LindowsOS 4.0 日本語版
LindowsOS 4.0 日本語版が2003年8月29日にリリースされました。
2003年8月という時期はTurbolinux/Red Hat/MS Office等の新バージョンリリース時期より約2ケ月前の時期なので瞬間的な話題性はあったように思います。
LindowsOS 4.0のカーネルは2.4.20です。
LindowsOSはDebian Linuxをベースにしたクライアント用途のLinux環境です。
LindowsOSの大きな特徴の一つは「Click-N-Run」と呼ばれるパッケージ追加インストール機能です。
Click-N-Runの使用許諾権を購入するとLindows.comに登録されているパッケージ(商用パッケージ含む)を簡単操作でダウンロード&インストールできます。
今回リリースされた「LindowsOS 4.0 日本語版 Plus」には1年間有効なClick-N-Run使用許諾権が付いています。
ここではLindowsOS 4.0 日本語版の環境を簡単に紹介します。
尚、ここで紹介している画像はKDEの外観を好みに合わせて一部カスタマイズしたものです。
(1)簡単なインストール
LindowsOS 4.0に付いているCD-ROMは1枚だけでインストール時間もわずか10分程で完了します。
当然ながらインストールされるアプリケーションソフトはごく僅かです。
Debian GNU/Linux 3.0のインストール形態とはかなり異なりLindowsOSのインストール作業は大幅に簡略化されています。
- CD-ROMからのブート
CD-ROMからブートするとまず「1. Install」と「2. Diagnostics」の選択画面が表示されますので「1. Install」を選択します。
その後「Starting Install」画面が現れます。
この画面にはインストール準備プロセスの進行状況も表示されます。
- インストール方法の選択画面
インストール方法について次のどちらかの選択で指定します。
- 「指定したハードディスク領域にインストール」
インストーラがハードディスク全体のデータを削除してLindowsOSをインストールする方法です。
ハードディスクが1台だけの場合はどのディスクを選択するかの画面は表示されません。
- 「上級者向けインストール」
これは既にパーティション分けされているハードディスクにLindowsOSをインストールするためのものです。
「上級者向けインストール」を選択して<次へ>を実行するとパーティションの選択画面が表示されます。
尚、LindowsOSのインストーラにはパーティションを作成したり削除したりする機能はありません。
LindowsOSを構成するパーティションタイプは次のようになります。
・ext2:/boot用ファイルシステム
・swap:スワップパーティション用
・reiserfs:/用ファイルシステム
- キーボードの種類・コンピュータ名・rootパスワードの設定
ここでは「日本語キーボード(PC106)」を選択します。
またコンピュータ名も指定します。
更にrootユーザのパスワードもここで指定します。
指定する項目はこれで終了です。
<次へ>ボタンでセットアップ確認画面が出ますので、また<次へ>ボタンで先に進みます。
- 基本システムのインストールと初期設定
基本システム(Base system)の実際のインストールが開始され、それが済むとシステムの設定が自動的に行われます。
インストールされるパッケージ数は475個です(dpkg --listコマンドによるパッケージ確認結果はこちらです:表示の都合上、横方向の文字数は少なくしています)
Xの設定やLANの設定も自動的に行われます。
- 補足
起動FDの作成プロセスはありません。
インストールが完了するとCD-ROMが自動排出され、Enterキーを押すと自動的にリブートされます。
(2)LindowsOSの起動
- ブートとログイン
PCをブートすると「1. LindowsOS」と「2. Diagnostics」の選択画面が表示されます。
「1. LindowsOS」を選択するとブートプロセスの後、GUIログイン画面が表示されます。
尚、root以外のユーザを別途追加した場合のGUIログイン画面にはユーザ一覧(シェルを設定したユーザ)が表示されます。
ユーザ一覧の中のAdministratorというのはrootの同義語として使われます。
「2. Diagnostics」はコンソールモードでの起動です。
- 「初めての設定」
ログイン認証が済むとKDEの初期化プロセスが実行されます。
その後、「初めての設定」画面が出ます。
まず、<ライセンスに同意します>にチェックを入れます。
(これをしないで<終了>ボタンを押すとFlash Playerによるチュートリアル画面が表示されます)
次に<時刻設定>ボタンを押して日時情報を確認・設定したり、<詳細設定>ボタンを押して「詳細設定」画面から基本設定の変更等を行います。
尚、「初めての設定」画面はinitialstartupコマンドでも起動できます。
- デスクトップ表示
デスクトップ上には「マイコンピュータ」や「マイドキュメント」等、Windowsライクなアイコンが表示されます。
最初のデスクトップ画面はこちらです。
デスクトップアイコンやKDEパネル上のアイコン等はクリスタル風のデザインになっています。
実寸画像はこちらです(1280x1024)。
(3)統合デスクトップ環境
LindowsOS 4.0標準の統合デスクトップ環境にはKDE(K Desktop Environment)が使用されています。
KDEには各種設定/カスタマイズを行うコントロールセンタ、ツール及びアプリケーションが含まれています。
- KDEメニュー
KDEのメニュー構成は基本的にベータ版とあまり変わっていません。
但し、アプリーケーションメニューの各カテゴリにおいてベータ版や英語版にあった「Click-N-Run More」という項目は削除されています。
またKDEメニューのヘルプセンターメニューはベータ版でのヘルプセンターメニューからかなり簡素化されました。
- コントロールセンタ(コントロールパネル)のメイン画面
- フォント設定
コントロールセンタの[ルック&フィール]−[フォント]でフォントの設定ができます。
KDE環境のデフォルトフォントは「TBPゴシックR」(Tbpgothic r)になっています。
- KDEキーボードツール
KDEパネルの右側にあるKDEシステムトレイには標準で4個のアイコンが入っています。
- KDEキーボードツール(jpと表示されたアイコン)
- ボリューム(スピーカマークのアイコン)
- Click-N-Run(緑色の丸いアイコン)
- VirusSafe(注射マークのアイコン)
KDEキーボードツールはコントロールセンタの[周辺装置]−[キーボード]からも起動できます。
キーボードの設定画面で「キーボード配置を有効にする」というオプションによってシステムトレイへのKDEキーボードツールアイコンの表示・非表示を切り替えられます。
- フロッピーのフォーマットツール
KDEにはフロッピーのフォーマットツール(kfloppy)が付属しています。
ファイルシステムとしてはext2形式だけではなくDOS形式もサポートしています。
(4)Webブラウザ
LindowsOSにはWebブラウザとしてMozillaベースのLindows Internet Suiteが標準で入っています。
外観の一部はLindowsOS用にカスタマイズされています。
[ヘルプ]−[Lindows Internet Suiteについて]でLindows Internet Suite情報が確認できます。
(5)画面キャプチャコマンド
画面やウィンドウのキャプチャ画像はxwdコマンドで取得できます。
画像形式はxwd形式です。
例えば「xwd>test.xwd」のように打ち込んでキャプチャしたい部分をマウスでクリックするとtest.xwdという画像ファイルが作成されます(実行例)。
(6)ネットワークの設定
LindowsOS 4.0でのネットワーク設定はKDEのコントロールセンタ(コントロールパネル)で行います。
具体的にはコントロールセンタの[ネットワーク]−[ネットワーク接続]での「Setup」タブ等で設定します。
Sambaサーバの起動もコントロールセンタから行えます。
(7)SambaによるWindows連携
LindowsOS 4.0ではSambaサーバ/クライアントが標準でインストールされます。
コントロールセンター等で必要な設定をしておけばWindowsとのファイル共有も簡単に行えます。
- Sambaクライアント
LindowsOSからWindows共有リソースをアクセスするにはLindowsOSデスクトップ上のネットワークブラウザ(実体は単なるKonqueror)を起動します。
- smb://マシン名指定の場合
該当マシンの共有リソース一覧が表示されます。
ここに表示されたリソースをダブルクリックするとその内容が表示されます。
また共有リソースを右クリックして「新規ウィンドウ」を選択するとそのリソースの内容が別ウィンドウで表示されます。
- smb:/マシン名指定の場合
これはsmb://マシン名指定の場合と同じです。
- rlan:/指定の場合
Koquerorの場所欄に単に「rlan:/」を指定するとマシン名(ホスト名)一覧が表示されます。
- Sambaサーバ
下例はLindowsOSのSambaサーバを起動し、WindowsエクスプローラからLindowsOS内のファイルを表示してみたものです。
(8)Click-N-Runの利用
インターネットに接続した状態でClick-N-Runを使用すると複数のDebianパッケージから成るアプリケーションソフトもワンクリックだけでダウンロード・パッケージ解凍・インストールが簡単に行えます。
インストールされたアプリケーションはKDEのLメニューに自動登録されます。
またオプション設定でデスクトップにアイコンの自動登録も行えます。
当然ながらClick-N-Runはブロードバンド環境で快適に使用できます。
- Click-N-Runの起動
デスクトップやKDEパネル上にある緑色の丸いアイコンで「Click-N-Run」を起動できます。
- Lindows.comへのログイン
「Click-N-Run」を起動するとLindows.com(Click-N-Runウェアハウス)へのログイン画面が表示されます。
初回はまずログイン画面からライセンス登録画面に遷移して、Click-N-Runのシリアル番号、メールアドレス、パスワード等の登録を行います。
登録が済むとLindows.comへのログイン画面でメールアドレス及びパスワードを入力してログインを完了させます。
- アプリケーションのダウンロード&インストール
LindowsOSにはGIMPは付属していませんのでClick-N-RunウェアハウスからGIMPをインストールしてみました。
まずClick-N-Runウェアハウスのカテゴリ中にある「マルチメディア」−「画像編集」からアプリケーション一覧を表示させます。
その一覧の中にGIMPがあり、その左端にある緑色の小さなインストールアイコンをワンクリックすると必要なパッケージ群(gimp1.3-common,libgimp1.3等)のダウンロード&インストールが完全自動で行われます。
尚、下記画像の中にある「Photogenics」のように有償のものもあります。
実寸画像はこちらです。
- GIMPインストールのプログレス表示
- パッケージ内容の確認
GIMPをインストールするとgimp1.3の他にgimp1.3-common等のDebianパッケージも自動的にインストールされます。
gimp1.3-commonパッケージでインストールされるファイルを「dpkg -L gimp1.3-common」で調べてみた結果はこちらです。
- GIMPの利用
フォトレタッチソフトのGIMPは日本語対応になっています。
GIMPを導入すると画像表示や画面キャプチャも簡単に行えます。
尚、LindowsOS 4.0 日本語版にはタイプバンクのフォントが入っておりGIMPでそのフォントを利用することもできます。
GIMPでのテキストツール利用例はこちらです。
(9)apt-getとClick-N-Run
Click-N-Runを使わなくてもapt-getを使って/etc/apt/sources.listに登録されているサイトからDebianパッケージをダウンロード&インストールが行えます。
つまりアプリケーションのインストールはClick-N-Runライセンスがなくてもapt-getで行えることになります。
ここではxosviewをapt-getでインストールする方法を紹介します。
xosviewのインストールは以下の二つのコマンドを実行するだけで済みます。
apt-get update
apt-get install xosview
apt-get updateというのはLindowsOS内でのパッケージデータベース情報を最新にするものです。
apt-get installはパッケージデータベースを元にパッケージのダウンロード&インストールを行うものです。
xosviewをapt-getでインストールした場合はKDEのアプリケーションメニューにxosviewは登録されません。
しかしClick-N-Runでxosviewをインストールした場合はKDEのアプリケーションメニューにxosviewは登録されます。
その実験結果を紹介します。
- apt-getでインストールしたxosviewのアンインストール
次のコマンドでxosviewをアンインストールします。
apt-get remove xosview
- Click-N-Runによるxosviewのインストール
Click-N-RunでXOSviewを選択して緑色のインストールボタンを押すだけでインストールが完了します。
- アプリケーションメニューのxosview
Click-N-RunでxosviewをインストールするとKDEのアプリケーションにxosviewが登録され、そのメニューからxosviewを起動できます。
Click-N-Runはフリーのソフトウェアだけをダウンロード&インストールするにもライセンス費用がかかります。
GNUライセンスのフリーのソフトウェアを有償で流通させるのはGNUライセンスでは特に問題はないのですが、せめてフリーソフトウェアをインストールするだけならClick-N-Runのライセンス料は不要な方がいいかと思います。
つまり有償のソフトウェアをClick-N-Runでインストールしようとした初回時のみClick-N-Runのアクティベーションが必要となるのがベターということです。
(10)StarSuite 6.0
Click-N-RunでStarSuite 6.0をインストールすることができます。
この場合、StarSuite 6.0独自のインストーラは起動されずClick-N-Runが、StarSuite 6.0を完全自動インストールします。
StarSuiteのプログラムは/usr/starsuite6.0/programディレクトリに自動インストールされます。
今回試したブロードバンド環境ではStarSuite 6.0(日本語対応版のサイズは109.86MB)のダウンロード開始からインストール完了まで約9分かかりました。
- StarSuite 6.0のメニュー
アプリケーションメニューのオフィスメニューに「StarSuite 6.0」が登録されます。
- StarSuite Writerの利用例
StarSuiteのプリンタの管理でタイプバンクのフォント(TBPゴシックR)を追加することによりStarSuiteでタイプバンクのフォントが使用できるようになります。
(11)画面解像度の変更
画面解像度の変更はコントロールセンタの[周辺装置]−[ディスプレイ]で変更します。
また「初めての設定」画面の「詳細設定」の「ディスプレイ解像度設定」からも行えます。
画面解像度を1600x1200にしてみたデスクトップ画面例はこちらです。
(12)プリンタの設定手順
プリンタの設定はデスクトップ上にある印刷マネジャで行えます。
印刷マネジャはKDEコンポーネントの一つです。
- 印刷マネジャの起動
- 印刷マネジャの左上にある「プリンタ/クラスを追加」というボタンを押下
- 「プリンタを追加」というウィザードで、まずバックエンドとして「ローカルプリンタ」等を選択
- ローカルポートとしてパラレルポートを選択
- プリンタモデルの選択
- プリンタの印刷テスト
<テスト>ボタンでテスト印刷が始まり「Printer Test Page」が印刷されます。
印刷結果の用紙をスキャナで読み取ったものはこちらです。
- 印刷完了後にプリンタ名を指定
- ウィザードの<完了>ボタンでプリンタの設定完了
(13)パーティションの自動マウント
LindowsOSはそのLindowsOS以外のパーティションを自動的にマウントします。
このためWindowsと同居させている場合はmountコマンドを使用しなくてもWindows環境内のデータをアクセスできます(NTFSでは書き込み不可)。
- /etc/fstab
例えば内蔵IDEディスクにWindowsXP用のNTFSパーティションがあって、SCSIのディスクには別のLindowsOSやRedHat Linuxが入っているとすると/etc/fstabは以下の行を含むようになります。
# <file system> <mount point> <type> <options> <dump> <pass>
/dev/sda3 /disks/redhat ext2 defaults 0 2
/dev/sda6 /disks/lindowsos reiserfs rw 0 0
/dev/hda1 /disks/dos ntfs defaults 0 2
- dfコマンドによるパーテョション情報確認
上記のパーティション構成の場合、dfコマンドでは例えば次のように表示されます。
Filesystem 1K-blocks Used Available Use% Mounted on
/dev/scsi/host0/bus0/target0/lun0/part3
8285908 7678800 186208 98% /disks/redhat
/dev/scsi/host0/bus0/target0/lun0/part6
8224992 1118364 7106628 14% /disks/lindowsos
/dev/ide/host0/bus0/target0/lun0/part1
120045680 76534580 43511100 64% /disks/dos
- Windows XPパーティション(NTFS)アクセス
残念ながら日本語ファイル名のファイルは表示されません。
またKwriteでは日本語テキスト表示ができないようです(エンコーディングオプションが見当たりません)。
(14)USBメモリの利用
USBメモリ(ディスク)の利用手順は簡単です。
- USBメモリの接続
まずUSBメモリを接続します。
- USBメモリのアイコン
デスクトップ上に「Solid state disk(D)」というようなアイコンが表示され自動マウントされます(マウント先は/root/.D)。
マイコンピューターの中にも表示されます。
- USBメモリのアクセス
Windows環境で作成した日本語ファイル名/ディレクトリ名には対応していないようです。
- マウント解除
USBメモリのアイコンを右クリックして「マウント解除」を実行します。
すると「安全取り出し...」のメッセージが表示されます。
- USBメモリの取り出し
マウント解除後はいつでも取り出しOKで、取り出すとUSBメモリのアイコンが消えます。
尚、マウント解除を実行せずにUSBメモリを取り出すと警告メッセージが出ます。
(15)USBポータブルハードディスクの利用
ポータブル外付けハードディスクとしてメルコ製のHD-PU2シリーズ(USB2.0/USB1.1対応)のHD-P80U(容量:80GB)をLindowsOS環境で使用してみました。
USBポータブルハードディスクはLinux環境ではSCSIディスクとして扱われます。
- LindowsOSインストーラによるUSBポータブルハードディスクの認識テスト
USBポータブルハードディスクをUSB2.0ポートに接続してLindowsOSインストーラを起動すると「上級者向けインストール」のパーティション選択画面においてUSBポータブルハードディスクがSCSIディスクとして表示されます(HD-P80UはIC25N080 ATMR04-0と表示されます)。
尚、USBポータブルハードディスクへのLindowsOSのインストールテストは未実施です(USBポータブルハードディスクからのブートには対応していないはずなので)。
- LindowsOS起動後のUSBポータブルハードディスクの利用
- シングルパーティションタイプのUSBポータブルハードディスクの利用
工場出荷時のHD-P80UはシングルパーティションでFAT32でフォーマット済みです。
Windows XP環境でこのUSBポータブルハードディスクにダミーファイルを作成して削除しておきました。
この結果USBポータブルハードディスクにはRecycledフォルダとSystem Volume Informationフォルダが残ります。
USBポータブルハードディスクをUSB(2.0/1.1)ポートに接続するとそれが/root/.Dに自動マウントされて、デスクトップ上に「MELCO INC. USB2-IDE Bridge(D)」というアイコンがマウント済みマーク(緑色の矢印マーク)付きで表示されます。
このアイコンをダブルクリックするとファイルマネジャ(Konqueror)で/root/.Dディレクトリの内容が表示されます。
USBポータブルハードディスクへのファイルのコピー等はKonquerorによるドラッグ&ドロップ操作で簡単に行えます。
マウントされたUSBポータブルハードディスクをマウント解除するには「MELCO INC. USB2-IDE Bridge(D)」アイコンの右クリックメニューの中から「マウント解除」を選択します。
これによって「安全取り出し...」のメッセージが表示されてアイコンからマウント済みマークが消えます。
- マルチパーティションタイプのUSBポータブルハードディスクの利用
USBポータブルハードディスクをLinux環境で次のようにパーティション分割してみました。
・基本パーティション(1個):ext3パーティション(/dev/sda1相当)
・拡張パーティション(1個):swapパーティション(/dev/sda5相当), FAT32パーティション(/dev/sda6相当), NTFSパーティション(/dev/sda7相当)
ext3パーティション, FAT32パーティション, NTFSパーティションはそれぞれの形式でフォーマットしました。
LindowsOS起動後にUSBポータブルハードディスクをUSBポートに接続すると1番目の基本パーティションが例えば/root/.Eに自動マウントされて、デスクトップ上に「MELCO INC. USB2-IDE Bridge(E)」というアイコンがマウント済みマーク(緑色の矢印マーク)付きで表示されます。
このアイコンをダブルクリックするとファイルマネジャ(Konqueror)で/root/.Eディレクトリの内容が表示されます。
他の論理パーティションのマウントは「mount /dev/sdb6 /mnt/tmp」等のmountコマンドでマウントできます。
マウントされたマルチパーティションタイプのUSBポータブルハードディスクの各パーティションのファイルアクセスはシングルパーティションタイプの場合と同様に自由に行えます。
(16)デジタルカメラの利用
LindowsOSにはデジカム(Digikam)というKDE画像管理ソフト(gphoto2のフロントエンド)が標準で付いていてデジタルカメラの画像を利用することができます。
尚、Digikamのバージョンは「dpkg -L digikam」で確認すると「0.5.1-1.lindows6」と表示され日本語対応になっているようです。
デジタルカメラの機種の設定はデジカムの[設定]−[設定]の「カメラ設定」タブにある<自動認識>ボタンを押すことで認識させることができます。
[カメラ]−[接続]でデジカメ内の画像がサムネール表示されますので内蔵ビューアで見たり、画像を名前を付けて保存することなどが簡単に行えます。
(17)スキャナの利用
EPSON GT-9700FというスキャナをUSB接続して使用してみました。
スキャナの電源を入れると次のメッセージが表示されます。
まず、そのスキャナを使えるようにするためにはLinuxコマンドにお世話にならなければなりません。
手順はエプソンコーワのLinuxサイトに書かれている情報を参考にすればOKです。
(18)音楽再生ソフト
LindowsOS 4.0には音楽再生ソフトとしてMP3プレーヤとCDプレーヤが標準で付属しています。
- MP3プレーヤ(XMMS)
My Musicディレクトリには「Thankyou.mp3」と「Emily Richards - MeetMe.mp3」という二つのサンプル音楽ファイルがあります。
Thankyou.mp3を再生すると「Thank you for choosing LindowsOS.」という音声が流れます。
- CDプレーヤ(kscd)
音楽CDをKDEのCDプレーヤ(kscd)で再生すると曲名が表示されます。
(19)動画ファイルの再生
マルチメディアプレーヤの一つであるXineはClick-N-Runでインストールでき、アプリケーションメニューの「オーディオ & MP3」にメニュー登録されます。
Xineはavi , mov , wmv , mp3の他に音楽CD等も再生できます。
また暗号化されていないDVDの再生もでるようです。
XineでWindows XPのNTFSパーティションにあるサンプル動画ファイル(Qcam 付属のImageStudioに付いているAnimation.avi)を再生してみました。
コマンドラインからの起動は「xine -l "/disks/dos/Program Files/(途中略)/Animation.avi &」となります。
この「-l」オプションは繰り返し再生用です。
Xineによる動画ファイルの再生例。
(20)DVDの鑑賞
Click-N-Runサイト(Click-N-Runウェアハウス)にはDVD PlayerというDVD再生ソフトがありますがこれは有償でClick-N-RunからDVD Playerの購入手続きが必要となります。
そこで無償のMPlayerをClick-N-Runでインストールして商用DVDを再生してみましょう。
尚、MPlayerはDVDだけでなくAVI , MPEGなどの動画ファイルの再生も行えます。
MPlayerをインストールするとmplayerとgmplayerという二つのアプリケーションが利用できるようになります。
mplayerもgmplayerもそれぞれ単独で利用できますがgmplayerはmplayerに操作パネルを表示させる機能を追加したものです。
mplayerもgmplayerも共にDVD用デバイスは/dev/dvdであることを前提にしていますので必要に応じて「ln -s /dev/cdrom /dev/dvd」コマンドを実行しておきます。
- mplayer
mplayerをコマンドから起動する場合には次のコマンドを打つだけでDVDの画像・音声の再生ができます。
mplayer -dvd 1
ここの「-dvd 1」というのはDVDコンテンツのトラック1のことを指します。
mplayerによるDVD再生例。
- gmplayer
gmplayerをコマンドから起動する場合には次のコマンドを打つだけでDVDの画像・音声の再生ができます。
gmplayerの場合には横長の小さな操作パネルが表示されます。
mplayer -vo xv -dvd 1
gmplayerの操作パネル例。
(21)ビデオキャプチャカードの利用
現状では、ビデオキャプチャカードを使ってTVやビデオを再生するにはxawtvを利用するのが一般的なようです。
Click-N-Runでのxawtv(untested版)のインストールが失敗したため、とりあえずapt-getでxawtvをインストールしてみました。
今回使用したビデオキャプチャカードはBT878系のキャプチャカードです。
xawtvを起動して画面再生ウィンドウを右クリックするとOptions画面が出ますので入力映像ソース等を指定すれば再生可能となります。
細かい設定は~/.xawtvを直接編集して行います。
xawtvの使用例(夏の雲)。
(22)デスクトップアクセサリとしてのxsnow
デスクトップ画面に雪を降らせるxsnowはClick-N-Runでインストールできますがそのバージョンは1.41です。しかもClick-N-Run上は「xsnow(untested)」と表示されます。
そこでClick-N-RunでインストールしたxsnowをClick-N-Runで一旦アンインストールし(アンインストールは「Click-N-Runステータス」画面からできます:アンインストール結果)、apt-getでxsnow 1.42をインストールしてみました。
xsnowを使用するためにはKDEコントロールセンタの「ルック&フィール」−[デスクトップ]で<デスクトップウィンドウ内のサポートプログラム>オプションを有効にしておく必要があります。
xsnowの実行例。
(23)ブートフロッピーの作成
LindowsOSのインストール過程ではブートフロッピーを作成することはできません。
ブートフロッピーは以下の手順で簡単に作成できます。
- フロッピーディスクのフォーマット
これはフロッピーのフォーマットツールを使用してext2形式でフォーマットします。
- ブートフロッピー作成用lilo設定ファイルの準備
/etc/lilo.confを/etc/lilo.floppy等の名称でコピーします。
/etc/lilo.floppyを編集して「boot=/dev/hda」とか「boot=/dev/sda」になっている部分を「boot=/dev/fd0」に変更します。
- フロッピーディスクへのliloブートマネジャの書き込み
「lilo -C /etc/lilo.floppy」コマンドを実行してliloブートマネジャをフロッピーディスクに書き込みます。
- MBR内のliloブートマネジャの削除について
LindowsOSをブートフロッピーだけで起動する運用にする場合には「lilo -u /dev/hda」でMBR内のliloブートマネジャを削除します。
- ブートフロッピーでのLindowsOS起動
上記で作成したブートフロッピーでブートするとLindowsOSを起動できます。
(24)VMware及びVirtual PCでのLindowsOS利用
LindowsOS 4.0日本語版はPCエミュレータであるVMwareやVirtual PC環境でも実行させることができます。
今回は「VMware Workstation 3.2 for Windows」と「Virtual PC for Windows 5.0(VPC5)」環境でLindowsOS 4.0日本語版の動作を確認してみました。
以下にそのポイントだけを紹介します。
- VMware Workstation 3.2 for Windowsでの確認
- インストール直後のVMware用Xサーバの組み込み
LindowsOSをインストールしてもVMware用のXサーバが組み込まれていないためLindowsOSをブートしてもLindowsOSのログイン画面は表示されないままLindowsOSが止まってしまいます。
そこで、以下の手順でVMware Toolsをインストールします。
VMware ToolsにはVMware用のXサーバ(VMware SVGAサーバ)が含まれています。
- LindowsOS用の仮想マシンを選択してVMwareを<パワーオン>にします。
- Diagnosticsモードでのブート
仮想マシンのブート時、「1. LindowsOS」と「2. Diagnostics」のうち「2. Diagnostics」を選択してDiagnosticsモード(コンソールモード)でブートします。
途中でrootユーザのパスワードを入力します。
- rootのパスワード認証後、VMwareの[設定]-[VMware Toolsインストール]を起動します。
- コンソールモードで次のコマンドを実行します。
mount /mnt/cdrom
cp /mnt/cdrom/vmware-linux-tools.tar.gz /tmp
cd /tmp
tar zxf vmware-linux-tools.tar.gz
cd vmware-linux-tools
./install.pl other
install.plの質問についてはすべてデフォルトの応答でOKです。
これでVMware Toolsのインストールは完了ですのでリブートします。
- 日本語の文字化けとその対策
VMware Toolsのインストール直後のKDEデスクトップは日本語の文字化けが発生することがあります。
その場合は/root/.kdeを一旦削除して再ログインします。
再ログインするとKDE環境の設定ウィザードが出ますのでとりあえずすべてデフォルトでウィザードを進めます。
必要に応じてKDEのコントロールセンタで外観等の設定変更をします。
また/etc/X11/XF86Config-4.vm(これはXF86Config-4のリンク先)内のInputDeviceセクションのキーボードモデル等の設定情報も変更しておきます。
とりあえずの文字化け対策後のVMware環境のデスクトップ画像はこちらです。
- Virtual PC for Windows 5.0(VPC5)での確認
- インストール時におけるディスク/パーティションの選択
インストール先はVPC5のIDE内蔵ディスクを選択しました。
- 日本語の文字化けとその対策
インストール直後のKDEデスクトップは日本語の文字化けが発生することがあります。
その場合は/root/.kdeを一旦削除して再ログインします。
再ログインするとKDE環境の設定ウィザードが出ますのでとりあえずすべてデフォルトでウィザードを進めます。
必要に応じてKDEのコントロールセンタで外観等の設定変更をします。
とりあえずの文字化け対策後のVPC5環境のデスクトップ画像はこちらです。
・文字化け時のKDEメニュー
・文字化け対策後のKDEメニュー
(25)その他
- ATOK12 SE for Linux
かな漢字変換ソフトとしてはLindowsOS向けのATOK12 SE for Linuxが搭載されています。
- Click-N-Runカテゴリ表示の日本語化
Click-N-Run自体が自動更新されてClick-N-Runが自動再起動されたりするとClick-N-Runカテゴリの表示が英語表示になることがあります。
そのような場合はClick-N-Runを一旦ログアウトして再度ログイン(メールアドレス、パスワード入力)すれば日本語表示に戻ります。
- 他のLinuxからreiserfsパーティションのマウント
Red Hat Linux 7.x等からLindowsOSのreiserfsパーティションをマウントすることができます。
例えばLindowsOSのreiserfsパーティションが/dev/sda1にある場合は「mount /dev/sda1 /mnt/tmp」コマンドでマウントできます。
- パーティション設定ツール
LindowsOSにはDebianでおなじみのパーティション設定ツール(cfdisk)が付属しています。
「cfdisk /dev/hda」の実行例。
- パッケージ管理フロントエンド
LindowsOSにはDebianのパッケージ管理フロントエンド(dselect)も付属しています。
- アプリケーションの強制終了
X Windows環境でフリーズしたアプリケーションを強制終了させるコマンドとしてはxkillコマンドが使用できますが、LindowsOSにはlindowsxkillも用意されています。
lindowsxkillはLindowsOSの「アプリケーションの強制終了」メニューで起動できます。
「アプリケーションの強制終了」を起動するとマウスカーソルが四角の形になり、強制終了させたいアプリケーションウィンドウをクリックするとそのアプリケーションが消滅します。
(25)全体的な印象
- Debianの隠蔽
LindowsOSはDebian GNU/Linuxをベースにしていますがインストーラの簡略化やClick-N-Runのサポート等により最初のうちはDebianをほとんど意識させないようになっています。
しかしシステムメンテナンス/トラブル対応時においてはLinuxのコマンドを直接使用することが多くなります。
またそのシステムメンテナンス/トラブル対応にはDebian独自のシステム管理方法についての知識も必要となってきます。
- 長い起動時間
LindowsOS起動時はコンソールメッセージは流れないものの起動時間が2分程度かかり、やはり起動時間が長いと感じます(サーバソフトは入っていないにもかかわらず...)。
但し、サーバソフトが入っていないためシャットダウンにかかる時間は短いようです。
- フリーソフトインストールの有償化について
LindowsOSでのアプリケーションインストールの基本はClick-N-Runとなっています。
フリーソフトだけをインストールするのであればClick-N-Runは無償で使えるようになっていた方がよいような気もします。
もちろんapt-getを使えばフリーソフトのインストールは無償で済みますが...。
- Click-N-Runで「自由に」インストールできないソフトの存在
LindowsOS 4.0 日本語版付属の「Start Up Guide」の最初のページには以下のようなClick-N-Runの説明があります。
インターネットを介してアプリケーションソフトを自由にダウンロード/インストールできるシステムです。
ここでの「自由に」というのはClick-N-Run自体のライセンス費用以外は無償と解釈できる訳ですが実際には「DVD Player」をインストールしようとするとショッピングコーナに誘導されて購入手続きをしなければなりません。
- 標準付属アプリケーションの少なさ
GIMP等の基本的なアプリケーションは標準で付属していてもいいように思います。
- KDEへの強い依存性
ユーザインタフェースやシステム設定のほとんどがKDEに依存しています。
もう少しLindowsOSとしての訴求力をもった先進的工夫が欲しいところです。
- Debianのサブセット
LindowsOS 4.0の構成を見る限りインストーラやClick-N-Runを除いてはDebian GNU/Linuxの単なるサブセットという印象しかなく、全く新しいLinuxディストリビューションという感じは致しません。
- キラーアプリケーションの欠如
LindowsOSを普及させるにはやはり従来OSにないキラーアプリケーション(そのOSをどうしても使わざるを得なくなるようなアプリケーション)が必要です。
今後はキラーアプリケーションのサポートが強く望まれます。
- 不十分な日本語化
LindowsOS 4.0 日本語版では随所に英語表現が残ったままになっています。
特にClick-N-Runの要とも言うべき画面右側のアプリケーション説明がすべて英語であり「日本語版」と言うにはかなり無理があるようです(但しClick-N-Runへのログイン画面だけは日本語表記になっています)。
- ファイルシステムチェックツール(e2fsck)
LindowsOSがフリーズした時などにPCの電源を強制的にOFFにしてLindowsOSを再起動すると自動マウントしたファイルシステムのうちのext2ファイルシステム及びreiserfsファイルシステムに対してe2fsckが自動実行されます。
しかしe2fsckが自動実行されている様子は画面上からは見えませんのでログイン画面が出るまではちょっとイライラするかも知れません。
(Diagnosticsモードではe2fsck実行状況がコンソール表示されます)
(26)LindowsCD 日本語版の利用
LindowsCD 日本語版は単体製品として2003年11月28日にようやくリリースされました。
このLindowsCDのキャッチフレーズはその製品パッケージに書かれているように「持ち歩くOS」です。
ここではLindowsCD 日本語版をごく簡単に紹介します。
- CDからのブート
CDからブートするとそのブートメニューには「1. LindowsCD」「2. Diagnostics」という二つのメニューが表示されます。
ブートメニューで「1. LindowsCD」を選択すると「Starting LindowsCD」と表示されます。
ネットワーク(LAN/インターネット)接続も行えます。
- デスクトップ
LindowsCD 英語版と違ってLindowsCD 日本語版にはRealPlayerやOpenOffice.orgは入っていませんがOperaやksnapshot等が入っています(Operaのバージョンは7.21)。
(インストール用CDにはOperaやksnapshotは入っていません)
LindowsCDのデスクトップには「Opera」アイコン、「メール&ストレージ」アイコンもあります。
ストレージとはストレージサービスのことで、それを利用するには製品付属のストレージサービスシリアルナンバーによるアクティベーションが必要となります。
実寸画像はこちらです。
- 商用フォント
LindowsCD 日本語版にはタイプバンクの商用フォントが含まれています。
- Opera 7.21の利用例