Ubuntu 23.10のHome Media ServerはDLNA対応機能に力点を置いたメディアサーバ、兼メディアプレイヤ、兼メディアレシーバです。
更に、DLNA対応以外の機能としては背景モードのChromecastで表示されるArt Galleryの画像をHome Media Server側で表示したり、Chromecast以外のデバイスにプッシュ配信することもできます。
Home Media Serverの大まかな機能分類は以下の通りです。
メディアサーバ機能
Home Media Serverのマシンにあるメディア(動画、音楽、画像)を管理したり、メディアレシーバにメディアをプッシュ配信します。
配信先はDLNAメディアレシーバだけでなくChromecastにもメディア配信できます。
メディアサーバとしての最もポピュラーな使い方はメディアプレイヤからリモートサーバとして利用されることです(後述)。
試行環境
今回はWindows 11のHyper-Vの仮想マシンにUbuntu 23.10 日本語Remix版を標準インストールして、そこへHome Media Serverを導入してみました。
日本語環境のUbuntuにアプリセンタからSnapアプリとしてのHome Media ServerをインストールするとHome Media Serverは日本語モードになり、起動すると豆腐文字(□)だらけとなります。
しかし、独立性の高いSnapアプリのためかも知れませんが言語選択はLANG環境変数に関係なくヘルプメニューから行えますのでJapaneseをEnglishに変えれば問題なく使用できます。
Windows 11 Pro
(1)ホスト名は「BIRD27」です。
(2)Windows用AirReceiverを導入済みです(ホスト側のDLNAメディアレシーバへのメディア配信テスト用)。
(3)AirReceiver起動でのメディアレシーバとしてのデバイス名は「BIRD27」となります。
(4)Hyper-V仮想マシンとしてWindows 11 Pro及びUbuntu 23.10 日本語Remix版を利用します。
iPhone
(1)「TV Cast(D)」アプリと「nero Media Player」アプリを導入済みです。
(2)Home Media Serverからはメディアレシーバとしては認識されません。
(3)RDP(リモートデスクトップ接続)クライアントとしてMicrosoftの「Remote Desktop」アプリ(アイコン名:RD Client)を導入済みです。
Galaxy S8
(1)「nero Media Player」アプリを導入済みです。
(2)AirReceiverとAirScreenを導入済みです。
(3)メディアレシーバとしてのデバイス名は「SCV36-xx[DLNA]」となります。
T96 mini
T96 miniはTVに接続するSmart TV Boxです。
(1)Media Centerはプリインストール済みでメディアサーバ兼メディアレシーバとしてのデバイス名は「MediaCenter-3e...」となります。
(2)AirReceiverを導入済みでDLNAメディアレシーバとしてのデバイス名は「T96MINI-xx[DLNA]」となります。
(3)DLNAプッシュ配信アプリとして「Castify」アプリも導入済みです。
Windows 10 Home(32bit) タブレット
(1)主にRDP(リモートデスクトップ接続)クライアントとして利用します。
(2)VPN越しでのRDP接続利用テストのためにSoftEther VPNクライアント接続マネジャを導入済みです。
Home Media Serverのセットアップ
ここからはHome Media Serverを「HMS」と略して表記することがあります。
Home Media Serverのインストール
Home Media Serverはアプリセンタからインストールします。
言語設定
アプリ一覧からHome Media Serverを起動してみます。
日本語環境なのでHome Media Serverの言語は「Japanese」に自動設定されています。
しかし日本語フォントが完備していないためHome Media Serverで表示される日本語部分はWindows用Home Media Serverと違ってすべて豆腐文字(□)となります。
そこで以下の手順でHome Media Serverを日本語モードから英語モードに変更します。
サーバ機能の開始
Home Media Serverを起動しただけでは他のデバイスに対するサーバ機能は開始されていない状態のままになっています。
但し次の二つのことはできます。
・ローカルメディアをHome Media Serverの中で再生・表示することは可能です。
・Home Media Server自体をメディアレシーバとして他のデバイスからメディアをプッシュ配信することは可能です。
そこでメニューバーにある「UPnP」というボタンをクリックすると「Start server」メッセージが表示されてサーバ機能が開始されます。
サーバ機能が開始されると「UPnP Explorer」画面が開きます。
その時点でメディアレシーバデバイスが次々に自動検出されて「List of DMR devices」欄にリストアップされていきます。
※ DMRは「Digital Media Renderer」の略ですが、ここでは「DLNA Media Receiver」の略としても解釈して使っています。
AirPlay用デバイスも表示されますが、本Version 6.03ではAirPlay用デバイスへのメディア配信は機能しないようです。
ちなみに「UPnP Explorer」画面に「Client list」が表示される場合がありますが、ここでのClientとは同じIPアドレスをもつレシーバデバイスを1個とした時のデバイスを指します。
Home Media ServerのDLNAメディアレシーバとしての動作確認例
(1)iPhone側の「TV Cast(D)」アプリでHome Media Serverの「HmsPlay(hvubt2310)」に接続できるかどうかを確認します。
Home Media Serverのメイン画面の中の「FFPlay」欄にTV Castのロゴ画像が表示されれば接続成功です。
Home Media ServerのDLNAメディアサーバとしての動作確認例1(ローカルサーバ利用)
Home Media Server自体をローカルメディアサーバとしてローカルメディアをプッシュ配信してみました。
Home Media Serverの画面上でローカルメディアを選択し、▲の再生ボタンをクリックするとプッシュ先のメディアレシーバ一覧が表示されます。
DLNA/GCast(Google Cast)対応のメディアレシーバデバイスを選択するとそのメディアレシーバ上で再生・表示されます。
Home Media ServerのDLNAメディアサーバとしての動作確認例2(リモートサーバ利用)
Home Media Serverをリモートメディアサーバとして利用できるかどうかを確認してみました。
具体的には、スマホの「nero Streaming Player」アプリを使ってHome Media Server側の動画等のメディアをT96 mini接続TVにて再生・表示してみました。
「nero Streaming Player」アプリはiPhone用とAndroidスマホ用があり、外観上の差異は多少ありますが機能は同じであり今回はiPhone用を使ってみました。
Home Media Server側のメイン画面による公開メディア(動画一覧)確認
3個の動画を公開しています。
Home Media ServerのDLNAメディアプレーヤとしての動作確認例
Home Media Serverを使用して、別のメディアサーバにあるメディアをメディアレシーバとしてのスマホにプッシュ配信してみました。
ここでの別のメディアサーバはT96 miniの「MediaCenter-xx」としました。
またメディアレシーバとしてのスマホはGalaxy S8のAirReceiverの「SCV36-xx[DLNA]」としました。
@Home Media Serverのメイン画面の左側にある「UPnP (DLNA) Server」をダブルクリックして「UPnP Explorer」を起動します。
(メイン画面の大きなツールバーの「UPnP」ボタンをクリックしても同じ「UPnP Explorer」を起動できます)
Home Media ServerのHTTP対応について
Home Media Serverのフル名称には「(UPnP,DLNA,HTTP)」という表示が含まれています。
ここでのHTTPというのはHome Media Serverがプッシュ配信するメディアをWebブラウザ側で受け取って再生・表示できるということです。
メディアサーバから配信されるメディアを受け取るURLに指定するポート番号はメディアサーバによって異なります。
Home Media Serverの場合;
Home Media Server側に存在するメディアを受け取るURLに指定するポート番号は45397です。
(メディア毎のURLについてはHome Media Serverの画面でも簡単に確認できます)
MediaCenter-xxxで示されるメディアサーバ側に存在するメディアを受け取るURLに指定するポート番号は38389となります。
このポート番号もHome Media Serverの画面で確認することができます。
Home Media ServerのWebナビゲーション機能について
Home Media Server(略してHMS)のWebナビゲーション(略して「Webナビ」)機能とはHome Media ServerのDLNAメディアプレイヤ機能相当のことをWebブラウザでもできるようにしたオプション機能です。
通常、DLNAメディアプレイヤ(DMP)として動作させるデバイスにはDLNA対応アプリが必要となりますが、WebナビについてはDLNA対応アプリは不要でChrome等のWebブラウザだけで簡単に使用可能となります。
しかし、Home Media ServerのWebナビ機能では一部制限があるようです。
【制限例】
今回は、Windows 11のChromeブラウザ及びGalaxy S8やAQUOS SH-51CのChromeブラウザでWebナビ機能を使用することができました。
また、iPhone 8のSafariブラウザやChromeブラウザからもVPN越しでのWebナビ機能も利用できました。
Home Media ServerのWebナビ機能が使えるスマホは「ディスプレイ付きリモコン」として使えて結構便利かと思います。
以下に、AndroidスマホであるAQUOS SH-51CのChromeブラウザでWebナビ機能を使用する際の手順例をご紹介致します。
Home Media ServerのWebナビゲーション機能の有効化設定
(1)メイン画面の大きなツールバーの「Settings」ボタンをクリックして「Settings」画面を開きます。
(2)「Settings」画面で「Devices」タブを開きます。
(3)「Device Settings」画面にデバイス一覧が表示されます。
この一覧にないデバイスでWebナビ機能を使用したい場合はそのデバイス情報(IPアドレスやMACアドレス等)を登録できます。
デバイス登録でデバイスを識別するオプションは次の3通りあります(ランダムMACアドレスに留意して下さい)。
【ご参考】
Galaxy S22のDeX for PC上でもChromeブラウザを使ってWebナビが使用できました(今回は片方がUSB-AのケーブルでデスクトップPCと接続してみました)。
【ご参考:Galaxy S22のDeX for PCについて】
Galaxy S22のDeX for PCには以下の制限があります。
Amazon Prime Videoを視聴できない。
通常のモニタ接続タイプのDeXではAmazon Prime Videoを視聴できますが、DeX for PC上のPrime Videoでは音声のみがPCスピーカから聞こえるだけです。
DeX for PC上のChromeブラウザではAmazon Prime Videoを視聴できない。
通常のモニタ接続タイプのDeXではChromeブラウザでのAmazon Prime Videoは視聴できますが、DeX for PC上のChromeブラウザでは音声のみがPCスピーカから聞こえるだけです。
上記を要約するとDeX for PC上ではPrime Videoを視聴できないという制限となります。
しかし、その制限はPrime Videoのキャスト機能で簡単に打破できます。
具体的には、Galaxy S22にAirReceiverをインストールしてDeX for PC上のPrime VideoからAirReceiverにキャストするという手軽な方法で下記のようにDeX for PC上で視聴可能となります。
更に、Prime Videoは画面録画や画面キャプチャに対してはブロックしますが、AirReceiverにはそのような機能はありません(キャストされた動画に対するプレイバー操作も可能です)。
尚、DeX for PC上のAirReceiver(Prime Videoのキャスト先)を含めてSamsung DeX画面(ウインドウ)全体を動画として録画することもできます。
T96 miniでのWebナビ利用例
T96 miniの画面分割モードでChromeを使ってWebナビを操作してみました。
Home Media Serverにあるサンプル動画をChromeの中でインプレース再生できました(サウンド再生もOKでした)。
リモートデスクトップ接続でのHome Media Server利用について
今回はWindows 11のHyper-Vの仮想マシンにUbuntu 23.10 日本語Remix版を標準インストールして、そこへHMS(Home Media Server)を導入しています。
この環境では次の問題点があります。