Darwin/x86の環境
[Darwin/x86のスクリーンショット]
Window Maker上でxterm, rxvt, xsnow, GIMPを動作させているところのスクリーンショットです。
この画像だけ見るとDarwinなのかLinux/FreeBSDなのかの見分けはほとんど付きません。
しかし実サイズの画像(1024x768)中の「uname」コマンドの結果からDarwin/x86ということが分かります。
さてDarwinというのはAppleオープンソースプロジェクトが開発したOSでMachマイクロカーネル上にFreeBSD機能を実装したものです。
Mac OS XのコアシステムはこのDarwinですが2001年4月にx86用のDarwin 1.3.1(Darwin/x86 1.3.1)がリリースされました。
(Darwin 1.3.1でのサポートデバイスはかなり制限があるようです)
ここではx86用Darwin 1.3.1の概略、XFree86 4.1.0の利用、インターネットアクセスなどについて簡単に紹介します。
今回はDarwin/x86をインストールした後に以下のアプリケーションを追加インストールしています。
- lynx 2.8.4
- rxvt 2.6.2
- ImageMagick 5.3.9
- Window Manager 0.65.1
- xsnow 1.40
- GIMP 1.2.2
(1)Darwin/x86のインストールとコンソール
Darwin/x86のインストール及びコンソールの利用についてはこちらをご覧下さい。
DarwinとLinuxとのパーティション共用やネットワーク設定についても簡単に紹介しています。
(2)XFree86 4.1.0の導入
XFree86はその4.0.2からDarwin/Mac OS X対応になりました。
今回は2001年6月にリリースされたXFree86 4.1.0をDarwin/x86上に導入してみました。
(今回使用したビデオカードはATI 3D Rage LT Proです)。
Darwin/x86用のXFree86についてはバイナリが無いようですのでソースからインストールします。
ソース自体はDarwin/x86専用というものはなくLinuxなどの他のプラットフォームと同じソースです。
- 必要なソースファイル
XFree86 4.1.0を新規インストールするには次の3個のファイルが必要です。
X410src-1.tgz
X410src-2.tgz
X410src-3.tgz
- インストール方法
tar xvzf X410src-1.tgz
tar xvzf X410src-2.tgz
tar xvzf X410src-3.tgz
cd xc
make World(完了メッセージ)
自動ログアウトされるので再度ログインして「xc」ディレクトリへ移動します。
make install(実行中の表示)
- インストール結果
Darwin/x86上のXFree86ではXF86Configは不要ですのでxf86configやxf86cfgはインストールされません。
またXFree86という名前のプログラム自体も存在しません。
(/usr/X11R6/binの中)
- Xの作成
Xサーバ(XDarwin)へのリンク「/usr/X11R6/bin/X」を作成します。
- pathの変更
/etc/X11と/usr/X11R6/binをpathに追加します。
(今回は/usr/share/init/tcsh/loginの中でのpath定義を修正しました)
- Xウィンドウの起動
startxでXウィンドウを起動します(startxのメッセージ)。
環境によってはstartxを実行するとXの中途半端な初期画面が出た状態でOS Panicが発生することがあります(メッセージ:「panic(cpu 0): thread_funnel_set: already holding a different funnel」)。
このような場合はstartx実行前にコンソール上で「xterm」を打ち込んでわざと「Can't open display」エラーを起こさせてから「startx」を実行するとXの画面が正常に表示されることがあります(一種のおまじないみたいなものですが...)。
- Xウィンドウのデスクトップ
デフォルトでXを起動するとtwn(Tab Window Manager)が動作します。
(startxは/private/etc/X11/xinit/xinitrcを読み込みます)
- Xウィンドウ上でのインターネットアクセス
Xウィンドウ上からpingやlynxを使ってみました。
lynxではhttp://www.publicsource.apple.com/projects/darwin/1.3/release.htmlを表示しています。
(拡大画像はこちらです)
(3)デスクトップのカスタマイズ
Xのデスクトップの解像度や背景などを若干カスタマイズしてみました。
- 画面解像度の変更
Darwinのデフォルトの画面解像度は640x400のサイズになっています。
このサイズはコンソール画面とXウィンドウ画面の両方に適用されます。
画面解像度を変更するには/private/Drivers/i386/System.config/Default.tableの内容を修正してリブートする必要があります。
しかし画面解像度の変更はリブート後のシステムフリーズ(login不可)を起こす原因になることもあるので注意が必要です。
- 背景の変更
XFree86 4.1.0をインストールしてstartxを実行するとtwmというウィンドウマネジャが起動されますが標準では背景画像は表示されません。
xpmrootというプログラムを組み込めばxpm形式の画像を背景画像として表示することができるようになります。
xpmrootというプログラムのソース自体はfvwmのソースファイル一式の中に含まれています。
尚、fvwmのソースはhttp://www.fvwm.orgのサイトから入手できます。
今回はfvwm-2.4.2.tar.gzにあるxpmrootを使用してみました。
xpmrootの使い方は簡単で「xpmroot xpmファイル名」を実行すればOKです。
- rxvtの導入
xtermもかなりカスタマイズができますがrxvtを使用すればrxvtウィンドウの背景等の変更も簡単に行えるようになります。
rxvtのソースはhttp://www.rxvt.orgから入手できます。
今回はrxvt-2.6.2.tar.gzをダウンロードして組み込んでみました。
- カスタマイズしたXデスクトップ
画面解像度を640x480に変更し、xpmrootでデスクトップに背景画像を表示し更にrxvtウィンドウにも背景画像を表示させてみました。
(拡大画像はこちらです)
(4)Window Maker
twmウィンドウマネジャの代りにWindow Makerを使ってみました。
今回使用したWindows Makerは安定版の0.65.1で、http://www.windowmaker.org/からソースを入手しました。
Window Makerの導入は以下のコマンド操作で簡単に行えます。
tar xvzf WindowMaker-0.65.1.tar.gz
cd WindowMaker-0.65.1
./configure --host=i386
make
make install
同様にWindowMaker-extra-latest.tar.gzも入手して同様の操作を行います。
後はrehashして「wmaker.inst」を実行すれば「.xinitrc」がWindow Maker用に自動変更されstartxでWindow Makerが自動起動されます。
またImageMagickやGIMPもインストールしてみました。
- ImageMagickの導入
GIMPのインストールには時間がかかるため手軽にインストールできるImageMagickを先に導入してみました。
実サイズの画像はこちらです(800x600)。
- GIMPの導入
GIMPの導入にはgtk+などのライブラリを先にインストールしておく必要があります。
「gimp」で起動してgimpの画像が正しく表示されない場合はXを含めた共有メモリの使用を抑止するオプション「--no-shm --no-xshm」を付けてgimpを起動します。
実サイズの画像はこちらです(800x600)。
(5)その他
- rootユーザのグループ
rootユーザのグループIDはwheelになっています。
- ユーザの追加
root以外のユーザ追加の流れは次のようになります。
- niutil -createによるユーザ作成
例えばamberユーザを追加するには以下のコマンドを実行します。
niutil -create / /users/amber
- niutil -createpropによる様々なユーザプロパティの設定
例えばamberユーザのシェルを設定するには以下のコマンドを実行します。
niutil -createprop / /users/amber shell /bin/tcsh
- パスワードの設定
ユーザパスワードはpasswdコマンドで設定します。
- ホームディレクトリの作成
ホームディレクトリを作成し、そこに「.cshrc」や「.xinitrc」などのファイルを作成しておきます。
- X上でのWindow Makerの利用
Window Makerを使う場合にはamberユーザで「wmaker.inst」を実行しておけばstartxでWindow Makerが使えるようになります。
- hostinfo
- vi
- emacs
- top
- シャットダウン
システムのシャットダウンはshutdownコマンドで行います。
- コンソールの配色について
デフォルトの解像度(640x400)ではコンソールの配色は「背景色が白で、文字色が黒」となります。
しかし解像度を800x600(24bpp)にするとコンソールの配色は「背景色が黒で、文字色が白」になります。
尚、マシン環境によってはデフォルトの解像度でも「背景色が黒で、文字色が白」となる場合もあります。