Xen 3.0.4(XenExpress編)


Xen関連の製品ファミリーはXenSource社によって提供されています。
その主要製品はXenEnterpriseとXenServerです。
XenSource社はXenServerの無償版としてXenExpressをリリースしています。
2007年3月にXenExpress 3.2が公開されました(Xen 3.0.4版)。
XenExpressはXenを動作させることに特化したLinuxです。
※XenExpress 3.2はCentOS 4.4をベースにして開発されたLinux OSです。

XenExpressの特徴は以下の通りです。
(1)XenExpressの実体はXenServerとほぼ同じでありXenExpress環境では「XenExpress」という用語は見当たりません。
(2)XenExpressは準仮想化と完全仮想化をサポートしていますが完全仮想化に対応していないマシンにもXenExpressを導入できます。
(3)XenExpressにはXenServer管理コンソール(別名:XenServerクライアント)が付属しておりXenServerマシンをリモート管理できます。
(4)XenServer管理コンソールを使用してXenExpress本体マシンにゲストOS(XenVM:Xen仮想マシン)をインストールすることができます。
(5)XenExpressにはいくつかのゲストOSインストール用テンプレートが付属しています。
(6)XenExpressは標準でDomain0が自動起動されるのでXenServer管理コンソールを使用しなくてもゲストOSを実行できます。
(7)XenExpressはLinux用(またはWindows用)のXenServer管理コンソール(GUIインタフェース)から接続して利用されることを前提にしておりXenExpress自体にはデスクトップ環境は付属していません。
(8)物理OS環境を仮想OS環境に変換するP2V機能があります。
(9)その他にも仮想環境のエクスポート・インポート等の機能も付いています。

ここではXenExpress 3.2の環境自体にGNOMEデスクトップ環境とXenServer管理コンソールを導入し、簡単にXenExpressを利用する方法を紹介します。

尚、XenExpressをCentOS 5にアップグレードする方法には以下の2種類あります。
(1)XenExpressインストール直後にCentOS 5にアップグレードする(詳細はこちら)。
(2)XenExpressにCentOS 4.4のGUI環境を導入してからCentOS 5にアップグレードする(詳細はこちら)。


1.XenExpress(XenServer)のインストール




2.パーティション構成の変更(任意:但しCentOS 4.4のGUI環境を導入してからCentOS 5にアップグレードする場合は必須)

XenExpressのXenServer本体のインストールではHDDが3パーティションに自動分割されます。
※S-ATAのHDDの場合は/dev/hda1,2,..を/dev/sda1,2,..に読み替えて下さい。
(1)/dev/hda1:ルートパーティション(サイズは4GB固定)
(2)/dev/hda2:バックアップ用の特別なパーティション(サイズは4GB固定)
※「Back-up Existing Installation」オプション指定の上書きインストールでは/dev/hda1の内容がこの/dev/hda2に自動バックアップされます。
※「Perform clean install」というインストールタイプの場合は/dev/hda2の内容は破壊されずに残ります(mkfsはユーザ自身が実施)。
(3)/dev/hda3:仮想ディスクを論理ボリュームとして格納するパーティション(サイズは残りの容量すべて)

XenExpressのXenServer本体にデスクトップ環境を導入しないのであれば上記パーティション構成のままで問題ありません。
しかし後で紹介する日本語GNOME環境をインストールすると/dev/hda1パーティションの空き容量は約400MBにまで減ってしまいます。
日本語GNOME環境以外にもいろいろなアプリケーションを導入するには容量面で不安があります。
そこで新しいパーティションを作成して/dev/hda1の中で最もスペース占有率の高い/usrをその新しいパーティションに割当てる方法をここで紹介します。
尚、パーティション再構成を最も簡単にかつ安全に行えるのはXenExpressのXenServerに仮想マシンを作成する前の段階です。
※インストール時/dev/hda3には論理ボリュームグループが初期作成されますがリブート時にそれが無い場合は自動的に初期状態の論理ボリュームグループが作成されます。




3.XenServerへの日本語GNOME環境の導入

yumコマンドを使用して日本語GNOME環境を導入します。
※XenServer付属のyumコマンドはCentOS 4.xの最新リポジトリからパッケージをインストールしてくれます。



4.XenServer管理コンソールのインストール




5.XenServer管理コンソールの起動




6.XenServer管理コンソールによるDebian 3.1のインストール

XenExpress付属のLinux Packに含まれるDebian用テンプレートを用いてDebian GNU/Linux 3.1(Sarge)をゲストOSとしてインストールできます。
その具体的手順は以下の通りです。




7.Debian以外のゲストOSのインストールについて




8.他のOSでのXenServer管理コンソールの利用




9.P2V機能(物理OS環境を仮想OS環境に変換する機能)について

XenExpressでは以下のOSを仮想環境イメージに変換できます。
(1)Red Hat Enterprise Linux 3.6または4.1
(2)SUSE Linux Enterprise Server 9 SP2

Red Hat Enterprise Linux 4.1の場合のP2V変換の流れは以下のようになります。
尚、Vine Linux 4についても手順を一部変更するだけでP2V機能を利用できます(後述)。





10.XenServerの通常のDomain0としての利用例

XenExpressのXenServerは管理コンソール経由での利用だけでなく単なるDomain0として直接利用することもできます。
ここではXenServerのDomainUとしてVine Linux 4を実行させる手順を紹介します。
※既存のVine Linux 4のHDDをXenExpressマシンにスレーブ接続して利用する方式です。




11.XenServerでの通常カーネルの利用