WindowsデスクトップPCでのMiracast利用例
Miracastは簡単に言うと「1対1のWi-Fiダイレクトを利用してデバイスに画面伝送を行う技術」です。
画面データを受け取る側のデバイスを「Miracastレシーバ」と言います。
Windows 10/11ではMiracast機能が標準装備されていて、PC画面をMiracastレシーバに伝送したり、そのPC自体をMiracastレシーバとして機能させることもできます。
Miracastレシーバ機能を備えたTVもあるかと思いますが、通常のTVやプロジェクタにMiracastレシーバをHDMI接続すればPC画面をTVやプロジェクタに表示させることが可能となります。
筆者がWindows環境でMiracast機能を使用して感じた利点の一つは画面伝送先ディスプレイをワイヤレスのサブディスプレイとして利用できることです。
(ワイヤードメインディスプレイとワイヤレスサブディスプレイの同時利用ということです)
ここでは、Windows 11のデスクトップPCの画面をMiracastレシーバに伝送してワイヤレスマルチディスプレイ環境の構築等についてご紹介致します。
- Miracast利用環境
 
- ネットワーク環境
 (1)無線LANルータ
 (2)デスクトップPCは有線LAN接続
 
- デスクトップPC
 (1)Windows 11 (22H2)
 (2)有線LANでのネットワーク接続
 (3)PC切替器経由でのVGAディスプレイ接続
 (4)無線LANアダプタ(USB 3.0対応子機としてELECOM WDC-867DU3Sを使用)
 この無線LANアダプタ(Wi-Fiアダプタ)はMiracast利用のために必須であり、PCには接続していますが無線LANルータには接続していません(無線LANルータに接続させていても問題ありません)。
 
- TV
 (1)家電メーカーのかなり古い22インチTVですが、HDMI端子が2個装備されています。
 ※ TVの代わりにPC用の液晶モニタを使っても構いません。
 
- Miracastレシーバ
 (1)ELECOM LDT-MRC03(最大解像度:1920x1080)を使用(2022.7.1出荷製品)
 
パッケージには「ワイヤレスHDMIレシーバ」と記載されていますが、その取扱説明書では「Miracastレシーバ」と記載されています。
 
 (2)TVとMiracastレシーバはHDMI接続
 (3)Miracastレシーバ内蔵のアクセスポイントのSSIDはMRC03-xxxx(xxxxは製品ごとに異なる数字)で、パスワードはMiracastレシーバの待機画面(オープニング画面)に表示されます。
 (4)Miracastレシーバの設定確認方法:
 
- Miracastレシーバ(MRC03-xxxx)との通常の無線LAN接続
 
- ipconfigコマンドによるMiracastレシーバ接続時のPC側IPv4アドレス確認
 これによって、192.168.xx.yyのxx部分の値が分かります。
 
- ブラウザでhttp://192.168.xx.1/ を開いてMiracastレシーバの設定確認と更新が行えます。
 
 (5)MiracastレシーバとPC側無線LANアダプタの直線距離は5m以内(製品仕様上は「最大10mの通信距離」)
 
 
 
- Miracastレシーバに対するアクセスポイント設定について
 Miracastレシーバに対するアクセスポイント設定はMiracastレシーバのファームウェアの更新のために必要とされます。
 しかしMiracastレシーバ(ELECOM LDT-MRC03)のファームウェアの更新は出荷後もないようですのでMiracastレシーバに対するアクセスポイント設定は不要です。
 
 
- PC側Wi-Fi設定について
 
- 有線LAN接続が有る場合
 有線LAN接続でインターネット接続している場合は「PC側Wi-Fiアクセスポイント接続無し」のままでOKです。
 
- 有線LAN接続なしで内蔵または外付けWi-Fi子機だけで無線LANルータとのWi-Fi接続してインターネット接続している場合
 この場合、PC側Wi-Fiアクセスポイント接続設定の変更は不要です。
 【補足】
 内蔵または外付けWi-Fi子機だけでインターネット接続している環境のままでMiracastレシーバと接続してもインターネット接続は可能ですのでMiracastレシーバに対する無線LANルータとのWi-Fi接続設定は不要です。
 更に補足しますと、内蔵または外付けWi-Fi子機だけでインターネット接続している環境ではデフォルトゲートウェイが設定されています。
 その内蔵または外付けWi-Fi子機でMiracastレシーバとMiracast(Wi-Fiダイレクト)接続するとデフォルトゲートウェイなしの「Wireless LAN adapter ローカルエリア接続」が追加されます。
   
 この場合、その内蔵または外付けWi-Fi子機の「Wireless LAN adapter Wi-Fi」でのデフォルトゲートウェイは維持されるのでインターネット接続は継続利用できます。
 
 結局は内蔵または外付けWi-Fi子機についてはMiracast接続のための特別な設定は不要ということになります。
 
 
- PC側でMiracast利用のための設定変更について
 PC側に無線LANアダプタ(Wi-Fiアダプタ)が接続されていればその無線LANアダプタ(Wi-Fiアダプタ)の設定変更はしないままでMiracastが利用できます。
 
 
- Miracast利用手順
 PC画面を単純にTVに伝送する手順は以下の通りです。
 
- Miracast利用のための確認
 [設定]−[システム]−[ディスプレイ]−[マルチディスプレイ]を開いて「ワイヤレスディスプレイに接続する」という表示があることを確認します。
 この表示が無い場合はMiracastの利用はできません。
 
- Miracastレシーバへの接続
 「ワイヤレスディスプレイに接続する」という表示の右側にある<接続>ボタンをクリックします。
 またはWindowsキー+Kキーを同時に押します。
 これで「キャスト」画面が表示されます。
   
 
- 接続先Miracastレシーバの選択
 「キャスト」画面でMiracastレシーバ(接続先)として「MRC03-xxxx」をクリックして選択します。
 これだけでPC画面がTVに表示されます。
 デフォルトのプロジェクションモードは「複製」(PC画面と同じ画面をMiracastレシーバに伝送)になっています。
 ちなみに、プロジェクションモードには次の3種類のモードがあります。
 (1)複製:PC画面をそのままMiracastレシーバに伝送する
 (2)拡張:PC画面をPCと接続先に広げて表示する(いわゆるマルチディスプレイ表示のことです)。
 (3)セカンドスクリーンのみ:PC側には何も表示せずに接続先のみに表示する。
 
- 複製モードでの表示
 Miracastレシーバ接続前のPC側での解像度は1920x1080なのですが、複製モードでの表示ではPC側での解像度は1024x768となりました。
 また音声は伝送されずにPC側からの再生のままとなりますが、音声伝送方法は後述します。
 ・複製モードでのPC側表示
   
 ・複製モードでのTV側表示
   
 
- 複製モードから拡張モードへの変更
 今回使用しているMiracastレシーバの取扱説明書には「本製品は複製のみサポートしています。」と明記されています。
 しかし、今回試した範囲では下記の通り「拡張」モードでも動作しています。
 複製モードでPC画面を伝送中にWindowsキー+Kキーを同時に押して「キャスト」画面を表示させて[拡張](マルチディスプレイでの「拡張」と同意)をクリックします。
   
 この状態でWordのウィンドウをサブディスプレイ側に移動させてみました。
 (1)拡張モードでのPC画面は1920x1080での表示となります(マルチディスプレイのメインディスプレイ扱い)。
   
 (2)但し、TV画面は1280x768の表示となりました(マルチディスプレイのサブディスプレイ扱い)。
   
 
- 拡張モードでのPrint Screen結果
 拡張モードでのPrint Screenキーでは通常のマルチディスプレイ環境同様にメインディスプレイとサブディスプレイの画面が繋がった状態で取得されます。
   
 (左側のメインディスプレイ表示部分は1920x1080で、右側のサブディスプレイ表示部分はタスクバー部分を含めて1280x768となりました)
 
- 音声伝送設定
 PC側の音声をTV側に伝送するのは次のように行いました。
 (1)Miracastレシーバに接続した状態でタスクバーの端にある「スピーカ」アイコンを右クリックして[音量ミキサーを開く]を開きます。
 (2)「音量ミキサー」画面で出力デバイスを[スピーカー (High Definition)]から[Digital Output (MRC03 xxxx)]に切り替えます。
   
 (Windowsキー+Kキーで表示される「キャスト」画面で[切断]を実行しても音声出力デバイスの変更設定は引き継がれるようです)
 
- 拡張モードでのディスプレイ配置変更
 通常のワイヤード「マルチディスプレイ」構成の場合と同様にMiracastレシーバデバイスとの「拡張」モードでの接続でもメインディスプレイとサブディスプレイの上下左右の位置関係を用途に合わせて自由に変更できます。
 下記はディスプレイの設定画面で[2]のサブディスプレイ(Miracastレシーバデバイス側のディスプレイ)の位置関係を[2]のドラッグ操作で変更中の様子です。
   
 
 
 
- Windows Media PlayerによるMiracastレシーバ接続例
 Windows Media Playerは「ストリーム」メニューでの設定によってDLNAメディア対応機能(DLNAメディアサーバ/レシーバ/プレーヤ)を使用できるようになります。
 しかし、「ストリーム」メニューでのデフォルト設定のままでMiracastレシーバ接続ができるようになっています。
 【Windows Media PlayerによるMiracastレシーバへの接続操作例】
 (1)Windows Media Player内のメディア(動画)の右クリックメニューの[デバイスキャスト]で「TV/ディスプレイ」アイコンの付いたMiracastレシーバが表示されます。
   
 (2)接続したいMiracastレシーバを選択するとそのMiracastレシーバに接続されて、メイン画面での再生が開始されます。
 ※ Windows Media Playerでの再生中ウィンドウをサブディスプレイに簡単に移動させたい場合はShift+Windows+[→]キーを押します。
 
 
- ファイルエクスプローラによるMiracastレシーバ接続例
 Windows Media Player以外にファイルエクスプローラでもMiracastレシーバ接続が可能になっています。
 【ファイルエクスプローラによるMiracastレシーバへの接続操作例】
 (1)ファイルエクスプローラでのメディア(動画)の右クリックメニューの[デバイスキャスト]で「TV/ディスプレイ」アイコンの付いたMiracastレシーバも表示されます。
   
 (2)接続したいMiracastレシーバを選択するとそのMiracastレシーバに接続されて、メイン画面でのWindows Media Playerでの再生が開始されます(再生中画面例)。
 
 
- WindowsのMiracast機能とiPhone用画面ミラーリングアプリとの連携例
 iPhone用のアプリとして「Miracast」というアプリがありますが、名前とはうらはらにMiracastレシーバ(MRC03-xxxx)を認識しません。
 実は、iPhone用の「Miracast」アプリはChromecast対応のアプリなのですが、Chromecast Ultraを認識しませんでした(他のアプリではChromecast Ultraは認識されますが...)。
 そこで今回使用したのはApowerMirrorアプリです。
 多機能型の「ApowerMirror」アプリにはマルチディスプレイのメインとサブを選択してミラーリングする機能(ディスプレイ切替機能)が備わっています。
 「ApowerMirror」アプリのディスプレイ切替機能を使用してWindowsのMiracast機能でのマルチディスプレイのメインとサブを切り替えてTV表示してみました。
 Miracast機能を使用するPC(Windows 11)とiPhone及びTV側全てにApowerMirrorをインストールし、PC→iPhone→TVというネストミラーリングを使用しました。
 
- PC→iPhoneへのミラーリング
 (1)PC側からMiracastレシーバに「拡張」モードで画像伝送(ミラーリング)します。
 これによってPC側はマルチディスプレイ構成となります。
 (2)更に、PC→iPhoneへApowerMirrorを使ってミラーリングします。
 このミラーリングにおいてiPhone側に表示されるツールバーの一番下の「ディスプレイ切替」を使ってメインとサブのディスプレイを切り替えます。
   
 ツールバーの一番下の「ディスプレイ切替」をタップするとメインとサブが交互に切り替えられます。
 
- iPnone→TVへのミラーリング
 Miracastレシーバと接続されていない別のTVのApowerMirrorに対してiPhone側のコントロールセンタの「画面ミラーリング」からミラーリングします。
 下記はサブディスプレイをTVにミラーリングした時の様子です(iPhone画面がそのままミラーリングされます)。
   
 ここでiPhone側の「ディスプレイ切替」をタップするとメインディスプレイのミラーリングに切り替わります。
   
 
 
 
- PC側をMiracastレシーバにする方法
 Windows 11のPCをMiracastレシーバにするには、[設定]−[アプリ]−[オプション機能]で「ワイヤレスディスプレイ」をインストールする必要があります。
 すべてのアプリに登録された「ワイヤレスディスプレイ」を起動して「xxxにワイヤレス接続する準備ができました。」という表示がされるとMiracastレシーバとしての待機状態になるはずです。
 尚、PC側に無線LANアダプタが接続されていない場合は「ワイヤレスディスプレイ」の起動でMiracast未サポートの旨のエラーとなります。
 
 
- ELECOM LDT-MRC03でのAirPlay対応について
 今回試用しているMiracastレシーバ(ELECOM LDT-MRC03)はiPhone/AirPlay対応という扱いにはなっていません。
 しかし、このMiracastレシーバはAirPlayレシーバとしても機能するようです。
 iPhone側のWi-Fiは普段お使いのSSIDへの接続のままで、MiracastレシーバをAirPlayレシーバとして使用することが可能です。
 (但し、Miracastレシーバでの設定でiPhoneと同じSSIDへの接続設定は必須です)
 実際、iPhoneの「写真」アプリの画像・動画に対する[共用]−[AirPlay]でのデバイス一覧に「MRC03-xxxx」というデバイスが表示されます。
 その「MRC03-xxxx」を選択するとMiracastレシーバ側で画像・動画が再生されます。
 更に、iPhoneのコントロールセンタの「画面ミラーリング」画面でも「MRC03-xxxx」を選択するとiPhone画面がMiracastレシーバ側にミラーリングされます。
 
 
- ELECOM LDT-MRC03でのDLNA対応について
 今回試用しているMiracastレシーバ(ELECOM LDT-MRC03)はDLNA対応という扱いにもなっていません。
 しかし、このMiracastレシーバはDLNAメディアレシーバとしても機能するようです。
 iPhoneのアプリからこのMiracastレシーバをDLNAメディアレシーバとして使用してみました。
 AirPlayの場合と同様にiPhone側のWi-Fiは普段お使いのSSIDへの接続のままで、MiracastレシーバをDLNAメディアレシーバとして使用することが可能です。
 (但し、Miracastレシーバでの設定でiPhoneと同じSSIDへの接続設定は必須です)
 例えば、iPhoneの「TV Cast(D)」アプリでキャスト先として「MRC03-xxxx」を選択して接続すると「TV Cast(D)」アプリのロゴ画面がMiracastレシーバ側に待機表示されます(勿論、画像・動画再生も問題ありません)。
 更に、「Nero Streaming Player」アプリでも再生先デバイスとして「MRC03-xxxx」を選択することで画像・動画をMiracastレシーバ側で表示・再生できます(動画再生例)。
 
 
- 2つのiPhone画面のTV同時表示例
 プレゼンを行う場合に2つのiPhone画面をTV/プロジェクタに並べて表示させたいこともあるかと思います。
 ここではiPhone 8とiPhone 12の画面を並べて表示する3つの方法(パターン)について簡単に紹介します。
 
- パターン1:Microsoft StoreのAirPlayとAirPlayReceiverの併用例
 (1)Microsoft StoreからAirPlayとAirPlayReceiverを入手します。
 (2)AirPlayとAirPlayReceiverを起動します。
 (3)iPhone 8の画面はコントロールセンタの「画面ミラーリング」画面から「PC[AirPlay]」に接続してAirPlayウィンドウにミラーリングします。
 (4)iPhone 12の画面はコントロールセンタの「画面ミラーリング」画面からAirPlayReceiverに接続してAirPlayReceiverウィンドウにミラーリングします。
 (5)AirPlayとAirPlayReceiverのミラーリング画面の両端には黒い帯状部分があり2つのウィンドウが重なりがちとなります。
 (6)Miracastレシーバに拡張モードで接続して2つのウィンドウをそれぞれShift+Windows+[→]キーでサブディスプレイに移動させます。
 (7)画面伝送しないメインディスプレイにはWord等で作成したナレーションノートを表示させておくと便利かと思います。
 
- パターン2:ApowerMirrorのマルチミラーリング機能の使用例
 (1)ApowerMirrorは最大4台までのiPhone画面を同時にミラーリングできます。
 (2)1台目のミラーリング後、2台目のiPhoneをミラーリング接続すると自動的にミラーリング画面が追加されて並んで表示されます。
 (3)ミラーリング画面には黒い帯状部分がないため重なりを回避できます。
 (4)Miracastレシーバに拡張モードで接続して2つのウィンドウをそれぞれShift+Windows+[→]キーでサブディスプレイに移動させます。
 (5)画面伝送しないメインディスプレイにはWord等で作成したナレーションノートを表示させておくと便利かと思います。
 
- パターン3:ApowerMirrorとLetsViewの併用例
 (1)ApowerMirrorとLetsViewを起動します。
 (2)iPhone 8のApowerMirrorを使って画面をPC上のApowerMirrorにミラーリングします。
 (3)iPhone 12の画面はコントロールセンタの「画面ミラーリング」画面からPC上のLetsViewにミラーリングします。
 (4)ApowerMirrorとLetsViewのウィンドウ枠に違いがあるためどちらのウィンドウがどちらのiPhone画面なのかの区別がし易くなるかも知れません。
 (5)ApowerMirrorのウィンドウサイズの調整や2つのウィンドウの位置決めをします。
 (6)Miracastレシーバに拡張モードで接続して2つのウィンドウをそれぞれShift+Windows+[→]キーでサブディスプレイに移動させます。
   
 (7)画面伝送しないメインディスプレイにはWord等で作成したナレーションノートを表示させておくと便利かと思います。
 
 
 
- Hyper-V仮想マシンのAndroid-x86からのMiracastレシーバ利用例
 Android-x86は、実機マシンはもとよりいろいろな仮想マシン環境で実行可能になっています。
 仮想マシン環境でのAndroid-x86は実機環境のAndroid-x86よりも制約は多いようですが今回はWindows 11のHyper-V仮想マシンとして実行させてみました。
 Android-x86をWindows 11のHyper-V仮想マシンで実行させる目的はHyper-V仮想マシン環境のAndroid-x86がMiracastレシーバを利用できることの簡単な検証です。
 結論から言うと、Hyper-V仮想マシン環境のAndroid-x86のYouTubeアプリの動画をMiracastレシーバに音声含めて伝送できることが確認できました。
 尚、Android-x86には仮想Wi-Fi機能があり、Android-x86を実行するPC/仮想PC自体がパスワードなしのWi-Fiスポットになり、Android-x86のLANは自動的にWi-Fiネットワークとなります(SSID:VirtWifi)。
 検証の環境及び手順は以下の通りです。
 
- Hyper-VのPC環境(デスクトップPC)
 (1)OS:Windows 11 Pro (22H2)
 (2)Wi-Fi子機:なし(有線LANのみ)
 (3)Android-x86のインストール用isoファイル
 https://www.fosshub.com/Android-x86.html からandroid-x86_64-9.0-r2.iso(約1GB)をダウンロードしました。
 
- Android-x86用のHyper-V仮想マシン定義
 
- 仮想マシンの新規作成ウィザードでの設定内容
 
- 仮想マシンの名前:hvandroid(任意)
 
- 世代:第1世代(デフォルト)
 
- 起動メモリ:2048MB
 1024MBでは「応答なし」多発のため2048MBにしました。
 
- 動的メモリの使用:オン(デフォルト)
 
- ネットワークの構成での接続:接続しない(ここでは「接続しない」を選択します)
 
- 仮想ディスクの名前とサイズ:hvandroid.vhdx, サイズは64GB
 
- インストールオプション:イメージファイルとしてandroid-x86_64-9.0-r2.isoを指定
 
 
- 追加の設定内容
 
- ハードウェアの追加
 レガシーネットワークアダプタを追加して、仮想スイッチとして有線LANを使用する外部スイッチを選択(外部スイッチは仮想スイッチマネジャにて事前に作成済み)。
 
- 仮想プロセッサ数:1
 
- 統合サービス:デフォルトのままとします。
 
- チェックポイントオプション:オフにします。
 
- 上記以外はデフォルトのままでOKです。
 
 
- Android-x86のインストール
 
- 仮想マシン(hvandroid)の起動
 
- インストールメニュー画面
 [Advanced options]−[Auto_Installation - Auto Install to specified harddisk]を選択します。
 
- /dev/sda1がフォーマットされてインストールされます。
 
- インストール後の設定変更
 BIOSのスタートアップ順序で最初のCDをIDEに変更します。
 
 
- インストール後の初期設定
 
- Wi-Fi接続:VirtWifi(デフォルト)の確認
 
- アップデートの自動確認
 
- アプリとデータのコピーとデータの引き継ぎ設定:任意
 
- Googleアカウントでのログイン
 
- 日付と時刻の確認
 
- Googleサービス:任意
 
- タブレットの保護でのPINコードの設定
 
- ホームアプリの選択:今回は[Quickstep]を選択
 
- ホーム画面が表示されます。
 
 
- カスタマイズ
 
- スリープ時間:10分を30分に変更
 
- キーボードの種類やレイアウト:お好みで変更
 
- キャスト先の確認
 ステータスバーの右クリックで[キャスト]選択して「MRC03-xxxx」表示を確認します。
 
 
 
- YouTubeのインストールと実行
 
 【補足】
 (1)仮想Wi-Fi接続時のコンソール画面(Alt+F1)でifconfigを実行するとwifi_ethとwlan0が表示されます。
 (2)Chromecast Ultraもキャストデバイスとして認識されます。
   
 
 YouTubeのキャストアイコンをクリックして「キャスト先」画面で[Chromecast Ultra]を選択するとChromecast Ultra側で音声含めた映像が再生されます。
 その場合のYouTubeアプリには「Chromecast Ultraで再生しています」というメッセージが表示されます。
 
 
- ELECOM LDT-MRC03以外のMiracastレシーバについて(その1:MiraScreen編)
 ELECOM LDT-MRC03以外のMiracastレシーバとして「MiraScreen」を試してみました。
 「MiraScreen」本体は直径6cm程の円形ドングルで本体中央には「EZ」を文字ったロゴが入っています。
 「MiraScreen」にはAirPlayモード(デフォルト)とMiracastモードの二つのモードがサポートされており、本体付属の切り替えスイッチでモード切り替えができるようになっています。
 (オープニング画面はモードによって異なります)
 デバイス名は「Mirascreen xxxx」という名称になります。
 AirPlayモードはiOS系デバイス対応でAirPlayレシーバとしてだけでなくDLNAメディアレシーバとしても動作します(iPhoneの「TV Cast(D)」アプリでのDLNAメディアレシーバとしての検出例)。
 MiracastモードはAndroid系デバイスとWindows対応になっています。
 Miracastモードでは上記でご紹介したELECOM LDT-MRC03と同様のMiracastレシーバとしてWindowsから利用できました。
 更に無線LANアダプタをWI-U2-433DMS/Nにした場合の動作確認も下記の流れでWindowsからの利用を試してみました(特に問題はありませんでした)。
 
- Miracastモードへの切り替え
 ・Miracastモードでの待機画面(オープニング画面)
 
- Windows側でのキャスト画面操作
 (1)Windowsキー+Kキーを同時に押してキャスト画面を表示します。
 (2)キャスト画面で「Mirascreen xxxx」デバイスを選択します。
 (3)プロジェクションモードを「複製」から「拡張」に切り替えます。
   
 
- 拡張モードでのTV側表示(サブディスプレイ表示)
   
 
 
 【補足】
 (1)「MiraScreen」はMiracastモードにしてもAndroid-x86の仮想マシンからはキャスト先デバイスとして検出されませんでした。
 
 
- ELECOM LDT-MRC03以外のMiracastレシーバについて(その2:P3Q-00009編)
 Microsoftがリリースしている主流のMiracast対応デバイスとしては次の2種類あります。
 ・Microsoft ワイヤレスディスプレイアダプタ(モデル番号:P3Q-00009)
 ・Microsoft 4K ワイヤレスディスプレイアダプタ(モデル番号:UTH-00036)
 筆者は、以前Windows 10のタブレットPCと24インチ液晶モニターをHDMIケーブルで直結したデュアルディスプレイ環境を使用していました。
 そこで、今回はその24インチ液晶モニターをWindows 11のデスクトップPCからP3Q-00009経由でワイヤレスディスプレイとして使用してみました(デスクトップPCからP3Q-00009へのMiracast接続)。
 ELECOMのMiracastレシーバ(ELECOM LDT-MRC03)を使用する場合と同様の方法でP3Q-00009を経由して接続利用できました。
 尚、P3Q-00009の待機画面における壁紙の設定等はELECOMのMiracastレシーバ(ELECOM LDT-MRC03)でのWebインタフェースとは違って、Microsoft Storeにある「ワイヤレスディスプレイアダプタ」アプリ(後述)で行います。
 今回試した操作の流れは以下の通りです。
 
- P3Q-00009ファームウェアの更新
 
- デスクトップPCとP3Q-00009の接続
 Windowsキー+Kキーを同時に押して、「キャスト」画面でP3Q-00009を表す「MSDisplayAdapter_nn」を選択します。
   
 プロジェクションモードは「拡張」モードにして使用しました。
 ・「拡張」モードでのメイン画面例
 
 
- P3Q-00009のファームウェアの更新
 (1)Microsoft Storeからの「Microsoft ワイヤレスディスプレイアダプタ」アプリのインストール
 (2)その「ワイヤレスディスプレイアダプタ」アプリの起動
 (3)しばらくするとワイヤレスディスプレイアダプタのファームウェア更新プログラムの存在を知らせるポップアップ画面が表示されます。
   
 (4)「ワイヤレスディスプレイアダプタ」アプリ側にもワイヤレスディスプレイアダプタのファームウェア更新プログラムの存在を知らせる内容が表示されます。
   
 (5)「ワイヤレスディスプレイアダプタ」アプリ側で[更新]を実行します(ファームウェア更新)。
 ファームウェア更新の進捗が表示されます。
   
 (6)ファームウェアの更新が完了するとワイヤレスディスプレイアダプタが自動再起動されます。
 
- P3Q-00009ファームウェアのアップグレードバージョンの使用
 ファームウェアが更新されてからワイヤレスディスプレイアダプタが起動されると接続待機画面に壁紙が表示されます。
   
 尚、ワイヤレスディスプレイアダプタのファームウェアの更新が実行されても「ワイヤレスディスプレイアダプタ」アプリ自体のバージョンは変化しません。
 (1)ファームウェア更新後の「ワイヤレスディスプレイアダプタ」アプリでは待機画面の壁紙設定が行えるようになっています。
 (2)ファームウェア更新後の「ワイヤレスディスプレイアダプタ」アプリにも「ネットワーク」タブは表示されません。
 「ワイヤレスディスプレイアダプタ」アプリに「ネットワーク」タブが表示されるのはMicrosoft 4K ワイヤレスディスプレイアダプタに限定されます。
 「ネットワーク」タブではWi-Fi設定ができますのでMicrosoft 4K ワイヤレスディスプレイアダプタではMiracast以外のプロトコル(AirPlay,DLNA等)の対応有無の確認も行えるようになります。
 
- 補足
 (1)Microsoft ワイヤレスディスプレイアダプタとMiracast接続しているWindows 11に他のPCからリモートデスクトップ接続するとMiracast接続は自動切断されます。
 
 
 
 
- PC間Miracast接続[→失敗]
 Windows10/11にはワイヤレスプロジェクション機能があります。
 今回、Windows 10 タブレットPCからWindows 11 デスクトップPCへのワイヤレスプロジェクション用Miracast接続を試してみました。
 (Windows 11 デスクトップPCをMiracastによるミラーリングのレシーバにします)
 結果的には、接続不可となりましたが、ここではその操作方法を一応紹介させて戴きます。
 
- Windows 11 デスクトップPC側の準備と操作
 
- Wi-FiアダプタのUSB接続(ELECOM WDC-867DU3S使用) ※ Wi-Fi接続設定はしていません
 
- 「ワイヤレスディスプレイ」アプリの導入
 マイクロソフトの「ワイヤレスディスプレイ」アプリは、他のデバイスがそのPCにワイヤレスプロジェクションできるようにするアプリです。
 その導入は[設定]−[アプリ]−[オプション機能]ー[オプション機能を追加する]で、「ワイヤレスディスプレイ」を選択すればOKです。
 
- [すべてのアプリ]の[ワイヤレスディスプレイ]を起動して待機
 Windows 11のPC名は「bird27」としています。
   
 
 
- Windows 10 タブレットPC側の操作
 Windows 10 タブレットPCのPC名は「Win10HomeTab」としています。
 
- Windowsキー+Kキーを同時に押します。
 
- 接続先デバイスとして表示される[bird27]を選択します。
 
- 「接続中」と表示されます。
   
 
- Windows 11側の「ワイヤレスウィンドウ」には「xxxからのプロジェクションを開始しています」と表示されます。
   
 
- 双方のIPアドレスについて
 接続処理中の双方のIPアドレスは次のようになっていました。
 ・Windows 11側:192.168.137.1
 ・Windows 10側:192.168.137.247
 
- 最終的にはWindows 10側で「接続できませんでした。」エラーが表示されます。
 