Intel MacでのVMware仮想マシン共有
Intel MacマシンではMac OS X, Windows, Linuxのマルチブート環境を簡単に構築できます。
またそれらのOSに共通の仮想化ソフトとしてはVMware、QEMU、VirtualBox等があります。
今回はVMware系の仮想マシン環境(仮想マシン構成ファイルや仮想ディスク)をマルチブート環境で共有する手順を紹介します。
前提条件は以下の通りです。
- Intel Macマシン
今回使用したマシンは17インチMacBook Pro(機種ID:MacBookPro5,2)でCPUはCore 2 Duo 2.8GHzでメモリは4GBです。
- 仮想マシンを共有するマルチブート環境OS
(1)Mac OS X:Snow Leopard
(2)Windows:Windows 7 Ultimate(32ビット版)
(3)Linux:CentOS 5.4(64ビット版)及びUbuntu Desktop 9.04(32ビット版)
尚、上記OSはIntel MacでのWindows→Linux→Mac OS X...インストール手順で示した方法でインストールしたものです。
これらのOSのパーティション位置等は以下の通りです。
パーティション(容量) | ファイルシステム | 用途 | 備考 |
/dev/sda3(160GB) ボリューム名:BOOTCAMP | NTFS | Windows 7 | Boot Campパーティション |
/dev/sda4(40GB) ボリューム名:UBUNTU | ext3 | Ubuntu 9.04 | このGRUBをOS切り替えに使用 |
/dev/sda5(200GB) ボリューム名:Macintosh HD | Mac OS 拡張(ジャーナリング) | Mac OS X | rEFItの導入なし |
/dev/sda6(40GB) ボリューム名:CENTOS | ext3 | CentOS 5.4 | Xenブート含む |
- 仮想マシンを共有するOS別VMware製品
(1)Mac OS X(Snow Leopard):VMware Fusion 3
(2)Windows(Windows 7):VMware Workstation 7
(3)Linux(CentOS 5.4):VMware Server 1.0.6 ※無償ソフトです。
(4)Linux(Ubuntu 9.04):VMware Workstation 7
※VMware Workstation 7は(従来バージョンからのアップグレード版もあり)Webで申し込むと
「VMware Workstation 7 シリアルナンバー」の通知書がすぐに送付されてきます。
- 仮想マシン環境の設置パーティション
共有対象にする仮想マシン環境の設置パーティションはBoot Campパーティション(NTFS)とします。
- 最初に構築する仮想マシン環境
最初に構築する仮想マシン環境はWindows VistaのVMware Server 1.0.6の仮想マシンをVMware Fusionに移行させたものとします。
尚、この仮想マシンのゲストOSはWindows XP Professional(SP3版)とします。
- Boot Campパーティションの共有可能化
共有対象にする仮想マシン環境の設置パーティションはBoot Campパーティション(NTFS)です。
それを実現するためにまずMac OS X(Snow Leopard)やLinux(CentOS 5.4)から読み書きできるようにします。
- Mac OS XからBoot Campパーティションの読み書き可能化と自動マウント設定
(1)Mac OS X側で/etc/fstabを新規作成しその内容を「LABEL=BOOTCAMP none ntfs rw」の1行にして再起動します。
(2)USB HDDのNTFSにも書き込みができるようにNTFS-3Gもインストールしておきます(任意)。
※Snow Leopard対応の比較的新しいNTFS-3Gはntfs-3g-2009.11.14-macosx.dmgです(sourceforge.netより取得)。
- LinuxからBoot Campパーティションの読み書き可能化と自動マウント設定
- CentOS 5.4編
Linux(ここでは64ビット版のCentOS 5.4)からのBoot Campパーティションの読み書き可能化と自動マウント設定は以下の通りです。
(1)kernel-develパッケージのインストール
# yum install kernel-devel-2.6.18-164.el5
(2)sourceforge.netからのfuse-2.8.1.tar.gzとwww.tuxera.comからのntfs-3g-2009.11.14.tgzを取得して以下のコマンドを実行します。
# tar zxvf fuse-2.8.1.tar.gz
# cd fuse-2.8.1
# ./configure
# make
# make install
# cd
# tar zxvf ntfs-3g-2009.11.14.tgz
# cd ntfs-3g-2009.11.14
# ./configure
# make
# make install
# cd
# ln -s /bin/ntfs-3g /sbin/mount.ntfs
# mkdir /BOOTCAMP
# vi /etc/fstab
「/dev/sda3 /BOOTCAMP ntfs defaults 0 0」という行を追加します。
# reboot
これでCentOSを起動するごとに/dev/sda3(Boot Campパーティション)が/BOOTCAMPに自動マウントされます。
※Xenカーネル起動時にも自動マウントされます。
# mkdir -p /BOOTCAMP/mbpshare/VMGuest ※仮想マシンディレクトリの格納場所です。
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- Ubuntu 9.04編
Linux(ここでは32ビット版のUbuntu 9.04)からのBoot Campパーティションの読み書き可能化と自動マウント設定は以下の通りです。
(1)Ubuntu 9.04は標準でNTFSパーティションの読み書きが可能になっていますので特にソフトウェアの追加は不要です。
(2)自動マウント設定用に以下のコマンドを実行します。
# mkdir /BOOTCAMP
# vi /etc/fstab
「/dev/sda3 /BOOTCAMP ntfs defaults 0 0」という行を追加します。
# reboot
これでUbuntuを起動するごとに/dev/sda3(Boot Campパーティション)が/BOOTCAMPに自動マウントされます。
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- Windows VistaのVMware Server 1.0.6の仮想マシンの移行
(1)Windows VistaのVMware Server 1.0.6用仮想マシンディレクトリ(例えばVMWinXP)ごと
/BOOTCAMP/mbpshare/VMGuest/macvf3winxpにコピーします。
※このmacvf3winxpには仮想ディスクも含めます(VMware Toolsインストール済み)。
(2)Windows VistaのVMware Server 1.0.6用仮想マシンディレクトリ(VMWinXPディレクトリ)のうち仮想ディスク以外を
/BOOTCAMP/mbpshare/VMGuest/lnxvmswinxpにコピーします。
(3)Windows VistaのVMware Server 1.0.6用仮想マシンディレクトリ(VMWinXPディレクトリ)のうち仮想ディスク以外を
/BOOTCAMP/mbpshare/VMGuest/u904vm7winxpにコピーします。
(4)Windows VistaのVMware Server 1.0.6用仮想マシンディレクトリ(VMWinXPディレクトリ)のうち仮想ディスク以外を
/BOOTCAMP/mbpshare/VMGuest/win7vm7swinxpにコピーします。
(5)ゲストOSのライセンスの関係上、Windows VistaのVMware Server 1.0.6用仮想マシンディレクトリ(VMWinXPディレクトリ)を削除します。
- Mac OS Xでの仮想マシン利用
Mac OS XにVMware Fusion 3インストール後以下の操作を実行します。
(1)Mac OS XのVMware Fusion 3用の仮想マシンディレクトリはBOOTCAMPボリュームの/mbpshare/VMGuest/macvf3winxpです。
(2)VMware Fusion 3を起動します。
(3)[ファイル]−[開く]でBOOTCAMPボリュームの/mbpshare/VMGuest/lnxvmswinxp/Windows XP Professonal.vmxを開きます。
(4)「この仮想マシンをアップグレードしますか?」の質問に対しては<アップグレードしない>を選択します。
(5)仮想マシンの設定画面で物理CD/DVDドライブの設定をD:から実際のものに選択し直します。
(6)「この仮想マシンを移動またはコピーしましたか?」の質問に対しては<移動しました>を選択します。
(7)ステータスバーに「VMware Toolsは最新ではありません」と表示されますがツールのアップデートはしません。
(8)ログオン後のサウンドも鳴ります。
(9)グラフィックデバイスやネットワークデバイスは変化しません。
(10)Mac OS Xでの仮想マシン実行の様子
- Linuxでの仮想マシン利用
- CentOS 5.4編
まずLinux(64ビット版CentOS 5.4)を通常カーネルでブートしてVMware Server 1.0.6を以下の手順で導入します。
# rpm -ivh VMware-server-1.0.6-91891.i386.rpm ※xinetdは導入済みとします。
# vmware-config.pl
※このスクリプトの各質問に答えていきますがシリアル番号以外はデフォルトで構いません。
# mv /etc/sysconfig/modules/kvm.modules /etc/sysconfig/modules/kvm.modules.disabled
※これはKVMが導入されている場合のKVM無効化例です(仮想マシンモニタの多重起動抑止)。
# reboot
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CentOSにVMware Server 1.0.6インストール後以下の操作を実行します。
(1)CentOSのVMware Server 1.0.6用の仮想マシンディレクトリは/BOOTCAMP/mbpshare/VMGuest/lnxvmswinxpです。
(2)[アプリケーション]メニューの[システムツール]からVMware Server Consoleを起動します。
(3)VMware Server Consoleの[File]−[Open]で/BOOTCAMP/mbpshare/VMGuest/lnxvmswinxp/Windows XP Professonal.vmxを開きます。
※特に警告メッセージは表示されません。
(4)Edit Virtual Machine Settingsで仮想マシンの設定画面を開きます。
(5)仮想マシンの設定画面でHard Disk (IDE0:0)としてmacvf3winxp側にある仮想ディスクを割り当てます。
(6)またCD-ROM1はD:からAuto detectに選択し直します。
(7)一旦VMware Server Consoleを閉じます。
(8)仮想マシンディレクトリがNTFSパーティションにあるためページングファイル(xxx.vmem)作成エラー防止のため
/BOOTCAMP/mbpshare/VMGuest/lnxvmswinxp/Windows XP Professonal.vmxの最後にmainMem.useNamedFile=FALSEを追加します。
この行を追加しない場合、「Could not mmap paging file : No such device」(vmware.log)が出て仮想マシンブートは失敗します。
(9)VMware Server Consoleを再起動して[Start up]で仮想マシンをブートします。
(10)UUIDをKeep(移動の場合)するかCreate(コピーの場合)するかの質問に対しては<Keep>を選択します。
(11)グラフィックデバイスやネットワークデバイスは変化しません。
(12)CentOSでの仮想マシン実行の様子
(13)仮想マシンディレクトリがNTFSにあるかどうかに関係なくWindows XPのシャットダウンには時間が掛ります。
- Ubuntu 9.04編
まずLinux(32ビット版Ubuntu 9.04)を通常カーネルでブートしてVMware Workstation 7を以下の手順で導入します。
# sh VMware-Workstation-Full-7.0.0-203739.i386.bundle
※GUIのVMware Workstation Installerが起動されウィザードに沿ってインストールを行います。
次に[アプリケーション]メニューの[システムツール]からVMware Workstationを起動します。
EULA(End User License Agreement)に同意して[Help]−[Enter Serial Number]でシリアル番号を入力します。
VMware Workstationを一旦閉じます。
# reboot
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UbuntuにVMware Workstation 7インストール後以下の操作を実行します。
(1)UbuntuのVMware Workstation 7用の仮想マシンディレクトリは/BOOTCAMP/mbpshare/VMGuest/u904vm7winxpです。
(2)[アプリケーション]メニューの[システムツール]からVMware Workstationを起動します。
(3)VMware Workstationの[File]−[Open]で/BOOTCAMP/mbpshare/VMGuest/u904vm7winxp/Windows XP Professonal.vmxを開きます。
※特に警告メッセージは表示されません。
(4)Edit virtual machine settingsで仮想マシンの設定画面を開きます。
(5)仮想マシンの設定画面でHard Diskとしてmacvf3winxp側にある仮想ディスクを割り当てます。
(6)またCD/DVDはD:からAuto detectに選択し直します。
(7)[Power On]で仮想マシンをブートします。
(8)「この仮想マシンを移動またはコピーしましたか?」の旨の英語の質問に対しては<I moved it>を選択します。
(9)グラフィックデバイスやネットワークデバイスは変化しません。
※ホストOSのUbuntu側が無線LANだけ使用の場合でもゲスト側でのネットワーク利用が可能です。
(10)Ubuntuでの仮想マシン実行の様子(こちらはCube表示例)
(11)CentOSの場合と違って仮想マシンディレクトリがNTFSにあってもWindows XPのシャットダウンは高速です。
- Windowsでの仮想マシン利用
Windows Vista/7でVMware Server 1.0.xを使用すると最初のゲストOS起動にかなり時間が掛ります。
このためここでのWindows(32ビット版Windows 7)ではVMware Workstation 7を使用します。
Windows(32ビット版Windows 7)にVMware Workstation 7インストール後以下の操作を実行します。
(1)WindowsのVMware Workstation 7用の仮想マシンディレクトリはBOOTCAMPのC:\mbpshare\VMGuest\win7vm7winxpです。
(2)VMware Workstation 7を起動します。
(3)VMware Workstation 7の[ファイル]−[開く]でC:\mbpshare\VMGuest\win7vm7winxp\Windows XP Professonal.vmxを開きます。
※特に警告メッセージは表示されません。
(4)「仮想マシン設定」画面でmacvf3winxp側にある仮想ディスクを割り当てます。
またCD/DVD(IDE)は自動検出にします。
(5)仮想マシンを[パワーオン]します。
(6)「この仮想マシンを移動またはコピーしましたか?」の質問に対しては<移動しました>を選択します。
(7)ステータスバーの上側に「インストールされているVMware Toolsのバージョンは最新ではありません。」と表示されますが
ツールのアップデートはしません。
(8)ログオン後のサウンドも鳴ります。
(9)グラフィックデバイスやネットワークデバイスは変化しません。
(10)Windows 7での仮想マシン実行の様子
(11)移行元のVMware Server 1.0.6のVMware Toolsがユニティ対応でないため[表示]−[ユニティ]は警告メッセージが表示されます。