Virtual PC 2007環境でのLAN Manager TCP/IPの導入

Virtual PC 2007(VPC2007)でのWindows 3.1(英語版)の利用でご紹介したWindows 3.1環境ではTCP/IPのネットワーク環境は未導入でした。
そこでMicrosoftから無償公開されているLAN Manager 2.2a(英語版)と無償のネットワークアダプタドライバを使用してVPC2007仮想マシンのWindows 3.1(英語版)にLAN ManagerでのTCP/IP環境を構築してみました。

以下にVirtual PC 2007環境でのWindows 3.1(英語版)にLAN Manager TCP/IP環境を構築する手順を説明します。

今回使用したPCのハードウェア構成は以下の通りです。
・CPU:Core 2 Quad Q6600 (2.4GHz)
・メモリ:8GB
・VGAカード:nVIDIA GeForce 8800 GT(VRAM 512MB)
・HDD:S-ATA 500GB
・LANカード:Intel PRO/100 S Desktop Adapter
・ホストOS:Windows Vista(32ビット版)

尚、VPC2007でのWindows 3.1(英語版)はクリーンインストールしたものでエンハンスドモードで稼働しています。




■ 事前に準備しておくフロッピーディスクイメージファイル



■ LAN ManagerとIntel 2104x/2114x Ethernet Controllerドライバのインストール

  1. 仮想ネットワークの設定
    Windows 3.1(英語版)がインストールされているVPC2007の仮想マシン(VPCWin31en)の[設定]でネットワークアダプタ1としてホストOSの物理コンピュータのネットワークアダプタを選択します。
    物理コンピュータのネットワークアダプタを選択することで仮想マシンがホストOSと同じネットワーク環境に参加できるようになります。
    今回はIntel PRO/100 S Desktop Adapterを選択しました。
    尚、ここで共有ネットワーク(NAT)を選択した場合のLAN Managerの設定方法は後述します。

  2. Windows 3.1(英語版)のMS-DOSの起動
    Windows 3.1(英語版)がインストールされているVPC2007の仮想マシン(VPCWin31en)を起動してwinコマンドでWindows 3.1を起動する前のMS-DOS段階で停止させます。

  3. LAN Managerのインストールディスクのセット
    仮想マシンの[フロッピー]-[フロッピーディスクイメージのキャプチャ]で上記のLMSetup.vfdを選択します。

  4. LAN ManagerのSetupプログラムの起動
    以下のコマンドでLAN ManagerのSetupプログラムを起動します。
    C:\>a:setup
    「Microsoft LAN Manager Setup」画面が表示されます。



    [OK]を押します(<OK>を選択してEnterキーを押します)。

  5. 「Using the Keyboard in Setup」画面



    そのまま[OK]を押します。

  6. 「Install LAN Manager」画面



    (1)Install from this drive(インストール元ドライブ)はA:とします。
    (2)Put in this directory(インストール先ディレクトリ)はデフォルトのC:\LANMAN.DOSのままとします。
    (3)[OK]を押します。

  7. 「What do you want to install ?」設問画面



    (1)機能制限が厳しくない[LAN Manager Enhanced]を選択します。
    (2)[OK]を押します。

  8. DOS DRIVERS 1ディスクへの交換要求



    (1)仮想マシンの[フロッピー]-[フロッピーディスクイメージのキャプチャ]で上記のLMDriver1.vfdを選択します。
    (2)[OK]を押します。

  9. 「Network Adapter Drivers」画面


    (1)ここのドライバ一覧にはIntel 2104x/2114x Ethernet Controllerはありません
    (2)またDEC 21041/21140もありません
    (3)Tabキーを使って[Other Driver]を選択します。



    (4)Enterキーを押します。

  10. 「Insert your network driver disk...」画面



    (1)仮想マシンの[フロッピー]-[フロッピーディスクイメージのキャプチャ]で上記のNd2_300.vfdを選択します。
    (2)ドライブ/パスはA:のままで[OK]を押します。
    (3)ドライバがコピーされます。

  11. 「Network Protocols for」画面とフロッピーディスクイメージの交換



    (1)この「Network Protocols for」画面が表示された時点で[フロッピー]-[フロッピーディスクイメージのキャプチャ]で上記のLMDriver1.vfdに戻します。
    (2)Spaceキーで [MS TCP/IP]だけを選択します。
    (3)[OK]を押します。

  12. 「Workstation Configuration」画面
    インストールされたプロトコルが表示されます。



    [OK]を押します。

  13. 「TCP/IP Settings」画面



    (1)IP AddressはホストOSが接続されている物理ネットワーク体系において仮想マシン(VPCWin31en)に割り当てるスタティックIPアドレス(xx.xx.xx.xx)を指定します。
    (2)Subnet MaskもホストOSが接続されている物理ネットワーク体系でのサブネットマスクを例えば255.255.255.0のように指定します。
    (3)Default gateway (router)もホストOSが接続されている物理ネットワーク体系でのデフォルトゲートウェイアドレス(yy.yy.yy.yy)を指定します。
    (4)今回はDHCPは使用しないため[Enable automatic DHCP configuration]はSpaceキーでonからoffにします。
    (5)WINSの部分は何も指定しません。
    (6)「TCP/IP Settings」画面のメニューに[Advanced]というものがありますがこれについては後述します(ここではAdvancedはスキップします)。
    (7)上記指定後[OK]を押します。

  14. 「Workstation Settings」画面
    (1)後でAUTOEXEC.BATでの「NET START WORKSTATION」部分はコメント化させるためこの「Workstation Settings」画面では適当な値を指定しておきます。
    (2)Messaging ServiceオプションもYesからNoに変更しておきます。



    (3)[OK]を押します。

  15. 「Support for the Windows Environment」画面



    (1)[Run MS-DOS LAN Manager with the Windows environment ?]はデフォルトのYesのままにしておきます。
    (2)[OK]を押します。

  16. 「Windows Directory」画面



    (1)Windows directoryはデフォルトのC:\WINDOWSのままにしておきます。
    (2)[OK]を押します。
    (3)「Workstation Settings」画面でMessaging Service:Noにしてあるため「Messaging Popups」画面の表示はスキップされます。

  17. 「Memory Management」画面



    (1)ここでの質問は日本語版では「システム内にXMSメモリを検出しました アプリケーション用メモリを最大化させますか?」という内容になります。
    (2)デフォルトのYesのままにしておきます。
    (3)[OK]を押します。
    (4)YesにするとCONFIG.SYSに設定済みの「DEVICE=emm386.exe ram」の行がコメント化されて、
    「DEVICE=C:\LANMAN.DOS\DRIVERS\DOSUTILS\EMM386.EXE ram」という行が追加されます。
    しかしLAN Managerで用意されているC:\LANMAN.DOS\DRIVERS\DOSUTILS\EMM386.EXEはVPC2007環境には適合しないため別途CONFIG.SYSを変更する必要があります(CONFIG.SYSの変更については後述します)。

  18. 「Configuration Complete」画面



    (1)[Save]を押します。
    (2)「Configuration Complete」と表示されますがLAN ManagerのSetupはまだ続きます。

  19. DOS DRIVERS 2ディスクへの交換要求



    (1)仮想マシンの[フロッピー]-[フロッピーディスクイメージのキャプチャ]で上記のLMDriver2.vfdを選択します。
    (2)[OK]を押すとDOS DRIVERS 2ディスク内のファイルがコピーされます。

  20. 「Installation Complete」画面



    (1)これでLAN ManagerのSetupは完了です。
    (2)しかしながらVPC2007環境やTCP/IP環境を利用するにはここまでのSetupでは不完全ですので手動での設定変更・追加が必要となります(詳細は後述)。
    (3)[OK]を押します。
    (4)C:\>プロンプトに戻ります。
    (5)この時点で設定ファイルを変更してもいいのですが一旦ここで仮想マシン(VPCWin31en)の電源を切ります。

  21. LAN ManagerのSetup完了直後の設定ファイルについて
    LAN Manager 2.2aのSetup直後の設定ファイルは以下のようになっています。

  22. 設定ファイルの変更
    VPC2007環境でLAN ManagerのTCP/IP機能を稼働させるために以下の設定ファイルを変更します。

  23. 仮想マシン(VPCWin31en)の起動確認
    仮想マシン(VPCWin31en)を起動するとwin実行前のMS-DOSレベルの段階でインターネット接続が可能です(pingで検証)。





■ Webブラウザの導入・利用とftp/telnetのテスト
  1. Webブラウザの導入・利用
    Webブラウザとして今回はInternet Explorer 3.01(IE 3.01)とNetscape Communicator 4.04(NC 4.04)を導入してみました。
    (1)Internet Explorer 3.01ではWebサイトのURLの名前解決ができませんでした(IP直接指定ではWebアクセス可能)。
    (2)Internet Explorer 3.01の設定ファイルであるC:\WINDOWS\ieplore.iniには以下のコメントが記述さえています。
    ; On certain TCP/IP stacks, it is necessary to set Use_Async_DNS=no
    ieplore.iniの[Services]セクションの「Use_Async_DNS=Yes」を「Use_Async_DNS=No」に変更してInternet Explorer 3.01を起動すると仮想マシン自体がフリーズしました。
    結局、止む無くProxyサーバ経由でWebアクセスすることにしました。
    (3)Netscape Communicator 4.04も設定ファイルを変更してもWebサイトのURLの名前解決ができませんでしたのでProxyサーバ経由としました。
    下記はInternet Explorer 3.01とNetscape Communicator 4.04を同時実行している様子です。



  2. hosts設定確認
    (1)C:\LANMAN.DOS\ETC\HOSTSにプロキシサーバのアドレスと名前の対応を定義すれば「ping そのプロキシサーバ名」が通りました。

  3. ftpクライアントのテスト
    (1)ftpクライアントとしてWS_FTP (version 94.10.18)をインストールしてLAN内のftpサーバにアクセスしてみました。
    (2)ftpサーバ側のディレクトリの内容は表示されます。



    (3)実際にファイル転送しようとすると「Send: error 10052」というWinSockのソケットエラーとなりました。

  4. telnetのテスト
    (1)telnetソフトとしてTera Term 1.4のインストール
    (2)LAN内telnetサーバへのIP直接指定での接続(問題なし)





■ EMM386.EXEの指定と実行モードの組み合わせ

CONFIG.SYSでの
EMM386.EXEのオプション指定
DNR, SOCKETSのロード場所ブート時の
ping www.yahoo.co.jp
実行モード:
Enhanced Mode
(EMSメモリ使用)
実行モード:
Standard Mode(注※1参照)
(Standard Modeでは
EMSメモリは使用されません)
RAMexpanded memoryOK(1)MS-DOS Promptでの
ping www.yahoo.co.jp:OK
(2)Netscapedeでの
Webアクセス:OK
Netscapeの起動時
仮想マシンがフリーズ
NOEMS
(UMBが64KB増加します)
regular memoryOK(1)MS-DOS Promptでの
ping www.yahoo.co.jp:OK
(2)Netscapedeでの
Webアクセス:OK
Netscapeの起動時
仮想マシンがフリーズ
注※1:MS-DOSからWindowsをStandard Modeで起動するためにはStandard Modeで起動するためのスイッチ(/s)を付けた「win /s」コマンドを使用します。


■ LAN Manager TCP/IPを導入した仮想ディスクのHyper-V Serverでの使用

上記の手順でLAN Manager TCP/IP及びネットワーク系アプリを組み込んだ仮想マシン(VPCWin31en)の仮想ディスクをHyper-V Serverで実行してみました。
Hyper-V Serverでの仮想マシン定義は以下のようにしました。
・仮想マシン名:HVSWin31en
・メモリ:64MB
・ネットワークアダプタ:レガシーネットワークアダプタで外部接続用スイッチの割り当て
・仮想ディスク:仮想マシン(VPCWin31en)の仮想ディスク



■ LAN Managerの「TCP/IP Settings」画面における[Advanced]メニューについて