Windows Vista Beta2環境
2006年6月8日にWindows Vista Beta2(日本語版)がCPP(カスタマプレビュープログラム)として一般公開されました。
※そのVistaのエディションは「Ultimate版」(フル機能版)です。
DVDイメージでの公開であり32ビット版ファイルは3.32GBです。
32ビット版ファイル(vista_5384.4.060518-1455_winmain_beta2_x86fre_client-LB2CFRE_JA_DVD.iso)をDVDに書き込んで使用します。
インストール先パーティションは最低でも10GBは必要となります。
SUSE 10.1(64bit版) Xen 3.0.2 のHVMドメインとしてWindows Vista Beta2(32bit版)をインストールしようとしましたがインストーラ起動ができません。
そこでVMware Workstation 5.5 for Windows環境とVirtual PC 2004(SP1)環境にインストールしてみました。
尚、VMware Workstation 5.5でのWindows Vista対応はあくまでも実験的リリースという制限が付いています。
今回使用したPCのハードウェア構成は以下の通りです。
・CPU:Pentium D 940(3.2GHzのデュアルコアでEM64T/VT対応)
・チップセット:Intel 945
・メモリ:2GB
・HDD:S-ATA
・VGAカード:nVIDIA GeForce 6600(VRAM 256MB)
・LANカード:Intel PRO/100 S
・サウンドカード:オンボード(Realtek High Definition Audio)
ここではWindows Vista Beta2の環境を簡単に紹介します(実機での利用も含む)。
1.VMware Workstation 5.5へのVista Beta2(x86版)インストール
ここで紹介するのはVista Beta2のクリーンインストールです。
Windows XPからWindows Vista Beta2へのアップグレード方法はこちら(VMware編)をご覧下さい。
尚、実環境のWindows XPからWindows Vista Beta2へのアップグレード試行結果はこちらです。
- 仮想マシン環境の定義
- ゲストOSの種類:Windows Vista (exprimental)
- 仮想マシン名:Vista Beta2
- プロセッサ数:2(デュアルコアCPUのため2の指定が可能)
- メモリ:1GB
- 仮想ディスクサイズ:16GB(IDEタイプを選択)
- Windows Vistaのインストーラ
Windows VistaのDVDをセットしてその仮想マシンを起動します。
まず「Windows is loading files...」と表示されドライバのロードが行われます。
次にGUIでのWindowsのセットアップ画面が表示されます。
VMware環境でのVistaインストール時は16色表示となって綺麗なカラー表示ではありませんがインストール自体には支障はありません。
あとはウィザードに沿ってインストールを実行します。
- 最初のデスクトップ
インストーラで作成した管理者ユーザ用のログオン画面が表示されますのでログオンします。
- ウエルカムセンター
最初に表示されるのはウエルカムセンターウィンドウです。
- VMware Toolsのインストール
VMWare ToolsをインストールすることでVMware用ドライバ等がインストールされます。
それによって画面解像度を適切に設定できます。
ネットワーク接続、サウンド再生も問題なく行えます。
- Vistaブートマネジャについて
一つPCにVistaだけをインストールした場合ブートマネジャはOS選択メニューを表示しません。
Vistaは一つのPCにおいて他のWindows(Windows XPやWindows Server 2003)と共存でき、ブートマネジャでのOS選択/ブートは以下のようになります。
※boot.ini等の手動変更は不要です。
- 既にWindows XPだけが入っているPCにVistaを追加インストールした場合(デュアルブート)
PCをブートするとまず最初に「Earlier version of Windows」と「Microsoft Windows」の選択肢が表示されます。
VMware環境では「Choose an operating system ...」と英語で表示されます。
尚、実機へのインストールでは「開始するオペレーティングシステムを選択するか、TABキーを押してツールを選択してください」と日本語表示されます。
(1)「Earlier version of Windows」を選択した場合:
Windows XPが自動ブートされます。
(2)「Microsoft Windows」を選択した場合:
Windows Vistaが自動ブートされます。
- 既にWindows XPとWindows Server 2003が入っているPCにVistaを追加インストールした場合(トリプルブート)
PCをブートするとまず最初に「Earlier version of Windows」と「Microsoft Windows」の選択肢が表示されます(Windows XPとVistaのデュアルブートの場合と同じ画面)。
(1)「Earlier version of Windows」を選択した場合:
この場合OS選択画面はネストされます。
つまりWindows Server 2003とWindows XPの選択画面が表示され、そこで選択したOS(Windows Server 2003等)がブートされます。
(2)「Microsoft Windows」を選択した場合:
Windows Vistaが自動ブートされます。
2.Vista Beta2の外観
- ログオン画面
背景画像はオーロラベースの幾何学的模様です。
- デスクトップ画面(その1)
- デスクトップ画面(その2)
実寸画像はこちらです。
- スタートメニュー
一番下の左端にある丸い「スタート」ボタンを押すとメニューが表示されます。
メニュー表示項目は自由にカスタマイズ可能です。
- Windowsサイドバーとガジェット
デスクトップの右側のWindowsサイドバーに表示させるガジェット(時計等)は自由に追加・削除ができます。
時計には秒針も表示できます。
尚、ガジェット自体はWindowsサイドバー以外の場所にも表示できます。
- バルーンフェードアウト
システム通知領域(システムトレイ)から表示されるバルーン(ヘルプ)はフェードアウトします。
- メイリオフォント
Vistaではメイリオフォント(Meiryo=明瞭)が追加されました。
ウィンドウタイトル、メニュー、メッセージのシステムデフォルトフォントはメイリオになっています。
但しアプリケーションごとのウィンドウの文字はアプリケーションごとに設定して利用します(例えばメモ帳のテキストフォント)。
今回はIEにメイリオフォントを適用してみました。
- OpenGL
OpenGLを利用できないグラフィック環境ではスクリーンセーバで3Dテキスト等のOpenGLタイプのものを選択すると下記の警告が表示されます。
警告内容:互換性のあるDirect3Dデバイスを検出できませんでした。
そこでVMwareに対して以下のような設定をしてOpenGLタイプのスクリーンセーバを選択してみると(例:3Dテキストを選択して<設定>ボタンクリックすると)そこで「回復不可能なエラー:(mks)」が発生しフリーズ状態となりました。
(1)仮想マシン設定ファイル(vmxファイル)に以下の設定を手動で追加。
mks.enable3d = TRUE
svga.vramSize = 67108864 ※VRAMサイズを64MBに設定
vmmouse.present = FALSE
(2)VMwareの[編集]−[環境設定]の「入力」タブで<カーソルがウィンドウから外れた時、バックグラウンドにする>の無効化。
(3)Vistaの再起動
- ユーザアカウント制御(UAC)
管理者ユーザでもシステム全体に関わる設定変更ではデフォルトのユーザアカウント制御(UAC)によって「続行するには許可が必要です」という確認ダイアログが毎回表示されます(regedit起動時も同様)。
これの抑止は以下のように行います。
[コントロールパネル]−[ユーザアカウントと家族のための安全設定]−[ユーザアカウント]−[セキュリティ設定の変更]で、<ユーザアカウント制御(UAC)を使ってコンピュータの保護に役立たせる>オプションをoffにしてシステムを再起動します。
再起動後はレジストリエディタを起動するなどしても「続行するには許可が必要です」という確認ダイアログは表示されなくなります。
尚、Administratorアカウントはデフォルトでは無効になっていますがコンピュータの管理のローカルユーザとグループでAdministratorアカウントを有効にすることができます。
- Windows Update
(1)Windows Ultimate ExtraのWindows Update
(2)重要な更新プログラム
- Ctrl+Alt+Delキー操作
Ctrl+Alt+Del(VMwareではCtrl+Alt+Insert)キー操作では以下のメニューが表示されます。
- シャットダウン
スタートメニューにおけるシャットダウンのメニュー項目はスタートボタンを押して表示されるログアウト、ロックの横にある▼メニューに隠れています。
- 印象
(1)デバイスドライバをインターネット上から探して自動インストールする機能がサポートされており便宜が図られています。
(2)外観的にはWindows XPから大きく変化していてデザイン的にはMac OS Xライクな感じになっています(Aqua風ボタン等)。
※Windows XPではLuna採用でしたが、VistaではAeroというGUIを採用しています。
(3)操作したい画面(プロパティ設定画面)に辿る方法は複数ありますが全般的に多くの操作ステップを経て辿りつくようになります。
※ネットワークについては「ネットワークセンタ」というものがサポートされたためそれを余分に経由します(近道もあります)。
(4)Beta版につき一部(ローカルセキュリティポリシーやヘルプ等)で英語表記が残っていますが操作上問題はありません。
(5)画面が時々暗転します。警告時に多いような気がします。
3.VMware 5.5上でのWindows Vista Beta2 x64版
VMware Workstation 5.5はWindows Vista Beta2 x64版(以下、Vista x64と略)も実験的にサポートしています。
Vista x64用仮想マシン作成時の仮想ディスク容量のデフォルトは24GBになっています。
- Vista x64のインストール
Vista x64のインストール時に使用されるVGAドライバはVMware Workstation 5.5と相性がよくインストール中のオーロラ画像も綺麗に表示されます。
尚、Vista x64のインストール中はどこにもx64とか64ビット/64bitという用語は表示されません。
- Vista x64のインストール容量
Vista x64のインストールではswapファイル(pagefile.sys)を除いて約8GB分のディスク容量が消費されます。
仮想メモリを1024MBとした場合、Vista x64インストール直後の仮想ディスクファイルのサイズは約14GBになっていました。
- 最初のデスクトップ
VMware Workstation 5.5は64bitゲストOS用ネットワークカードをIntel PRO/1000 MT Network Connectionとしてエミュレートします。
Vista x64はそのドライバを持っているためインストール直後からネットワークが利用できます。
このため最初のデスクトップには「ネットワークに接続しました」ウィンドウが表示されます。
- 64ビット表記について
Vista x64ではWindows XP Professional x64 Editionと比べてx64 Edtionとか64bitとかの表示箇所が少なくなっています。
ウェルカムセンタでも32bit版同様に「Windows Edition: Windows Vista Ultimate」と表示されるだけです。
おかしなことに[すべてのプログラム]メニューには「Internet Explorer(32ビット)」が2個表示されます。
しかしそれらのプロパティを見ると2番目の「Internet Explorer(32ビット)」は64ビット用C:\Program Files中のIEを指しています。
尚、32ビット版IEはタスクマスネジャ上では「iexplore.exe *32」と表示されます。
ところでコントロールパネルには「x86 コントロールパネル」というものもあります。
しかしその「x86 コントロールパネル」の中は「音声合成」だけという状態でした(これはマシン環境によって変わるかも知れません)。
- 解像度を上げたデスクトップ
インストール直後の画面解像度は800x600x32となっています(VGAカードはVRAM16MBの標準VGAグラフィックアダプタとしてエミュレートされます)。
その画面解像度を1152x864x32まで上げてみました。
- VMware Toolsの導入
VMware Workstation 5.5上のVista x64には以下の問題があります。
(1)画面描画が遅い。
(2)サウンドカードが認識されない。
そこでVMware Toolsを導入してみました。
それによってVMware SVGA II用ドライバがインストールされ画面描画速度がかなり改善されました。
しかしサウンドカードは認識されないままでした(32ビット版VistaではVMware Toolsの導入でサウンドカード対応できていました)。
更に、デバイスマネジャの起動ができなくなったり、Microsoft Management Controleの動作が停止するようにもなってしまいました。
この辺りが「実験的リリース」レベルということだと思います。
4.Virtual PC 2004 (SP1)へのインストール
- 仮想マシン定義
- ゲストOS:Windows XPを選択(VMware 5.5とは異なり選択肢にVistaは存在しません)
- 仮想マシン名:VistaBeta2
- メモリ:512MB
- 仮想ディスクサイズ:16GB(デフォルト)
- Windows Vistaのインストーラ
Windows VistaのDVDをセットしてその仮想マシンを起動します。
まず「Windows is loading files...」と表示されドライバのロードが行われます。
次にGUIでのWindowsのセットアップ画面が表示されます。
VMware 5.5の場合とは異なり、インストーラは綺麗にカラー表示されます。
実寸画像はこちらです。
あとはウィザードに沿ってインストールを実行します。
- 最初のデスクトップ
インストーラで作成した管理者ユーザ用のログオン画面が表示されますのでログオンします。
ネットワークに接続しましたと表示されます。
ネットワークのカテゴリ選択では<プライベートネットワーク>を選択します。
- ウエルカムセンター
最初に表示されるのはウエルカムセンターウィンドウです。
- サウンドカードについて
Virtual PC 2004がエミュレートするサウンドカードはSound Blaster 16 (ISA)です。
VistaではそのISA用ドライバが用意されていないためサウンドカードは無いと判断されます。
このためシステム通知領域のスピーカアイコンには×マークが付きます。
そのアイコンにマウスを置くと「オーディオ出力デバイスがインストールされていません」と表示されます。
- デバイスマネジャでの確認
- 画面解像度の変更
画面解像度を一時的に1280x1024x16に変更し、Alt+Enterキーで全画面モードにしてみました。
- バーチャルマシン追加機能のインストール
右Altキー(ホットキー)を使用せずにバーチャルマシンウィンドウとホストデスクトップとの切り替えができるようにバーチャルマシン追加機能をインストールしました。
これによってディスプレイアダプタが「標準VGAグラフィックアダプタ」から「VM Additions S3 Trio32/64」に変ります。
バーチャルマシン追加機能をインストールするとAltキー使用が不要になりましたがVista側の画面表示が遅くなったように感じられます。
尚、バーチャルマシン追加機能インストール後もネットワーク機能は問題なく行えます。
5.実機でのVista Beta2(x86)利用
- Windows Vista Aero
Vistaの画面デザインのデフォルトは「Windows Vista Aero」です。
また配色についてのデフォルトはタイトルバー部分が最も明るい「エアロ(Aero)」です。
- 最初のデスクトップ画面(縮小版)
- Windows+Tabキーによるウィンドウの立体配置表示(Windows Flip 3D)
- Alt+Tabキー表示(アプリケーションの切替)
- アプリケーションの半透明表示
- タスクバーでのアプリケーションサムネール表示
- エクスプローラでの一時的メニューバー表示
Windowsエクスプローラ、Internet Explorerの画面にはメニューバーはありません。
しかしAltキーを押すだけでメニューバーを一時的に表示させて利用することができます。
メニュー操作を1回行ったり、再度Altキーを押したりするとメニューバーは消えます。
Windowsエクスプローラ、Internet Explorerで常にメニューバーを表示させておきたい場合は以下の操作を行います。
(1)Windowsエクスプローラの場合:
[整理]−[レイアウト]−[クラシックメニュー]を選択します。
(2)Internet Explorerの場合:
[ツール]−[ツールバー]−[クラシックメニュー]を選択します。
- サウンドドライバの導入例
今回使用したオンボードのサウンドデバイス(Realtek High Definition Audio)用のドライバはVista Beta2には含まれていません。
マザーボード付属のドライバCD-ROMからWindows 2000/XP用のドライバをインストールしようとするとOSエラーとなります。
そこでベンダのサイトからVista Beta用のドライバを取得してインストールします。
システムを再起動し、コントールパネルの「オーディオデバイスとサウンドのテーマ」を開きます。
アナログ端子でのスピーカ接続の場合、オーディオデバイス「Realtek HD Audio output」を既定の設定(すべての用途)に指定すればサウンド再生可能となります。
- プリンタドライバの導入エラー
WindowsバージョンをチェックしているドライバインストールCD-ROMのWindows Vistaでの自動起動ではOSエラーとなるケースが多々あるようです。
- パフォーマンス評価
Vistaにはパフォーマンス評価ツールが付属しています。
総合評価は3でした(ちなみにVMware環境での総合評価は1)。
- Vista対応のセキュリティソフト
2006年7月6日にVista対応保証の「ウィルスセキュリティZERO」(K7 Product)がリリースされました(アップデート実行完了画面)。
※Vista Beta2には完全対応しておらずリアルタイム検索機能等の利用は不可(別途正式対応)。
- Office 2007 (Beta2)の利用
Office 2007 Beta2はVista Beta2上でも動作します(但し、Beta2同士の組み合わせは正式サポート対象外)。
今回はMicrosoft Office Professional Plus 2007を使用しています。
- メニューバーの廃止とファイルメニュー
Office 2007のWord,Excel,Access等では従来のメニューバーは廃止され、状況依存のリボン形式メニューに変更されました。
しかしそれらのウィンドウの左上には大きな丸いアイコンがあります(ファイルメニューと呼びます)。
Word 2007でこのファイルアイコンをクリックすると[ファイル]メニュー項目が表示されます(キーボード操作ではAlt+Fキー)。
Excelの場合も同様です。
尚、リボンのタブはマウスのスクロールバーで左右に移動遷移ができるようになっています。
- Word 2007とWord 2003
Vistaではメイリオというフォントが追加されました。
Word2007でメイリオフォントを含めた文書を作成し、その文書をWord 2003で開いたり印刷すると当然ながらメイリオフォントが別フォントで表示・印刷されます。
(1)Word 2007で作成した文書
(2)それをWord 2003で開いた様子
- 数式エディタ
Word 2007では二種類の数式エディタが使用できます。
(1)[挿入]−[数式]で数式ギャラリーから雛形数式を選択してから数式ツールで編集する数式エディタ
(2)[挿入]−[オブジェクト]−[Microsoft 数式 3.0]によるWord 2003同様の数式エディタ
- Excel 2007でのAccessデータベースのデータインポート
※ここでのAccessデータベースはOffice 2000付属のNorthwind.mdbを使用しています。
Excel 2003でAccessデータベースのデータインポートを行うには[データ]メニューの[外部データの取り込み]−[データの取り込み]で行っていました(例:Excel 2003でのインポート結果)。
Excel 2007では「データ」タブの[Accessデータベース]を用いExcel 2003よりも簡単な操作で行えます。
しかもインポートしたデータにはフィルタが自動付与されテーブルスタイルも自動設定されます。
実寸画像はこちらです。
- Excel 2007でのソートキー数の拡大
Excel 2003までのソートキーの最大数は3個でした。
しかしExcel 2007では「並べ替え」での<レベルの追加>で3個を超えるソートキー設定ができるようになりました。
- Excel 2007でのVBAマクロの実行
VBAマクロを含んだExcelファイル(Excel 2000/2003含む)をExcel 2007で開くとセキュリティ警告がExcel上に表示されます。
※セキュリティ警告:「セキュリティの設定により、マクロの実行が無効にされました。」
マクロをその場で有効にするには<コンテンツの有効化>をクリックしてコンテンツを有効にします。
これでマクロの実行ができるようになります。
- Excel 2007でのVBAマクロの作成
Excel 2007のデフォルトではVBAマクロを実行させるボタン等のコントロールツールボックス表示メニューがどのタブにも存在しません。
そこでExcel 2007ではコントロールツールボックスとVBAによるアプリケーション開発は以下の手順で行います。
- 「Excelのオプション」設定画面の「個人設定」で<[開発]タブをリボンに表示する>オプションにチェックを入れます。
するとExcel画面に[開発]タブが新たに追加表示されるようになります。
- [開発]タブの標準リボン
[開発]タブの標準リボンには「コード」「コントロール」「XML」「変更」というメニューブロックが表示されます。
「デザインモード」はデザインモードと実行モードのトグルになっています。
ボタン作成やVBAコードの記述操作はExcel 2000/2003とほぼ同様です。
尚、VBAエディタ自体は[開発]タブの有無に関わらず旧バージョンと同様にAlt+F11で表示可能です。
- ボタンとVBAマクロの指定例
[開発]タブの「挿入」にあるActiveXコントロール一覧からボタンを選択してシートに配置します(プロパティ設定も)。
デザインモードでVBAマクロのコードを記述します。
- ボタンの実行例
- VBAマクロを含むブックの保存
VBAマクロを含むブックはExcel 2007から新たに採用された「Excelマクロ有効ブック」(拡張子:xlsm)として保存します。
※Excel 2007のデフォルトの拡張子「.xlsx」で保存するとマクロなしのブックとして保存されてしまいます。
尚、Excel 97-2003ブック(*.xls)として保存した場合は旧バージョンのExcelでのマクロ実行も可能です(Excel 2003での実行例)。
- ファイルのPDF/XPS保存
Office 2007のBeta版ではPDFやXPSでのファイル保存が可能です(下記の画像はExcel 2007でのファイル保存の画面です)。
正式版ではPDF/XPS保存が未サポートとなる可能性もあるようですがPDF形式での保存はやはり重宝します。
XPSファイルでの保存はファイルメニューの印刷で「Microsoft XPS Document Writer」プリンタを選択して行うこともできます。
尚、XPSファイルで保存した場合はIE 7で表示できます。
[補足]
ファイルメニューの印刷で「Microsoft Office Document Image Writer」プリンタを選択した場合は「Microsoft Office Document Imaging形式」(拡張子:mdi)で保存できます。
そのmdiファイルは「Microsoft Office Document Imaging」プログラムで開くことが可能です(mdiファイルのダブルクリックで自動起動)。
- Excel 2007での見栄え向上
Excel 2007では操作性の向上に加えて見栄えの向上機能も強化されています。
見栄え向上の一例としてセルの条件付き書式(データバー、アイコンセット等)の設定機能があります。
またグラフについてはグラフエリアの塗りつぶし透過性指定、データ系列での画像・テキスチャ指定等がサポートされています。
実寸画像はこちらです。
Excel 2007の新機能を使用したブックを旧バージョン形式(Excel 97-2003ブック形式:拡張子「xls」)で保存しようとすると互換性チェックの警告が出ます。
※Excel 2007の新機能を使用したブックを旧バージョン形式で保存しても新機能分の内容がすべて消える訳ではありません。
(1)その旧バージョン形式で保存したブックをExcel 2007で開くとExcel 2007での新機能で作成した部分はそのまま表示されます。
(2)しかしその旧バージョン形式で保存したブックをExcel 2003で開くと特にグラフではグラフの意味がほとんど欠落されたものとして表示される場合もあります。
- Access 2007
Access 2003付属のNorthwind.mdb内の商品区分テーブルをAccess 2003でフォントサイズ変更(9→12)後、Access 2007でその商品区分テーブルを開いてみました。
Access 2003で設定したフォントサイズがAccess 2007でも有効になっています。
但し、Access 2003で特にフォントを設定しなかったテーブル(デフォルトサイズ:9)はAccess 2007側でのデフォルトフォント(サイズ:11)で表示されます。
6.製品版Vistaの利用(Ultimate版)
VistaはBeta2の後のRC1を経て2007年1月30日に製品版として正式出荷されました。
また同時に2007 Office Systemも出荷されました。
- 日本マイクロソフトでのカウントダウン
2007年1月29日の日本マイクロソフトのトップページは次のようになっていました。
2007年1月30日時点のトップページ画面はこちらです。
- 製品版Vistaのデスクトップ
- パフォーマンスの評価
次のようなハードウェア構成でのパフォーマンス情報を表示してみました。
グラフィックス以外は改善の余地があるように表示されています。
・CPU:Core 2 Duo E6600
・チップセット:Intel P965
・メモリ:3GB
・HDD:S-ATA 500GB
・VGAカード:nVIDIA GeForce 7600 GT(VRAM 256MB)
- 2007 Office System
2007 Office Systemでの外観色はOffice 2003同様の青色系統になっています。
尚、PDFやXPSでの出力は標準サポートではありません。
しかし、「PDFまたはXPSとして発行」アドインをダウンロードしてインストールすればWord, Excel等でPDF/XPSでの保存が可能となります。