Virtual PC 2007でのWindows 3.1(英語版)の利用
2007年2月19日、Microsoftはデスクトップ向け仮想マシンソフトである「Virtual PC 2007日本語版」を無償公開しました。
Microsoftは既にVirtual PC 2004を途中から無償公開に切り替えていましたがWindows Vistaへの対応版として「Virtual PC 2007」がリリースされました。
そのVirtual PC 2007(VPC2007)にWindows 3.1(英語版)を導入してサウンド再生含めて動作確認してみました(但しネットワーク環境の導入は別途実施)。
ここではWindows Vista(32ビット版)上のVPC2007にWindows 3.1(英語版)をクリーンインストールしてエンハンスドモードで稼働確認する手順までを紹介します。
今回使用したPCのハードウェア構成は以下の通りです。
・CPU:Core 2 Quad Q6600 (2.4GHz)
・メモリ:8GB
・VGAカード:nVIDIA GeForce 8800 GT(VRAM 512MB)
・HDD:S-ATA 500GB
・LANカード:Intel PRO/100 S
更にWindows 3.1(英語版)をクリーンインストールするために以下の媒体を使用しました。
・MS-DOS 6.22(英語版)インストールディスク
・Windows 3.1(英語版)インストールディスク(フロッピーディスク群)
1.ゲストPCの定義
- VPC2007を起動しVirtual PC コンソールウィンドウを表示します。
- Virtual PC コンソールの<新規>ボタンを押します。
- 「新しいバーチャル マシン ウィザードの開始」画面が表示されます。
- バーチャル マシン ウィザードでの設定内容
- バーチャルマシンの名前:VPCWin31en
- オペレーティングシステム:Windows 98
- メモリ:64MB
- バーチャルハードディスク:VPCWin31en.vhd(1024MB)
ウィザード終了後バーチャルマシンの「設定」でのバーチャルディスクウィザードを起動し「既存のバーチャルディスクの編集」機能を使用して、
容量可変の上記VPCWin31en.vhdを容量固定のVPCWin31en-flat.vhd(別ファイル)に変換します。
その容量固定のVPCWin31en-flat.vhdをVPCWin31enのハードディスク1として割り当てます。
尚、仮想マシンのネットワークはデフォルトでネットワークアダプタ1がデフォルトで選択されますが今回は使用しません。
2.MS-DOS 6.22(英語版)のインストール
- MS-DOS 6.22(英語版)インストールディスクからのブート
MS-DOS 6.22(英語版)インストールディスクイメージファイルを使用する場合ですがバーチャルマシンの設定画面ではイメージファイルを指定できません。
一旦バーチャルマシンを起動してから[フロッピー]メニューの[フロッピーディスクイメージのキャプチャ]でMS-DOS 6.22(英語版)インストールディスクイメージファイルを指定してバーチャルマシン(VPCWin31en)を再起動します。
- CONFIG.SYSの確認
A:\>type config.sysでCONFIG.SYSの内容を表示します。
device=himem.sys /testmem:off
FILES=30
BUFFERS=20
...<以下省略>
device=himem.sys指定はありますが「device=emm386.exe ram」と「DOS=HIGH,UMB」の行はありませんのでスタンダードモードでのMS-DOS使用となります。
スタンダードモードのままでWindows 3.1をインストールして、その後でエンハンスドモードに切り替えます。
- バーチャルハードディスクへのプライマリパーティションの作成
A:\>fdisk
(1)Create Primary DOS Partitionを選択します。
(2)use max and make the partition active? [Y]はデフォルトのままとします。
(3)再起動します。
- プライマリパーティションのフォーマット
A:\>format c:
(1)Volume label指定は任意の値で構いません。
- Cドライブへのシステム転送
A:\>sys c:
(1)System transferredと表示されます。
(2)AドライブからCドライブにIO.SYS, MSDOS.SYS, DRVSPACE.BINとCOMMAND.COMの4ファイルが転送されます。
- AドライブからCドライブへのファイルコピー
A:\>copy *.* c:
(1)Overwrite C:XXX.XXX (Yes/No/All)? に対しては「N」を応答します。
- ファイル数の照合
隠しファイル含めて表示する/Aスイッチ付きでdirコマンドを実行してAドライブ、Cドライブのファイル数が一致することを確認します。
A:\>dir a: /A
A:\>dir c: /A
- Cドライブからの起動確認
MS-DOS 6.22(英語版)インストールディスク(或いはディスクイメージ)を外してバーチャルマシン(VPCWin31en)を再起動します。
「C:\>」プロンプトが表示されればOKです。
3.Windows 3.1(英語版)のインストール
- バーチャルマシン(VPCWin31en)の起動
CドライブからMS-DOS 6.22(英語版)をブートします。
- Windows 3.1(英語版)のインストール用「Microsoft Windows 3.1 Disk #1」のセット
(1)「Microsoft Windows 3.1 Disk #1」をセットします。
尚、フロッピーディスクイメージを使用する場合はバーチャルマシンの[フロッピー]メニューの[フロッピーディスクイメージのキャプチャ]で「Microsoft Windows 3.1 Disk #1」のフロッピーディスクイメージファイルを指定します。
- Windows 3.1(英語版)のインストールの開始
C:\>a:seup
(1)Windows Setup画面に「Welcome to Setup.」と表示されます。
(2)Enterキーで次の画面に進みます。
- セットアップタイプの選択
(1)セットアップタイプには「Express Setup(Recommended)」と「Custom Setup」の2種類あります。
ここではデフォルトのExpress Setupが選択された状態のままでEnterキーを押して次に進みます。
※このEnterキーでファイルがコピーされます(正確には圧縮ファイルが展開されてコピーされます)。
- フロッピーディスク #2への交換
(1)上記のファイルコピーの完了後、以下の表示が出ます。
Please insert the disk labled Microsoft Windows 3.1 Disk #2 into Drive A:
Press Enter when ready.
(2)「Microsoft Windows 3.1 Disk #2」をセットします。
尚、フロッピーディスクイメージを使用する場合はバーチャルマシンの[フロッピー]メニューの[フロッピーディスクイメージのキャプチャ]で「Microsoft Windows 3.1 Disk #2」のフロッピーディスクイメージファイルを指定します。
(3)Enterキーでファイルがコピーされます。
- GUI形式のWindows Setup画面の開始
(1)「Microsoft Windows 3.1 Disk #2」のファイルコピーの後、GUI形式のWindows Setup画面が表示されます。
(2)ここではNameとCompanyの値を指定します。
(3)Continueボタンをクリックします。
(4)NameとCompanyの確認画面が表示されますので内容を確認してContinueボタンをクリックします。
- フロッピーディスク #3への交換
(1)この時点で以下の表示が出ます。
Please insert the disk labled Microsoft Windows 3.1 Disk #3 into Drive A:
Press Enter or choose Continue when ready.
(2)「Microsoft Windows 3.1 Disk #3」をセットします(または#3用フロッピーディスクイメージファイルを指定)。
(3)Continueボタンをクリックします。
- フロッピーディスク #4への交換
(1)ファイルがコピーされて「Microsoft Windows 3.1 Disk #4」が要求されます。
(2)「Microsoft Windows 3.1 Disk #4」をセットします(または#4用フロッピーディスクイメージファイルを指定)。
(3)Continueボタンをクリックするとファイルがコピーされます。
- フロッピーディスク #4への交換
この時点で以下の表示が出ます。
Please insert the disk labled Microsoft Windows 3.1 Disk #3 into Drive A:
Press Enter or choose Continue when ready.
(2)「Microsoft Windows 3.1 Disk #3」をセットします(または#3用フロッピーディスクイメージファイルを指定)。
(3)Continueボタンをクリックします。
- フロッピーディスク #5への交換
「フロッピーディスク #4への交換」と同じ要領でフロッピーディスク #5への交換を実施ます。
- フロッピーディスク #6への交換
「フロッピーディスク #4への交換」と同じ要領でフロッピーディスク #6への交換を実施ます。
- Printer Installation
(1)Printer Installation画面が表示されます。
(2)[No Printer Attached]を選択してInstallボタンをクリックすると一瞬3個位のウィンドウが連続表示されます。
(3)アプリケーションの追加インストールはスキップします。
- Windows 3.1(英語版)のインストールの完了
(1)これでWindows 3.1(英語版)のインストールは完了で、以下の表示となります。
(2)Rebootボタンをクリックします。
- Windows 3.1の起動
(1)再起動すると、「Smartdrv double buffering manager installed.」と表示されます。
(2)winコマンドでWindows 3.1(英語版)が起動されます。
C:\>win
(3)最初のWindows 3.1(英語版)の画面
(4)Program Managerのアイコングループをお好みでカスタマイズします。
4.Sound Blasterドライバの組み込み
- Program Managerのアイコングループ「Main」の中の[Control Panel]-[Drivers]
- Addボタンで[Creative Labs Sound Blaster 1.5]を選択
ここでOKボタンを押すと「Install Driver」画面が表示されます。
- ドライバディスクのセット
(1)「Install Driver」画面には以下のように表示されます。
Insert Microsoft Windows 3.1 Disk3 #3
or the disk with the updated
sndblst2.drv driver in:
(2)「Microsoft Windows 3.1 Disk #3」をセットします(または#3用フロッピーディスクイメージファイルを指定)。
(3)「Install Driver」画面のパス指定欄に「A:\」を指定してOKボタンを押すと「Sound Blaster Setup」画面が表示されます。
- Sound Blasterの設定
(1)「Sound Blaster Setup」画面では「Port 220, Interrupt 5」を選択します。
(2)OKボタンを押すと「The Sound Blaster 1.5 driver is installed for use with your Sound Blaster Pro Card. ...」と表示されます。
(3)OKボタンを押すと「you must quit and restart Windows.」と表示されます。
※画面中の黒い矩形表示はVirtual PCでの描画の乱れかと思います。
(4)ここで「Restart Now」ボタンをクリックすると一瞬にWindows 3.1が再起動されます(DOSの再起動はなし)。
- サウンドファイルの再生テスト
(1)File Managerでc:\windows\chimes.wav(Windows終了時のサウンド用ファイル)をダブルクリックします。
(2)Sound Recorderでサウンドファイルが再生されます。
(3)c:\windows\tada.wavはWindows起動時のサウンド用ファイルです。
5.S3 Trio64Vディスプレイドライバの導入
- http://vpc.essjae.com/のサイトから「Windows 3.11 S3 Video Drivers referenced in the Tech Ref(w3117004.zip)」をダウンロード
※w3117004.zipのURLはhttp://vpc.essjae.com/w3117004.zipです。
- w3117004.zipの展開結果(1.00MB)をフロッピーディスクイメージに格納(格納手順は省略)
- [フロッピー]-[フロッピーディスクイメージのキャプチャ]で上記フロッピーディスクイメージを指定
- Program Managerのアイコングループ「Main」の中の[Windows Setup]
「Display: VGA」となっています。
- Windows Setup画面の[Options]-[Change System Settings]
- [Other display [Requires disk from OEM]]の選択
- パスをA:\にします
- ディスプレイドライバの選択
(1)「Choose a display driver from the list.」で[S3 Trio64V 1.70.04 800x600 64K C LF]を選択します。
(2)OKボタンを押すとファイルがコピーされます。
- Wiindows 3.1の再起動
- 画面確認
Windows 3.1の解像度が800x600になっていることを確認します。
6.仮想EMSドライバ(EMM386.EXE)の組み込み
- C:\CONFIG.SYSの編集
(1)NotepadでC:\CONFIG.SYSを開きます。
(2)himem.sysの記述の下に「device=emm386.exe ram」と「DOS=HIGH,UMB」の2行を追加します。
device=himem.sys /testmem:off
device=emm386.exe ram
DOS=HIGH,UMB
FILES=30
BUFFERS=20
...
- バーチャルマシン(VPCWin31en)の再起動
- memコマンドの実行
「EMM386 is using XMS ...MS-DOS is resident in the high memory area.」と表示されます。
- winコマンドでのWindows 3.1起動
- Program Managerの[Help]-[About Program Manager]確認
(1)「About Program Manager」画面に「386 Enhanced Mode」と表示されます。
7.ディスプレイドライバの変更
- MICROSOFT WINDOWS DRIVERのダウンロード
- ドライバファイル群をc:\w31svga等のディレクトリに格納(格納手順は省略)
- Program Managerのアイコングループ「Main」の中の[Windows Setup]
- Windows Setup画面の[Options]-[Change System Settings]
- [Other display [Requires disk from OEM]]の選択
- パスをA:\からC:\W31SVGAに変更
- ディスプレイドライバの選択
(1)「Choose a display driver from the list.」で[Super VGA 1024x768 256 Small]を選択します。
(2)OKボタンを押すとファイルがコピーされます。
- Wiindows 3.1の再起動
- 画面確認
Windows 3.1の解像度が1024x768になっていることを確認します。
8.Virtual PC 2007でのWindows 3.1(英語版)仮想ディスクのWindows 7 Virtual PCでの利用
Virtual PC 2007でクリーンインストールしたWindows 3.1(英語版)の仮想ディスクをWindows 7のWindows Virtual PCでそのまま利用してみました。
386 Enhanced Modeでサウンド再生も問題なくできました。
9.Virtual PC 2007でのWindows 3.1(英語版)へのネットワーク環境の導入・利用
Virtual PC 2007でのWindows 3.1(英語版)へのネットワーク環境の導入・利用についてはVirtual PC 2007環境でのLAN Manager TCP/IPの導入をご参照下さい。