Xen 4.4.2(ESXi 6.0/SLES 11利用による完全仮想化対応「仮想Xenホスト」の構築編)


VMware vSphere Hypervisor(ESX/ESXi)[以下ESXiと略]はNested ESXi機能によって実機のESXi上で「ESXiをゲストOSとする仮想マシン」を仮想ESXiホスト化できます。
またWindows Server 2016でもNested Virtualization機能によって実機のWindows Server 2016上で「Windows Server 2016をゲストOSとする仮想マシン」を仮想Hyper-Vホスト化できます。
※無償のHyper-V Server 2016や有償のWindows 10系のクライアントHyper-Vについても同様です。

ESXiではWindows Server 2016をゲストOSとする仮想マシンも仮想Hyper-Vホスト化できます。
更にESXiでは「Xenの完全仮想化対応OSをゲストOSとする仮想マシン」も仮想Xenホスト化できます(代表的なXenの完全仮想化対応OSはSUSE Linux Enterprise Serverです)。
つまり無償版のESXi搭載PCが1台あればその上で3種類の無償仮想化サポートホスト(仮想ESXiホスト仮想Hyper-Vホスト仮想Xenホスト(仮想Xen Hypervisorホスト))を自由に利用できます。
※Hyper-V上ではその仮想マシンにESXi自体をインストールできないためHyper-V上での仮想ESXiホストの構築はできません。

ここではSLES 11 SP4(SUSE Linux Enterprise Server 11 SP4)をESXi環境上で仮想Xenホスト化する手順を紹介します。
※その仮想Xenホスト上のDomainUでSLES 11 SP4やSLES 12 SP1を実行させる方法も紹介します。
尚、オープンギャラリー:Xen 3.0.4(Xen on VMware編)ではVMware環境で「SLES 10 SP1を準仮想化対応の仮想Xenホスト化する」手順を紹介しましたのでESXi環境で「SLES 11 SP4を完全仮想化対応の仮想Xenホスト化する(Xen HVM domU)」手順を扱う本編はその続編という位置付けとなります。
※HVMはHardware Virtual Machine(ハードウェアの仮想化支援機能を利用して動作する仮想マシン)の略です。

今回使用したPCのハードウェア/ソフトウェア構成は以下の通りです。

■ SLES 11 SP4/SLES 12 SP1の取得
(1)60日間無料評価版取得のユーザ登録ページ(https://www.suse.com/ja-jp/products/server/download/amd64-v11.html)を開きます。
(2)ダウンロードサイトのURLがユーザ登録時に指定したメールアドレスに送付されます。
(3)ダウンロードサイトにてSLES 11 SP4(SLES-11-SP4-DVD-x86_64-GM-DVD1.iso)を実際にダウンロードします。



同様にSLES 12 SP1の60日間無料評価版をダウンロードします(ファイル:SLE-12-SP1-Server-DVD-x86_64-GM-DVD1.iso)。


■ ESXi環境でのSLES 11 SP4仮想マシン定義
・仮想マシン名:vssles11xs ※SLES 11 SP4をXen Server的に使用する仮想マシンという意味で「xs」を付けています
・仮想マシンファイルのターゲットストレージ:[datastore2]
・仮想マシンのバージョン:11
・ゲストOS:[Linux]を選択、バージョン:[SUSE Linux Enterprise 11 (64ビット)]を選択
・仮想ソケット数:2
・仮想ソケットあたりのコアの数:2
・メモリサイズ:4GB
・NIC1のネットワーク:[VM Network]、アダプタ:[E1000]を選択(E1000はDomain0のSLES 11 SP4においてVMware Toolsがなくても使用可能です)
[補足]
デフォルトのネットワークアダプタは[VMXNET 3]ですが[VMXNET 3]のドライバ(vmxnet3.ko)はDomain0で動作させるSLES 11 SP4のXenカーネルには含まれていません。
※[E1000]のドライバはDomain0で動作させるSLES 11 SP4のXenカーネルに含まれます。
もし間違って[VMXNET 3]を選択した場合でもDomain0とDomainUとの間では通信可能ですがESXiの属するネットワークには接続できません。
[VMXNET 3]を指定した場合は本仮想マシンの[設定の編集]で[E1000]を追加してブリッジ定義を変更すればESXiの属するネットワークに接続可能となります。
・SCSIコントローラ:[LSI Logic パラレル](デフォルト)
・仮想ディスクのサイズ:127GB、ディスクプロビジョニング:[Thin Provision]に変更
・仮想ディスクノード:[SCSI(0:0)](デフォルト)
この時点の[終了準備の完了]での表示内容はこちらです。
・[設定の編集]
  ・CD/DVDドライブ1のイメージファイル:SLES 11 SP4用のSLES-11-SP4-DVD-x86_64-GM-DVD1.isoをデータストアに事前に格納して選択
  ・USBコントローラ(xHCI)の追加(任意)


■ 仮想マシンへのSLES 11 SP4のインストール
(1)仮想マシンをパワーオン
(2)メニュー画面操作;
・F2 - Language:[日本]を選択
・F3 - ビデオモード:[1152x864]の選択
・実行項目として[インストール]を選択
(3)ようこそ:言語設定
(4)メディアチェック
(5)インストールモード:[新規にインストール]
(6)時計とタイムゾーン
(7)サーバベースシナリオ:[Xen仮想化ホスト(デフォルトで設定されないローカルX11)]を選択
(8)インストールの設定
サーバベースシナリオで[Xen仮想化ホスト(デフォルトで設定されないローカルX11)]を選択すると「ソフトウェア」に[Xen仮想マシンホストサーバ]がデフォルトで選択されます。
またXenカーネルと通常カーネルの両方がインストールされます。
今回は「ソフトウェア」で以下のものを追加しました。
・ヘルプとサポートマニュアル
GNOMEデスクトップ環境
・ファイルサーバ
・WebおよびLAMPサーバ
・C/C++コンパイラとツール
ここで<インストール>を押下するとパッケージがインストールされます。
(9)システム管理者「root」のパスワード
(10)ホストおよびドメイン
・ホスト名:vssles11xs
・ドメイン名:mydomain.net
(11)ネットワーク設定
ネットワーク設定の[ネットワークインタフェース]では以下のように表示されます。
・82545EM Gigabit Ethernet Controller
  0.0.0.0/32で設定済み
・ネットワークブリッジ
  DHCPで設定済み
[ネットワークインタフェース]をクリックして開いてネットワークブリッジに対して固定IPアドレスやホスト名等の設定を行います。

更にVNCリモート管理は[有効]に変更しておきます。
以下特に断りのない限りSLES 11系のインストール設定では常にVNCリモート管理は[有効]に変更するもとします。

(12)インターネットへの接続のテスト
(13)ネットワークサービス設定
ここではデフォルトで作成するCAと証明書の内容を確認するだけでOKです。
(14)ユーザ認証方法
(15)新規のローカルユーザ
(16)リリースノート表示
(17)ハードウェア設定
(18)インストールの完了
(19)再起動後のログイン画面表示
rootでログインします。
(20)デスクトップ表示(VMware Toolsの導入はしません)
(21)シャットダウン
(22)完全仮想化の可否確認


■ 仮想マシンへの完全仮想化サポートの特性付与
(1)仮想マシン(vssles11xs)上で完全仮想化という仮想化方式でDomainUのゲストOSを実行可能とするには仮想マシン(vssles11xs)のVMXファイル(データストア中に存在するファイル)の中に以下の2行を追加します。
VMXファイルの変更はデータストア中に存在するVMXファイル(vssles11xs.vmx)をダウンロード([データストアの参照])、変更、アップロード([データストアの参照])で実施します。
vhv.enable = "TRUE"
featMask.vm.hv.capable = "Min:1"
(2)次に、VMXファイルで指定した仮想化情報が有効になっているかどうかについてvSphere Web Clientで確認します。
具体的にはWebブラウザでhttps://実ESXiホストアドレス/uiを開いてESXiホストのrootでログインします。
仮想マシン(vssles11xs)の[設定の編集]のCPUセクションを展開して仮想化情報を確認します。
[ハードウェアアシストによる仮想化をゲストOSに公開]:onになっていなければonにします。
尚、「CPU/MMU仮想化」の値はデフォルトの[自動]のままとします。



(3)最後に仮想マシン(vssles11xs)を起動してデスクトップの[コンピュータ]-[YaST]-[仮想化]-[仮想マシンの作成]において仮想化方式として[完全仮想化]が選択可能になっていることを確認します。




■ SLES 11 SP4用DomainU仮想マシンの作成
SLES 11 SP4用DVDイメージファイルをデータストアに格納して仮想マシン(vssles11xs)に接続しておきます。
以下の手順でSLES 11 SP4用DomainU仮想マシンの作成を行います。
  1. DomainU仮想マシンの構成定義
    デスクトップの[コンピュータ]-[YaST]-[仮想化]-[仮想マシンの作成]で「仮想マシンの作成」ウィザードを起動して以下の設定をします。

  2. ゲストOSのインストールと実行
    (1)「仮想マシンの作成」ウィザードでの「概要」画面で<OK>を押下するとゲストOSのインストールが開始されます。
    (2)メニュー画面操作;
    ・F2 - Language:[日本]を選択
    ・F3 - ビデオモード:[800x600]の選択
    ・実行項目として[インストール]を選択
    (3)ようこそ:言語設定
    (4)メディアチェック
    (5)インストールモード:[新規にインストール]
    (6)時計とタイムゾーン
    (7)サーバベースシナリオ:[物理マシン(完全仮想化ゲスト向けも)]を選択
    (8)インストールの設定
    今回は「ソフトウェア」で以下のものを追加しました(必須ではありません)。
    ・ファイルサーバ
    ・WebおよびLAMPサーバ
    ・C/C++コンパイラとツール
    ここで<インストール>を押下するとパッケージがインストールされます。
    パッケージのインストールが完了すると自動再起動されます。
    (9)システム管理者「root」のパスワード
    (10)ホストおよびドメイン
    ・ホスト名:xensles11
    ・ドメイン名:mydomain.net
    (11)ネットワーク設定
    ネットワーク設定の[ネットワークインタフェース]では以下のように表示されます。
    ・Virtual Ethernet Card 0
      DHCPで設定済み
    [ネットワークインタフェース]をクリックして開いてeth0に対する<編集>を押下してネットワークカードの設定を行います。
    ここでは実機のESXiホストのネットワーク体系での固定IPアドレスを必ず指定します。
    ※本環境ではDomainUの仮想マシンでのDHCPは機能しないようです。
    またホスト名、DNS、デフォルトゲートウェイも指定します。
    (12)インターネットへの接続のテスト
    (13)ネットワークサービス設定
    ここではデフォルトで作成するCAと証明書の内容を確認するだけでOKです。
    (14)ユーザ認証方法
    (15)新規のローカルユーザ
    (16)リリースノート表示
    (17)ハードウェア設定
    (18)インストールの完了
    (19)ログイン画面表示
    rootでログインします。
    (20)デスクトップ表示
    (21)シャットダウン
    (22)仮想マシンマネジャからのxensles11起動
    (23)rootでログイン
    (24)デスクトップ操作
    下記はDomainUの仮想マシン(xensles11)から実機ESXiホストにvSphere Web Clientで接続している様子です。



    ・実寸画像はこちらです。

    (25)補足事項


■ SLES 12 SP1用DomainU仮想マシンの作成
SLES 12 SP1用DVDイメージファイルをデータストアに格納して仮想マシン(vssles11xs)に接続しておきます。
以下の手順でSLES 12 SP1用DomainU仮想マシンの作成を行います。
  1. DomainU仮想マシンの構成定義
    デスクトップの[コンピュータ]-[YaST]-[仮想化]-[仮想マシンの作成]で「仮想マシンの作成」ウィザードを起動して以下の設定をします。

  2. ゲストOSのインストールと実行
    (1)「仮想マシンの作成」ウィザードでの「概要」画面で<OK>を押下するとゲストOSのインストールが開始されます。
    (2)メニュー画面操作;
    ・F2 - Language:[日本]を選択
    ・F3 - ビデオモード:[デフォルト]の選択([800x600]の選択候補が表示されません)
    ・実行項目として[インストール]を選択
    (3)言語、キーボード、およびライセンス契約
    (4)登録:<登録をスキップする>押下
    (5)アドオン製品:デフォルトのまま<次へ>押下
    (6)推奨されたパーティション分割:<推奨設定の編集>押下してファイルシステムを[BtrFS]から[Ext4]に変更(変更結果)
    ※1 SLES 12ではExt3ファイルシステムの選択肢がありません。
    ※2 BtrFSからExt4に変更するのはSLES 11 SP4のXen環境でBtrFSを使用した場合の無用なトラブルを回避するためです。
    (7)時計とタイムゾーン
    (8)-(サーバベースシナリオの選択は廃止されました)
    (9)新しいユーザの作成
    (10)システム管理者「root」のパスワード
    (11)インストールの設定
    今回は「ソフトウェア」で以下のものを追加しました(必須ではありません)。
    ・ファイルサーバ
    ・WebおよびLAMPサーバ
    ・C/C++コンパイラとツール
    更に「ブート」では[MBRにブートコードをインストール]となるようにします。
    ここで<インストールする>を押下するとパッケージのインストールが実行されます。
    パッケージのインストールが完了するとブートローダのインストール等が実行されて最終的に再起動されます。
    ※SLES 12のインストールではホスト名を含めたネットワークの設定はありません。
    (12)ログイン画面表示
    ※ログイン画面の左上に「linux-xxxx」というランダム割り当てされたホスト名が表示されます。
    [アカウントが見つかりませんか?]をクリックしてroot指定でサインインします。
    [補足]
    <サインイン>ボタンの左隣りにはウィンドウマネジャの選択アイコンがあります。
    KDMを導入していない今回の場合は選択可能なウィンドウマネジャは以下の通りです。
    ・GNOME ※[アクティビティ]やお気に入り(ラウンチャ)表示のデスクトップです
    ・GNOMEクラシック
    ・IceVM
    ・SLE Classic ※SLE ClassicがSLES 12のデフォルトでこれはSLES 11とほぼ同じものです)
    (13)rootでのサインイン後の操作
    (14)デスクトップ操作
    下記はDomainUの仮想マシン(xensles12)から実機ESXiホストにvSphere Web Clientで接続している様子です。
    ※Virt Viewerはマウスで縮小表示できます。



    ・実寸画像はこちらです。

    (15)DomainUのxensles11とxensles12の同時操作例



    ・実寸画像はこちらです。


■ ご参考:ESXi 6.0用DomainU仮想マシンの作成
ESXi 6.0用DomainU仮想マシンの作成ができてもそれを完全仮想化対応の仮想ESXiホストとして利用する積りはありませんがESXi 6.0用DomainU仮想マシンでのOSインストール過程でどのような現象が発生するかの確認のために実験的にESXi 6.0用DomainU仮想マシンの作成操作を行ってみました。
今回の実験の結果での結論は以下の通りです。
(1)ESXi対応のネットワークアダプタが見つからないという事象は仮想マシンの設定変更で対応可能
(2)Nested Xen(実機上のXen Hypervisor上の完全仮想化仮想マシンの中で更にHypervisorを実行できるようにすること)はXen 4.4系からサポートされていますが、
Nested Xen対応にするために仮想マシン構成ファイルに最低限必要とされる以下の2行はなくてもESXi 6.0のインストール自体は可能(但しその動作については問題あり)
hap=1
nestedhvm=1

最初のトラブルとしてはゲストOS(ESXi 6.0)のインストールにおいて「Welcome to the VMware ESXi 6.0.0 Installation」画面に至る前に「No Network Adapters」エラーが発生しESXi 6.0用DomainU仮想マシンの作成はできませんでした。
つまりは完全仮想化DomainUに割り当てされるネットワークアダプタがESXi 6.0では認識されないものばかりということです。
Nested ESXiホスト用仮想マシンに割り当てできるネットワークアダプタとして「VMXNET 3」の他に「E1000E」があるのでXen上では「完全仮想化Intel e1000(Eなし)」選択でネットワークアダプタが認識されるかも知れないという期待も少しありましたが認識されませんでした。




以下はその備忘録です。
まずESXi 6.0用DVDイメージファイルをデータストアに格納して仮想マシン(vssles11xs)に接続しておきます。
以下の手順でESXi 6.0用DomainU仮想マシンの作成を試みます。
  1. DomainU仮想マシンの構成定義
    デスクトップの[コンピュータ]-[YaST]-[仮想化]-[仮想マシンの作成]で「仮想マシンの作成」ウィザードを起動して以下の設定をします。

  2. ゲストOSのインストールと実行
    (1)「仮想マシンの作成」ウィザードでの「概要」画面で<OK>を押下するとゲストOSのインストールが開始されます。
    (2)Boot Menu:[ESXi-6.0.0-20160302001-stadard Installer]選択
    (3)「Loading ESXi installer」という画面でインストーラを構成するファイル(useropts.gz等)
    (4)いくつかのサービスが開始されます。
    (5)その後、上記の「No Network Adapters」エラーが発生します。
    ここで仮想マシンマネジャのxenesxi6testの右クリックメニューの[シャットダウン]-[強制的に電源OFF]を実行します。
    すると「概要」画面に戻りますのでネットワークアダプタの選択を変更してインストールテストを繰り返せます。
    (6)「概要」画面でのネットワークアダプタの変更テストの実施;

  3. 対策
    「仮想マシンの作成」ウィザードで以下のように設定変更しました。

    メモリ割り当てを4GB以上にすることによって「No Network Adapters」エラーが発生することなくDomainUでのESXiのインストールは完了しました(但しインストール中にハードウェア仮想化支援機能が使用できない旨の警告が表示されますがインストール自体は続行)。
    しかしESXiのトップ画面には「No compatible network adapter found.」と表示されます(このエラーと「No Network Adapters」エラーとの違いは不明)。
    そこで自動生成された構成ファイルを見直して/etc/xen/vm/xenesxi6testに対して以下の変更をしました(/etc/xen/vm/xenesxi6test.xml側は変更せず)。
    [変更前]
    vif=[ 'mac=00:16:3e:1e:73:af,bridge=br0,model=e1000,type=netfront', ]
    [変更後]
    vif=[ 'mac=00:16:3e:1e:73:af,bridge=br0,model=e1000', ]
    上記変更後、下記コマンドを実行して仮想マシンを起動するとトップ画面での「No compatible network adapter found.」表示はなくなりDHCPでのIPアドレスが無事表示されました。
    [変更前]
    xm create /etc/xen/vm/xenesxi6test boot=c ※仮想ディスクからのブート

    あとはネットワークアドレスやホスト名等のカスタマイズを行い通常のトップ画面になりました。
    Webブラウザ(IE)でhttps://xenesxi6test.mydpmain.net/を指定したところ該当ページは表示されてもまだタブには読み込みアイコンが回転された状態のままでした。
    そこで/etc/xen/vm/xenesxi6testに対して以下の2行を追加しました。
    hap=1
    nestedhvm=1
    この構成ファイル変更によりWebブラウザ(IE)でhttps://xenesxi6test.mydpmain.net/を指定しても読み込みアイコンはすぐに消えるように改善されました(因果関係不明)。
    https://xenesxi6test.mydpmain.net/の表示

    それでも以下の問題が残っています。
    (1)https://xenesxi6test.mydomain.net/ui/を開けない。
    (2)VMware vSphere Clientでのxenesxi6test接続でのインベントリのロードがタイムアウトとなります。
    ※hap=1, nestedhvm=1を外して仮想マシンを起動しても同じくタイムアウトとなります。



    ※[実機ESXi] + [SLES 11 SP4のXen Hypervisor] + [ESXiのHypervisor]という環境で使用しているHypervisorの組み合わせによる仮想ESXi側のサービス起動遅延のせいかも知れません...。
    ※実機上でXenが動作している前提でのNested Xenの組み合わせ検証結果はhttp://wiki.xenproject.org/wiki/Nested_Virtualization_in_Xen (Nested Virtualization in Xen)で公開されていますが今回の場合は実機上ではXenではないESXiが動作しているためNested Xenの動作保障はないのかも知れません。
    ※尚、Xen上でcat /proc/cpuinfoを実行してその表示内容を元に決定される下記形式のcpuid(CPUビットのマスク掛け)をxenesxi6test構成ファイルに追記するとxenesxi6testの起動中に異常終了する現象となりました。
    cpuid = ['0:eax=xxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxx,...,edx=00000000000000000000000000000000']
    上記hap, nestedhvm, cpuidはあくまでも実機上でXen Hypervisorが動作していてそのXen上の完全仮想化の仮想マシンの構成ファイルに指定するものです。
    実機のXen Hypervisorの完全仮想化ESXi仮想マシンの構成ファイルにhap, nestedhvm, cpuidを指定してそのESXi上で更に仮想マシンを実行さている例はWebでいろいろ見掛けますが...。

  4. 仮想マシン構成ファイルの「hap=1」と「nestedhvm=1」について
    完全仮想化のDomainUにWindows 10 Enterprise (64ビット版)をインストールして構成ファイルの「hap=1」と「nestedhvm=1」の指定有無での違いを確認してみました。
    (ここでの仮想マシン名はxenw10entとしています)



■ Nested ESXi環境での完全仮想化対応「仮想Xenホスト(Xen HVM domU)」の作成
以下の手順でNested ESXi環境での完全仮想化対応「仮想Xenホスト(Xen HVM domU)」用仮想マシンの作成を行います。
  1. ネストされた仮想ESXiホストの構築
    まず最初に実機のESXiホスト上にESXi 6.0自体をゲストOSとする仮想マシン(vsesxi6test)を作成します。
    この仮想マシン(vsesxi6test)が仮想ESXiホストになりその仮想マシンの中でSLES 11 SP4のXen機能を動作させます。
  2. 仮想ESXiホスト(vsesxi6test)上での完全仮想化対応「仮想Xenホスト(Xen HVM domU)」の作成
    実機のESXi環境にSLES 11 SP4仮想マシンを作成する訳ですが仮想ESXiホスト(vsesxi6test)環境に再度SLES 11 SP4をインストールしたりDomainUの仮想マシンを作成したりするのは手間暇が掛かります。
    そこで実機のESXi環境に構築したSLES 11 SP4仮想マシン(vssles11xs)のクローンを仮想ESXiホスト(vsesxi6test)内に作成するのが一番手っ取り早いです。
    このクローン作成は以下の手順で行います。

■ ご参考:準仮想化版SLES 11 SP4用DomainU仮想マシンの作成
完全仮想化版と準仮想化版のSLES 11 SP4用DomainU仮想マシン作成の相違点が分かるようにご参考として準仮想化版SLES 11 SP4用DomainU仮想マシンの作成手順も以下に記載します。
SLES 11 SP4用DVDイメージファイルをデータストアに格納して仮想マシン(vssles11xs)に接続しておきます。
以下の手順で準仮想化版SLES 11 SP4用DomainU仮想マシンの作成を行います。
  1. 準仮想化版DomainU仮想マシンの構成定義
    デスクトップの[コンピュータ]-[YaST]-[仮想化]-[仮想マシンの作成]で「仮想マシンの作成」ウィザードを起動して以下の設定をします。

  2. ゲストOSのインストールと実行
    (1)「仮想マシンの作成」ウィザードでの「概要」画面で<OK>を押下するとゲストOSのインストールが開始されます。
    (2)インストーラ起動プロセスのコンソール表示(Welcome画面表示直前のコンソール表示内容)
    準仮想化版では言語やビデオモード等を選択するメニュー画面は表示されません。
    (3)Welcome
    Language:[Japanese - 日本語]
      [Japanese - 日本語]を選択すると英語表記の「Welcome」画面が日本語表記の「ようこそ」画面になります。
    (4)メディアチェック(本オプションの有無は定かではありません)
    (5)インストールモード:[新規にインストール]
    (6)時計とタイムゾーン
    ・地域:アジア(デフォルト)
    ・タイムゾーン:日本(デフォルト)
    [ハードウェアの時刻をUTCに設定]はデフォルトのonの状態で仮想Xenホストの時刻と一致します(9時間の差は生じません)。
    (7)サーバベースシナリオ:[仮想マシン(Xenなどの擬似仮想化環境向け)]を選択
    ※[仮想マシン(Xenなどの擬似仮想化環境向け)]を選択することで通常カーネルの代わりにXenカーネルがインストールされます。
    (8)インストールの設定
    ディスクは完全仮想化の場合の[/dev/hda]と違って準仮想化の場合は「/dev/xvda」となります。
    今回は「ソフトウェア」で以下のものを追加しました(必須ではありません)。
    ・ファイルサーバ
    ・WebおよびLAMPサーバ
    ・C/C++コンパイラとツール
    ここで<インストール>を押下するとパッケージがインストールされます。
    パッケージのインストールが完了すると自動再起動されます。
    (9)システム管理者「root」のパスワード
    (10)ホストおよびドメイン
    ・ホスト名:pvsles11
    ・ドメイン名:mydomain.net
    (11)ネットワーク設定
    ネットワーク設定の[ネットワークインタフェース]では以下のように表示されます。
    ・Virtual Ethernet Card 0
      DHCPで設定済み
    [ネットワークインタフェース]をクリックして開いてeth0に対する<編集>を押下してネットワークカードの設定を行います。
    ここでは実機のESXiホストのネットワーク体系での固定IPアドレスを必ず指定します。
    ※本環境ではDomainUの仮想マシンでのDHCPは機能しないようです。
    またホスト名、DNS、デフォルトゲートウェイも指定します。
    (12)インターネットへの接続のテスト
    (13)ネットワークサービス設定
    ここではデフォルトで作成するCAと証明書の内容を確認するだけでOKです。
    (14)ユーザ認証方法
    (15)新規のローカルユーザ
    (16)リリースノート表示
    (17)ハードウェア設定
    (18)インストールの完了
    (19)ログイン画面表示
    rootでログインします。
    (20)デスクトップ表示
    (21)シャットダウン
    (22)仮想マシンマネジャからのxensles11起動
    (23)rootでログイン
    (24)デスクトップ操作
    下記はDomainUの仮想マシン(pvsles11)から実機ESXiホストにvSphere Web Clientで接続している様子です。



    ・実寸画像はこちらです。

    (25)補足事項


■ 仮想Xenホストから他の仮想Xenホストへのリモート接続例
仮想Xenホストから他の仮想Xenホストへのリモート接続例を簡単にご紹介します。
接続元は仮想Xenホストである必要はなく通常カーネル起動で仮想マシンマネジャができるようになっているだけでも問題ありません。

■ 付録:SLES 12 SP1による仮想Xenホストの構築
上記ではESXi環境上でSLES 11 SP4を仮想Xenホスト化して利用する手順をご紹介しました。
ここでは付録としてSLES 12 SP1(Xen 4.5.1版)を同じESXi環境上で仮想Xenホスト化する手順を下記の流れで簡単にご紹介します。
(1)ESXi環境でのSLES 12 SP1用仮想マシン定義
(2)SLES 12 SP1用仮想マシンへの完全仮想化サポートの特性付与
(3)仮想マシンへのSLES 12 SP1のインストールとパッケージの追加インストール
(4)SLES 12 SP1用仮想マシンから仮想Xenホスト化されたSLES 11 SP4用仮想マシンへのリモート接続
※SLES 12 SP1側からSLES 11 SP4の仮想Xenホストにリモート接続してリモートの仮想マシンを操作できることを確認してみます。
(5)SLES 12 SP1用仮想マシン上での準仮想化版SLES 11 SP4用DomainU仮想マシンの作成
(6)SLES 12 SP1用仮想マシン上での準仮想化版SLES 12 SP1用DomainU仮想マシンの作成

  1. ESXi環境でのSLES 12 SP1用仮想マシン定義
    上述した「■ ESXi環境でのSLES 11 SP4仮想マシン定義」との違いは以下の通りです。
    ・仮想マシン名:vssles12xs
    ・ゲストOS:[Linux]を選択、バージョン:[SUSE Linux Enterprise 12 (64ビット)]を選択
    [終了準備の完了]での表示内容はこちらです。
    ・[設定の編集]
      ・CD/DVDドライブ1のイメージファイル:SLES 12 SP1用のSLE-12-SP1-Server-DVD-x86_64-GM-DVD1.isoをデータストアに事前に格納して選択

  2. SLES 12 SP1用仮想マシンへの完全仮想化サポートの特性付与
    上述した「■ 仮想マシンへの完全仮想化サポートの特性付与」の(1)と(2)をSLES 12 SP1用仮想マシン(vssles12xs)についても実施します(VMXファイルはvssles12xs.vmx)。

  3. 仮想マシンへのSLES 12 SP1のインストールとパッケージの追加インストール

  4. SLES 12 SP1用仮想マシンから仮想Xenホスト化されたSLES 11 SP4用仮想マシンへのリモート接続
    仮想マシンマネジャを使用してリモートのXen Hypervisorに接続できます。
    仮想マシンマネジャで接続したリモートのXen Hypervisor(Xenホスト)上の仮想マシンの[開く]で仮想マシン画面が表示されますがリモート側のVNC設定に問題があるとVNC接続表示できませんでした。
    その仮想マシン画面での[ディスプレイVNC]セクションでのアドレスはSLES 11では127.0.0.1固定でしたが、SLES 12では3個の選択肢([ハイパバイザのデフォルト], [localhostのみ], [すべてのインタフェース])から選択できように機能強化されました。
    更にVNCポートも自動割り当て固定ではなくなりました。
    この機能強化によってSLES 12 SP1ではリモートのXen Hypervisor(Xenホスト)にある仮想マシンのVNC接続表示が簡単になりました。
    仮想マシンマネジャからリモートのXen Hypervisor(Xenホスト)にある仮想マシンのVNC接続表示方法の一例を以下に紹介致します。
  5. SLES 12 SP1用仮想マシン上での準仮想化版SLES 11 SP4用DomainU仮想マシンの作成
    SLES 12 SP1用仮想マシン上でXenカーネルバージョンの異なる準仮想化版SLES 11 SP4用DomainU仮想マシンの作成・実行をしてみました。
    Xenカーネルバージョンが異なっていても問題なく動作することが確認できました。
    ・SLES 12 SP1のXenカーネルバージョン:3.12.49-11
    ・SLES 11 SP4のXenカーネルバージョン:3.0.101-63
  6. SLES 12 SP1用仮想マシン上での準仮想化版SLES 12 SP1用DomainU仮想マシンの作成
    SLES 12 SP1用仮想マシン上でXenカーネルバージョンが同じとなる準仮想化版SLES 12 SP1用DomainU仮想マシンの作成・実行も試してみました。
    ・SLES 12 SP1のXenカーネルバージョン:3.12.49-11

    SLES 12 SP1用DVDイメージファイルをデータストアに格納して仮想マシン(vssles12xs)に接続しておきます。
    以下の手順で準仮想化版SLES 12 SP1用DomainU仮想マシンの作成を行います。