Xen 3.2(Ubuntu 8.04デスクトップ編)


2008年1月16日にXen 3.2がリリースされました。
(Xen 3.2ではデスクトップユーザ向けに「HVMドメインでのVGA表示の高速化」が図られています)
2008年4月にはそのXen 3.2を搭載したUbuntu 8.04がリリースされました。
WubiでWindowsパーティションの仮想ディスクにインストールしたUbuntu 8.04でXen動作を確認してみました。

ここではubuntu-xen-desktopを利用してのXen 3.2環境構築手順を紹介します。
尚、今回使用したVGAカードはnVIDIA GeForce 7600GTです。

  1. WindowsへのUbuntu 8.04のインストール
    Ubuntu 8.04にはWubi機能が新たに追加されました。
    Wubi機能とはWindowsファイルシステムに仮想ディスクを作成してそこにUbuntuをインストールしてWindowsとUbuntuのデュアルブートを実現する機能です。
    Wubiでいう仮想ディスクというのは仮想マシン用の仮想ディスクという意味ではありません。
    ここでの仮想ディスクはあくまでもWindows環境の中のファイルをUbuntuのインストールディスクと見なしているという意味です。
    WubiにおけるUbuntuのインストールはWindows上で行います。
    但し、Windows上では仮想ディスクの器の作成程度しか行われず、その後のUbuntuの最初の起動時に実インストールが行われます。
    (実インストール:パッケージのインストール、システム設定、言語パッケージのインストール、ハードウェア設定、GRUB設定等)

  2. NVIDIAカーネルドライバの組み込み
    まずNVIDIAカーネルドライバ導入前のxorg.confを/etc/X11/xorg.conf.orgとして保存しておきます(Xen環境で使用するため)。
    次に、[システム]−[システム管理]−[ハードウェアドライバ]メニューを選択します。
    <NVIDIAの高性能グラフィックドライバ(新しいカード向け)>を有効にするとそのドライバがインストールされます。
    /etc/X11/xorg.confは自動変更されます。
    ドライバインストール後はリブートします。

  3. Xen 3.2(Ubuntu 8.04デスクトップ編)

  4. Ubuntu 8.04.1のVMware VMI 3.0(paravirt-ops)対応確認
    (1)従来はハイパバイザー上でゲストOSを準仮想化モードで実行する場合はそのゲストOS用のXenカーネルが必要でした。
    (2)しかし通常のLinuxカーネルにparavirt-opsという準仮想化モード実行インタフェースを組み込むとそのLinuxカーネルをハイパバイザー上で実行できます。
    (3)VMwareではこのparavirt-opsの実装をVMI(Virtual Machine Interface)と呼んでいます。
    (4)ハイパーバイザー上でVMIを使用することで仮想マシンのパフォーマンスが向上します。
    (5)Ubuntuの場合はその7.04(Feisty)以降、VMI(Virtual Machine Interface) 3.0対応カーネルになっています。
    (6)今回はparavirt-ops確認用仮想マシン環境として2008年9月24日に正式リリースされたVMware Server 2.0(CentOS 5.2 x64上で実行)を使用してみました。
    ※VMware Server 2.0自体もx64版を使用しました。
    (7)VMware Server 2.0ではRed Hat Enterprise Linux 5.x系とUbuntu 8.04系について準仮想化モードをサポートしています。
    (8)VMI対応カーネルが準仮想化モードで実行されているかどうかは「dmesg|grep paravirt」で確認できます。


    (9)Red Hat Enterprise Linux 5.x系とUbuntu 8.04系以外の扱い
    Red Hat Enterprise Linux 5.x系とUbuntu 8.04系以外はVMI Paravirtualizationオプションを指定できないようになっています。
    しかしparavirt-ops対応のものはゲストOS種別としてUbuntu Linuxを選択すればVMI Paravirtualizationオプションを指定できるようになります。
    VMI Paravirtualizationオプションを有効にしたFedora 9の「dmesg|grep paravirt」結果(on vmi表示)

    (10)補足:VMware Server 2.0の主な特徴
    ・paravirt-ops(VMware VMI)動作モードサポート
    ・64ビット版ゲストOSの性能を引き出すための64ビット版VMware Serverのリリース
    ・Webベースの管理インタフェース(VMware Infrastructure Web Access)
    ・VMware PlayerベースのVMware Remote Console付属(Webブラウザ上にはゲストOSの画面は表示されません)
    (Linux版Remote Consoleではアンダースコア入力不可ですがWindows版Remote ConsoleではOK)
    ・ゲストOSへの最大8GBメモリ割当サポート