Windows Vista Beta2へのアップグレード(実環境編)
Windows XP対応ソフトをWindows Vista Beta2環境に導入する際、インストーラでのバージョンチェックでインストール自体ができない場合があります(特にドライバを必要とするソフト)。
しかしインストーラでエラーとなってもWindows XP環境にそれが元々インストールされていればWindows Vista Beta2へのアップグレードで動作する場合もあります。
そこでWindows XP Professionalの実環境をWindows Vista Beta2にアップグレードし、元々インストールされていたアプリケーションの基本動作を試してみました。
今回使用したPCのハードウェア構成は以下の通りです。
・CPU:Pentium D 940(3.2GHzのデュアルコアでEM64T/VT対応)
・チップセット:Intel 945P
・メモリ:3GB
・HDD:S-ATA
・VGAカード:nVIDIA GeForce 7600GT (VRAM 256MB)
・LANカード:Intel PRO/100 S
・サウンドカード:オンボード(Realtek High Definition Audio)
・スキャナ:EPSON GT-9700F
・プリンタ:Canon PIXUS 865R(無線接続利用)
【補足】
Windows XP環境にインストールしていた主なアプリケーション;
B's Recorder GOLD Security
VMware Workstation 5.5
Virtual PC 2004(SP1)
Cygwin/X
Photoshop Elements 3.0
Visual Basic 6.0
Netscape 7.1
Becky!
3DMark06 他
1.Windows XPからWindows Vista Beta2へのアップグレード手順
- Windows XPへのログオン
Windows XPからWindows Vista Beta2へのアップグレードはWindows XPを起動して行います。
この場合、Windows XPへのログオンはAdministratorユーザでなくても構いませんが今回はAdministratorユーザで行ってみました。
- Windows Vista Beta2セットアッププログラムの起動
Windows XP起動後にWindows Vista Beta2のDVDをセットすると「Windowsのインストール」画面が表示されます。
そこで「インストール」をクリックします。
- Please wait...
オーロラ画面を背景に少しの間、Please wait...という表示となります。
- インストールの重要な更新の取得
インストール中にVistaの更新プログラムをインターネットから取得するかどうかの二者択一画面が表示されます。
(1)インターネットに接続して最新のインストールの更新プログラムを取得する(デフォルトで選択されています)
(2)最新のインストールの更新プログラムを取得しない
インストール用DVDだけでのアップグレードの場合は後者を選択します(今回はこちらを選択)。
- プロダクトキーの入力
Windows Vistaの新規インストールと同様にプロダクトキーの入力画面が表示されますので取得済みキーを指定します。
- ライセンス条項への同意画面
同意します。
- インストールの種類
アップグレードを選択します。
- 互換性のレポート
Windows Vistaにアップグレード後に動作しなくなるアプリケーションやドライバ類はここにまとめて表示されます。
アップグレード時、そのPCに接続されていない周辺機器があればその機器もここに表示される場合があります。
致命的な問題でない限り<次へ>ボタンで先に進みます。
- 実際のアップグレード
実際のアップグレードは以下の順に実行されます。
(1)Windowsファイルのコピー
(2)ファイルの収集
(3)ファイルの展開
(4)機能と更新プログラムのインストール
(5)アップグレードを完了させる最終処理
- アップグレード直後の最初のログオン画面
ログオン画面にはAdministratorユーザは表示されません。
ここには一般ユーザ名しか表示されません。
Administrator以外で管理者権限を持つユーザアカウントでログオンします。
- アップグレード直後のデスクトップ
- デスクトップアイコン
デスクトップアイコンはコンピュータ、Internet Explorer、ごみ箱、はじめに、...です。
表示するデスクトップアイコンは必要に応じて[個人設定]−[デスクトップアイコンの設定]でカスタマイズします。
- 背景画像
背景画像はアップグレード前の画像が継承されます。
- 最初のスタートメニュー
最初のスタートメニューは初期化されて表示されます。
- 再起動とブートメニュー
Windows XPからVistaにアップグレードするとあたかもWindows XPとVistaのデュアルブート環境のようなブートマネジャが表示されてしまいます。
これはWindows XPからのアップグレードであってもWindows XP環境にVistaを追加インストールする場合と同じブート環境が生成されてしまうためです。
(C:\直下のファイル群(bootmgr, ntsign_incr.txt等)やC:\bootフォルダが自動作成されることで確認できます)
ブートマネジャでデフォルトの「Microsoft Windows」を選択するとWindows Vistaが起動されます。
尚、「Earlier version of Windows」はアップグレード前のWindows XPをブートするものではなくそれを選択してもWindows Viataの起動画面が出てすぐに画面が真っ暗になりフリーズ状態となります。
- ライセンス認証
Windowsライセンス認証を行います。
- メイリオフォントについて
Windows Vistaにアップグレードするとシステム標準のフォントはメイリオとなります。
メイリオフォントを綺麗に表示するためにはアップグレード後にClaerTypeでスクリーンフォントの縁を滑らかにするオプションを設定する必要があります。
リブートするとメイリオフォントが綺麗に表示されます。
- Administratorでのログイン方法
ログイン画面にはAdministratorは表示されません。
以下の操作でログイン画面にAdministratorを表示できます。
- [管理ツール]−[コンピュータの管理]−[ローカルユーザとグループ]でAdministratorのアカウントを無効から有効に変更します。
念のためパスワードも再設定します。
- レジストリの変更
※ここではWindows XPのようこそ画面にAdministratorを表示させる方法と同様の操作を行います。
regeditコマンドでレジストリエディタを起動します。
HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Windows NT\CurrentVersion\Winlogonに位置付けます。
そのWinlogonの右側で右クリックして[新規]−[キー]を選択し、新しいキーの名称として「SpecialAccounts」を指定します。
SpecialAccounts直下に「UserList」キーを作成します。
そのUserListを右クリックして[新規]−[DWORD (32 ビット) 値]で新しい値#1としてAdministratorを指定します。
そのAdministratorをダブルクリックして値のデータを0から1に変更します(16進のまま)。
- リブート
レジストリエディタを閉じてリブートするとログオン画面にAdministratorも追加表示されます。
2.既存アプリケーションの動作確認(問題有り編)
- VMware Workstation 5.5
VMware Workstation 5.5を起動して仮想マシンをパワーオンした時点でバージョンチェックエラーが検出され使用できません。
- Cygwin/X
Cygwin/Xは動作が不安定で通常利用できませんでした。
例えばCygwin/X付属のWindow Maker環境でrxvtのウィンドウ移動が行えない等の問題が発生しました(Windows XP環境でのCygwin/X)。
- B's Recorder GOLD Security (Ver 8.23)
Windows XP環境でのB's Recorder GOLD Securityで検出されていた光学式ドライブがWindows Vista環境のB's Recorder GOLD Securityでは認識されません。
- その他問題点
- hostsファイルの初期化
C:\WINDOWS\system32\drivers\etc\hostsファイルの内容が初期化されてしまい以前の内容が継承されません。
- 文字化け
一部のアプリケーションにおいてツールボタン下の説明テキスト(日本語)が文字化けしました。
3.既存アプリケーションの動作確認(一応動作する編)
- Visual Basic 6.0
Windows XP環境のVB 6.0で作成したアプリケーションはWindows Vista環境でも動作します(Windows XP環境でのVB 6.0で作成したアプリケーション)。
しかし起動できない場合もあります。
起動できない場合はWindows Vista環境でVB 6.0を起動して再度そのアプリケーション用実行ファイル(xx.exe)を作成すると起動可能となる場合もあります。
- Photoshop Elements 3.0 + EPSON GT-9700Fスキャナ
Photoshop Elements 3.0とEPSON GT-9700Fスキャナの連携は問題なくできます(ペイント + EPSON GT-9700Fスキャナの連携もOKです)。
※EPSON GT-9700FスキャナのドライバはWindows XP用のままです。
Photoshop Elements 3.0のタイトルバーから分かるようにPhotoshop Elements 3.0自体はAeroモードではなくなります。
- Netscape 7.1
Netscape 7.1はAeroモードで起動できます。
しかしJavaアプレットのページを表示する際にはAeroモードが無効となる旨の警告が表示されますがJavaアプレットは表示できます。
- 印刷
Canon PIXUS 865Rへの無線接続での印刷も問題なく行え、メイリオフォントの印刷結果はやはり綺麗で更に読みやすい感じです。
※Canon PIXUS 865RのドライバはWindows XP用のままです。
尚、Windows Vistaにアップグレードすると「Microsoft XPS Document Writer」が自動インストールされます。
その「Microsoft XPS Document Writer」は通常使用するプリンタに設定されてしまうためプリンタのデフォルトを変更します。
- Becky! (ver 2.25.02)
Becky! (ver 2.25.02)においてメールのやりとり自体は動作します。
- 3DMark06
Windows XPでの3DMark06スコアよりも若干低めとなりました(Windows XP環境での3DMark06スコア)。
3DMark06の「Demo」も完走しました(サウンド再生も問題なし)。
- Virtual PC 2004(SP1)
Windows XP環境のVirtual PC 2004のバーチャルマシンに予めVine Linux 3.1をインストールしておきました(物理コンピュータのネットワークアダプタ使用)。
Windows Vistaへのアップグレード後にVirtual PC 2004を起動すると(Aeroモードでなくなる旨の警告が表示され)、ネットワークサービスドライバを開けないという警告も表示されます。
Virtual PC 2004の「物理コンピュータのネットワークアダプタ」が使用できません。
Windows Vista環境でMicrosoft Loopback Adapterを追加インストールしてもそれを使用することができません。
結局、共有ネットワーク(NAT)構成に切り替えてバーチャルマシン(Vine Linux 3.1)でのネットワークを動作可能としました。
Windows Vista環境のVirtual PC 2004にWindows Vista Beta2のインストールを試してみました。
しかしバーチャルマシンへのVistaのインストール途中でVirtual PC 2004自体がフリーズしてVistaのインストールはできませんでした。
- 読んde!! ココ (ver 8)
ツールバーで文字化けは発生しますが一応OCR機能は使用できます。
4.リモートデスクトップ接続
Windows Vista側のリモートデスクトップ接続を有効にし、他のWindows XP環境からリモートデスクトップ接続を試しみました。
- ログオン画面
ログオン画面の背景画像はオーロラ画像にはなりません。
・ユーザ選択画面
・パスワード入力画面
- デスクトップ画面
リモートデスクトップの画面はAeroにはなりません。
・フルスクリーンモード
・ウィンドウモード