VMware vCenter Server 6.0のインストールとデータセンタの構築

2015年3月12日に無償評価版のVMware vSphere Hypervisor(ESXi)の6.0.0がリリースされました。
その後、6.0.0b(2015年7月7日)、6.0.0 Update 1(2015年9月10日)、6.0.0 Update 2(2016年3月15日)が順次リリースされました。
ESXi 6.0.0 Update 2(2016年3月15日)のリリースに合わせて同日にVMware vCenter Server 6.0.0 Update 2もリリースされました。
(VMware vCenter Serverは簡単に言うと「ESX(i)を束ねたデータセンタを管理するサーバ」のことです)
VMware vCenter Serverを導入することでESX(i)仮想マシンに対して「移行」、「クローン作成」、「テンプレートの作成」等の機能も使えるようになります。

ここではvCenter Server 6.0(正確にはVMware vCenter Server 6.0.0 Update 2)のインストールとそのvCenter Serverで管理されるデータセンタの構築例についてご紹介致します。
※ここでのvCenter Server 6.0の導入ホストはオープンギャラリー:VMware vSphere Hypervisor (ESXi 6.0でのNested ESXi-Hyper-V)で示したESXi 6.0ホストです。
[ご紹介事項]
(1)vCenter Serverの評価ライセンスについて
(2)LinuxベースのvCenterソフトウェアについて
(3)VCSAデプロイ時のDNSサーバ参照について
(4)vCenter Serverの日本語キーボード化について
(5)VMware Client Integration Plug-in 6.0.0のインストール
(6)VCSA(VMware vCenter Server Appliance)のESXiホストへのデプロイ手順
(7)vCenter Server(vcenter)への各種リモート管理接続形態
(8)vCenter Server(vcenter)でのデータセンタ作成例
(9)vCenter Server(vcenter)での仮想マシンのクローン作成例
(10)テンプレートの作成とその利用例
(11)ネストされた仮想ESXiホストのデータセンタでの管理化について
(12)VMware-Postgresのpsqlによる管理データのSQL確認

今回使用したPCのハードウェア/ソフトウェア構成は以下の通りです。


■ vCenter Serverの評価ライセンスについて
ESXi、vCenter Server共に評価モード期間(無償評価期間)は60日です。
ここではESXiとvCenter Serverのライセンスについてまとめて説明します。

■ LinuxベースのvCenterソフトウェアについて
LinuxベースのvCenterソフトウェアはhttps://my.vmware.com/jp/group/vmware/evalcenter?p=vsphere6からダウンロードできます。
ダウンロードファイル(VMware-VCSA-all-6.0.0-3634788.iso)には機能拡張されたVMware vSphere Client(VMware Client Integration Plug-in 6.0.0)も含まれています。
VMware vCenter Server 6.0.0 Update 2のvCenter ServerはSUSE Linux Enterprise Server 11(64ビット版)ベースのESX(i)仮想マシンとしてリリースされています。
このvCenter仮想マシンをVCSA(VMware vCenter Server Appliance)と呼びます。
※Linux版VMware vCenter Server 6.0.0 Update 2のカーネルはkernel-default-3.0.101-0.47.71.1であり、SUSE Linux Enterprise Server 11-SP3で構築されています。
このSuSE Linux Enterprise Server 11ベースのVCSA(VMware vCenter Server Appliance)をESXiホストにデプロイ(配置)することで簡単にvCeneter Serverを使用することができます。
LinuxベースのvCenterソフトウェアにはVCSAをデプロイするためのVCSAセットアップツールが含まれています。
(1)VCSAセットアップツールを起動するとデプロイ先のESXiホスト名(例:esxi.mydomain.net)、ESXiホストへのログイン情報、vCenter Serverのホスト名含めたネットワーク情報等を指定する必要があります。
(2)VCSAセットアップツールはデプロイするvCenter ServerにvCenter用のRPMパッケージを追加インストールします。
(3)VCSAセットアップツールはデプロイしたvCenter Serverを自動起動します。

ちなみにVMware vSphere向けのSUSE Linux Enterprise Server 11 SP3 for VMwareのダウンロードサイトはhttp://download.novell.com/Download?buildid=bYhqJ0n91C8~です(ISOファイルはバイナリのSLES-11-SP3-for-VMware-DVD-x86_64-GM-DVD1.isoとソースのSLES-11-SP3-for-VMware-DVD-x86_64-GM-DVD2.iso)。
※VCSAのデプロイ後にそのSLES-11-SP3-for-VMware-DVD-x86_64-GM-DVD1.isoに含まれるカーネルパッケージとVMwareパッケージを確認してみました。

ESXiホストでvssles11という仮想マシンを定義してSLES-11-SP3-for-VMware-DVD-x86_64-GM-DVD1.isoからインストールしたSUSE Linux Enterprise Server 11 SP3 for VMwareのデスクトップ例はこちらです。


■ VCSAデプロイ時のDNSサーバ参照について
VCSAをデプロイするためのセットアップツールの実行時やデプロイされたvCenter Serverの実行時、デプロイ先のESXiホストと通信してESXiホストから情報を取得します。
ESXiホストとの通信のためにはデプロイ先のホスト名からそのIPアドレスを取得するためのDNSサーバ(Active DirectoryのDNSサーバ以外) が必要となります。
そのDNSサーバがBINDベースのものであればnamed.zoneやnamed.rev設定ファイルにデプロイ先のホスト名・IPアドレスを登録してそのDNSサーバを再起動しておく必要があります。
VCSAセットアップツールはセットアップ中に指定された情報の検証等のためにデプロイ先のホストと通信します。
またVCSAセットアップツールはデプロイしたvCenter Serverを自動起動しますがそのvCenter Serverも当然ながらはデプロイ先のESXiホストと通信します。
vCenter Server仮想マシンのコンソールにrootでログインしてviコマンドで/etc/hosts中にデプロイ先のESXiホストアドレス情報(例:「192.168.0.6 esxi.mydomain.net esxi」)を追加しておけばもはや上述したDNSサーバは不要となります。
尚、VCSAに最初から組み込まれているRPMパッケージの一覧はこちらです(VMware ToolsのRPMパッケージも含まれています)。


■ vCenter Serverの日本語キーボード化について
デプロイされたvCenter Server 6.0は英語版SuSE Linux Enterprise Server 11がベースになっており、そのキーボード配列は英語モードになっています。
vCenter Server 6.0にSSH接続してvCenter Server 6.0をコマンド操作する場合は問題ありませんがvCenter Serverのコンソールを直接使用する場合はキーボード配列を日本語モードに設定変更してvCenter Serverを再起動する必要があります。
vCenter Serverの日本語キーボード化方法は後述します。


■ VMware Client Integration Plug-in 6.0.0のインストール
VMware vSphere Client 6.0を導入したESXiリモート管理用PCへのVMware Client Integration Plug-in 6.0.0インストール手順は以下の通りです。
  1. ISOファイルのマウント
    ダウンロードファイル(VMware-VCSA-all-6.0.0-3634788.iso)をマウントします。
    ここではFドライブにマウントされたものとします。
  2. VMware Client Integration Plug-in 6.0.0インストーラの起動
    すべてのWebブラウザを閉じた状態でF:\VMware-ClientIntegrationPlugin-6.0.0.exeを起動します。
  3. デフォルトのままインストール
  4. インストール完了

■ VCSA(VMware vCenter Server Appliance)のESXiホストへのデプロイ手順
  1. ISOファイルのマウント
    ダウンロードファイル(VMware-VCSA-all-6.0.0-3634788.iso)をマウントします。
    ここではFドライブにマウントされたものとします。
  2. VCSAセットアップツールの起動
    F:\VMware VCSA\vcsa-setup.htmlを開きます。
  3. インストールの開始
    vCenter Server Appliance 6.0のトップ画面で<インストール>をクリックしてインストールを開始します。
  4. エンドユーザ使用許諾契約書
    [使用許諾契約書の条項に同意します。]:on
  5. vCenter Server Appliance 6.0のデプロイセットアップの開始
    vCenter Server Appliance 6.0のデプロイセットアップは「ターゲットサーバへの接続」情報設定ページから開始されます。
    vCenter Server Appliance 6.0のデプロイセットアップで今回設定した内容は以下の通りです。
    • ターゲットサーバへの接続情報
      (1)FQDNまたはIPアドレス:esxi.mydomain.net
      (2)ユーザ名:root
      (3)パスワード:rootのパスワード
    • 仮想マシンのセットアップ情報
      (1)アプライアンス名(vCenter Serverの仮想マシン名):vcenter
      (2)OSユーザ名:root(固定)
      (3)OSパスワード:**********(パスワードポリシーによって大文字小文字特殊記号混在要)
    • デプロイタイプの選択(本アプライアンスにデプロイするサービスの選択)
      (1)[vCenter Serverと組み込みPlatform Services Controllerをインストール]:on(デフォルト)
    • Single Sign-on(SSO)のセットアップ
      (1)[新しいSSOドメインを作成]:on
      (2)vCenter SSOユーザ名:administrator(固定)
      (3)vCenter SSOパスワード:**********(これもパスワードポリシーによって大文字小文字特殊記号混在要)
      (4)SSOドメイン名:vsphere.local(例表記の「vsphere.local」をそのまま指定) ※Active Directoryドメイン名と別ドメイン
      (5)SSOサイト名:DEfault-First-Site
    • アプライアンスのサイズの選択
      (1)Applianceのサイズ:[極小(最大でホスト10台、仮想マシン100台)]を選択
    • データストアの選択(本デプロイの保存先)
      (1)仮想マシン構成ファイルおよびすべての仮想ディスクのターゲットデータストア:datastore2を選択
      (今回のESXiホスト環境でのdatastore1は空き容量が少ないため事前に1TBのdatastore2を追加済み)
      (2)[シンディスクモードの有効化]:on(デプロイするvCenter Serverアプライアンスの仮想ディスクを容量可変タイプにします)
    • データベースの構成
      (1)[組み込みデータベース(PostgreSQL)を使用]:on (VMware-Postgres-9.3.9.0-2921310.x86_64.rpmがインストールされます)
      ※[Oracleデータベースの使用]オプションもあります。
    • ネットワーク設定(本デプロイのホスト名含めたネットワーク設定)
      (1)ネットワークの選択:[VM Network]を選択
      (2)IPアドレスファミリ:[IPv4]を選択
      (3)ネットワークタイプ:static
      (4)ネットワークアドレス:192.168.0.7
      (5)システム名[FQDNまたはIPアドレス]:vcenter.mydomain.net
      ※vCenter Serverの/etc/hostsに「192.168.0.7 vcenter.mydomain.net vcenter」が自動登録されます。
      (6)サブネットマスク:255.255.255.0
      (7)ネットワークゲートウェイ:192.168.0.1
      (8)ネットワークDNSサーバ:192.168.0.242(BINDによるDNSサーバ)
      (9)時刻同期の校正:[ESXiホストとアプライアンスの時刻を同期]:on
      (10)[SSHの有効化]:on(デフォルトはoff)
    「終了準備の完了」ページに上記のデプロイセットアップ情報のサマリが表示されますので<完了>ボタンを押下します。
  6. デプロイセットアップ情報のサマリ表示後の流れ
  7. vCenter Serverの日本語キーボード化
    vCenter Server(vcenter.mydomain.net)が起動されている状態でSSH接続アプリでvCenter Server(vcenter.mydomain.net)にSSH接続してBASH起動後に以下のコマンド(viコマンド)を実行します。
    ※vCenter Server(vcenter.mydomain.net)仮想マシンのコンソールを表示してAlt+F1キーを押してrootでログインしてからプラグインシェルからBASHモードに切り替えて以下のコマンド(viコマンド)を実行してもOKです。
    login as: root

    VMware vCenter Server Appliance 6.0.0.20000

    Type: vCenter Server with an embedded Platform Services Controller

    root@vcenter.mydomain.net's password: ************

    Connected to service
    ...途中略...
    Command> shell.set --enabled True ※BASHの有効化
    Command> shell ※BASH起動
    vcenter:~ # プロンプト表示となるのでLinuxコマンドを使用できます。
    vcenter:~ # vi /etc/sysconfig/keyboard
    [変更内容]
    KEYTABLE="us.map.gz"をKEYTABLE="jp106.map.gz"に変更
    YAST-KEYBOARD="english-us.pc104"をYAST-KEYBOARD="japanese.pc104"に変更
    :wq!で保存
    vcenter:~ # reboot (shutdown -r nowでもOK)

  8. コマンド操作によるvCenter Server(vcenter.mydomain.net)仮想マシンの起動/停止
    vCenter Serverのデプロイ先のESXiホストにSSH接続して以下のコマンドでvcenter仮想マシンの起動/停止が行えます(実行例)。
    [root@esxi:~] vm-support -V |grep vcenter ※実行・停止ステータス確認(Registered:停止状態, Running:実行状態)
    /vmfs/volumes/570c2fb0-2ebb46d0-14d2-001b2120a156/vcenter/vcenter.vmx (Registered) ※実行・停止ステータス確認(Registered:停止状態)
    [root@esxi:~] vim-cmd vmsvc/getallvms | grep vcenter ※vcenterのVMIDの確認(下記の9がVMID)
    9 vcenter [datastore2] vcenter/vcenter.vmx sles11_64Guest vmx-08 VMware vCenter Server Appliance
    [root@esxi:~] vim-cmd vmsvc/power.on 9 ※vcenterのパワーオン
    Powering on VM:
    [root@esxi:~] vm-support -V |grep vcenter ※vcenterの起動に時間がかかるためパワーオンして5分程度過ぎてから実行
    /vmfs/volumes/570c2fb0-2ebb46d0-14d2-001b2120a156/vcenter/vcenter.vmx (Running) ※実行・停止ステータス確認(Running:実行状態)
    [root@esxi:~] vim-cmd vmsvc/power.off 9 ※vcenterのパワーオフ
    Powering off VM:
    [root@esxi:~]


■ vCenter Server(vcenter)への各種リモート管理接続形態
種別接続先ログイン情報備考
VMware vSphere ClientによるESXiホスト接続
esxi/esxi.mydomain.net
root
(1)仮想マシン一覧の中にvcenterが表示されます。
(2)vcenterの起動(パワーオン)/停止やコンソール表示が可能です。
(3)vCenter Server導入による新規機能は使用できません。
(4)仮想マシンのリソースマップは表示できません。
VMware vSphere ClientによるvCenter Server接続
vcenter.mydomain.net
administrator@vsphere.local
(1)rootでは「サーバにログインする権限がありません」エラーとなります。
(2)接続時のパスワードはSingle Sign-on用パスワードを指定します。
(3)最初にデータセンタの定義とデータセンタへのESXiホストの追加を実施します。
データセンタ構成例
(4)仮想マシンのリソースマップが表示できます(vcenterから, esxiから)。
vSphere Web ClientによるvCenter Server接続
https://vcenter.mydomain.net/vsphere-client/
administrator@vsphere.local
(1)接続時のパスワードはSingle Sign-on用パスワードを指定します。
接続後のトップページ
vCenter Server用管理オブジェクトブラウザ利用のための接続
https://vcenter.mydomain.net/
-(不要)
(1)管理オブジェクトの参照にはSingle Sign-on用資格情報入力が必要です。
管理オブジェクトの参照例
SSH接続アプリによるvCenter Server接続
vcenter/vcenter.mydomain.net
root
(1)通常のSUSE Linuxに対するコマンド操作が可能です。


■ vCenter Server(vcenter)でのデータセンタ作成例
ここではESXiホスト(esxi.mydomain.net)にデプロイしたvCenter Server(vcenter)内にDataCenter1というデータセンタを作成してそこにESXiホスト(esxi.mydomain.net)を登録する手順を紹介します。
  1. ESXiホストのライセンスモードの変更
    ESXiホスト(esxi.mydomain.net)が「評価モード」で実行されている場合はvCenter Server(vcenter)内にデータセンタを定義してそのデータセンタにESXiホストを追加することは可能です。
    しかしESXiホスト(esxi.mydomain.net)に「評価モード」の期間(60日間)を超えても使用可能とする無償ライセンスキーを登録済みの場合はデータセンタへのESXiホストの追加はできません。
    そのためESXiホスト(esxi.mydomain.net)に「評価モード」の期間(60日間)を超えても使用可能とする無償ライセンスキーを登録済みの場合はESXiホスト(esxi.mydomain.net)に登録済みの「評価モード」の期間(60日間)を超えても使用可能とする無償ライセンスキーを一時的に削除します(ESXiホストをメンテナンスモードに切り替えてからライセンスを変更)。
  2. VMware vSphere ClientによるvCenter Server接続
    VMware vSphere Clientを起動してvcenter.mydomain.netに対してシングルサインオン接続をします。
    vcenter.mydomain.netに対してシングルサインオン接続が成功するとVMware vSphere Clientのメインフォームに「vcenter.mydomain.net」が表示されます。
  3. 新規のデータセンタ(DataCenter1)の作成
    VMware vSphere Clientのメインフォームから[データセンタの作成]を起動して新規のデータセンタとして「DataCenter1」を作成します。
    ※デフォルトの「新規データセンタ」というデータセンタ名を「DataCenter1」に変更するだけです。
    新規登録されたDataCenter1
  4. DataCenter1へのESXiホスト(esxi.mydomain.net)の追加
    (1)DataCenter1の[ホストの追加]を起動します。
    これによって「ホストの追加ウィザード」が表示されます。
    (2)ホストの追加ウィザードでの設定情報
    ホスト(データセンタに追加登録するESXiホスト名):esxi.mydomain.net
    追加するESXiホストの認証情報;
    ユーザ名:root
    パスワード:************
    [ロックダウンモードを有効にする]:off
    仮想マシンの場所:DataCenter1
    (3)ホストの追加ウィザードでの「終了準備の完了」画面で<終了>をクリックします。
    ※追加するESXiホストが評価モードのライセンスになっていない場合は「ホスト esxi.mydomain.net の VMware vSphere 6 Hypervisor ライセンスには VMware ホスト用 vCenter Agent が含まれていません。ライセンスをアップグレードしてください。」というエラーメッセージが表示されます。
    (4)「終了準備の完了」画面での<終了>クリックでエラーが発生しなければDataCenter1直下にesxi.mydoamin.netとそのESXiホストに属する仮想マシンが表示されます。
    ※今回の例ではESXiホストのdatastore1の容量が少なくなっているためESXiホスト名に警告マーク(!)が表示されています。

■ vCenter Server(vcenter)での仮想マシンのクローン作成例
ここではオープンギャラリー:VMware vSphere Hypervisor (ESXi 6.0でのNested ESXi-Hyper-V)で作成した仮想マシンのクローン作成について説明します。
  1. クローン作成の流れ

  2. vsHVS12R2仮想マシンのカスタマイズなしクローンの作成
    「ゲストのカスタマイズ」オプションで[カスタマイズしない]:onにしてクローン仮想マシン(vsHVS12R2Clone)を作成してみました(クローン作成の要約)。
    手順の説明は省略します。

  3. vsHVS12R2仮想マシンのカスタマイズクローンの作成
    ゲストOSをHyper-V Server 2012 R2とするvsHVS12R2仮想マシンに下記の内容でvsHVS12R2仮想マシンのカスタマイズクローンを作成してみました。
    カスタマイズクローンを作成すためには事前にゲストOSへのVMware Toolsのインストールを実施しておきます。
    • クローン仮想マシンの名前
      (1)名前:vsHVS12R2CloneC ※CloneCの最後の「C」はCustomizeの意
    • クローン仮想マシンを実行させるESXiホスト
      (1)クローン仮想マシンを実行させるESXiホスト:[esxi.mydomain.net]を選択
    • ストレージ
      (1)仮想マシンのターゲットストレージ(データストア):[datastore2]を選択
      (今回のESXiホスト環境でのdatastore1は空き容量が少ないため事前に1TBのdatastore2を追加済み)
    • ゲストのカスタマイズ
      (1)[作成後にこの仮想マシンをパワーオンします]:off
      (2)[カスタマイズウィザードを使用してカスタマイズする]:on
      (3)カスタマイズウィザードでの設定内容
      • 設定内容
        (1)登録情報 ※Linuxゲストには本項目はありません。
        ・名前:Amber
        ・組織名:OpenGallery
        (2)コンピュータ名
        名前:vsHVS12R2CloneC
        (3)Windowsライセンス ※Linuxゲストには本項目はありません。
        vsHVS12R2のゲストOSであるHyper-V Server 2012 R2は無償OSのため
        ここでのライセンス情報はすべて指定なしとします。
        (4)管理者パスワード ※Linuxゲストには本項目はありません。
        ・Administratorのパスワード:************
        ・[管理者として自動的にログイン]:off
        (4)タイムゾーン
        ・タイムゾーン:[(GMT+09:00)大阪、札幌、東京]選択
        (5)1回実行(仮想マシン起動時に自動実行するコマンドの指定) ※Linuxゲストには本項目はありません。
        ここでは何も指定しません。
        (6)ネットワーク
        ・ネットワーク設定:[カスタム設定]:on
        ・「ネットワークインタフェースのカスタマイズ」ではNIC1を選択し、
        <..>ボタンをクリックして「ネットワークのプロパティ」画面でIPアドレス等の情報を指定します。
        (7)ワークグループまたはドメイン
        ・[ワークグループ]:on(デフォルト)
        ・ワークグループの名前:WORKGROUP(デフォルト)
        (8)オペレーティングシステムのオプション ※Linuxゲストには本項目はありません。
        ・[新規セキュリティID(SID)の生成]:on(デフォルト)
        (9)仕様の保存
        ・[このカスタマイズ仕様をあとで使用するために保存する]:on(デフォルト)
        名前(カスタマイズ仕様の名前):vsHVS12R2クローンカスタマイズ仕様1
        ※ここで保存したカスタマイズ仕様は次回以降のクローン作成時に使用できます(テンプレートからの仮想マシン作成時にも使用できます:後述)。
        (10)カスタマイズの終了準備の完了表示

      (4)「仮想マシンのクローン作成」での終了準備の完了表示
      ここで<終了>を押下するとVMware vSphere Clientのステータス欄にデプロイ進捗が「xx%」、「完了」と表示されます。
      (5)デプロイパッケージファイルについて
      カスタマイズクローンの作成が完了するとvsHVS12R2CloneCを構成する仮想マシンファイル群の中にimcf-xxxxxx(xxxxxx部分は6桁のランダムな文字列)というデプロイパッケージファイル(バイナリファイル)が生成されています。
      ※カスタマイズクローンのVMXファイル(構成ファイル)には「tools.deployPkg.fileName = "imcf-xxxxxx"」という行が自動追加されています。
      カスタマイズクローンを起動してカスタマイズ内容の反映が完了するとこのデプロイパッケージファイルは自動削除されます。

  4. vsHVS12R2仮想マシンのカスタマイズクローン(vsHVS12R2CloneC)の実行
    (1)カスタマイズクローンを最初に起動すると暫くしてから数回自動再起動が行われます。
    ・途中で「VMware image cusomization is in progress ...」と表示されます。
    (2)カスタマイズウィザードで指定した新しいコンピュータ名に自動変更されています。
    (3)カスタマイズウィザードで指定したネットワーク設定はクローンには反映されませんでした。

  5. クローン作成時の留意点

■ テンプレートの作成とその利用例
ここでは仮想マシンのテンプレートの作成とその利用例を簡単に紹介致します。
  1. テンプレートの概要
    vSphereでのテンプレートとは仮想マシンの中身(仮想ディスク)を伴ったマスタイメージであり一般に想像しがちな「型(器)」というものとは異なります。
    ESXi環境にVMware vCenter Serverを導入することでテンプレートの作成とそれを使っての仮想マシンの作成(デプロイ)ができるようになります。
    テンプレートは仮想マシンから作成します。
    このテンプレートの大きな特徴は「テンプレートはその作成元になった仮想マシンの仮想ディスクのコピーも合わせて管理される」ということです。
    VMware vSphere ClientによるvCenter Server接続で表示されるメインフォームのデータセンタ下の各仮想マシンの右クリックメニューの[テンプレート]のサブメニューとしては[テンプレートとしてクローン作成]と[テンプレートに変換]があります。
    尚、vSphere Web Clientでの[テンプレート]のサブメニューには[テンプレートとしてクローン作成]が無くて[OVFテンプレートのエクスポート]がありますがここでは触れません。

  2. テンプレートの作成
    [テンプレートとしてクローン作成]と[テンプレートに変換]について以下に示します。

  3. テンプレートから仮想マシンの生成例
    テンプレートからの仮想マシン生成はvSphere Web ClientからvCenter Serverにシングルサインオン接続してから行います。
    テンプレートから仮想マシンや別のテンプレートを生成するためのテンプレート関係のメニュー(本画像にテンプレートの説明含む)としては次の4種類あります。
    ・[このテンプレートから仮想マシンを新規作成]
    ・[仮想マシンへの変換]
    ・[テンプレートにクローン作成] ※正確には「テンプレートクローン作成」です。
    ・[ライブラリにクローン作成]
    この4種類について説明します。

■ ネストされた仮想ESXiホストのデータセンタでの管理化について
ネストされた仮想ESXiホスト上の仮想マシン群も束ねてデータセンタで管理した方が管理負担が軽減されます。
ここではオープンギャラリー:VMware vSphere Hypervisor (ESXi 6.0でのNested ESXi-Hyper-V)で作成した仮想ESXiホストであるvsESXiを新しいデータセンタに登録する例を簡単に紹介します。
※手順的には上述したデータセンタ(DataCenter1)の作成とそのデータセンタへの実ESXiホスト((esxi.mydomain.net)の追加の場合と同じです。
  1. 新規データセンタの追加
    (1)仮想ESXiホスト(vsESXi)のライセンスを無償ライセンスから評価ライセンスにアップグレードします。
    (2)VMware vSphere ClientによるvCenter Server接続を行ないます。
    (3)新規のデータセンタとして「DataCenter2L2」を定義します。

  2. 新規データセンタ(「DataCenter2L2」)への仮想ESXiホスト(vsESXi)の追加
    「ホストの追加ウィザード」を使用して新規データセンタ(「DataCenter2L2」)に仮想ESXiホスト(vsESXi)を追加します。
    VMware vSphere Clientでのデータセンタ(「DataCenter2L2」)の見え方
    vSphere Web Clientでのデータセンタ(「DataCenter2L2」)の見え方(ホームの[仮想マシンおよびテンプレート]を開いた場合)

  3. データセンタ(「DataCenter2L2」)の仮想マシンの実行例
    データセンタ(「DataCenter2L2」)の仮想ESXiホスト(vsESXi)上にある仮想マシン(vsLivex64L2)のコンソールを開いてUbuntu 14.04 (64ビット版)を実行してみました。
    Ubuntu 14.04 (64ビット版)の実行の様子(実ESXiホストへのSSH接続もしています)

  4. データセンタ間での仮想マシンの移行例
    データセンタ(DataCenter1)でテンプレートから作成した仮想マシン(xtvsHVS12R2CloneC)を新規に追加したデータセンタ(DataCenter2L2)側に移行してみました。
    ここでの移行はvMotionでのホット移行(ライブマイグレーション)ではなく停止状態の仮想マシンを移行するだけの単純なコールド移行ですので以下のような極めて簡単な手順で行えます。
  5. 移行された仮想マシン(xtvsHVS12R2CloneC)の実行
    移行された仮想マシン(xtvsHVS12R2CloneC)の実行の様子(コンソールタイトルが移行先のESXiホスト名に変わります)

■ VMware-Postgresのpsqlによる管理データのSQL確認
VCSA(VMware vCenter Server Appliance)のESXiホストへのデプロイ手順における「データベースの構成」で[組み込みデータベース(PostgreSQL)を使用]を選択すると管理データはVMware-Postgresのデータベースに格納されます。
VMware-Postgresのデータベース中のテーブルやビューは通常のPostgreSQL同様にpsqlコマンドで簡単に確認できます。
  1. psqlコマンドの所在とrootでの使用
    (1)which psqlと打ってもpsqlは見つかりません。
    (2)VMware-Postgresでのpsqlのパスは/opt/vmware/vpostgres/9.3/bin/psqlです。
    (3)rootからpostgresユーザに切り替えてもCommand >という特別なpi shellプロンプトにしかならずそこから通常のshellに切り替えることはできません。
    (4)rootでログインした状態でpostgresユーザとしてデータベースにアクセスするには以下のようにpsqlを使用します。
    # /opt/vmware/vpostgres/9.3/bin/psql -w -U postgres

  2. データベース一覧表示
    # /opt/vmware/vpostgres/9.3/bin/psql -w -U postgres -l
    [表示内容]
                                      List of databases
       Name    |  Owner   | Encoding |   Collate   |    Ctype    |   Access privileges
    -----------+----------+----------+-------------+-------------+-----------------------
     VCDB      | vc       | UTF8     | en_US.UTF-8 | en_US.UTF-8 | =Tc/vc               +
               |          |          |             |             | vc=CTc/vc
     postgres  | postgres | UTF8     | en_US.UTF-8 | en_US.UTF-8 |
     template0 | postgres | UTF8     | en_US.UTF-8 | en_US.UTF-8 | =c/postgres          +
               |          |          |             |             | postgres=CTc/postgres
     template1 | postgres | UTF8     | en_US.UTF-8 | en_US.UTF-8 | =c/postgres          +
               |          |          |             |             | postgres=CTc/postgres
    (4 rows)
    
    VCDBというデータベースがvCenter Serverで管理データを格納しているデータベースです。

  3. VCDBへの接続
    # /opt/vmware/vpostgres/9.3/bin/psql -w -U postgres
    postgres=# \c VCDB
    [表示内容]
    You are now connected to database "VCDB" as user "postgres".
    VCDB=# ※本プロンプトで入力待ち状態となります。
    

  4. SQLによる管理データ検索
    (1)テーブル、ビュー、シーケンス一覧の確認
    VCDB=# \d

    (2)各テーブル、ビューのカラム一覧の確認
    VCDB=# select * from vpx_table;

    (3)バージョン確認
    VCDB=# select * from cl_dbversion;
    [表示内容]
     id | dbversion | release_version
    ----+-----------+-----------------
      1 | 1.0       | 6.0
    (1 row)
    

    (4)データセンタの一覧検索
    VCDB=# select * from vpxv_entity where entity_type='DATACENTER' order by id;
    [表示内容]
     id |     name      | type_id | entity_type | parent_id | parent_type_id | parent_entity_type
    ----+---------------+---------+-------------+-----------+----------------+--------------------
      2 | DataCenter1   |       8 | DATACENTER  |         1 |              7 | DATACENTER_FOLDER
     81 | DataCenter2L2 |       8 | DATACENTER  |         1 |              7 | DATACENTER_FOLDER
    (2 rows)
    

    (5)ライブラリの一覧検索
    VCDB=# select name, publishurl from cl_library;
    [表示内容]
           name       |                                       publishurl
    ------------------+-----------------------------------------------------------------------------------------
     Lib-テンプレート | https://vcenter.mydomain.net/cls/vcsp/lib/31d49c9e-94be-4bab-9bc9-bb3625615c45/lib.json
    (1 row)
    

    (6)ライブラリのアイテム一覧検索
    VCDB=# select name, type from cl_libraryitem;
    [表示内容]
            name         | type
    ---------------------+------
     Lib-vsHVS12R2CloneC | ovf
    (1 row)
    

    (7)上記の(3)〜(6)の実際の実行例はこちらです。

    (8)VCDBとの切断
    VCDB=# \q
    ※rootのプロンプトに戻ります。