Virtual PC for Windowsの概要
ここではVirtual PC for Windowsの概要として、Virtual PCに各種OSをインストールする際の基本的な事柄について説明します。
ここで扱うVirtual PC for WindowsはVersion 5.0(VPC5)を前提にしています。
(1)Virtual PCの概要
Virtual PCは物理的に一つのPC環境(ホストPC)上のOS内に仮想的なPC環境(ゲストPC)を作成してそのゲストPC内で別のOSを実行させるためのエミュレータです。
尚、ホストPC上のOSをホストOSと言い、ゲストPC内で動作させるOSのことをゲストOSと言います。
ホストOS上では複数のゲストOSを同時に実行させることもできます。
ゲストOSをインストールして動作させるための仮想的なハードディスク(仮想ディスク)をディスクイメージと言います。
そのディスクイメージはホストOS内では一つのファイルとして扱われます(ディスクイメージのファイル拡張子はvhdです)。
ゲストPCの電源を入れることに相当する操作のことを「ゲストPCの起動」と言います。
(2)ゲストOSの導入ステップ
ホストOS上で別のOSを導入して実行させるには以下のステップを踏みます。
- 仮想PCの作成とディスクイメージの作成
Virual PCには仮想PCを簡単に作成するウィザードが用意されています。
そのウィザードではゲストPCを識別するゲストPC名を定義したり、ゲストOS用のディスクイメージを生成します。
ここで定義したゲストPC名はVirtual PCの「PCリスト」というウィンドウに一覧表示されます。
ディスクイメージにはいくつかの種類があります。
標準のディスクイメージは「容量可変の拡張ディスクイメージ」と呼ばれるものです。
ゲストPCの新規作成ウィザードで自動作成される標準のディスクイメージの種類は容量可変の拡張ディスクイメージで、その仮想容量はVirtual PCによって自動的に最大サイズが割り当てられます(13GB)。
しかしディスクイメージの実際の初期ファイルサイズはゲストOSの種別に応じて34KB(Linux, Solaris)とか4MB(Windows XP, Windows Server 2003)とかの小さなものです。
ゲストPC/ゲストOSから見えるディスクイメージの容量はVirual PCが割り当てた仮想容量となります。
ゲストOSをインストールする過程でインストールされたファイル群に見合った分だけそのディスクイメージ(vhdファイル)の物理サイズは徐々に大きくなっていきます。
- ゲストPCへのゲストOSのインストール
ゲストPCにゲストOSをインストールにはまずそのゲストPCの電源を入れなければなりませんが、これに相当するVirtual PCでの操作は「PCリスト」ウィンドウ内の該当ゲストPCを選択して<起動>ボタンを押すだけです。
この場合、<起動>ボタンを押す前にホストPCの実際のドライブに、ゲストOSのインストール用FDやブータブルCDをセットしておきます。
ゲストPCを起動するとインストール用FDやブータブルCDからインストーラが立ち上がりVirtual PCにインストール画面が表示されます。
あとはVirtual PCの画面内で通常のOSインストール操作と同様の操作でインストールを行います。
尚、インストーラやゲストOSからはホストPCの実際のハードディスクは見えません。
このためインストーラがホストPC内の実際のハードディスクのブートレコード等を直接/間接的に変更してしまうということはありません。
したがってゲストOSを選択して起動させるにあたっては、一般にブートマネジャと言われるOS切り替えソフトを導入する必要はありません。
またVirtual PCは実際のビデオカードの種別に関係なくゲストPCではS3 Trio 32/64 PCI SVGAカードをエミュレートします。
またLANカードはDEC/Intel 21041ベースのPCI LANカードをエミュレートします。
サウンドカードについてはSound Blaster 16をエミュレートします。
Virtual PC標準のネットワーク構成はバーチャルスイッチと呼ばれるものでゲストOSとホストOS間のネットワーク接続のみならずホストOSに接続された他のマシンとゲストOSとのネットワーク接続もできるようになっています。
またLANカードを交換した場合その交換後のLANカードに対するネットワーク接続のプロパティで「Virtual PC Emulated Ethernet Switch」を有効にしておくと、Virtual PCの設定を変えることなくゲストOSでネットワーク機能がそのまま利用できます。
- VPC追加機能のインストール(任意)
VPC追加機能のインストールは必須ではありませんが、それをインストールすると使い勝手が向上します。
VPC追加機能をインストールすると次のようなことができるようになります。
- ゲストOSとホストOS間のマウスポインタ連動
通常ゲストOS操作からホストOS操作に切り替えるにはホストキー(デフォルトではキーボードの右側にあるAltキー)を押す必要があります。
※ゲストOS内にあるマウスポインタは、ホストキーを押さない限りゲストOSの外には出られません。
VPC追加機能をインストールするとホストキーを押さなくてもマウスポインタをゲストOSとホストOS間で自由に移動させることができるようになります。
- ゲストOSとホストOS相互間でのドラッグ&ドロップ
- ゲストOSとホストOS相互間でのコピー&ペースト
- ゲストOSとホストOS相互間でのフォルダの共有
- ゲストOSの起動
PCリスト内のゲストPC名を選択して<起動>ボタンを押すことによってゲストOSを起動します。
(3)注意事項
- ホストWindows XPにQ329357を適用する際の留意事項
ホストWindows XPにWindows Server 2003管理ツールパックを導入するにはWindows XPにQ329357またはSP1の適用が必要になります。
Q329357はC:\Windows\System32\Dsprop.dll(Windows Active Directory Properties Pages)をWindows Server 2003対応のDsprop.dllにバージョンアップさせるものです。
しかしQ329357を適用したWindows XP上のVirtual PC環境で動作しているLinuxに対してASTEC-X 3.21(Xサーバ)からXDMCP接続しようとすると接続ができない場合があるようです。