Intel MacでのWindows→Linux→Mac OS X...インストール手順

Intel Macマシンのハイスペック化に伴いマルチブート環境を利用しやすくなりました。
最近のIntel Macマシン環境の傾向は以下の通りです。
(1)内蔵HDDの大容量化(500GB等)に伴い多くのOSをインストールすることができます。
(2)また各OS用パーティション容量も大きく割り当て可能となり容量不足をあまり気にする必要がなくなりました。
(3)搭載CPUの高性能化、メモリの大容量化によりOSの切り替えも格段に高速となりました。
(4)搭載GPUの高性能化によりマルチメディア系アプリもストレスなく利用可能となりました。

Intel Macのスタイリッシュなデザインが気に入ってまずはWindows, Linuxだけ使いたいと思っている人もいるかも知れません。
※将来的にもWindows, Linuxしか使用しないという場合はIntel MacのMBR活用の方を参照して下さい。
しかし後からMac OS Xも追加できる環境にもしておきたいと思っている人も中にはいるかも知れません。
Mac OS Xを後からインストールするためにはパーティションマップ方式をGPT(GUIDパーティションテーブル)にしておけばOKです。
ここでは以下の第一部と第二部に分けてOS(すべて32ビット版)をインストールする手順を紹介します。

今回使用したマシンは17インチMacBook Pro(機種ID:MacBookPro5,2)でCPUはCore 2 Duo 2.8GHzでメモリは4GBです。
尚、内蔵HDDの容量は500GBのものです。

以下では第一部(Windows→Ubuntu導入)と第二部(Mac OS X→CentOS→Fedora導入)に分けて説明しています。

■ 第一部と第二部でのパーティション構成例



■ USBメモリの事前準備

  1. レスキューUSBの作成
    パーティション設定はMac OS XインストールDVDからブートしてディスクユティリティを起動すれば操作できます。
    しかし途中経過をチェックするために今回はレスキューUSB(Snow LeopardをインストールしたUSBメモリ)を用意しました。
    そのボリューム名は「SnowL USB」としました。

  2. rEFIt USBの準備
    第二部でのLinuxインストールではGPTとMBRの不整合が発生します。
    この不整合を修正するためにrEFItのPartitioning Toolを使用します。
    そこでrEFItをUSBメモリに導入した「rEFIt USB」を準備しておきます。



■ 第一部(Windows→Ubuntu導入)

  1. パーティション設定
    (1)レスキューUSBからブートします。
    (2)ディスクユティリティを起動します。
    (3)内蔵HDD全体を以下の設定で消去します。
    ・フォーマット:Mac OS 拡張(ジャーナリング)
    ・名前:Base HD
    (4)この消去でパーティションマップ方式はGUIDパーティションテーブル(GPT)になります。
    消去結果

  2. Windows, Linuxインストール用パーティション作成
    WindowsをインストールできるBoot Campパーティションはパーティション#4(sda4)までの範囲です。
    尚、今回のBoot Campパーティションは最後のパーティションでないこともありdiskutil resizeVolumeでパーティション分割します。
    下記はdiskutil resizeVolumeのコマンド例です。
    sudo diskutil resizeVolume disk0s2            8G \※便宜上改行
                 "MS-DOS FAT32" "WINDOWS"       160G \※便宜上改行
                 "MS-DOS FAT32" "UBUNTU"         40G \※便宜上改行
                 "Journaled HFS+" "Macintosh HD" 280G
    
    ※disk0s2の残留サイズを1Gや4Gに指定すると「Try reducing the amount of change in the size of the partition.」エラーとなります。

  3. Windows 7のインストール(/dev/sda3)
    (1)Windows 7のインストールDVDからパーティション3にWindows 7をインストールします。
    (2)Windowsのインストール場所の指定においてパーティション3の[ドライブオプション]で[フォーマット]を実行します。
    (3)インストール中の自動リブートも問題なく行われます。
    (4)インストール中に無線LAN接続設定も行えます。
    (5)Snow LeopardインストールDVDをセットしてBoot Camp 3.0用ドライバをインストールします。
    (6)Boot Camp用ドライバをインストールするとボリュームラベルは自動的に「BOOTCAMP」になります。
    (7)Snow LeopardインストールDVDを取り出します。
    (8)再起動します。
    (9)サウンド再生やAeroが使用可能になります。
    (10)Windows 7のデスクトップ例
    (11)Boot Camp 3.1について
    Boot Camp 更新プログラム 3.1(380.73MB)は2010年1月19日に公開されました。
    Apple Software Updateを使用することでBoot Camp 更新プログラム 3.1を導入できます。
    これによってのBoot CampでのWindows 7も正式サポートとなりMacBook ProでMighty Mouseも利用可能となりました。

  4. Ubuntu Desktop 9.04のインストール(/dev/sda4)
    (1)インストールCDからUbuntu Desktop 9.04をインストールします。
    (2)GRUBはデフォルトのMBRとします。
    (3)Windows 7はGRUBの「Windows Vista (loader)」というエントリとして自動登録されます。
    (4)Ubuntu Desktop 9.04のインストールでWindows 7がブート不可となることはありません。
    (5)用途に応じてNVIDIAドライバとCompiz Fusion関連パッケージもインストールします(任意)。
    (6)Ubuntu 9.04にMacBookPro5,2対応パッチを含めたalsaモジュールを導入すればサウンド再生可能となります。
    ※出典サイト:https://help.ubuntu.com/community/MacBookPro5-1_5-2/Jaunty#Sound
    MacBookPro5,2対応alsaモジュールインストールの詳細手順(出典サイトからの引用)は以下の通りです。
    # wget ftp://ftp.alsa-project.org/pub/driver/alsa-driver-1.0.19.tar.bz2
    # wget http://qwe.pl/~kacper/alsa-driver-1.0.19-mb51.patch
    # tar jxf ./alsa-driver-1.0.19.tar.bz2
    # mv ./alsa-driver-1.0.19-mb51.patch ./alsa-driver-1.0.19
    # cd ./alsa-driver-1.0.19
    # patch -p2 < ./alsa-driver-1.0.19-mb51.patch
    # ./configure
    # make
    # make install
    ここで再起動すればまずログイン画面(GDM)表示時点でサウンドが鳴ります。
    [システム]−[設定]−[ハードウェア]−[サウンド]でイベントの音の再生テストで音が鳴るのが確認できます。
    Rhythmboxでの音楽CD再生も可能です。
    尚、RhythmboxでMP3ファイルを初めて再生する場合、
    制限付きソフトウェア(gstreamer0.10-ffmpeg,gstreamer0.10-plugins-ugly)が自動インストールされます。
    これによってRhythmboxやTotemでのMP3ファイルの再生が可能となります。
    (7)無線LAN(AirMac)も問題なく動作します。
    (8)Ubuntu 9.04のデスクトップ例

    この第一部の状態のままなら通常のIntelマシンとさほど変わりません。
    しかしMac OS Xをネーティブインストールできるというアドバンテージがあります。


■ 第二部(Mac OS X→CentOS→Fedora導入)

  1. Mac OS X, CentOS, Fedoraインストール用パーティション作成
    (1)レスキューUSBからブートします。
    (2)ターミナルを起動します。
    (3)diskutil resizeVolumeで「Macintosh HD」ボリュームをMac OS X, CentOS, Fedoraインストール用にパーティション分割します。
    下記はdiskutil resizeVolumeのコマンド例です。
    sudo diskutil resizeVolume disk0s5         200G \※便宜上改行
                 "MS-DOS FAT32" "CENTOS"        40G \※便宜上改行
                 "MS-DOS FAT32" "FEDORA"        50G
    

  2. Mac OS X(Snow Leopard)のインストール(/dev/sda5)
    (1)Snow LeopardインストールDVDからブートします。
    (2)Mac OS Xをインストールする場所はサイズ縮小された「Macintosh HD」を選択します。
    (3)インストールの過程で無線LAN(AirMac)接続設定も行えます。
    (4)ローカルアカウントの作成
    (5)これでデスクトップが使用可能になります。
    この時点のパーティション構成

    (6)尚、Mac OS XからBOOTCAMPパーティションの読み書きを簡単に実現するには以下の操作を行います。
    ・Mac OS X側で/etc/fstabを新規作成しその内容を「LABEL=BOOTCAMP none ntfs rw」の1行にして再起動します。
    (7)またUbuntu 9.04では特別な操作無しでNTFSパーティションの読み書きが可能です。

  3. CentOS 5.4のインストール(/dev/sda6)
    (1)CentOS 5.4ではインストール時のパーティション設定で以下の制約があります。
    [制約]
    ブートパーティションは最初の4つのパーティションのいずれかになっていること。
    そこで/dev/sda4(Ubuntu 9.04)を/bootに割り当てて、/dev/sda6を/に割り当ててインストールします。
    ※/dev/sda4(Ubuntu 9.04)を/bootに割り当てる際、[フォーマットをしない]を選択しておきます。
    この場合、/dev/sda4直下にCentOS 5.4用/bootのファイルがインストールされます。
    (2)今回はGRUBブートローダのインストールをスキップさせてみました。
    (3)CentOS 5.4インストール後はWindows起動/Ubuntu起動ができなくなりますので以下の操作を実施します。
    (4)CentOS 5.4のブート準備
    (5)CentOS 5.4のブート

  4. Fedora 10のインストール(/dev/sda7)
    (1)Fedora 10の場合にもCentOS 5.4と同様にインストール時のパーティション設定で以下の制約があります。
    [制約]
    ブートパーティションは最初の4つのパーティションのいずれかになっていること。
    そこで/dev/sda4(Ubuntu 9.04)を/bootに割り当てて、/dev/sda7を/に割り当ててインストールします。
    ※/dev/sda4(Ubuntu 9.04)を/bootに割り当てる際、[フォーマットをしない]を選択しておきます。
    この場合、/dev/sda4直下にFedora 10用/bootのファイルがインストールされます。
    (2)今回はFedora 10の場合もGRUBブートローダのインストールをスキップさせてみました。
    (3)Fedora 10インストール後はWindows起動ができなくなります。
    実はrEFIt USBからブートしてPartitioning Toolを起動するとGPT上のsda4のタイプが「EFI」に変化しています。
    しかしMBR上のsda3はNTFSでsda4はLinuxになっておりPartitioning ToolはGPTとMBRの不整合無しと判断します。
    (4)GPTとMBRの不整合無しのためWindowsの修復はこの時点ではスキップします(後で実施します)。
    (5)MBRのGRUB修復を以下の手順で行います。
    (6)Windowsの修復を行います(Intel Macでのブート環境回復参照)。
    ※このWindowsの修復ではGRUBブートローダは消えません。
    これによってGRUBメユーからWindowsの起動ができるようになります。
    (7)Fedora 10のブート準備
    (8)Fedora 10のブート
  5. Fedora 10でのCompiz Fusion,サウンド再生,無線LAN(AirMac)利用



■ 続編(32ビットCentOS 5.4から64ビットCentOS 5.4への変更)

MacBook Proはメモリを最大8GBまで搭載できます。
そのメモリを有効活用するにはいろいろな仮想環境を構築できる64ビット版CentOSの利用が適しています。
そこで32ビットCentOS 5.4環境を64ビットCentOS 5.4環境に変更してXenでWindows 7を実行させてみました。