Solaris 10
Solaris 10の正式版(3/05版)が2005年1月31日から公開され、システム構成や用途に関係なく無償で入手できるようになりました。
Solaris 10ではOSレベルでの機能強化もされていますが個人ユーザにとってはやはりデスクトップ環境でのユーザインタフェースが気になるところです。
Solaris 10のユーザインタフェースは統合デスクトップ環境としてのJDS(Sun Java Desktop System, Release 3)の搭載でその使い勝手も大きく向上しているようです。
※これまではLinux用JDSは存在していました。
尚、Solaris 10の大きな特徴の一つに「Linuxとの相互運用性」があります。
これはLinuxアプリケーションをSolaris 10環境でネーティブ動作させる機能ですが、
この機能は別途Solaris 10のUpdateリリースとして公開されるとのことです。
今回は下記マシン環境でSolaris 10を使用してみました。
- CPU:Pentium 4 1.7GHz
- メモリ:640MB
- VGAカード:nVIDIA GeForce 3
- サウンドカード:SoundBlaster Live! Value
- LANカード:Intel PRO/100+ Management Adapter
ここではx86用Solaris 10標準搭載のJDS(Sun Java Desktop System)を中心にSolaris 10環境について簡単に紹介します。
1.Java Desktop System(Sun Java Desktop System)について
JDS(Java Desktop System)はWeb ブラウザ(Mozilla)やStarSuite(統合オフィスツール:ワープロ、表計算ソフト含)等を統合した企業向けデスクトップ環境です。
2000年11月9日、日本サンマイクロシステムズは2002年版Solaris 9で採用される見込みのデスクトップ環境GNOMEについて説明会を実施しました(その時のデモではGNOME 1.2を使用)。
(1)Linux用JDS R1
Linux用JDS R1のリリースは2004年5月18日で、SUSE LinuxをベースにしたLinuxディストリビューションとしてリリースされました。
構成;
SUSE LinuxをベースにしたOS
Java 2 Platform Standard Edition
デスクトップ環境:GNOME
Webブラウザ:Mozilla
統合オフィスソフト:StarSuite
メール/スケジュールソフト:Evolutionなどオープンソースベースのソフトウェア構成
その他:Real PlayerやFlash、メッセンジャーなど
尚、日本語環境は「ATOK X for Linux」とリコーフォント2書体も搭載
(2)Linux用JDS R2
Linux用JDS R2のリリースは2004年6月1日で、管理ソフトウェアおよび管理機能等が強化されました。
例えば自動ソフトウェアアップデートサービスや管理者用のリモートシステム管理機能が追加されました。
※尚、Linux用JDS R2はそれ自体がLinuxディストリビューションです。
JDS 2.0 には、デスクトップ環境「GNOME」、オフィスソフト「StarOffice」、ブラウザ「Mozilla」、
メールクライアント「Evolution」、メディアプレーヤ「RealOne Player」、その他「Macromedia Flash」「Java 2 Standard Edition」が含まれます。
JDSはLinux上で動作するものですが、Sunは2004年中頃に、同社のSolaris対応のJDSをリリース予定としていました。
JDSという用語にはJavaが含まれていますがJavaデスクトップ環境というものではありません。
(3)Solaris用JDS
2004年10月にSolaris用JDS(Solaris 9をベースにしたJDS R2)がリリースされました。
2.GNOMEについて
SunはGNOMEの普及を目指した技術・資金等の支援団体である「GNOME Foundation」に参加しています。
(1)Solaris版GNOME 2.0について
SPARC版/x86版Solaris 8用GNOME 2.0(日本語対応版)も公開されました。
ファイルマネジャとしてはNautilusを搭載しています。
Sunの発表によるとCDE/MotifおよびJavaテクノロジベースのアプリケーションをそのまま実行できるとのことです。
GNOME 2.0の新機能は以下の通りです。
・フォントとグラフィックの改良
・管理ツールの充実(Control-Centerによるデスクトップ管理強化)
・新しい「プログラムの実行」ダイアログにおけるコマンドの補完
(2)GNOME 2.4の新機能/特徴
・NautilusにおけるCD-R作成機能や、複数ファイルのプロパティの同時変更機能
・ファイルの右クリックメニューの改善
・GNOMEパネルの簡素化(但し、パネルの大きさ変更は可)
・時計アプレットへのカレンダー設定機能の追加
・GNOMEパネル上のアプレットからのパネル(アプレット)ロック
・GNOMEメニューへの強制終了メニュー追加
・新PDFビューアの搭載
(3)GNOME 2.6(2004年3月31日リリース版)の新機能/特徴
・JDSのベースとなるべき機能の整備
・NautilusへのSpatial Browsing機能の追加
・GNOMEのデフォルトPDFビューア(gpdf)の改善
(4)GNOME 2.8.2について
・リムーバブルストレージへの対応
・アプリケーション間連携機能の強化
・ネットワークモニタのワイヤレス対応化
・バッテリーモニタの強化
3.Solaris 10付属のGNOME 2.6
Solaris 10にはGNOME 2.6が搭載されており、GNOME 2.0〜2.6にて強化された機能がそのまま利用できます。
基本的にGNOME 2.6対応のアプリケーションはCDE(1.6)上でも動作し、逆にCDE対応アプリケーションはGNOME環境でも動作します。
JDSはGNOME 2.6ベースでありjmplay(Javaメディアプレーヤ)やjEdit(Javaテキストエディタ)等のJavaアプリケーションも簡単に利用できます。
(これらのJavaアプリはCDE環境でも動作しますがCDE環境では一部の機能が動作しないこともあります)
jmplayはJavaアプリを実行させるスクリプトファイルになっていて、jmplayスクリプトの中でJREを動作させるようにしています。
※プロセスモニタ上にはjmplayは明示的には現れません(JREは表示されます)。
4.Solaris 10のライセンスと入手
x86版Solaris9では、以下の場合は有償でした(Free Solaris Binary License)。
・1CPUのシステムで商用利用の場合(但し、教育機関における使用、評価目的での使用では60日間の無償試用が可能)
・Solaris 用アプリケーションの設計/開発/テスト目的での使用以外の場合)
・2CPU以上搭載可能なシステムでご利用の場合
しかし、Solaris 10はシステム構成や用途に関わらず無償で入手して利用できるようになりました。
実際にはSunのダウンロードサイトにて、Solaris 10(3/05バイナリ)のダウンロードを行う過程でユーザが使用するシステム数等を申請することで、
メールにて「ENTITLEMENT for SOLARIS 10 3/05 OPERATING SYSTEM」(ライセンス許可証)が送付されてきます。
・ライセンスの説明サイト:http://jp.sun.com/solaris/10/download.html
・ダウンロードサイト:http://www.sun.com/software/solaris/get.jsp
5.Solaris 10のインストール
従来のインストールと同様にインストールすることができます(インストールタイプ指定)。
但し、Java Enterprise Systemのインストールはスキップします。
gnome-sessionについてはpkginfoコマンドでの下記表示からGNOME 2.6.0であることが分かります。
PKGINST: SUNWgnome-session
NAME: GNOME session manager - platform dependent files, /usr filesystem
CATEGORY: GNOME2,application,JDS3
ARCH: i386
VERSION: 2.6.0,REV=10.0.3.2004.12.21.12.59
BASEDIR: /usr
VENDOR: Sun Microsystems, Inc.
DESC: GNOME session manager - platform dependent files, /usr filesystem
PSTAMP: swanson20041221125911
INSTDATE: 2月 16 2005 23:46
HOTLINE: Please contact your local service provider
STATUS: completely installed
FILES: 7 installed pathnames
1 shared pathnames
1 directories
6 executables
545 blocks used (approx)
尚、OSインストール後にスクロールマウスが機能しない場合には/usr/X11/bin/xorgconfigを実行して/etc/X11/xorg.confを作成し、
/etc/X11/xorg.confに「Option "ZAxisMapping " "4 5"」を書き加えればOKです。
6.Java Desktop System
ログイン画面の[オプション]−[セッション]で[Java Desktop System Release 3]を選択すると
Java Desktop System(実体はGNOME)のデスクトップ画面が表示されます。
またデスクトップの概要ヘルプを見るとJava Desktop SystemではGNOMEアプリケーションはもとより
Motifアプリケーションも実行できることが記載されています。
(1)JDSデスクトップ
【その1】
【その2】
デフォルトのデスクトップテーマは「ブループリント」になっています。
(2)主なアプリケーション
- StarSuite 7
Solaris 10にはStarSuite 7が付属しています。
デスクトップ上のStarSuite 7アイコンを起動するとStarSuite 7のセットアッププログラムが起動されます。
- jEdit(テキストエディタ)
- GIMPについて
Solaris 10にはGIMP 1.2系とGIMP 2.0系の両方が入っています。
/opt/sfu/bin/gimpはGIMP 1.2系で、/usr/sfu/bin/gimpがGIMP 2.0系です。
- CDプレーヤ
- gFTPの追加
Solaris 10にはFTPクライアントであるgFTPは付属していません。
そこでhttp://sunfreeware.nlun.net/indexintel10.htmlからgftp-2.0.18rc1及び関連パッケージを
pkgaddコマンドでインストールしてみました(gFTPの使用)。
(3)周辺機器の利用
- サウンドカード
サウンドカード(SoundBlaster Live! Value)を使用して音楽CDを再生してみました。
XMMSの場合はオーディオ出力プラグインとして「Solarisオーディオプラグイン1.2.10[libsolaris.so]」を選択しておきます。
- スキャナの利用
スキャナはSolaris 10付属のkookaで簡単に利用できます。
今回はUSB接続でのEPSON GT-9700Fを使用してみました(kooka利用例)。
- USBメモリの使用
USBメモリは「mount -F pcfs /dev/dsk/c2t0d0p0:c /mnt」でマウントして利用できます。
7.CDE
(1)CDEデスクトップ
日本語入力方式の切り替えはデスクトップ上のメニューから行えます。
(2)アプリケーション
(3)周辺機器の利用
USBメモリは「mount -F pcfs /dev/dsk/c2t0d0p0:c /mnt」でマウントしてファイルマネジャで利用できます。
8.ネットワーク