Red Hat Linux 1.1
1995年8月に商用版のRed Hat Linux 1.1がリリースされました(kernel 1.2.11)。
Red Hat Linux 1.1の正式名は「Red Hat Commercial Linux 1.1」で開発コード名は「Mother's Day Release + 0.1」です。
Red Hat Commercial Linux 1.1における主なアプリケーションバージョン;
- XFree86 : 3.1.1
- arena : 0.96s
- clisp : 1994-07-04
- control-panel : 1.4
- emacs : 19.25
- fvwm : 1.24r
- gcc : 2.5.8
- httpd : 1.3
- ibcs : 1.2.11
- libc-linux-shared : 4.5.26
- perl : 4.036
- sendmail : 8.6.11
- wu-ftpd : 2.4
- xpaint : 2.1.1
ここではほぼフルインストールしたRed Hat Commercial Linux 1.1(以下Red Hat Linux 1.1)について簡単に紹介します。
(1)インストールの流れ(パッケージのフルインストール)
インストールは基本的に1問1画面形式になっています。
- イントール用ブートディスク(FD)の作成
- インストール用ルートディスク(FD)の作成
- イントール用ブートディスクからのブート
- インストーラの指示でインストール用ルートディスクに交換
- 再度イントール用ブートディスクに交換
- Expressインストールオプションの選択
- インストールシリーズでのstandard set選択は行いません(インストールされるパッケージが少な過ぎるため)。
- インストール元の選択ではCDとNFSの選択肢がありますがCDを選択
この時CD-ROMのチェックが行われ、「Is this correct?」に対して<Yes>を応答します。
- ディスクパーティション設定
- swapパーティションの指定
- ファイルシステムパーティションの指定
- シリーズ選択
ここではほとんどすべてを選択します(約250MB消費)。
- ホスト名指定
- swapパーティションのフォーマット実行
- ファイルシステムの作成
- bootstrapのインストール
- 各パッケージのインストール
- マウス設定
- X用ビデオカード(chipset)の選択
- ビデオメモリ容量の指定
- モニタ仕様の選択
- ネットワークの設定
ホスト名、ドメイン名、IPアドレス、ネットワークアドレス、ネットマスク、ブロードキャストアドレス、ゲートウェイ、ネームサーバの指定を指定します。
- モデム設定
- キーボード設定
ここではus.mapを選択します。
- 時間設定(Local Timeの選択)
- タイムゾーンの選択(Japanの選択)
- LILOの構成とインストール
- 一般ユーザアカウントの作成
ここではそのアカウントのパスワード設定はできません。
- rootユーザのパスワード設定
- インストール完了
- インストールされたパッケージ一覧
デモ版を除いて264個のバイナリパッケージがインストールされました(バイナリパッケージ一覧:rpp-queryでの出力結果を編集したものです)。
(2)テキストログインとGUIログイン
システムをブートするとテキストログイン画面が表示されます。
インストール中に設定できなかった一般ユーザのアカウントのパスワードも設定しておきます。
またxdmコマンドを実行するとGUIログイン画面となります。
(3)デスクトップ
標準のウィンドウマネジャはFvwmです。
実寸画像はこちらです。
- デスクトップの左クリックで表示されるメニュー
- デスクトップの右クリックで表示されるウィンドウ一覧
(4)コントロールパネル(
コントロールパネル(control-panel)はRed Hat固有のGUIタイプのシステム設定ツールです。
- コントロールパネル
- コントロールパネルの[RHS Linux Installation Manager](パッケージ管理ツール)
- コントロールパネルの[User and Group Configuration](ユーザ管理ツール)
- コントロールパネルの[WWW anf FTP Configuration](WWW/FTP管理ツール)
このパネルで<Httpd On>を有効にするとその時点でWWWサーバ(NCSA's HTTPD)が起動し、次回からのブート時自動起動します。
(5)arena(WWWブラウザ)
- ローカルドキュメントブラウズ
- ローカルWWWサーバアクセス
尚、WWWサーバのドキュメントルートは/usr/lib/WWW-data/ディレクトリです。
(6)Red Hat Commercial Linuxのロゴ
Red Hat Commercial Linuxのロゴ画像は/usr/doc/HTML/bitmaps/rhcl.gifとして格納されています(rhcl.tiffもあります)。
※赤い帽子を押さえて大またで歩いていくビジネスマンのようです。
(7)rxvt
rxvtは軽量の端末エミュレータです。
(8)RPPによるパッケージ管理
Red Hat Linux 1.1ではRPPというパッケージ管理システムを採用しています。
このパッケージ管理システムを利用することでパッケージのメンテナンスが楽になります。
RPPではrpp-install, rpp-install-series, rpp-uninstall, rpp-query, rpp-verify, rpp-buildコマンドが提供されます。
例えば「rpp-query - - bin」コマンドで、インストール済みバイナリパッケージ一覧を確認できます。
また「rpp-query -l パッケージ名」ではそのパッケージに含まれるファイル一覧を確認できます。
# rpp-query -l httpdの表示内容;
-----(ここから)-----
httpd 1.3 bin /usr 185654
/usr/sbin/httpd
/usr/lib/httpd/icons/unknown.xbm
/usr/lib/httpd/icons/text.xbm
/usr/lib/httpd/icons/telnet.xbm
/usr/lib/httpd/icons/sound.xbm
/usr/lib/httpd/icons/movie.xbm
/usr/lib/httpd/icons/menu.xbm
/usr/lib/httpd/icons/index.xbm
/usr/lib/httpd/icons/image.xbm
/usr/lib/httpd/icons/ftp.xbm
/usr/lib/httpd/icons/blank.xbm
/usr/lib/httpd/icons/binary.xbm
/usr/lib/httpd/icons/ball.xbm
/usr/lib/httpd/icons/back.xbm
/usr/lib/httpd/icons
/usr/lib/httpd/conf/srm.conf
/usr/lib/httpd/conf/mime.types
/usr/lib/httpd/conf/httpd.conf
/usr/lib/httpd/conf/access.conf
/usr/lib/httpd/conf
/usr/lib/httpd/cgi-bin/wais.pl
/usr/lib/httpd/cgi-bin/uptime
/usr/lib/httpd/cgi-bin/test-cgi.tcl
/usr/lib/httpd/cgi-bin/test-cgi
/usr/lib/httpd/cgi-bin/query
/usr/lib/httpd/cgi-bin/post-query
/usr/lib/httpd/cgi-bin/phf
/usr/lib/httpd/cgi-bin/nph-test-cgi
/usr/lib/httpd/cgi-bin/jj
/usr/lib/httpd/cgi-bin/imagemap
/usr/lib/httpd/cgi-bin/fortune
/usr/lib/httpd/cgi-bin/finger
/usr/lib/httpd/cgi-bin/date
/usr/lib/httpd/cgi-bin/calendar
/usr/lib/httpd/cgi-bin/archie
/usr/lib/httpd/cgi-bin
/usr/lib/httpd/README
/usr/lib/httpd
/usr/lib/WWW-data/index.html
/usr/lib/WWW-data
/etc/rc.d/init.d/httpd
/var/adm/rpp/verify/httpd-1.3-bin-0.vfy
-----(ここまで)-----
(9)インストールCDの内容確認
インストールCDのマウントは以下のコマンドで実施できます。
# mount -t iso9660 -o ro /dev/hdb /mnt/cdrom (/dev部分は環境依存)
(10)ftp,telnetサーバ
ftpサーバ、telnetサーバは共にinetd経由での非常駐サービスプログラムとして動作します。
localhostにftpしてみました。
(11)PerlによるサンプルCGI作成
/usr/lib/httpd/conf/srm.confには以下の記述がされています。
# ScriptAlias: This controls which directories contain server scripts.
# Format: ScriptAlias fakename realname
ScriptAlias /cgi-bin/ /usr/local/etc/httpd/cgi-bin/
/usr/local/etcは初めから存在しますが、/usr/local/etc/httpdの下は存在しませんので作成します。
# mkdir /usr/local/etc/httpd
# mkdir /usr/local/etc/httpd/cgi-bin
次に、以下のようなPerlによる初歩的なCGIソース(wwwtest.c)を用意します。
#include <stdio.h>
void main()
{
puts ("Content-type: text/html\n\n");
puts("<html>");
puts("<head><title>NCSA's HTTPD CGI TEST</title></head>\n");
puts("<body>");
puts("<h2>NCSA's HTTPD CGI TEST</h2>\n");
puts("<br><br>\n");
puts("Hello! Red Hat Linux users.\n");
puts("</body>\n");
puts("</html>\n");
}
このソースをコンパイルしてそのプログラムをcgi-binディレクトリにコピーしてarenaを起動します(その様子)。
arenaには以下のように表示されます。
(12)Olvwmウィンドウマネジャ
olvwmパッケージに入っているolvwmウィンドウマネジャを使用してみました。
olvwmは/usr/openwin/binに格納されています。
実寸画像はこちらです。
xfontselで日本語を表示させてみました。
(13)ネットワーク利用例
Windows95がリリースされた後でWindows95のInternet ExplorerからRed Hat Linux 1.1のWWWサーバをアクセスしてみました。