Red Hat Linux 8のBluecurve

日本語版Red Hat Linux 8が2002年10月25日にリリースされました(Red Hat Linux 7.3は2002年5月リリース)。
Red Hat Linux 8のパッケージは「パーソナル(主に個人用)」と「プロフェッショナル(主に業務用」の2種類あります。

ここではRed Hat Linux 8から搭載された新しいデスクトップユーザインタフェースである「Bluecurve」について紹介します。


(1)前書き

Red Hat 8のインストールCD1には「Red Hat Linux 8.0 リリースノート」(RELEASE-NOTES-ja.html)が含まれています。
そのリリースノートを読むと今回のRed Hat 8では開発環境面での変更をはじめとして数多くの変更が加えられていることが分かります。
なぜかそのリリースノートには新しいデスクトップユーザインタフェース(GNOMEとKDEの操作性の統一志向)を示す「Bluecurve」というキーワードは含まれていません。
そのため「Bluecurve」は今回の多くの変更点のほんの一部に過ぎないという印象さえ受けます(リリースノートへの単なる記載漏れ?)。
しかし米国Red Hatのサイト日本Red Hatのサイトを見ると主な特徴の最初に「Bluecurve」が出てきています。

やはり今回のリリース版の最大のうりは「Bluecurve」なのでしょう。
多くの個人ユーザにとってもデスクトップユーザインタフェースは使い勝手の良し悪しを決定する重要な要素です。
また「Bluecurve」が今後どのように発展していくのかも気になるところかと思います。

従来の多くのディストリビューションは往々にして「フリーソフトの寄せ集め」的な印象もありました。
しかし今後はフリーソフト間の連携・統一にどう取り組むかがディストリビュータの大きな課題となるのではないでしょうか。
「Bluecurve」はまだ完成したものではありませんがRed Hat社の今後の方向を感じさせるような気がします。

やはり今回のリリース版の「顔」でもある「Bluecurve」を抜いてはRed Hat 8は語れないような気もします。
ということでここでは「Bluecurve」を中心にRed Hat 8を紹介してみます。

尚、Red Hat 8のインストール画面は見た目もきれいになっています。




(2)Bluecurveとは

BluecurveはGNOMEやKDEとは違った第3の統合デスクトップ環境というものではありません。
Bluecurveとは「GNOMEとKDEの違いを極力意識させないようなデスクトップユーザインタフェースの総称」と理解すればよいかと思います。

実際のBluecurveソフトウェアはGNOMEやKDEのアドイン的なもの(テーマ、アイコン、プラグイン等)から構成されています。
Bluecurveが具体的にどのような主要ファイルを提供しているかについては、
「rpm -qlp redhat-artwork-0.47-3.i386.rpm」で分かります(rpm -qlpの表示内容)。

更にBluecurveではフォントを見やすくさせる機能もサポートしています。
Red Hat Linux 8のGUIインストーラで表示される文字も見やすいものになっています。

Bluecurve搭載のRed Hat 8の出現によって今後デスクトップLinuxの世界が急速に発展するかも知れません。


(3)見やすい文字

Bluecurveではアンチエイリアス機能が強化されMac OS Xデスクトップに表示されるような文字表示がサポートされています。
(参考:フォント別の見易さ比較→Red Hat 8の場合Red Hat 7.3の場合


(4)デスクトップパネルとメニュー

実際のKDEデスクトップ画面はこちらです(1024x768)。


(5)Bluecurveテーマ

「個人設定」メニューにある「テーマ」のデフォルトは「Application(ウィンドウウィジェット)」「Window Border(ウィンドウ境界)」共にBluecurveになっています。
(Applicationが「Raleigh」でWindow Borderを「Crux」にした外観はこちらです)

KDEのルック&フィールの設定では多くの場面で「Bluecurveテーマ」が出てきます。


またGDMのログイン画面設定やNautilusの外観設定にもBluecurveテーマが出てきます。
(実はXMMS用のBluecurve-xmmsも提供されています)。


(6)Qt Designer用のBluecurveスタイルプラグイン

Designerで作成したフォームをプレビューするオプションの中にBluecurve Styleがあります。

実際のBluecurveプレビュー画面例はこちらです。


(7)各種設定メニューのグループ化

Red Hat 8.0ではKDEメニューとGNOMEメニューの統合が図られています。
特にRed Hat 7.3までのGNOMEの[プログラム]-[システム]に入っていた設定関係のメニュー項目はGNOME及びKDE共に「サーバ設定」「システムツール」「システム設定」にカテゴライズされました。
但し同一メニュー項目が複数のカテゴリに含まれたり、GNOMEとKDEで各カテゴリのメニュー項目が微妙に不一致だったりしているものもあります。



(8)設定/管理ツール



(9)OpenOffice.org

Red Hat 8にはOpenOffice.org 1.0.1が付属しています(ヘルプは英語です)。


(10)pdfファイルの作成と閲覧

画像含めたpdfファイルはKDEのKWordやOpenOffice.orgのWriterで簡単に作成できます。


(11)Mac OS X風テーマ(AquaX)の利用

GNOME環境でのウィンドウマネジャをRed Hat 8標準のMetaCityからSawfishに切り替えて、Mac OS X風のテーマを利用してみました。
(必要なAquaXテーマファイルは別途ダウンロード要)


ちなみにEnlightenmentウィンドウマネジャを導入してXaquaX-Graphiteテーマを使用した画面例はこちらです。


(12)ブートCDの作成

Red Hat 8ではブートCDの作成ができます(詳細はこちら)。


(13)その他