VMware for WindowsによるLinux Samba
VMware Workstation 3.2 for Windowsを使ってホストOSとして「Windows XP Professional」、ゲストOSとして「Red Hat Linux 7.3」という組み合わせで動作確認してみました。
本組み合わせの主たる使用目的はWindows環境で使用する大事なファイルを同一マシン上のLinuxファイルサーバ(Sambaサーバ)に集中管理させることです。
1.マシン環境
- CPU:Pentium 4 1.7GHz
- メモリ:640MB
- VGAカード:GeForce3
- モニタ:最大解像度=1920x1440
- サウンドカード:SoundBlaster Live! Value
- SCSIコントローラ:Advansys SCSI Host Adapter
- Windows XPのファイルシステム:NTFS
- Red Hat 7.3のインストール先:実際のSCSI HDD(尚、IDE仮想ディスクへのインストールはこちらで紹介しています)
尚、LANカードの種別はここでは特に問いません。
またLANカードを交換した場合その交換後のLANカードに対するネットワーク接続のプロパティで「VMware Bridge Protocol」を有効にしておくと、VMware側の設定を変えることなくゲストOSでネットワーク機能がそのまま利用できます。
2.VMware for Windowsのインストール
Windows XPにVMware for Windowsをインストール&環境設定する概略手順は次の通りです。
(1)VMware for Windows本体のインストール
- VMwareのCD-ROMをセットするとVMwareの初期メニュー画面が表示されます。
- インストールウィザードに従ってインストールを進めます。
- インストールが完了します。
- デスクトップにVMwareのアイコンが作成されます。
VMwareの初回起動時にシリアル番号の入力画面が出ますのでCD-ROMケースのシールに記載されているシリアル番号を指定します。
(2)ゲストOS(Red Hat 7.3)用仮想マシン定義
- VMwareを起動してLinux用の仮想マシンを定義します。
仮想マシンの新規の定義は[ファイル]-[新規]-[新しい仮想マシン]で起動される「新規仮想マシンウィザード」で行います。
ネットワーク接続方法の選択ではゲストOSから外部ネットワークにダイレクトアクセスさせる場合は「ブリッジネットワーキングを使用」を選択します。
- Red Hat 7.3をSCSI HDDに直接インストールするためにGeneric SCSIデバイス定義を行います。
具体的には[設定]-[構成エディタ]での「ハードウェア」で「仮想ディスク」を削除し、<追加>ボタンでGeneric SCSIデバイスを定義します(仮想デバイスノードも)。
- 更にRed Hat 7.3でサウンド再生が使えるように構成エディタでサウンドアダプタも追加定義します。
3.ゲストOS(Red Hat 7.3)のインストールと環境設定
(1)ゲストOS(Red Hat 7.3)のインストール
- Red Hat 7.3のインストールCDをセットします。
- VMwareの<パワーオン>を押します。
- boot:プロンプトでEnterキーを押すと「Loadind Buslogic Adapter」と表示されます。
VMwareでSCSIを使用する場合はVMwareのBuslogicドライバが使用されます。
- Red Hat 7.3のGUIインストーラがVGA(16色)で表示されます。
- ネーティブ環境にLinuxをインストールするのと同様にネットワーク設定含めてインストールを続けていきます。
但し、Xの設定を行っても後で述べるVMware Toolsの導入によってXの設定は強制的にVMware用に変更されるのでインストールの過程ではラフなXの設定で構いません(後のXの起動テストはスキップさせます)。
- パッケージのインストールが行われます。
- 起動ディスクを作成します。
- インストールはこれでおしまいです。
(2)VMware Toolsのインストール
VMware ToolsをインストールするとVMware SVGAサーバが組み込まれるだけではなくWindowsとLinux間でのコピー&ペーストやゲストOSからホストOSへの操作のマウス切り替えがスムーズに行えるメリットがあります。
- Red Hatの起動ディスク(FD)をセットしてVMwareを<パワーオン>にします。
- Red Hatはコンソールモードでログインさせます。
- rootでログイン後、VMwareの[設定]-[VMware Toolsインストール]を起動します。
次のコマンドを実行します。
mount /mnt/cdrom
cp /mnt/cdrom/vmware-linux-tools.tar.gz .
tar zxf vmware-linux-tools.tar.gz
cd vmware-linux-tools
./install.pl
これでVMware Toolsのインストールは完了です。
(3)X設定ファイルの変更
VMware Tools導入後、startxでGNOME画面が表示されます。
しかしキーボードは日本語106キーボードではなくなるし、マウスの3ボタンエミュレーションも無効になっています。
そこで/etc/X11/XF86Config-4の中身を変更します。
XF86Config-4はXF86Config-4.vmへのシンボリックリンクになっていますのでXF86Config-4.vmを次のように変更します。
- XkbModel:pc104をjp106に変更
- XkbLayout:usをjpに変更
- # Option "Emulate3Button"をOption "Emulate3Button" "Yes"に変更
(4)グラフィカルログインの設定
/etc/inittabを次のように変更します。
変更前:id:3:initdefault:
変更後:id:5:initdefault:
(5)ログイン時のVMware Toolsの自動起動設定
- GNOMEメニューの[プログラム]-[デスクトップ設定]-[セッション]-[Session Properties & Startup Programs]
- 「自動起動プログラム」タブで<追加>
- /usr/X11R6/bin/vmware-toolboxの指定(優先順位はデフォルトの50のまま)
- reboot
- ログイン後に自動起動されたvmware-toolbox(VMware tools for Linux)での「Options」タブで「Time Syncronization between the virtual machine and the host operating system」を有効にします(Red Hat側の時間をWindowsの時間に合わす設定です)。
(6)蛇足:Mozillaの日本語化(これはVMwareと関係ありません...)
Mozillaの[View]-[Languages and Webcontent]を起動し、<Download More>をクリックします。
Mozillaのバージョンに合ったJapanese Language packとJapanese Content Packをインストールします。
Mozillaを再起動し再度[View]-[Languages and Webcontent]でJP RegionとJapaneseを選択します。
再度Mozillaを起動するとメニュー等が日本語表示されます。
4.Sambaの利用
(1)Sambaの設定
Mozillaでhttp://localhost:901を開くとSWATのログイン画面が出ますのでrootでログインします。
SWATの画面でSambaユーザ/パスワードや共有情報を設定します。
/etc/xinetd.d/swatの設定を変えれば別マシンのWebブラウザからのSWAT画面表示も可能となります。
尚、Webブラウザ組み込みのRealOne PlayerからもSWAT操作ができるようです。
(2)WindowsからのSambaサーバアクセス
WindowsからSambaサーバ経由でLinux側のファイルを読み書きできるわけですが、Windowsのローカルディスクのように(WindowsエクスプローラからLinuxファイルシステムを操作)できます。
(3)LinuxからWindows NTFSへの書き込み
Windows NTFS上に共有ディレクトリを設定すればLinux側からその共有ディレクトリへの書き込みができます。
- Windows側で共有ディレクトリの設定
例えばC:\publicntfsというディレクトリを「publicntfs」という共有名にします。
- Linux側でWindowsの共有ディレクトリをマウントします。
smbmount //Windowsマシン名/publicntfs /mnt/tmp
- Nautilusで/mnt/tmp中にディレクトリを作成します。
- NautilusでLinux内のファイルを/mnt/tmp中のディレクトリにドラッグ&ドロップします。
- Linux側から書き込んだファイルのWindowsエクスプローラによる内容確認
5.ブータブルCDやブート用仮想FDの作成
VMware環境で起動ディスク(FD)からゲストOS(Red Hat 7.3)を起動するとブート時間が長くなります。
そこで起動ディスクからブータブルCDを作成してそのCDからブートするとゲストOS(Red Hat 7.3)のブート時間が短縮されます。
起動ディスク(FD)からのブータブルCD作成手順は次の通りです。
- ブータブルCDイメージの作成
mkdir fdbootdir
cd fdbootdir
dd if=/dev/fd0 of=vmredhat73fdboot.img
mkisofs -b vmredhat73fdboot.img -r -J -o vmredhat73fdboot.iso .
- KOnCDでvmredhat73fdboot.isoをCD-Rに書き込みます。
これでブータブルCDの出来上がりです。
- ブータブルCDをセットしてVMwareを<パワーオン>すると高速ブートになります。
しかし毎回ブータブルCDをCD-ROMドライブにセットするのはちょっと面倒です。
そこでブート用の仮想FDを作成し実際のCDやFDを使わずにブートする方法を次に紹介します。
- ブート用仮想FDイメージの作成
dd if=/dev/fd0 of=vmredhat73fdboot.img
- ブート用仮想FDイメージのWindows側へのコピー
上記で作成したvmredhat73fdboot.imgをvmredhat73fdboot.flpという名称でWindows側の適当なディレクトリにコピーします。
- VMwareの設定変更
VMwareのパワーオフの状態で、VMwareの[設定]-[構成エディタ]を起動します。
フロッピードライブ(A:)の接続を「物理的なドライブを使用 A:」から「フロッピーイメージを使用」に切り替えます。
更に<参照>ボタンでvmredhat73fdboot.flpを指定し、<起動時に接続>をonにします(<設定変更の様子)。
- ブート用仮想FDからのブート
VMwareをパワーオンにするとブート用仮想FDから高速ブートできるようになります。
- 物理的なFDの使用
ブート用仮想FDからブートした場合、「mount /dev/fd0 /mnt/floppy」を実行すると/mnt/floppyはブート用仮想FDの内容となります。
そこで実際の物理的なFDを使う場合には(umount /mnt/floppyを実行し)VMwareの[デバイス]-[フロッピー0 -> vmredhat73fdboot.flp]-[編集]で<物理的なドライブを使用>をonにします。
実際のFDをAドライブにセットしてmount /dev/fd0 /mnt/floppyを実行すれば実際のFDを使用することができるようになります。
尚、ブート用仮想FDイメージからブートする設定への戻しを忘れないようにしましょう。
6.その他
(1)Windows上でのLinuxアプリ利用
VMware環境下で動作しているLinuxにインストールされているXアプリケーションは、Windows用Xサーバを介してあたかもWindowsアプリのように操作することができます。
下の画面はWindows上でLinuxのNautilus(ファイルマネジャ)を単独利用している様子で、エクスプローラと同じファイルをプレビューしているところです(ここでのXサーバはASTEC-X 3.21を使用)。
実寸画像はこちらです。
(2)マルチゲストOS
VMwareの[ファイル]-[新規]-[新しいウィンドウ]で別のVMwareウィンドウを表示し、別のゲストOSを起動できます。
LinuxとPlan9を同時に使った例はこちらです。