Virtual PC for WindowsによるデュアルWindows XP環境
デュアルOSとは一つのPC上で同じOSを2個同時に実行することを言います。
デュアルOSのOSがWindows XPの場合をデュアルWindows XPと言います。
したがってデュアルWindows XPとは一つのPC上で2個のWindows XPを同時に実行することを指します。
デュアルWindows XP環境を利用することにより次のようなことが簡単に行えるようになります。
- 相反するシステム設定オプションを適用したシステム動作比較
- 同じアプリケーションでバージョンの異なるものの使い分け
- 同じアプリケーションでバージョンの異なるものの仕様/動作比較
- システム障害発生時の一時的な使用OS切り替え
- カスタマイズテスト
- 通常使用するWindows XPとは別のWindows XPをいろいろなテストの専用OSとして使用する(下例参照)。
- 評価版ソフトの評価専用OS
- レジストリ変更テストの専用OS
- サーバ系ソフトの専用OS
- (システムに影響を及ぼしそうな)ソフトの確認専用OS
- サービスパックやパッチの動作確認専用OS
- スクラッチ&ビルド専用OS
- その他
デュアルWindows XP環境を構築する方法は大きく2種類あります。
- Windows XP上でもう一つのWindows XPを動作させるタイプ
- 或るOS上で2個のWindows XPを動作させるタイプ
今回紹介するのはWindows XP上でもう一つのWindows XPを動作させるタイプの環境構築で、具体的にはWindows XPに導入したVirtual PC for Windows 5(VPC5)環境内で別のWindows XPを動作させるものです。
当然ながらWindows XPのライセンスは2個必要となります。
ここでは紛らわしさを避けるためPC上でネーティブに動作させるWindows XPを「ホストWindows XP」と呼び、Virtual PC for Windows環境内で動作させるWindows XPを「ゲストWindows XP」と呼ぶことにします。
また今回使用するWindows XPはホスト、ゲスト共にWindows XP Professionalです。
1.マシン環境
- CPU:Pentium 4 1.7GHz
- メモリ:640MB
- VGAカード:GeForce3
- モニタ:最大解像度=1920x1440
- サウンドカード:SoundBlaster Live! Value
- LANカード:D-Link DE-530+ PCI Ethernet Adapter
- Windows XPのファイルシステム:NTFS
尚、ゲストWindows XPのインストール先はホストWindows XPマシンの内蔵HDD(IDE)内のディスクイメージファイルとします。
2.ゲストPCの定義
- VPC5を起動しPCリストウィンドウを表示します。
(PCリストのウィンドウタイトルは「Virtual PC」となっています)
- PCリストウィンドウの右上にある<新規のPC>ボタンを押します。
- PCセットアップウィザードが開始されます。
PCセットアップウィザードの各画面での設定/確認後は<次へ>ボタンで先に進みます。
- 「PCの名前」ではゲストPC名を適当に指定します。
ここでは「Windows XP Professional」とします。
尚、ここで指定した名前はPCリストに表示されます。
- 「設定のオプション」では<ガイドを利用>を選択します。
- 「ゲストのオペレーティングシステム」では「Windows XP」を選択します。
- 「メモリの設定」では「このPCのメモリ割り当てサイズを調整しますか?」で<はい>を選択してゲストPCに割り当てるメモリサイズを指定します。
- 「起動ディスクのオプション」では<新規のハードディスクイメージを作成>を選択します。
- 「起動ディスクの場所」では新規に作成するハードディスクイメージのファイルを指定します(ディスクイメージファイルの拡張子はvhdです)。
ここではWindowsXP Pro.vhdとしておきます。
- PCセットアップウィザードの最後は「セットアップの概要」が表示されます。
内容を確認して<完了>ボタンを押します。
- PCリストでの追加ゲストPC名表示
PCリストウィンドウには今回追加したPCの名前が表示されます。
(VPC5のPCリストウィンドウを最小化した場合のアイコンはタスクトレイに入ります)
- ゲストPCの詳細設定内容の確認
PCリスト内に追加されたPC名を選択して<設定>ボタンを押すとウィザードで特に設定しなかった項目も含めて設定内容の詳細を確認できます。
ネットワークの設定値は「バーチャルスイッチ」になっていて、そのルーティングオプションはデフォルトの<ローカルとホストと外部>属性になっています。
これは当該ゲストPCがそのホストPCや他のゲストPC、更にはホストPCと接続された他のPCとネットワーク接続できることを示すオプションです。
尚、PCの各設定項目はここで設定内容を変更することができます。
- ディスクイメージについて
上記のウィザードで作成されるディスクイメージのタイプは「容量可変の拡張ディスクイメージ」と呼ばれるタイプのものです。
ゲストOSの種別が「Windows XP」の場合、上記ウィザードで新規作成されるディスクイメージの初期ファイルサイズは約4MBに過ぎません。
「容量可変の拡張ディスクイメージ」タイプのディスクイメージはゲストOSを実際にインストールしたり、ゲストOS実行時にファイル追加したりする時にディスクイメージファイルのサイズが大きくなります。
この「容量可変の拡張ディスクイメージ」タイプのディスクイメージは「容量固定のディスクイメージ」に変換することができます。
これは[ファイル]メニューの[Virtualディスクウィザード]で<既存のディスクイメージの検査、または変更>を選択してそのウィザードを実行することで変換できます。
尚、Virtual PC付属のユーザガイドによると容量固定のディスクイメージに変換してもゲストOS実行時の性能向上はあまり無いとのことです(つまりホストOSのディスク容量を圧迫するだけのようです)。
3.ゲストWindows XPのインストール
Windows XPを上記で定義したゲストPCにインストールする手順は以下の通りです。
尚、Windows XPをネーティブインストールする場合と同じ部分の説明は基本的に省略してあります。
- インストール用CD-ROMのセット
Windows XPのインストール用CD-ROM(ブータブルCD)を実際のCD-ROMドライブにセットします。
- ゲストPCの起動
Windows XP用に定義したPC名をPCリスト内で選択して<起動>ボタンを押します。
ゲストPCに電源が入ったような状態になりVirtual PCウィンドウ内に「Windows Setup」画面が表示されます。
- セットアップの開始
「セットアップの開始」画面が表示されます。
Enterキーを押して先に進みます。
- ライセンス契約〜キーボードの設定画面:説明省略
- パーティション選択画面
PCセットアップウィザードで作成した16GBのディスク(ディスクイメージ)が自動選択されますのでそのままEnterキーで先に進みます。
- ファイルシステムの選択画面
ファイルシステムの選択画面では<NTFSファイルシステムを使用してパーティションをフォーマット>を選択します。
- フォーマットの確認画面
フォーマットの確認画面ではFキーを押してフォーマットの実行を開始させます。
ここでのフォーマットはあくまでもPCセットアップウィザードで作成した16GBのディスク(ディスクイメージ)に対してであり、ホストPCの内蔵HD自体がフォーマットされるわけではありません。
またマスタブートレコードの書き込みも同様で、あくまでもPCセットアップウィザードで作成した16GBのディスク(ディスクイメージ)に対しての書き込みであり、ホストPCの内蔵HD自体のマスタブートレコードに書き込みが発生するわけではありません。
- フォーマット中〜ファイルコピー画面:説明省略
- 自動リブート
ファイルのコピーが完了すると自動的にリブートされます。
ここでの自動リブートはあくまでもゲストPCの自動リブートです。
自動リブート時、Windows XP Professionalのロゴが画面表示されます。
- インストール画面
前段のセットアップ処理の次は実際のインストールが開始されます(GUIベースのインストール)。
- デバイスのインストール、地域と言語のオプション〜日付と時刻の設定:説明省略
Administratorのパスワードはこの過程の中で設定します。
- ネットワーク関連の設定画面
ここでは利用環境に合わせてネットワークの設定を行います。
- インストールの完了と自動リブート:説明省略
- パスワードの入力画面
パスワードを入力すると、ようこその画面が出て、Windows XPの開始サウンドが鳴ります。
- 画面解像度の設定変更
利用環境に合わせて画面解像度の設定を変更します。
- Windows XPの終了
「スタート」メニューの「終了オプション」の「電源を切る」でWindows XPを終了させます。
この時「コンピュータの電源を切ることができます。」と表示されます。
- ゲストPCのシャットダウン
Virtual PCの[PC]メニューの[シャットダウン]で<PCの電源を切る>を選択してゲストPCのシャットダウンを行います。
- ディスクイメージサイズの確認
この時点でのディスクイメージサイズは約1.5GBになっています。
4.ゲストWindows XPの手動ブート
PCリストのゲストPC名を選択して<起動>ボタンを押すとブート処理が開始されます。
まずWindows XP Professionalのロゴ画面が表示されます。
次にユーザ選択/パスワード入力画面が表示されログインが完了するとデスクトップ画面が表示されます。
- ゲストWindows XPのライセンス認証
「スタート」ボタンの「すべてのプログラム」にある「Windowsのライセンス認証」を起動し、ゲストWindows XPのライセンス認証の手続きを行います。
- デュアルWindows XPのデスクトップ
実寸画像はこちらです(1600x1200)。
- PCリストにおけるゲストPCのアイコン
PCリストにおけるゲストPCのアイコン部分にはゲストOSの画面が表示されますが、それは時々刻々と変化します。
- 全画面表示モードへの切り替え
右Alt+Enterキーで全画面表示モードにできます。
全画面表示モードで右Alt+Enterキーを押すと元に戻ります。
5.ホスト・ゲスト間のネットワーク
ホストWindows XPの共有リソースはゲストWindows XPからアクセスできます。
6.デュアルWindows XPの利用
目的に合わせてホストWindows XPとゲストWindows XPを使い分けします。
具体例は省略します。