QEMU on Windows(Vine Linux 3.1編)
QEMUは数多くのホストマシン(x86, x86_64, PowerPC, Sparc32等)上で
数多くの仮想マシン(x86, x86_64, PowerPC, SPARC)をエミュレートできるソフトウェアです。
QEMUはLinux上で動作し、その仮想マシン上でBeOS, Linux, Solaris 9/10, Windows等を動作させることができます。
2005年7月時点では、WindowsやMac OS X上で動作するアルファ版QEMUもリリースされています。
ここではアルファ版としての「QEMU on Windows」上にVine Linux 3.1(2005年11月版)を簡単に動作させる方法を紹介します。
また手軽なVirtual PCとの性能比較結果も紹介します。
1.マシン環境
「QEMU on Windows」を動作させるホストマシン環境は以下の通りです。
- CPU:Pentium 4 560J(3.6GHz)
- メモリ:2GB
- VGAカード:nVIDIA GeForce 6600(VRAM:128MB)
- アプリケーション用HDD(エミュレータソフトの格納用HDD):内蔵型S-ATA 250GB(7200rpm)
- データ用HDD(仮想OSのディスクイメージ格納用HDD):内蔵型Ultra ATA 250GB(7200rpm)
- ホストOS:Windows XP SP1
- Windows XPのファイルシステム:NTFS
2.ゲストOS環境
ゲストOSとしては誰でも手軽に入手できるVine Linux 3.1(Kernel 2.4.27-0vl7)を使用します。
またゲストOSが動作する仮想マシンには512MBのメモリを割り当てます。
ゲストOSとしてVine Linux 2.6 CRをインストールしようとするとQEMU 0.7.0でのDisk Fullエラーとなってインストールは失敗します。
アルファ版なのでゲストOSにもいろいろ制限があるようです。
3.QEMUソフトウェア
- QEMU:0.7.0(2005年4月版)
- QEmu Launcher(QEMU日本語対応フロントエンド):0.02 ※必須ではありません
3.QEMUへのVine Linux 3.1のインストール手順
- ディスクイメージの作成
容量可変のQEMU型の3GBディスクイメージを作成。
- ネットワークのタイプ
ネットワーク:ユーザモード
- Vine Linux 3.1のCD-ROMからインストール
パーティション設定は以下の通り。
/dev/hda1:2.5GB
/dev/hda2(Swap用):0.5GB
- インストールタイプ:すべて
469パッケージ、1.7GB消費します。
- ネットワーク設定
IPアドレス:10.0.2.31
ネットマスク:255.255.255.0
ネットワーク:10.0.2.0
ブロードキャスト:10.0.2.255
ゲートウェイ:10.0.2.2
ネームサーバ:ホストOSで使用のものを指定
- Xの設定
色深度:High Color (16 Bit)
画面解像度:1024x768
※VRAM:4MB
4.ゲストOSのデスクトップ
5.簡易ベンチマークテスト
QEMU環境とVPC(Virtual PC 5.1)環境にインストールした同じVine Linux 3.1について、
HDBENCH clone(HDBENCH clone Ver 0.14.0)という簡易ベンチマークソフトの実行結果を以下に示します。
QEMU on Windows自体はまだアルファ版で完成されたものではないのでここでの結果は単なる参考値に過ぎません。
項目 | QEMU環境 | VPC環境 |
エミュレート ビデオカード | Cirrus Logic GD544x | S3 Trio 64 |
測定結果画面 | QEMU HDBENCH | VPC HDBENCH |
TOTAL | 26840 | 70246 |
FLOAT | 20433 | 108722 |
INTGR | 60456 | 372565 |
MEMRY | 39979 | 94970 |
RECT | 15535 | 11099 |
CIRCL | 7828 | 1428 |
TEXT | 8612 | 49992 |
SCRL | 70 | 85 |
IMAGE | 30 | 117 |
READ | 91980 | 36921 |
WRITE | 23510 | 26681 |
DRIVE | /tmp:10MB | /tmp:10MB |
上記の結果ではVPC環境の方が単純比較で約3〜5倍高速と言えるかも知れません。
但し、KQEMUというQEMUアクセラレータドライバ(kqemu.sys)を導入することで、QEMU側もかなり高速に動作するとのことです。
(レジストリの変更要)
6.印象
QEMU for Windowsは速度面ではまだVPCには及びませんが、インストールが不要なのがポイントです。
つまりQEMU本体とディスクイメージさえあればどのマシンでもゲストOSを実行できるというのが大きなメリットの一つかと思います。
ホストOSとネットワーク接続できるゲストOS環境を自由に持ち運びできるのは何かと便利です。