Virtual PC for WindowsへのWindows Server 2003の導入とリモートデスクトップ接続利用
Virtual PC for Windows Ver 5.0(VPC5)にWindows Server 2003を組み込む手順及びWindows Server 2003へのリモートデスクトップ接続について簡単に紹介します。
ここで使用しているWindows Server 2003はWindows Server 2003 RC2(Windows .NET Server 2003 RC2のEnterprise Edition版)です。
尚、ホストOSはWindows XP Professionalです。
1.マシン環境
- CPU:Pentium 4 1.7GHz
- メモリ:640MB
- VGAカード:GeForce3
- モニタ:最大解像度=1920x1440
- サウンドカード:SoundBlaster Live! Value
- LANカード:D-Link DE-530+ PCI Ethernet Adapter
- Windows XPのファイルシステム:NTFS
尚、Windows Server 2003のインストール先はホストPCの内蔵HDD(IDE)内のディスクイメージとします。
2.ゲストPCの定義
- VPC5を起動しPCリストウィンドウを表示します。
(PCリストのウィンドウタイトルは「Virtual PC」となっています)
- PCリストウィンドウの右上にある<新規のPC>ボタンを押します。
- PCセットアップウィザードが開始されます。
PCセットアップウィザードの各画面での設定/確認後は<次へ>ボタンで先に進みます。
- 「PCの名前」ではゲストPC名を適当に指定します。
ここでは「Windows Server 2003 RC2」などと指定します。
尚、ここで指定した名前はPCリストに表示されます。
- 「設定のオプション」では<ガイドを利用>を選択します。
- 「ゲストのオペレーティングシステム」では「Windows .NET Server」を選択します。
- 「メモリの設定」では「このPCのメモリ割り当てサイズを調整しますか?」で<はい>を選択してゲストPCに割り当てるメモリサイズを指定します。
できれば256MB以上に設定します。
- 「起動ディスクのオプション」では<新規のハードディスクイメージを作成>を選択します。
- 「起動ディスクの場所」では新規に作成するハードディスクイメージのファイルを指定します(ディスクイメージファイルの拡張子はvhdです)。
ここではWinServer2003 RC2.vhdとしておきます。
- PCセットアップウィザードの最後は「セットアップの概要」が表示されます。
内容を確認して<完了>ボタンを押します。
- PCリストでの追加ゲストPC名表示
PCリストウィンドウには今回追加したPCの名前が表示されます。
(VPC5のPCリストウィンドウを最小化した場合のアイコンはタスクトレイに入ります)
- ゲストPCの詳細設定内容の確認
PCリスト内に追加されたPC名を選択して<設定>ボタンを押すとウィザードで特に設定しなかった項目も含めて設定内容の詳細を確認できます。
ネットワークの設定値が「バーチャルスイッチ」になっていて、そのルーティングオプションがデフォルトの<ローカルとホストと外部>属性になっています。
これは当該ゲストPCがそのホストPCや他のゲストPC、更にはホストPCと接続された他のPCとネットワーク接続できることを示すオプションです。
尚、PCの各設定項目はここで設定内容を変更することができます。
- ディスクイメージについて
上記のウィザードで作成されるディスクイメージのタイプは「容量可変の拡張ディスクイメージ」と呼ばれるタイプのものです。
ゲストOSの種別が「Windows .NET Server」の場合、上記ウィザードで新規作成されるディスクイメージの初期ファイルサイズは約4MBに過ぎません。
「容量可変の拡張ディスクイメージ」タイプのディスクイメージはゲストOSを実際にインストールしたり、ゲストOS実行時にファイル追加したりする時にディスクイメージファイルのサイズが大きくなります。
この「容量可変の拡張ディスクイメージ」タイプのディスクイメージは「容量固定のディスクイメージ」に変換することができます。
これは[ファイル]メニューの[Virtualディスクウィザード]で<既存のディスクイメージの検査、または変更>を選択してそのウィザードを実行することで変換できます。
尚、Virtual PC付属のユーザガイドによると容量固定のディスクイメージに変換してもゲストOS実行時の性能向上はあまり無いとのことです(つまりホストOSのディスク容量を圧迫するだけのようです)。
3.ゲストOSのインストール
Windows Server 2003を上記で定義したゲストPCにインストールする手順は以下の通りです。
尚、Windows Server 2003をネーティブインストールする場合と同じ部分の説明は基本的に省略してあります。
- インストール用CD-ROMのセット
Windows Server 2003のインストール用CD-ROM(ブータブルCD)を実際のCD-ROMドライブにセットします。
- ゲストPCの起動
Windows Server 2003用に定義したPC名をPCリスト内で選択して<起動>ボタンを押します。
ゲストPCに電源が入ったような状態になりVirtual PCウィンドウ内に「Windows Setup」画面が表示されてドライバファイル等のローディングが始まります。
- 「Windows .NET Server 2003, Enterprise Edition セットアップ」画面
次に「Windows .NET Server 2003, Enterprise Edition セットアップ」画面が出てきますのでEnterキーで先に進みます。
- Windowsライセンス契約〜キーボードの設定画面:説明省略
- パーティション選択画面
PCセットアップウィザードで作成した16GBのディスク(ディスクイメージ)が自動選択されますのでそのままEnterキーで先に進みます。
- ファイルシステムの選択画面
ファイルシステムの選択画面では<NTFSファイルシステムを使用してパーティションをフォーマット>を選択します。
- 警告画面
「警告:このドライブをフォーマットすると、現在このドライブにあるファイルはすべて削除されます。」というメッセージが表示されますがFキーを押してフォーマットの実行を開始させます。
ここでのフォーマットはあくまでもPCセットアップウィザードで作成した16GBのディスク(ディスクイメージ)に対してであり、ホストPCの内蔵HD自体がフォーマットされるわけではありません。
- フォーマット中〜ファイルコピー画面:説明省略
- 自動リブート
ファイルのコピーが完了すると自動的にリブートされます。
ここでの自動リブートはあくまでもゲストPCの自動リブートです。
- インストール画面
前段のセットアップ処理の次は実際のインストールが開始されます。
- 地域と言語のオプション〜日付と時刻の設定:説明省略
- ネットワーク関連の設定画面
ここでは利用環境に合わせてネットワークの設定を行います。
- インストールの完了と自動リブート:説明省略
- Windowsへようこそ
Ctrl+Alt+Delキーの押下はVirtual PCの[PC]メニューの[Ctrl+Alt+Del]で行えます。
- Windowsへログオン:説明省略
- デスクトップ
4.ゲストOSの手動ブート
PCリストのゲストPC名を選択して<起動>ボタンを押すとブート処理が開始されます。
まずWindows Serverのロゴ画面が表示されます。
- クラシックデスクトップのスタートメニュー
Windows Server 2003にはWindows XP標準のLunaテーマはなく、クラシックテーマのデスクトップとなります。
但し、スタートメニューはWindows XPのような2段組の表示となります。
- PCリストにおけるゲストPCのアイコン
PCリストにおけるゲストPCのアイコン部分にはゲストOSの画面が表示されますが、それは時々刻々と変化します。
- 全画面表示モードへの切り替え
右Alt+Enterキーで全画面表示モードにできます。
全画面表示モードで右Alt+Enterキーを押すと元に戻ります。
5.Lunaテーマの適用
Windows Server 2003にはWindows XP標準のLunaテーマはありません。
しかしWindows XP用のLunaテーマファイルを導入することによりLunaの外観にすることができます。
6.リモートデスクトップ接続
Windows Server 2003では従来のターミナルサービスにWindows XP Professionalのリモートデスクトップ機能を吸収するなどして機能拡張されています。
(Webによるリモートデスクトップ接続もできます)
- 単純な接続
Windows XPからWindows Server 2003にリモートデスクトップ接続してみました。
実寸画像はこちらです(1600x1200)。
- マルチユーザ接続例
マルチユーザ接続例はこちらです(1920x1440)。
(ここで使用しているテーマはクラシックです)
- リモートデスクトップ用管理ツール
Windows Server 2003のCD-ROMには管理者ツールパックが入っています(D:\I386\ADMINPAK.MSI)。
管理者ツールパックをWindows XPにインストールするとWindows XPからWindows Server 2003の管理が容易に行えるようになります。
この管理者ツールパックにはリモートデスクトップ用管理ツールも含まれています。
- リモートデスクトップ用管理ツールの起動
Windows XPの[管理ツール]−[リモートデスクトップ]でリモートデスクトップ用管理ツールを起動します。
- リモートデスクトップ接続定義
まず、新しい接続を定義します。
<コンソールに接続>というオプションを有効にしておくとリモートデスクトップ接続した際、Windows Server 2003側のデスクトップ画面はロック状態になります。
- 管理ツールによる接続
管理ツールで定義した接続名に対して<接続>を実行すると、管理ツールの中からリモートデスクトップ接続ができます。
- 「コンソール接続」オプション
リモートデスクトップ用管理ツールでの接続定義で<コンソールに接続>というオプションを有効にしておくと、サーバに接続後はサーバ側のデスクトップはロック状態になります。
管理ツールを使用しない場合でも「/console」スイッチを付けてリモートデスクトップクライアントを起動した時は、サーバ接続後にサーバ側のデスクトップがロック状態になります。
7.Windows Media サービス
Windows Media サービスを使ったサンプルメディアの配信例を紹介します。
- Windows Media サービスによる配信
- [管理ツール]−[Windows Media サービス]
- 公開ポイントの「Sample_Broadcast」を選択して、緑色の丸い<公開ポイントの開始>ボタンをクリック
- Windows XPのWindows Media Playerでの受信再生
Windows Media Playerの[ファイル]−[URLを開く]でrtsp://pcu23/Sample_Broadcastで受信を開始してみました。
- Windows XPのRealOne Playerでの受信再生
RealOne Playerの[ファイル]−[開く]でmms://pcu23/Sample_Broadcastで受信を開始してみました。
8.ディスクイメージサイズの確認
コントロールパネルの「プログラムの追加と削除」でWindows Server 2003のオプションコンポーネントをフルインストールした場合のディスクイメージサイズは約2.2GBになります。