VMware Workstation 4 for LinuxによるWindows XP Professionalの利用
ここではVMware Workstation 4 for Linuxを使ってホストOSとして「Red Hat Linux 7.3」を使用し、Windows XP Professionalを動作させる方法を紹介します。
Linuxをメインに使用しているユーザが時々Windows固有のアプリを同時使用する時などにVMware for Linuxは結構重宝するようです。
またLinux側でSambaサーバを起動させておくことによりsmb.confの設定次第ではゲストOSのWindowsからLinux側の全ファイルシステムをアクセスすることも可能となります。
尚、前バージョンのVMware Workstation 3.2 for Linuxのインストール・環境設定及びWindows XP用仮想マシン定義はこちらで紹介しています。
1.マシン環境
- CPU:Pentium 4 1.7GHz
- メモリ:640MB
- VGAカード:GeForce3
- モニタ:最大解像度=1920x1440
- サウンドカード:SoundBlaster Live! Value
- Red Hat 7.3のファイルシステム:ext3
尚、LANカードの種別はここでは特に問いません。
またLANカードを交換した場合その交換後のLANカードに対するネットワーク設定(redhat-config-networkによる)を行うだけでゲストOSでネットワーク機能がそのまま利用できます(VMware側の設定変更は必要ありません)。
2.VMware Workstation 4 for Linuxのインストールと環境設定
Red Hat 7.3にVMware Workstation 4 for Linux(以下VMware for Linux)をインストール&環境設定する概略手順は次の通りです。
尚、ここでのVMware Workstation 4 for Linux本体はrpm形式版のダウンロードファイル(VMware-workstation-4.0.1-5289.i386.rpm)を使用しています。
よってここで扱うVMware for Linuxの正式バージョンは4.0.1ということになります。
(1)VMware for Linux本体のインストール
VMware for Linux本体は以下のコマンドで簡単にインストールできます。
rpm -ivh VMware-workstation-4.0.1-5289.i386.rpm
Vmware 3.2からのアップグレードの場合は「rpm -Uvh VMware-workstation-4.0.1-5289.i386.rpm」を実行します。
(2)環境設定
VMware for Linuxをインストールすると/usr/bin/vmware-config.plというスクリプトもインストールされます。
VMware for Linuxの環境設定はこのvmware-config.plを実行することで行います。
Vmware 3.2からのアップグレードの場合もvmware-config.plの実行が必要です。
vmware-config.plを起動するといくつかの質問が出てきます。
ほとんどデフォルトのままで環境設定を進めてOKかと思います。
尚、Vmware 3.2からのアップグレードの場合はネットワークの構成設定の質問をスキップしてVmware 3.2で設定したネットワーク構成設定をそのまま引き継ぐこともできます。
3.ゲストOS(Windows XP Professional)用仮想マシン定義
まずゲストOS(ここではWindows XP Professional)を組み込んで動作させる仮想マシンの設定(定義)方法を紹介します。
仮想マシンの設定(定義)は「New Virtual Machine Wizard」(新規仮想マシンウィザード))で行います。
「VMware Workstation 4 for Linux」の新規仮想マシンウィザードは従来のVMware Workstation 3.2 for Linux用のウィザードよりも簡素化され、「VMware Workstation 3.2 for Windows」の新規仮想マシンウィザードに似たものになっています。
- 新規仮想マシンウィザードの起動
VMwareの[File]メニューの[New]−[New Virtual Machine]を選択すると「New Virtual Machine Wizard」が起動されます。
仮想マシン構成はデフォルトの<Typical>を選択します。
ウィザードの各画面での設定/確認後は<Next>ボタンで先に進みます。
- 「Select a Guest Operating Systtem」では「Windows XP Professional」を選択します。
- 「Name the Virtual Machine」では適当な仮想マシン名を指定します。
例えば、ここでは「Windows XP Professional (Amber)」としておきます。
また「Location」というのはVMware構成ファイル(仮想マシンの構成情報定義ファイル)や仮想ディスクを構成するファイルが格納されるディレクトリのことです。
- 「Select a Network Connction」ではデフォルトの<Use bridged networking>を選択しておきます。
bridged networkingというのは当該仮想マシンがそのホストマシンや他のマシンとネットワーク接続できることを示すオプションです。
- <Finish>ボタンを押してウィザードを終了させます。
この時点で「winXPPro」ディレクトリには以下のファイルが作成されています。
winXPPro.vmx ※仮想マシンの構成ファイル
winXPPro.vmdk 〜 winXPPro-s003.vmdk ※仮想ディスクを構成するファイル群(各々1MB未満のファイル)
上記のウィザードでは仮想ディスクは暗黙的に4GBのIDEディスクとして自動構成されます。
上記の例では最初にデフォルトの<Typical>を選択しましたが、<Custom>を選択してウィザードを進めると次のような環境設定も指定することができます。
・仮想マシンに割り当てるメモリサイズ
・仮想ディスクのサイズ(IDEの場合:最大128GB)
・仮想ディスクをSCSIディスクとして構成する設定
4.ゲストOS(Windows XP Professional)のインストールとVMware Toolsの組み込み
Windows XP(Professional)を上記で定義した仮想マシンにインストールする手順は以下の通りです。
尚、Windows XPをネーティブインストールする場合と同じ部分の説明は基本的に省略してあります。
- インストール用CD-ROMのセット
Windows XPのインストール用CD-ROM(ブータブルCD)を実際のCD-ROMドライブにセットします。
- 仮想マシンの起動
Windows XP用の仮想マシンに対してPower Onボタンを押して仮想マシンを起動します。
仮想マシンに電源が入ったような状態になりVMwareウィンドウ内に「Windows Setup」画面が表示されます。
- セットアップの開始
「セットアップの開始」画面が表示されます。
Enterキーを押して先に進みます。
- ライセンス契約〜キーボードの設定画面:説明省略
- パーティション選択画面
4GBの仮想ディスクが自動選択されますのでそのままEnterキーで先に進みます。
- ファイルシステムの選択画面
ファイルシステムの選択画面では<NTFSファイルシステムを使用してパーティションをフォーマット>を選択します。
- フォーマットの確認画面
フォーマットの確認画面ではFキーを押してフォーマットの実行を開始させます。
ここでのフォーマットはあくまでも仮想ディスクに対するフォーマットであり、ホストPCの内蔵HD自体がフォーマットされる訳ではありません。
またマスタブートレコードの書き込みも同様で、あくまでも仮想ディスクに対しての書き込みであり、ホストPCの内蔵HD自体のマスタブートレコードに書き込みが発生する訳ではありません。
- フォーマット中〜ファイルコピー画面:説明省略
- 自動リブート
ファイルのコピーが完了すると自動的にリブートされます。
ここでの自動リブートはあくまでも仮想マシンの自動リブートです。
自動リブート時、Windows XP Professionalのロゴが画面表示されます。
- インストール画面
前段のセットアップ処理の次は実際のインストールが開始されます(GUIベースのインストール)。
- デバイスのインストール、地域と言語のオプション〜日付と時刻の設定:説明省略
Administratorのパスワードはこの過程の中で設定します。
- ネットワーク関連の設定画面
ここでは利用環境に合わせてネットワークの設定を行います。
ネットワークデバイスは「AMD PCNET Family PCI Ethernet Adapter」と表示されます。
- インストールの完了と自動リブート:説明省略
- パスワードの入力画面
パスワードを入力すると、ようこその画面が出て、Windows XPのデスクトップが表示されます。
- デバイスマネジャ
デバイスマネジャではビデオコントローラの部分に「?」マークが付いて表示されます。
しかし画面のプロパティで画面解像度の設定を変更することは可能です。
- Windows XPの終了
「スタート」メニューの「終了オプション」の「電源を切る」でWindows XPを終了させます。
この時仮想マシンの電源も切れます。
- デバイスの追加について
Windows XPをインストールした後でも仮想マシンに対するデバイスの追加が行えます。
具体的には[Edit]メニューの[Virtual Machine Settings]を選択してデバイスの追加を行います。
- VMware Toolsの組み込み
VMware Toolsは仮想マシンの操作性を向上させるツールです。
VMware ToolsをインストールするとVMware SVGAドライバが組み込まれるだけではなくLinxとWindows間でのコピー&ペーストやゲストOSからホストOSへの操作のマウス切り替えがスムーズに行えるメリットがあります。
ここではVMware Toolsの組み込み手順を紹介します。
- 仮想マシンの起動
仮想マシンを起動してWindows XPにログオンします。
- VMwareの[File]−[Install VMware Tools]の選択
- VMware Toolsの組み込み
VMwareの[File]−[Install VMware Tools]を選択すると自動的にVMware Toolsの日本語版のセットアップ画面が表示されます。
画面の指示に従ってセットアップを行います。
- Windows XPの再起動
Windows XPを再起動します。
Windows XPにログオンするとVMware Toolsが自動起動されタスクトレイにそのアイコンが表示されます。
- デスクトップ上のアプリケーション
Windows XPのいくつかのアプリケーションを利用してみます。
ここではホストOSに対するFTPアクセスやIEによるWebアクセスを行ってみました。
実寸画像はこちらです。
尚、ホストOS側(Linux)のgEditとゲストOS(Windows XP)のメモ帳間で相互にデータをコピー&ペーストできます(但し日本語データは未サポート)。
5.仮想マシンの仮想デバイス確認
Windows XPのデバイスマネジャで仮想マシンのデバイスを確認できます。
その確認結果は次の通りです。
- DVD/CD-ROMドライブ:NECVMWar IDE CDR10
- キーボード:101/102 英語キーボードまたはMicrosoft Natural PS/2 キーボード
- サウンド:Creative AudioPCI(ES1371,ES1373)(WDM)
- ディスクドライブ:VMware Virtual IDE Hard Drive
- ディスプレイアダプタ:VMware SVGA II
- ネットワークアダプタ:AMD PCNET Family PCI Ethernet Adapter
- マウスとそのほかのポインティングデバイス:VMware Pointing Device
尚、ゲストOSとして動作するWindows XPでのサウンドは比較的高音質で再生できています。
6.ゲストOS(Windows XP Professional)からのSambaアクセス
(1)Sambaの設定
/etc/samba/smb.confを利用環境に合わせて編集しsmbdを再起動します。
(2)WindowsからのSambaサーバアクセス
WindowsからSambaサーバ経由でLinux側のファイルを読み書きできるわけですが、WindowsのローカルディスクのようにWindowsエクスプローラからLinuxファイルシステムを操作できます。
実寸画像はこちらです。
7.その他
VMware Workstation 4 for LinuxではWindows Server 2003やRed Hat Linux 8.0などが新規に正式サポートされました。
しかしSolarisについては依然として正式サポートされていないままです。
またVMware Workstation 4の外観上の目立った変化としては「タブインタフェース」の採用があります。
VMware Workstation 4では複数のVMware画面を表示できますが、「タブインタフェース」により一つのVMware画面内での仮想マシンの切り替えが簡単に行えるようになりました。
FavoritesとタブインタフェースによりVMwareの操作性がWebブラウザに一歩近づいた感じがします。