
- 1996年8月:Debian JP Project(Debian用日本語環境パッケージの開発プロジェクト)発足。
- 1996年10月:Linux Japan創刊
- 1996年10月3日:Red Hat Linux 4.0(Colgate)リリース。
- 1996年10月18日:OpenBSD 2.0リリース(NetBSDから派生したOpenBSDの最初の公式リリース版)。
- 1996年10月:エットリッヒ氏が「KDE(Kデスクトップ環境)」開発プログラマの募集を開始(KDEプロジェクト開始)。
- 1996年12月:Debian Linux 1.2リリース。
- 1997年
- 1997年1月:Linux用の最初のウィルス「Bliss」が見つかる。
- 1997年1月29日:PostgreSQL 6.0リリース。
- 1997年2月3日:Red Hat Linux 4.1(Vanderbilt)リリース。
- 1997年2月21日:Red Hat Linux 4.0のCD-ROM付き書籍「Linux 入門キット【改訂版】」(秀和システム出版)発行。
- 1997年4月:Red Hat Linux 4.1のCD-ROM付き書籍「redhat Linux 4.1ユーザーズガイド」(レーザー5出版局)発行。
- 1997年5月19日:Red Hat Linux 4.2(Biltmore)リリース。
- 1997年7月:Debian Linux 1.3リリース。
- 1997年8月:Red Hat Linux 4.2のCD-ROM付き書籍「Linux 入門キット」(秀和システム出版)発行。
- 1997年8月:GNOMEプロジェクト発足。
- 1997年9月:TurboLinux 日本語版 0.9.0βリリース。
- 1997年10月:国内初のLinux対応日本語ワープロソフトである「dp/NOTE 1.0」がリリース。
- 1997年10月:PostgreSQL 6.2.1リリース。
- 1997年11月:「DOS/V マガジン」11/15号 付属CD-ROMにTurboLinux 日本語版 0.9.5β収録。
- 1997年12月1日:Red Hat Linux 5.0(Hurricane)リリース。
- 1997年12月:TurboLinux 日本語版 1.0リリース(TurboLinux Pro版の方は定価が29,800円なので他のOSと比べて割高感をもつ人もいました)。
- 1998年:大手ベンダが続々とLinux対応に動き出し、Linuxという名前が広く知られるようになった年である。この年はWindows系の話題は少なかった。
- 1998年1月22日:Netscape Communications社が同社のブラウザソースを無償公開することを発表。
- 1998年3月31日:Netscape Communications社が同社のブラウザソースをオープンソースとして公開開始。
- 1998年5月:Corel社がLinux向けアプリケーションの開発計画を発表。
- 1998年6月1日:Red Hat Linux 5.1(Manhattan)リリース。
- 1998年6月:GIMP 1.0リリース。
- 1998年6月:PHP/FI 2.0の後継であるPHP 3.0のリリース。
- 1998年6月:IBMが自社サーバ製品にApacheを採用。
- 1998年7月:TurboLinux 日本語版 2.0リリース。
- 1998年7月:Debian Linux 2.0リリース。
- 1998年7月12日:KDE 1.0リリース(Red Hat 4.2でのKDE 1.0利用例)
- 1998年7月:Sun Microsystems社が「Linux International」(Linux推進団体)に企業会員として参加。
- 1998年7月21日:Oracle社がLinux版Oracle8をリリースすることを発表(これを契機にその後大手ベンダが続々とLinux対応に動き出す)。
Linux版Oracle8の製品出荷予定日:1998年年末。
- 1998年7月24日:雑誌「Windows NT POWERS」夏号に「Oracle7 for SCO UNIXの90日間評価版」収録CD-ROM付属(Oracle7用収録ファイル名に根本的な不備があったが、それがかえってLinux用Oracleへの注目を集めた)。「Oracle7 for SCO UNIX」はLinux上のiBCS2モジュール(386系CPU用UNIXプログラムをLinux上で動作させるモジュール)上で動作。
- 1998年7月24日:Informix Software社が「Informix-SE for Linux」(Release 7.24)を公開(開発用ライセンスは無料)。
- 1998年8月:TurboLinux 日本語版 2.0対応Applixwareリリース。
- 1998年8月:ユーザインタフェースを刷新した「dp/NOTE 2.0」がリリース。
- 1998年8月:「InterBase 4.0」Linux版の無償配布開始。「InterBase 5.0」Linux版の発売開始。
- 1998年9月8日:OTN(Oracle Technology Network)によるLinux版Oracle8(8.0.5)評価版の公開。
- 1998年9月:Oracle社がRed Hat Software/VA research/S.u.S.E./Pacific HiTech社との連携を発表。
- 1998年9月:Intel社、Netscape Communications社他がRed Hat Software社への出資を発表。
- 1998年9月:IBM社、Sybase社他がLinux版RDBMS提供を表明。
- 1998年9月:独S.u.S.E. Linux 5.3リリース。
- 1998年10月:Informix Software社が「Informix Dynamic Server」の無償ダウンロード開始。
- 1998年10月:Sybase社が「Adaptive Server Enterprise」の無償ダウンロード開始。
- 1998年10月7日:Linux版Oracle8の製品出荷発表。
- 1998年10月12日:Red Hat Linux 5.2(Apollo)リリースという情報もあり。
- 1998年11月:Linux版Oracle8の製品出荷開始(無償配布版は90日間使用制限付き)。
- 1998年11月:Sun Microsystems社がJavaプラットフォームとしてLinuxサポートを表明(JDK 1.2のLinux版移植を表明)。
- 1998年11月:Red Hat Linux 5.2(Apollo)リリース(Red Hat Linux 5.2は1998年InfoWorld誌の「OS Product of the year」を受賞)。
- 1998年11月:Microsoft社がオープンソースに脅威を感じていることを示すMicrosoft内部メモ「ハロウィン文書」が公開。
- 1998年12月:「月刊 Java World」1998年12月号にLotusがLinuxへの対応を検討中の旨の記事を掲載。
- 1998年12月:IBM社がDB2のLinux対応ベータ版(DB2 UDB 5.2β)をリリース。
- 1998年12月:Corel社がWordPerfect 8 Linux版をリリース。
- 1998年12月:Sun Microsystems社がLinuxコミュニティの協力を得てUltraSPARCマシンにLinuxを移植。
- 1998年12月5日:TurboLinux 日本語版 3.0リリース。
- 1999年:空前のLinuxブームとなった年。:Intel Pentium IIIプロセッサー誕生。
- 1999年1月24日:LotusがDomino Server R5のLinuxへの移植を表明。
- 1999年1月25日:Linux Kernel 2.2(FAT32のRead/Write、NTFSのReadサポート他)リリース。
- 1999年2月:KDE 1.1リリース
- 1999年3月1日:Linux版Oracle8iの製品出荷開始。
- 1999年3月3日:GNOME 1.0リリース。
- 1999年3月9日:Debian Linux 2.1リリース。
- 1999年3月15日:VMware for Linuxベータ版公開。
- 1999年3月17日:Red Hat Linux 5.9(Starbuck)リリース。
- 1999年3月19日:NIFTY SERVEにLinuxビギナー向けLinuxフォーラム「FLINUX」がオープン(従来のFUNIXも残存)。
- 1999年3月:IBM、Compaq Computer、Novell、Oracle、SAP社がRed Hat Software社へ出資(を決定)。
- 1999年4月1日:日本Linux協会発足。
- 1999年4月:Hewlett-Packard社がRed Hat Software社に出資。
- 1999年4月19日:Red Hat Linux 6.0(Hedwig)リリース。
- 1999年5月15日:VMware for Linux 1.0リリース。
※日経ソフトウェア1999年8月号増刊の「日経Linux 創刊前号」の技術FOCUS欄にてVMwareが紹介される。
- 1999年5月:LBI(Linux Business Initiative)発足。
- 1999年7月:Linux Japan誌が月刊化(但し、2002年7月号をもって休刊となった)。
- 1999年7月1日:パシフィック・ハイテック(株)がターボリナックスジャパン(株)に社名変更。
- 1999年7月9日:TurboLinux 日本語版 4.0リリース。
- 1999年7月21日:幕張メッセにて「Linux Exhibition'99」開催。
- 1999年7月30日:IBMの「DB2 UDB 6.1」のLinux正式対応版リリース(「DB2 パーソナル開発者版」は無償)。
- 1999年8月:日経ソフトウェア8月号増刊として「日経Linux 創刊前号」が発行される。
- 1999年8月:Linux Domino R5.0.1(Preview)版リリース(Lotus Notes for Linuxは2006年7月にNotes 7.0.1として初リリース)。
- 1999年9月:Sun Microsystems社がStar Division社を買収。
- 1999年9月:アスキーの「BSD magazine」創刊(2004.6.15発行のNo.20で休刊)。
創刊号の特集1は「BSDの過去・現在・未来」で「その昔、UNIXといえばBSDという時代があった。」という序文で始まっていた(特集1だけでも62頁の構成)。
- 1999年9月6日:Red Hat Linux 6.0.5(Lorax)リリース。
- 1999年9月10日:TurboLinux PRO 日本語版 4.2リリース。
- 1999年9月17日:LASER5 Linux 6.0リリース。
- 1999年10月4日:GUIベースのインストーラ付きのRed Hat Linux 6.1(Cartman)がStarOffice 5.1バンドルでリリース(Red Hat Linux 6.1Jは1999年11月12日リリース)。
- 1999年10月19日:日本GNOMEユーザ会活動開始。
- 1999年11月:Debian GNU/Linuxベースの「Corel Linux」公開。
- 1999年11月:日本Sambaユーザ会発足。
- 1999年12月:LINUX for S/390公開(S/390:IBMの大型マシン)。
- 2000年:Intel Pentium 4プロセッサー誕生。
- 2000年2月9日:Red Hat Linux 6.1.92(Piglet)リリース。
- 2000年2月:ニューヨークにて初のLinux商品展開催。
- 2000年3月:XFree86 4.0リリース。
- 2000年3月27日:Red Hat Linux 6.2(Zoot)リリース。
- 2000年4月:京都産業大学にてLinux搭載マシンを600台導入。
- 2000年4月7日:TurboLinux Workstation 6.0Jリリース。
- 2000年4月21日:Red Hat Linux 6.2Jリリース。
- 2000年5月:商用Motifのオープンソース版である「Open Motif」が公開。
- 2000年5月:PHP 4.0リリース。
- 2000年5月8日:PostgreSQL 7.0リリース。
- 2000年5月25日:GNOME 1.2リリース。
- 2000年6月16日:IBMの「DB2 UDB 7.1 for Linux」リリース。
- 2000年6月30日:LASER5 Linux 6.2リリース。
- 2000年7月14日:初のLinux日本語対応「WINGZ v2.5J for Linux」リリース(日本での他OS用WINGZの最初のリリースは1989年)。
- 2000年7月31日:Red Hat Linux 6.9.5(Pinstripe)リリース。
- 2000年8月:GNOMEサポート団体「GNOME Foundation」設立(IBM、Sun Microsystems、Hewlett-Packard等の会社が参加)。
- 2000年9月25日:Red Hat Linux 7.0(Guinness)リリース(Red Hat Linux 7Jは2000年10月リリース)。
- 2000年10月13日:Sun Microsystemsが統合オフィスソフト「StarOffice 5.2」の次期版ソースをhttp://www.openoffice.org/にて公開。
- 2000年10月23日:KDE 2.0リリース。
- 2000年11月:KDE League設立
- 2000年11月:HancomOffice 1.0リリース。
- 2000年12月:GIMP 1.2リリース。