VMware Server 2.0
2008年9月24日にVMware Server 2.0がリリースされました(無償公開)。
VMware Server 2.0の主な特徴は以下の通りです。
(1)paravirt-ops(VMware VMI)動作モードサポート
(2)64ビット版ゲストOSの性能を引き出すための64ビット版VMware Serverのリリース
(3)Webベースの管理インタフェース(VMware Infrastructure Web Access) ※apache-tomcat利用
(4)VMware PlayerベースのVMware Remote Console付属(Webブラウザ上にはゲストOSの画面は表示されません)
※VMware Remote ConsoleはWebブラウザのプラグインとしてインストールします(画面の指示に従います)。
(5)ゲストOSへの最大8GBメモリ割当サポート
VMware Server 2.0はLinuxのKVM環境のホストOS自体にもインストールはできますがゲストOSをインストールすることはできません。
(仮想マシン起動時、結果的にモニタデバイスの初期化失敗というエラーになります)
これは一つのマシン上で2個のハイパバイザー(KVMハイパバイザーとVMwareハイパバイザー)を同時実行できないためです。
ここではKVMを組み込んだUbuntu 8.04やFedora 9でKVM環境を一時的に無効にしてVMware Server 2.0を利用する方法なども紹介します。
尚、VMware Server 2.0のインストールファイル(tar.gz, rpm)やそのライセンスのシリアル番号は既に取得済みとします。
1.Ubuntu 8.04でのVMware Server 2.0利用
- VMware Server 2.0のインストール
# apt-get install build-essential xinetd linux-headers-`uname -r`
# tar zxvf VMware-server-2.0.0-116503.i386.tar.gz
# cd vmware-server-distrib/
# ./vmware-install.pl
このスクリプトの各質問に答えていきますがシリアル番号以外はデフォルトで構いません。
- KVMの無効化
KVMが導入されている場合は以下のコマンドでKVMを無効化し、/dev/kvmがブート時に生成されないようにします。
# update-rc.d -f kvm remove
# reboot
尚、KVMの有効化は下記のコマンドで行います。
# update-rc.d kvm defaults 20
# reboot
- VMware Server 2.0の起動
# vmware &
これでhttps://127.0.0.1:8333/ui/#が開きます。
SSL証明書の警告が出ますが受け入れてログインします。
- Ubuntu用仮想マシン定義
Webブラウザ上の[Create Virtual Machine]リンクをクリックして仮想マシン作成のウィザードを起動します。
仮想マシンの定義内容は従来のVMware Serverとほとんど同じですのでここでは説明を省略します。
尚、ネットワーク接続(Network Connection)はHostOnlyからBridgedまたはNATに変更しておきます。
- ゲストOSのインストール
今回はUbuntu 8.04.1 LTS 日本語ローカライズド Desktop CDからのインストールができませんでした。
(最初のカーネルの読み込み直後に仮想マシン画面がフリーズしました)
またUbuntu 8.04.1 Alternate Desktop CDを利用したインストールではカーネルのインストール段階でエラーとなりました。
そこでUbuntu 8.04.1 desktop CD(ubuntu-8.04.1-desktop-i386.iso版)を使用しました。
- インストールの開始準備
インストールCDをセットして仮想マシンをPower Onします。
Consoleタブの中をクリックしてVMware Remote Consoleを表示します。
尚、既にゲストOSがインストールされている既存の仮想ディスクにインストールする場合はブートメニューからCD-ROMを選択します。
- インストールの開始画面
インストール自体はネーティブインストールの場合と同様の操作で行えます。
- パッケージのインストール画面
- インストール完了画面
- ゲストOSの実行
ネットワークも問題なく利用できます。
- ゲストOSでのアンダースコア入力
Linux上のRemote ConsoleでゲストOSを操作する場合、アンダースコア(「_」)入力ができません。
そこでホームディレクトリの.vmware内に「xkeymap.keycode.211 = 0x073」という行だけからなるconfigというファイルを作成しておきます。
# cd .vmware
# vi config
「xkeymap.keycode.211 = 0x073」という行を作成して保存します。
これでRemote Consoleを再起動するとアンダースコアが入力できるようになります。
・Remote Consoleでのアンダースコア入力
0x073部分を誤って0x07と指定してしまうと下記のキートップにマッピングされてしまい、アンダースコア入力時に「&」入力となります。
- ゲストOSのXen実行
ゲストOSのUbuntu 8.04.1にXen 3.2のubuntu-xen-desktopを導入し準仮想化(PV)ゲストを起動してXnestで接続操作してみました。
VMware Server 2.0のゲストOSの中でのXen環境構築は「Xen 3.2(Ubuntu 8.04デスクトップ編)」とほとんど同様です。
2.Fedora 9でのVMware Server 2.0利用
- VMware Server 2.0のインストール
gcc等の基本的な開発用パッケージはインストール済みとして以下の操作を行います。
# yum install xinetd kernel-devel
# rpm -ivh VMware-server-2.0.0-116503.i386.rpm
# vmware-config.pl
このスクリプトの各質問に答えていきますがシリアル番号以外はデフォルトで構いません。
尚、VMware用カーネルモジュール(vmmon, vmci, vsock, vmnetモジュール)がコンパイルされて生成されます。
- KVMの無効化
KVMが導入されている場合のKVM無効化方法はいくつかありますがここではその一つを紹介します。
以下のコマンドでKVMを無効化し、/dev/kvmがブート時に生成されないようにします。
# mv /etc/sysconfig/modules/kvm.modules /etc/sysconfig/modules/kvm.modules.disabled
(/etc/sysconfig/modules/kvm.modulesはそのCPUが仮想化支援機能付きかどうかを判定するファイルです)
# reboot
尚、KVMの有効化は下記のコマンドで行います。
# mv /etc/sysconfig/modules/kvm.modules.disabled /etc/sysconfig/modules/kvm.modules
# reboot
- VMware Server 2.0の起動
# vmware &
これでhttps://127.0.0.1:8333/ui/#が開きます。
SSL証明書の警告が出ますが受け入れてログインします。
- Fedora 9用仮想マシン定義
Webブラウザ上の[Create Virtual Machine]リンクをクリックして仮想マシン作成のウィザードを起動します。
仮想マシンの定義内容は従来のVMware Serverとほとんど同じですのでここでは説明を省略します。
尚、ネットワーク接続(Network Connection)はHostOnlyからBridgedまたはNATに変更しておきます。
- ゲストOSのインストール
インストールCDをセットして仮想マシンをPower Onします。
Consoleタブの中をクリックしてVMware Remote Consoleを表示します。
インストール自体はネーティブインストールの場合と同様の操作で行えます。
下記はデフォルトのパーティション設定画面です。
- Windowsからの接続による画面操作
WindowsからVMware Infrastructure Web Accessページに接続して仮想マシン操作をすることもできます。
下記はWindows Vista側のVMware Remote ConsoleからゲストOSのインストール操作をしているところです。
- ゲストOSの実行
ネットワークも問題なく利用できます。
デスクトップ画面の紹介は省略します。
3.CentOS 5.2 x64でのVMware Server 2.0 x64利用
64ビット版VMware Server 2.0に32ビット版Windows Vistaをインストールしてみました。
- VMware Server 2.0 x64のインストール
64ビット版VMware Server 2.0 x64(VMware-server-2.0.0-116503.x86_64.rpm)にはCentOS 5.2 x64向けビルド済みカーネルモジュールが含まれています。
このためカーネルモジュール((vmmon, vmci, vsock, vmnetモジュール)をコンパイルすることなくVMware Server 2.0 x64のインストールは完了します。
# rpm -ivh VMware-server-2.0.0-116503.x86_64.rpm
# vmware-config.pl
このスクリプトの各質問に答えていきますがシリアル番号以外はデフォルトで構いません。
- KVMの無効化
今回使用したCentOS 5.2 x64ではXenは導入済みですがKVMは未導入だったためKVMの無効化は未検証につきKVM無効化手順説明は省略します。
- VMware Server 2.0 x64の起動
# vmware &
これでhttps://127.0.0.1:8333/ui/#が開きます。
SSL証明書の警告が出ますが受け入れてログインします。
- Windows Vista用仮想マシン定義
Webブラウザ上の[Create Virtual Machine]リンクをクリックして仮想マシン作成のウィザードを起動します。
仮想マシンの定義内容は従来のVMware Serverとほとんど同じですのでここでは説明を省略します。
尚、ネットワーク接続(Network Connection)はHostOnlyからBridgedまたはNATに変更しておきます。
- ゲストOSのインストール
インストールCDをセットして仮想マシンをPower Onします。
Consoleタブの中をクリックしてVMware Remote Consoleを表示します。
インストール自体はネーティブインストールの場合と同様の操作で行えます。
- ゲストOSの実行
ネットワークも問題なく利用できます。
尚、VMware toolsのインストールは「Summary」タブの[Install VMware Tools]をクリックすることでそのインストーラを起動できます。
4.Windows Server 2008 R2でのVMware Server 2.0.1利用
(1)64ビット版のWindows Server 2008 R2にIISとVMware Server 2.0.1(32ビット版)をインストールします。
(2)使用方法は基本的にLinux版と同じです。
(3)今回はNetBSD 5.0 x64をインストールしてみました(仮想ディスクサイズは8GB)。
(4)NetBSD 5.0 x64のインストールで使用したISOイメージファイルはamd64cd-5.0.isoです。
(5)エミュレートされるネットワークカードはIntel i82545EM 1000BASE-T Ethernet(インタフェース名:wm0)
(6)VMware Server 2.0.1でのNetBSD 5.0 x64実行例(Remote Console使用)
(7)補足:32ビット版Windows上のVMware Server 1.0.6ではNetBSD 5.0 x64のインストール/実行ができないようです(他の64ビットOSは可)。
※32ビット版Windows Vista上のVMware Server 1.0.6でのNetBSD 5.0 x86実行例はこちらです。
※このVMware Server 1.0.6上のNetBSD 5.0 x86をGNOMEデスクトップ化する手順を以下に簡単に紹介します。
- 全般事項
NetBSD 5.0 x86をGNOMEデスクトップ化する基本的操作手順はVirtual PC 2007でのNetBSD 3.1の利用とほぼ同様です。
大きな違いは以下の点となります。
(1)VMware Server 1.0.6でのネットワークインタフェース名はtlp0ではなくpcn0となります。
(2)XはX11R7を使用することになり、Xの設定はxf86configではなくxorgconfigを使用します。
(3)GNOMEデスクトップを使用する場合にはdbus-daemonを事前起動しておく必要があります。
(4)GDMでのログインはrootではなく一般ユーザアカウントでログインするようにポリシー変更されています。
- Xの設定
X11R7付属のxf86configでXの設定を行います(/etc/X11/xorg.confの作成)。
主な設定内容;
mouse protocol:wsmouse
mouse device:/dev/wsmouse ※デフォルトです
monitor type:31.5 - 64.3; Monitor that can do 1280x1024 @ 60 Hz
video card:Generic VESA compatible
デフォルトにする解像度:1280x1024で24-bit color
- パッケージシステムの利用準備
今回はpkgsrc.tar.gz(11-Jul-2009版:27M)を使用しました。
# tar zxvf pkgsrc-2006Q4.tar.gz -C /usr で展開します。
- フォントのインストール
(1)時間と容量に問題がなければ/usr/pkgsrc/fonts直下でmake installを実行すればvlgothic-ttfもインストールされます。
(2)/usr/pkg/lib/X11/fontsに作成されたディレクトリパス(例:/usr/pkg/lib/X11/fonts/TTF/)を/etc/X11/xorg.confのFontPathに指定します。
- GNOME(2.26.2)インストール
Virtual PC 2007でのNetBSD 3.1の利用とほぼ同様の手順でOKです。
今回は以下のディレクトリについてそれぞれmake install clean-dependsを実行しました。
/usr/pkgsrc/x11/gnome-desktop
/usr/pkgsrc/x11/gnome-mag
/usr/pkgsrc/x11/gnome-panel
/usr/pkgsrc/x11/gnome-screensaver
/usr/pkgsrc/x11/gnome-session
/usr/pkgsrc/x11/gnome-themes
/usr/pkgsrc/x11/gnome-themes-extras
/usr/pkgsrc/x11/gnome-applets
/usr/pkgsrc/x11/gnome-control-center
/usr/pkgsrc/x11/gnome-terminal
- gdmのインストールと自動起動設定
# export ALLOW_VULNERABLE_PACKAGES=yes
# cd /usr/pkgsrc/x11/gdm
# make install clean-depends
# cd
# mkdir /etc/gdm
# cp /usr/pkgsrc/x11/gdm/work/gdm-2.20.10/config/gdm.conf /etc/gdm/gdm.conf
# cp /usr/pkgsrc/x11/gdm/work/gdm-2.20.10/config/gdm.conf-custom /etc/gdm/gdm.conf-custom
# ln -s /usr/pkg/sbin/gdm /etc/rc.d/gdm
# vi /etc/rc.conf
以下の行を追加します。
gdm=YES
|
- dbus-daemonの自動起動設定
gnome-sessionが起動される前にはdbus-daemonが起動されている必要があります。
そこで「mkdir /var/run/dbus; /usr/pkg/bin/dbus-daemon --system」が自動起動されるように設定します。
※/var/run/dbusはシステム起動の度に作成する必要があります。
- アプリケーションを追加インストール例
# export ALLOW_VULNERABLE_PACKAGES=yes
# cd /usr/pkgsrc/editors/gedit
# make install clean-depends
# cd /usr/pkgsrc/www/firefox3 ※英語版のFirefox 3です。
# make install clean-depends
|
- GUI操作を行う一般ユーザの作成例
# groupadd bsduser
# useradd -G wheel -g bsduser -d /home/bsduser01 -m -s /bin/ksh bsduser01
# passwd bsduser01
Changing password for bsduser01.
New Password:***********
Retype New Password:***********
# su - bsduser01
# ls -lF
|
- 時刻のローカルタイムへの変更
時刻がUTCになっている場合は以下の操作でローカルタイムに変更します。
# gdb --write /netbsd
(gdb) set rtc_offset=-540
(gdb) quit
ここで再起動します。
# reboot
- GDMログイン画面
(1)英語モードのGDMが表示されます。
(2)LanguageでJapaneseを選択して日本語ロケールのGDMに切り替えます。
(3)上記で作成した一般ユーザ(bsduser01)でログインするとデスクトップが表示されます。
- 日本語入力環境の構築
日本語入力環境はuim-Anthyを使用することにします。
# export ALLOW_VULNERABLE_PACKAGES=yes
# cd /usr/pkgsrc/inputmethod/uim
# make install clean-depends
これだけでanthyも自動インストールされます。
/home/bsduser01/.xinitrcに以下の行を追加します。
export XMODIFIERS=@im=uim
export GTK_IM_MODULE=uim
exec uim-xim
ここで再ログインします。
GNOMEパネルの[システム]−[設定]−[入力メソッド]でuimの設定を行います。
例えば標準の入力方式をAnthyに変更します。
GNOMEパネルの[システム]−[設定]−[自動起動するアプリ]で自動起動するプログラムとして以下を指定します。
・uim-toolbar-gtk-systray
・uim-xim
ここで再ログインします。
uim-Anthyを使用した日本語入力が問題なく行えます。
- GNOMEデスクトップ例
- IPAフォントの導入
2009年4月にIPAフォントライセンスをもつOpenType形式のIPAフォント(Ver.003.01)が公開されました。
今回はそのIPAフォントを導入してみました。
(1)まず、http://ossipedia.ipa.go.jp/ipafont/からIPAfont00301.zipをダウンロードします。
(2)以下のコマンドを実行します。
$ mkdir ~/.fonts
$ cp IPAfont00301.zip ~/.fonts
$ cd ~/.fonts
$ unzip IPAfont00301.zip
$ fc-cache -fv
|
(3)Firefox3を起動します。
(4)Firefox3の[Edit]−[Preferences]の「Content」タブを開きます。
(5)日本語のDefault fontを「IPA Pゴシック」に変更します。
(6)Firefox3でのIPA Pゴシックによる表示例
※ちなみにこちらは実機環境(Core 2 Duo + nVIDIA GeForce 7600 GT)のNetBSD/i386 5.0デスクトップ例です。
※こちらは実機環境(Core i7 + ATI Radeon HD 4670)のNetBSD/i386 5.0デスクトップ例です。
- rootでのGUI操作
(1)日本語ロケールのGDMにおいてrootでログインします。
(2)Xclientsファイルが見つからない旨のエラーメッセージが表示されます。
(3)<OK>を押すとウィンドウ枠のないフェールセーフなxtermが表示されます。
(4)そのxtermから「gnome-session &」を実行するとrootでのGNOMEデスクトップが表示されます。
この場合のGDM_LANG及びLANG環境変数の値はja_JP.UTF-8になります。
(5)Xclientsファイルは必要ありません。
簡単ですが以上です。