オープンギャラリー：SIMHのPDP-11エミュレーション環境でのUnix v7

SIMHのPDP-11エミュレーション環境でのUnix v7

1978年にUNIX V7(Seventh Edition)がリリースされました。
※その後、UNIX V8も開発されましたが一般ユーザにはリリースされませんでした。
このUNIX V7はDEC社のPDP-11(16bit)で実行できます。

1978年にワープしてPDP-11上のUNIX V7を使ってみたいという人も多数いるかと思います。
そのような状況が考慮されてか「UNIX USER」という雑誌で「UNIX考古学」という連載が始まりました。
その連載の第8回目にあたる2003年12月号でのテーマは「Seventh Editionでの環境構築」でした。
この「Seventh Editionでの環境構築」ではSIMHのPDP-11エミュレーション環境でのSeventh Edition導入手順詳細が記載されています。
またその2003年12月号にはSeventh Editionの通信機能を有効にする環境構築に必要なファイル含めてOS一式が付属しています。
※上記雑誌がなくてもそれと同様の操作手順を紹介したWebサイトが多くあるためSeventh Edition環境構築は容易にできます。

ここではSIMHのPDP-11エミュレーション環境でのSeventh EditionをQEMU on Windowsで簡単に実行する方法含めて紹介します。
尚、「UNIX USER」(2003年12月号)記載の詳細説明はここでは記載していません。

１．SIMHのPDP-11エミュレーション環境でのSeventh Edition仮想ディスクの作成

(1)元になる仮想ディスクは「UNIX USER」(2003年12月号)付属のRP0.DSKファイルです(RP06ディスクドライブ用)。
(2)SIMHのPDP-11エミュレーション環境はi386のUbuntu 8.04上に用意しました(PowerPC版のUbuntuでも構いません)。
Ubuntu 8.04では下記のコマンドでSIMHをインストールできます。
# apt-get install simh
(このsimhパッケージにpdp11というエミュレータが含まれています)
(3)「UNIX USER」(2003年12月号)付属のRP0.DSKに以下を実行したものをUnix7th.diskという仮想ディスクファイルとして保存しました。
※カーネル再構築にはソースコードを使用します。
・コンソール以外の端末(VT100相当)から接続利用するためのターミナルマルチプレクサ用ドライバ(dzドライバ)の追加とカーネル再構築(/unixカーネルサイズ：約50KB)。
・dzドライバ用スペシャルファイルの作成(/dev/tty00～/dev/tty07)。
・コンソール以外の端末からのtelnet接続を許可するための/etc/ttysの設定変更。

２．Ubuntu 8.04上でのSeventh Edition仮想ディスク利用

前提条件
(1)コンソール以外の端末からのtelnet接続を許可設定された仮想ディスクは/root/simhpdp11/Unix7th.diskとします。
(2)telnet接続用ポート番号は4096とします。

Seventh Edition起動
朱書きした下線部分がキー入力部分です。
尚、「att dz -am 4096」入力で「Sockets: bind error 98」となる場合があります。
その場合は4096以外の番号(例：4097等)を使用してみて下さい。

# pdp11

PDP-11 simulator V3.7-0
sim> set cpu u18
Disabling XQ
sim> set rp0 RP06
sim> att rp0 Unix7th.disk
sim> set dz 7b lines=8
sim> att dz -am 4096
Listening on port 4096 (socket 4)
Modem control activated
Auto disconnect activated
sim> boot rp0
boot
Boot
: hp(0,0)unix
mem = 175552 ※この表示後、Ctrl+Dでマルチユーザモードにします。
# RESTRICTED RIGHTS: USE, DUPLICATION, OR DISCLOSURE
IS SUBJECT TO RESTRICTIONS STATED IN YOUR CONTRACT WITH
WESTERN ELECTRIC COMPANY, INC.
WED DEC 31 21:03:58 EST 1969

login:root
Password: ←パスワードは「root」です。

別端末からのtelnet接続
朱書きした下線部分がキー入力部分です。

# telnet PDP-11エミュレータが動作しているマシンのIPアドレス 4096
Trying IPアドレス...
Connected to IPアドレス.
Escape character is '^]'.

Connected to the PDP-11 simulator

login: root
Password: ←パスワードは「root」です。

実行例
下段のrxvt端末をクライアント端末にしてtelnet接続しています。
Windowsからの接続例
WindowsのPuTTYからtelnetの接続先としてUbuntu 8.04マシンアドレスを指定し、接続ポートは4096を指定しました。
boot後のCtrl+Dについて
boot後のCtrl+Dはマルチユーザモードに遷移させるためのものです。
Ctrl+Dでマルチユーザモードにする前は「telnet localhost 4096」で接続待ち状態になります。
下記は接続待ち状態を示しています(PowerPC版Ubuntuの例)。

３．QEMU on WindowsでのSeventh Edition利用

前提条件
(1)QEMU on Windowsはver 0.9.1とします。
(2)QEMU on WindowsはWindows XPで実行します。
(3)QEMU on Windows上でUbuntu 8.10 Server(JeOS 8.10)を実行します(ネットワークはユーザモードを使用)。
(4)QEMU on Windows用のUbuntu 8.10 Server仮想ディスクをjeos810withpdp11.img(1GB)とします。
(5)そのUbuntu 8.10 Server内にSIMHをインストールし、更に上記で作成したUnix7th.diskを格納しておきます。
(6)QEMU on Windowsを実行しているWindows XPからSeventh Editionへの接続はQEMUのリダイレクト機能を使用します。
Ubuntu 8.10 Server(JeOS 8.10)の起動
以下のコマンドでQEMUのUbuntu 8.10 Serverを起動します。

qemu.exe -L . -no-kqemu -m 256 -hda jeos810withpdp11.img -net nic -net user -redir tcp:5555::4096

※「-redir tcp:5555::4096」はリダイレクトの指定です。
実行例
下段のPuTTYをクライアント端末にしてtelnet接続しています。
※ポート5555指定で127.0.0.1に接続するとQEMUゲスト(Ubuntu 8.10 Server)を介してポート4096でSeventh Editionに接続されます。

４．YDL 6.1のQEMUでのSeventh Edition利用

YDL(Yellow Dog Linux) 6.1のQEMU環境でもSeventh Editionを利用できます。

前提条件
(1)PowerPC用QEMUはver 0.9.0とします(Vine Linux 4.2/ppc用QEMUパッケージを使用)。
(2)QEMUはYDL 6.1で実行します。
(3)QEMU上でUbuntu 8.10 Server(JeOS 8.10)を実行します(ネットワークはユーザモードを使用)。
(4)QEMU用のUbuntu 8.10 Server仮想ディスクをjeos810withpdp11.img(1GB)とします。
(5)そのUbuntu 8.10 Server内にSIMHをインストールし、更に上記で作成したUnix7th.diskを格納しておきます。
(6)QEMUを実行しているYDL 6.1からSeventh Editionへの接続はQEMUのリダイレクト機能を使用します。
Ubuntu 8.10 Server(JeOS 8.10)の起動
以下のコマンドでQEMUのUbuntu 8.10 Serverを起動します。

qemu -m 256 -hda jeos810withpdp11.img -net nic -net user -redir tcp:5555::4096

※「-redir tcp:5555::4096」はリダイレクトの指定です。
実行例
別端末をクライアント端末にしてtelnet接続しています。
※ポート5555指定でlocalhostに接続するとQEMUゲスト(Ubuntu 8.10 Server)を介してポート4096でSeventh Editionに接続されます。

YDL 6.1のQEMU環境ではWindows 3.1用TCP/IPも利用できます。
このためWindows 3.1からSeventh Editionに接続してみるのもいいかと思います(後述します)。

５．YDL 6.1上のWindows 3.1とSeventh Editionの接続(OS三重奏)

YDL 6.1にSIMHを導入してSeventh Editionを起動し、QEMU上のWindows 3.1からSeventh Editionに接続してみました。
以下に、PowerPC上でのYDL 6.1 + Seventh Edition(PDP-11エミュレータ) + Windows 3.1(QEMU)の同時実行例を紹介します。
これはOS三重奏(プラットフォーム三重奏)の代表例と言えます。

YDL 6.1へのSIMHの導入
今回はopenSUSE 10.3 for ppc版のrpmパッケージを導入しました。
まずhttp://download.opensuse.org/distribution/10.3/repo/oss/suse/ppc/から以下のrpmファイルを取得します。
・libpcap-0.9.7-13.ppc.rpm
・simh-3.7_2-11.ppc.rpm
次に以下のコマンドを実行します。
# rpm -Uvh --nodeps libpcap-0.9.7-13.ppc.rpm ※YDL 6.1付属のlibpcap-0.9.4からアップグレードします。
# rpm -ivh simh-3.7_2-11.ppc.rpm
YDL 6.1へのtelnetサーバの導入
(1)http://mirror.anl.gov/yellowdog/releases/yellowdog-6.1/os/YellowDog/から下記rpmパッケージを取得します。
・xinetd-2.3.14-10.el5.ppc.rpm
・telnet-server-0.17-39%\{dist\}.ppc.rpm
(2)以下のコマンドでインストールします。
# rpm -ivh xinetd-2.3.14-10.el5.ppc.rpm
# rpm -ivh telnet-server-0.17-39%\{dist\}.ppc.rpm
(3)/etc/xinetd.d/telnet中の「disable = yes」を「disable = no」に変更します。
(4)以下のコマンドでxinetdを起動します。
# /etc/rc.d/init.d/xinetd start
これで通常の23番ポートによるtelnet接続を受け付けできるようになります。

Seventh Editionの起動
Ubuntu 8.04上でSeventh Editionを起動した要領でYDL 6.1上でSeventh Editionを起動します。

朱書きした下線部分がキー入力部分です。

# pdp11

PDP-11 simulator V3.7-2
sim> set cpu u18
Disabling XQ
sim> set rp0 RP06
sim> att rp0 Unix7th.disk
sim> set dz 7b lines=8
sim> att dz -am 4096
Listening on port 4096 (socket 4)
Modem control activated
Auto disconnect activated
sim> boot rp0
boot
Boot
: hp(0,0)unix
mem = 175552 ※この表示後、Ctrl+Dでマルチユーザモードにします。
# RESTRICTED RIGHTS: USE, DUPLICATION, OR DISCLOSURE
IS SUBJECT TO RESTRICTIONS STATED IN YOUR CONTRACT WITH
WESTERN ELECTRIC COMPANY, INC.
WED DEC 31 21:22:09 EST 1969

login:root
Password: ←パスワードは「root」です。

別端末からのtelnet接続例
コンソール側でテストコンパイルして作成したプログラムを別端末からもtelnet接続して実行してみました。
YDL 6.1のQEMU上のWindows 3.1からのSeventh Edition接続
以下のコマンドでQEMUのWindows 3.1を起動します(ネットワークはユーザモードを使用)。

qemu -m 48 -hda qemuw31-flat.vmdk -net nic,model=ne2k_isa -net user -std-vga

ここで使用した仮想ディスクはエミュレータ環境でのWindows 3.1で紹介したものです。

QEMU上のWindows 3.1からは、まず最初にホスト(YDL 6.1)に通常のtelnet接続を行います。
ホスト(YDL 6.1)に接続後、「telnet localhost 4096」でSeventh Editionに接続します。
設定ファイルの利用
pdp11起動時、-vオプションで設定ファイルを指定できます。
(1)設定ファイルの内容(設定ファイル名は任意であり、ここではpdp11.confとします)。

set cpu u18
set rp0 RP06
att rp0 Unix7th.disk
set dz 7b lines=8
att dz -am 4096
boot rp0

(2)設定ファイル指定でのpdp11起動

pdp11 -v pdp11.conf

後は、bootの入力から行うだけで済みます。

・設定ファイルの利用例

６．YDL 6.1上のUbuntu 8.10 Serverを介したWindows 3.1とSeventh Editionの接続

前提条件
(1)YDL 6.1にはQEMUが導入済みとします。
(2)YDL 6.1にはtelnetサーバも導入済みとします。
(3)QEMU上でUbuntu 8.10 Server(JeOS 8.10)を実行します(ネットワークはユーザモードを使用)。
(4)QEMU用のUbuntu 8.10 Server仮想ディスクをjeos810withpdp11.img(1GB)とします。
(5)そのUbuntu 8.10 Server内にはSIMHが導入済みで、更に上記で作成したUnix7th.diskが格納されています。
(6)YDL 6.1のQEMU上でWindows 3.1も実行します(ネットワークはユーザモードを使用)。
Ubuntu 8.10 Server(JeOS 8.10)の起動
以下のコマンドでQEMUのUbuntu 8.10 Serverを起動します。

qemu -m 256 -hda jeos810withpdp11.img -net nic -net user -redir tcp:5555::4096

※「-redir tcp:5555::4096」はリダイレクトの指定です。

Ubuntu 8.10 Serverの中でのSeventh Editionの起動
Ubuntu 8.04上でSeventh Editionを起動した要領でUbuntu 8.10 Serverの中でSeventh Editionを起動します。

朱書きした下線部分がキー入力部分です。

# pdp11

PDP-11 simulator V3.7-0
sim> set cpu u18
Disabling XQ
sim> set rp0 RP06
sim> att rp0 Unix7th.disk
sim> set dz 7b lines=8
sim> att dz -am 4096
Listening on port 4096 (socket 4)
Modem control activated
Auto disconnect activated
sim> boot rp0
boot
Boot
: hp(0,0)unix
mem = 175552 ※この表示後、Ctrl+Dでマルチユーザモードにします。
# RESTRICTED RIGHTS: USE, DUPLICATION, OR DISCLOSURE
IS SUBJECT TO RESTRICTIONS STATED IN YOUR CONTRACT WITH
WESTERN ELECTRIC COMPANY, INC.
WED DEC 31 21:10:51 EST 1969

login:←ここで停止させておいて構いません。

YDL 6.1のQEMU上のWindows 3.1からのSeventh Edition接続
以下のコマンドでQEMUのWindows 3.1を起動します(ネットワークはユーザモードを使用)。

qemu -m 48 -hda qemuw31-flat.vmdk -net nic,model=ne2k_isa -net user -std-vga

ここで使用した仮想ディスクはエミュレータ環境でのWindows 3.1で紹介したものです。

QEMU上のWindows 3.1からは、まず最初にホスト(YDL 6.1)に通常のtelnet接続を行います。
ホスト(YDL 6.1)に接続後、「telnet localhost 5555」でSeventh Editionに接続します。
※「telnet localhost 4096」指定では「Connection refused」になりますのでここでは必ずリダイレクト用ポート5555を指定します。

７．PowerPC版Ubuntu 8.04上のWindows 3.1とSeventh Editionの接続(OS三重奏)

YDL 6.1で実行したOS三重奏はPowerPC版Ubuntu 8.04でも実現できます。
但し、PowerPC版Ubuntu 8.04のXorgパッケージには不具合がありMacマシンで期待通りに動作しないことがあります。
(このためOS三重奏はYDL 6.1での実行がお奨めです)

YDL 6.1の場合と同様、PowerPC版UbuntuにSIMHを導入してSeventh Editionを起動し、QEMU上のWindows 3.1からSeventh Editionに接続します。
以下に、PowerPC上でのUbuntu 8.04 + Seventh Edition(PDP-11エミュレータ) + Windows 3.1(QEMU)の同時実行例を紹介します。

PowerPCへのUbuntu 8.04のインストール
ubuntu-8.04.1-alternate-powerpc.isoをダウンロードしてインストールCD-ROMを作成します。
そのインストールCD-ROMからブートしてインストールを進めます。
尚、1MBの領域をNewWorldブートパーティションとして割り当てます。

PowerPCのマシンによってはインストール後の再起動でXウィンドウが表示されないことがあります(テキストログイン不可の場合もあり)。
/etc/X11/xorg.confを手直しすれば大体はOKです。
しかしその/etc/X11/xorg.confは、インストールしたUbuntu 8.04以外から修正する必要があります。
ネットワークは使用できますがssh/telnetサーバは初期インストールされません。
ライブCDやNetBSD/macppc等を利用してUbuntu 8.04のパーティションにアクセスして/etc/X11/xorg.confを変更します。
尚、NetBSD/macppcでLinuxパーティションをマウントできない場合があります。
(多くの場合は「mount -t ext2fs /dev/wd0x /mnt」での「incorrect super block」エラー)
この場合はNetBSD/macppc側にe2fsprogsパッケージを導入し「fsck.ext2 /dev/wd0x」を実行してからマウントします。
曲がりなりにもUbuntu 8.04にログインできた場合はopenssh-serverをインストールし、別マシンから環境を整えることができます。
PowerPC版Ubuntu 8.04ブート時のプログレスバー表示
デフォルトではPowerPC版Ubuntu 8.04ブート時にはオレンジ色のプログレスバーが表示されません。
そこで以下の操作でプログレスバーが表示されるようになります。
(1)/etc/usplash.confの変更
# vi /etc/usplash.conf
以下の2行を追加します。
xres=1024
yres=768
(2)initrd.imgの再作成
# update-initramfs -u -k all
「update-initramfs: Generating /boot/initrd.img-2.6.24-19-powerpc」のように表示されます。
(3)再起動
プログレスバーが表示されます。
PowerPC版Ubuntu 8.04へのSIMH(ver 3.7.0)の導入
# apt-get install simh
PowerPC版Ubuntu 8.04へのQEMU(ver 0.9.1)の導入
# apt-get install qemu
PowerPC版Ubuntu 8.04へのtelnetサーバの導入
# apt-get install telnetd
(openbsd-inetdもインストールされます)
# /etc/init.d/openbsd-inetd start
これで通常の23番ポートによるtelnet接続を受け付けできるようになります。
(OS再起動してもopenbsd-inetdは自動起動されます：sysv-rc-confで確認できます)
pdp11設定ファイルの作成
# vi ppcpdp11.conf

set cpu u18
set rp0 RP06
att rp0 Unix7th.disk
set dz 7b lines=8
att dz -am 4096
boot rp0
設定ファイル指定でのpdp11起動(Seventh Editionの起動)

pdp11 -v ppcpdp11.conf

後は、bootの入力から行うだけで済みます。
PowerPC版Ubuntu 8.04のQEMU上のWindows 3.1からのSeventh Edition接続
以下のコマンドでQEMUのWindows 3.1を起動します(ネットワークはユーザモードを使用)。

qemu -m 48 -hda qemuw31-flat.vmdk -net nic,model=ne2k_isa -net user -std-vga

ここで使用した仮想ディスクはエミュレータ環境でのWindows 3.1で紹介したものです。

QEMU上のWindows 3.1からは、まず最初にホスト(PowerPC版Ubuntu 8.04)に通常のtelnet接続を行います。
ホスト(PowerPC版Ubuntu 8.04)に接続後、「telnet localhost 4096」でSeventh Editionに接続します。

・PowerPC版Ubuntu 8.04のQEMU上のWindows 3.1からのSeventh Edition接続例(OS三重奏)
(キャプチャ時、Windows 3.1側がUbuntuのテーマカラーになってしまいました)
PowerPC版Ubuntu 8.10使用の場合の補足
上記のOS三重奏はPowerPC版Ubuntu 8.10でも実現できます。
ここではPowerPC版Ubuntu 8.10使用時について補足します(主にPowerPC版Ubuntu 8.04との相違点)。
- PowerPCへのUbuntu 8.10のインストール
  PowerPC版Ubuntu 8.10のインストールCDーROMはubuntu-8.10-alternate-powerpc.isoから作成します。
  PowerBook G4等、機種によってはインストール時のCD-ROMドライブ検出で次のエラーとなることがあります。
  ・「一般的なCD-ROMドライブは検出されませんでした。」(No common CD-ROM drive was detected.)
  本エラー発生時は、インストールメインメニューに戻った時に[シェルの実行]を選択し以下のコマンドを実行します。
  # modprobe ide-scsi
  # exit ※メインメニューへの戻り。
  メインメニューに復帰後、[CD-ROMの検出とマウント]から再実行します(CD-ROMが無事検出されます)。
  
  PowerPCのマシンによってはインストール後の再起動でXウィンドウが表示されないことがあります。
  この場合はcontrol+option+F1でコンソール画面に切り替えてテキストログインしてから/etc/X11/xorg.confを手直しします。
- PowerPC版Ubuntu 8.10ブート時のプログレスバー表示
  PowerPC版Ubuntu 8.10では最初からプログレスバーが表示されるようになっています。
  /etc/usplash.confにはxresやyresの指定はなされていませんがプログレスバーが表示されます。
- pdp11起動パラメータについて
  PowerPC版Ubuntu 8.10では「att dz -am 4096」入力で「Sockets: bind error 98」エラーとなります。
  このため4096の代りに4097を使用するとOKとなります。
  ・「att dz -am 4097」指定例
- PowerPC版Ubuntu 8.10のQEMU上のWindows 3.1からのSeventh Edition接続
  PowerPC版Ubuntu 8.10でのQEMUのWindows 3.1の起動方法はPowerPC版Ubuntu 8.04の場合と同じです(Windows 3.1起動画面)。
  QEMU上のWindows 3.1からは、まず最初にホスト(PowerPC版Ubuntu 8.10)に通常のtelnet接続を行います。
  ホスト(PowerPC版Ubuntu 8.10)に接続後、「telnet localhost 4097」でSeventh Editionに接続します。
- 無線接続の利用
  PowerPC版Ubuntu 8.10ではAirMac Extremeカードへの対応が強化されておりそのドライバも整備されています。
  [システム]メニューの[システム管理]－[ハードウェアドライバ]を選択して「Hardware Drivers」画面で該当ドライバをActivateします。
  そのActivateによってAirMac Extremeカード用ドライバがダウンロードされて組み込まれます。
  後は[システム]メニューの[設定]－[Network Configuration]で無線接続を追加してSSIDやセキュリティ情報を指定します。
  再起動後はその無線接続が利用可能となります。
  当然ながら無線接続でも別マシンからPowerPC版Ubuntu 8.10上のSeventh Editionに接続できます。
  PowerPC版Ubuntu 8.10上のSeventh Editionを起動した時点の「lsof -i|grep 4097」では以下の行しか表示されません。
  pdp11 5154 root 4u IPv4 20895 TCP *:4097 (LISTEN)
  しかし別マシンからPowerPC版Ubuntu 8.10上のSeventh Editionに接続した後の「lsof -i|grep 4097」では接続元情報も表示されます。
  ・無線接続環境でのSeventh Edition利用例

８．Windows XPでのSeventh Edition利用

PDP-11エミュレータを含むSIMHとしてはWindows版バイナリも公開されています。

Windows版SIMHのバイナリインストール
(1)http://simh.trailing-edge.com/からsimhv38-1-exe.zipを入手します(インストーラ不要)。
(2)simhv38-1-exe.zipを解凍するとpdp11.exe等のエミュレータプログラムが多数解凍されます。
(3)解凍されたpdp11.exe等はそのまま使用できます。
Windows XPでの実行例
コマンドプロンプトでpdp11を起動してSeventh Editionを実行します。
PuTTY等から127.0.0.1に対する4096ポート指定のtelnetでSeventh Editionに接続できます。
設定ファイルの利用
pdp11起動時、-vオプションで設定ファイルを指定できます。
(1)設定ファイルの内容(設定ファイル名は任意であり、ここではpdp11.confとします)。

set cpu u18
set rp0 RP06
att rp0 Unix7th.disk
set dz 7b lines=8
att dz -am 4096

(2)設定ファイル指定でのpdp11起動

pdp11 -v pdp11.conf

後は、boot rp0の入力から行うだけで済みます。

９．補足

(1)Seventh Editionの持ち運びの環境
QEMU on Windowsはインストールが不要で、かつユーザモードネットワークでリダイレクト機能が使用できます。
USBメモリにQEMU on Windows, SIMHとSeventh Editionを含んだUbuntu 8.10 Server仮想ディスクを格納しておくと
いつでもどこでもそのSeventh Editionが利用可能となります。

(2)Seventh Editionの/binに存在するコマンド一覧(/etc直下にもコマンドはあります：dmesg等)
※Seventh Edition付属のコマンドは豊富ですが各コマンドで指定できるオプションは現在のLinux用コマンドよりは少ないです。

(3)Seventh Editionには/etc/mtabはありますが/etc/fstabは存在しません。

(4)Seventh Editionの機能構成は初期のLinuxに比べてもかなりシンプルなものですが当時のOSとしてはよくまとまっています。

(5)Macマシンの「PowerPCからIntel系Macへのシフト」が進む中でYDLは貴重な存在です。
※YDLのEnlightenmentデスクトップは極めて動作が軽くGUI操作も滑らかです。
また一台のマシンでPowerPC, i386, PDP-11用OS群を同時実行するのに適したマシンはPowerPCであり、そのOSはYDLです。
YDLではQEMU, SIMHが軽快に動作し、上記で紹介したOS三重奏(プラットフォーム三重奏)はまさにYDLならではの利用と言えます。

(6)16bitのPDP-11は32bitのVAX-11に置き換わり、VAX-11用OSであるVMSに対応したOracleがその後誕生しました。