QEMU on Windows(ZETA NEOインストール)

Winodws上のQEMU環境にZETA NEOをインストールする方法を紹介します。



1.マシン環境

「QEMU on Windows」を動作させるホストマシン環境は以下の通りです。



2.ゲストOS環境

ゲストOSであるZETAの正式版は2005年7月7日にリリースされましたが、ここではその前の最終Beta版であるZETA NEOを使用します。


3.CD分割

ZETA NEOのインストールCDは1枚ですが、今回使用するホストマシンのエミュレータ環境(QEMU, VMware, Virtual PC)でそのCDからブートすると様々な問題が発生します。

ZETA NEOのインストールCDは次の二つのトラックから構成されています。
トラック#1:ブートイメージファイル(boot.img)とカタログファイル(boot.catalog)だけを含む。
トラック#2:実際にインストールされるファイルから構成されている(ほとんどがzipファイルです:トラック#2中の約4000個のファイル一覧)。

Windows環境でZETA NEOのインストールCDを開くと残念ながらトラック#1しか見えません。
このようなハイブリッド型のCDを以下のように媒体分割します。



4.インストール用QEMU環境整備



5.インストールの流れ

  1. QEMUブート

  2. 解像度と色深度の設定
    ブートディスクからのQEMUブートし、ZETAロゴの表示直後にSpaceキーを押して、テキストモードのBoot Loader画面を表示させます。
    Boot Loader画面の「Select fail-safe video mode」を選択してEnterキーを押します。
    解像度選択画面で800x600x16(色深度:16ビット)を選択し、最初のBoot Loader画面に戻って「Continue booting」を実行します。

  3. 言語選択
    言語選択画面で「日本語」を選択します。



    インストーラの文言がほとんどすべて日本語で表示されます。

  4. ライセンス承諾

  5. ZETAインストーラ画面



  6. コンフィグレーション変更
    「通常インストール」を「カスタムインストール」に変更します。

  7. パーティション設定
    [パーティション設定]ボタンを押すとDrive Setup画面が表示されます。

  8. パーティション作成
    まずDrive Setupの[Setup]−[Partition]−[intel]の順に辿っていきます。



    次にZETA NEOをインストールするパーティション設定を以下のように指定します。
    ・パーティションタイプ:BeOS(235)
    ・Active:on
    ・パーティションサイズ:赤いスライドバーと矢印キーでサイズを調節します(今回は2000MB)。



    [OK]を押して表示される確認ダイアログで[Proceed]を押します。

  9. ファイルシステムタイプの指定
    上記で設定した新規パーティションを選択して[Setup]−[Initialize]−[BeOS]−[Be File System]を選択します。
    ZETAパーティションのファイルシステムタイプはBFS(Be File System)が推奨されています。



  10. ファイルシステムの設定
    ファイルシステムのブロックサイズ(1024:デフォルト)、ボリューム名(例:QEMUZeta)を指定します。
    その後は[Initialize]を押して、[Mount]を応答します(マウント状態にする)。



    ここまで完了すればDrive Setupを閉じます。

  11. カスタム設定
    インストール先として、上記で作成した「QEMUZeta」を選択します。
    またフルインストールのためにパッケージ「Input Methods」と「実験的ツール」(スクロール要)も選択します。



    本画面で[インストール]ボタンを押してファイルコピーを開始します。

  12. ファイルコピーの表示画面



    予想インストール時間は、時々刻々とは変化せずに一定です。
    また経過時間は実際の時間よりかなり過大に表示されます。
    今回の環境では743.33MBのフルインストールでのファイルコピーにかかった実際の時間は77分でした。
    (多分ベアマシンなら数分で済むと思います)

    ファイルコピーを放置しておくとたまにダンマリ状態になってる場合があります。
    これはQEMU側制御の問題かと思いますが適当にマウスでQEMU画面に刺激(クリック)を与えるとダンマリ状態から脱出できます。

  13. ブートマネージャのインストール
    ファイルコピーが完了するとブートマネージャをインストールするかどうかの質問が出てきます(MBRの保存先とかも...)。
    ここでは一つのパーティションしかなくそれをブートするためすべてデフォルトのままでOKです。
    質問に対しては[Install]−[Install Boot Menu]−[Next]と進めていきます。



  14. MBR救済ディスクの作成
    MBR救済ディスクの作成は自由です。今回は作成をスキップしました。

  15. ブートメニューに表示するパティション名指定
    ここでは「QEMUZeta」という名称を指定しました。
    ここで指定した名称はブートマネージャメニュー画面にそのまま表示されます。

    またブートマネージャのインストール設定ではパーティション選択待ち時間も指定できます。

  16. インストールの完了
    ブートメニュー情報確認画面が出てきたら[Next]を押し、「Are you sure?」で[Yes]を応答します。
    これでインストールは完了です。





6.QEMUでのZETA NEO実行準備

QEMU環境へのZETA NEOインストールが完了後のQEmu Launcher(QEMU日本語対応フロントエンド)の設定を次のようにします。
・起動ドライブ:FDD1
・FDD1:\\.\A:
・HDD1:上記で作成したディスクイメージ
・CD-ROM:任意
・「-tap」オプション:指定しない(指定するとネットワークが利用できません)。


7.QEMUでのZETA NEO起動

  1. 実際のFDドライブにインストール時に使用したブートディスクのセット(理由は後述)
    MBRに書き込んだブートマネージャは使用しません。
    ※何故かインストール用の言語選択メニューが再表示されてしまいます。

  2. QEMUの起動

  3. FDドライブからローディング完了直後にSpaceキーを押してテキストモードのBoot Loader画面を表示させます。

  4. 解像度設定
    QEMU環境の場合、標準では640x480のモノクロモードのZETA NEOデスクトップになります。
    そこでBoot Loader画面の「Select fail-safe video mode」を選択してEnterキーを押します。
    解像度選択画面で1024x768x16(色深度:16ビット)を選択し、最初のBoot Loader画面に戻って「Continue booting」を実行します。

  5. ZETA NEOブートの続行



  6. ZETA NEOのデスクトップ表示
    ZETA NEOブート完了後、しばらくするとデスクトップが表示されます。
    最初の場合だけNetPositive(ブラウザ)でドキュメントが表示されます。





    7.QEMU環境でのネットワーク設定

    QEMUがエミュレートするNE2000互換カードはZETA NEOではデバイス/dev/net/net2k/0として認識されます。
    QEMU環境のZETA NEOではTAPを使ったネットワークは利用できないようです。

    ネットワーク設定手順を紹介します。

    1. ネットワーク接続ガイドの起動
      [Zeta]メニューから[環境設定]−[ネットワーク]を選択してネットワーク接続ガイドを起動します。

    2. プロファイル名設定
      デフォルトの名称(Profile 1)のままで構いません。

    3. ネットワーク設定ウィザード
      ウィザードでIPアドレス(10.0.2.16)、ゲートウェイアドレス(10.0.2.2)、ネットマスク、DNSサーバアドレスを指定します。

    4. 接続プロファイルの保存
      接続プロファイルを一旦保存します。

    5. 接続プロファイルの確認・編集
      接続プロファイルの編集画面で必要情報を設定します。

      • 「基本」タブ



      • 「拡張」タブ
        ドメイン検索でのドメイン名を指定します。


    6. 設定の有効化
      編集結果を[適用]すると設定が有効となり、ifconfigで設定内容を確認できます。

    7. ifconfig結果
      ifconfigでは「/dev/net/ne2k/0」と「loop0」の二つが表示されます。
      (ちなみにVirtual PC環境では「/dev/net/tulip/0」と「loop0」)