QEMU on Windows(KNOPPIX 3.9編)
Winodws上のQEMU環境でKNOPPIXを動作させ、かつWindowsとそのKNOPPIXをSambaでピアツーピア接続(相互ファイル共有)する方法を簡単に紹介します。
1.マシン環境
「QEMU on Windows」を動作させるホストマシン環境は以下の通りです。
- CPU:Pentium 4 560J(3.6GHz)
- メモリ:2GB
- VGAカード:nVIDIA GeForce 6600(VRAM:128MB)
- アプリケーション用HDD(エミュレータソフトの格納用HDD):内蔵型S-ATA 250GB(7200rpm)
- データ用HDD(KNOPPIX 3.9のCD/DVDイメージ格納用HDD):内蔵型Ultra ATA 250GB(7200rpm)
- ホストOS:Windows XP SP1
- Windows XPのファイルシステム:NTFS
2.ゲストOS環境
ゲストOSであるKNOPPIXは2005年6月にリリースされたKNOPPIX 3.9を使用します(ダウンロード版)。
knoppix_v3.9_20050527-20050627.iso(731,998,208 バイト)というイメージファイルをそのまま使用します。
またゲストOSが動作する仮想マシンには512MBのメモリを割り当ててRamdiskを多目に確保します。
KNOPPIX 3.9の主な構成は以下の通り。
Kernel:2.6.11
KDE:3.4(2005年3月リリース版)
日本語変換:SCIM標準
Webブラウザ:FireFox 1.0.4
3.ホスト側の準備/ネットワークの設定
- QEMU:TAP版(2005年1月リリース版:qemu-20050121-tap.zip) ※あくまでも0.6.2をベースにした限定版で0.7.0ではTAP未サポート
- QEmu Launcher(QEMU日本語対応フロントエンド):0.02 ※必須ではありません
- ホストOS(Windows XP)へのOpenVPNの導入
Windows 2000/XP対応のOpenVPNを導入するとゲストOS(KNOPPX 3.9)でホスト側とゲスト側で簡単にファイル共有できるようになります。
OpenVPN利用でのネットワーク設定手順の流れは次のようになります。
実際のホストOSのネットワーク環境によってネットワーク設定方法は変わるためここでは一例という扱いでしかありません。
- ホストOS(Windows XP)へのOpenVPNの導入
OpenVPNではTAP-Win32 Virtual Ethernet Adapter(TAP-Win32 Adapter V8)もインストールされます。
- OpenVPNに含まれるTAP-Win32 Adapterの設定
TAP-Win32 Adapter用のローカルエリア接続のTCP/IPを次のように設定します。
(尚、この接続名は仮に「TAP-Win32-LAN」としておきます)
IPアドレス:192.168.0.1
サブネットマスク:255.255.255.0
デフォルトゲートウェイ:無し
優先DNSサーバー:これは環境依存
- ホストOSのネットワークに対する「インターネット接続の共有」設定
ホストOSの実際のネットワークカードに対するローカルエリア接続定義のプロパティで
「ネットワークのほかのユーザーに、このコンピュータのインターネット接続をとおしての接続を許可する」にチェックを入れます。
更に、ホームネットワーク接続のプルダウンメニューからTAP-Win32 Adapter用のローカルエリア接続定義名(TAP-Win32-LAN)を選択しておきます。
4.QEMUでのKNOPPIXネットワーク環境設定
- ディスクイメージの作成:不要
- ネットワークのタイプ
QEmu Launcherの「その他」のオプション欄に「-tap TAP-Win32-LAN」オプションを指定します。
尚、「TAP-Win32-LAN」という名称はOpenVPNの仮想ネットワークアダプタ(TAP-Win32 Adapter V8)に付与した名称です。
本オプションはあくまでもTAP対応版として作成されたQEMUでのみ有効なオプションであり、
TAP対応でない0.7.0のQEMUに-tapオプションを指定するとinvalid optionエラーとなります。
- KNOPPIX 3.9の起動
KNOPPIX 3.9のCD/DVDイメージファイルからそのままブートします。
その後、各種デバイスが自動構成されます。
- ネットワーク設定の変更
KNOPPIXブート後にifconfig eth0で確認するとeth0のIPアドレスが例えば192.168.0.212になっています。
これはインターネット接続共有時のDHCPサーバ機能によって自動割り当てされたIPアドレスです。
そこでKNOPPIX側のネットワーク設定を次のように設定変更します。
(設定はKDEメニューの[KNOPPIX]−[Network/Internet]−[ネットワークカードの設定]で行います:netcardconfig利用)
DHCPブロードキャストの使用:No
IPアドレス:192.168.0.212
ネットマスク:255.255.255.0
ブロードキャスト:192.168.0.255
ゲートウェイ:192.168.0.1 ※「TAP-Win32-LAN」という接続のIPアドレス
ネームサーバ:ホストOSで使用のものを指定
- ネットワーク動作の検証
KNOPPIX側からping -c 2 www.yahoo.com等をテストしてみます。
- Sambaの設定
- /etc/samba/smb.confの編集
root権限で/etc/samba/smb.confを編集します。
[global]セクションでのワークグループ名をホスト側のグループ名に合わせます。
[homes]セクションでのアクセス権限を読み取り専用から書き込み可に変更します。
その他、必要に応じて設定追加します。
- Sambaパスワードの設定
smb.confの[global]セクションではunix passwd sync = falseになっています。
「knoppix」ユーザのSambaパスワードを次のように設定します。
smbpasswd -a knoppix
パスワードは適当に設定します(例:knoppix39)。
- Sambaの起動
KDEメニューの[KNOPPIX]−[Services]−[Start Samba Server]でSambaサーバを起動します。
(「smbd start」「nmbd start」でも構いません)
6.ホストOSからゲストOSのファイルアクセス
Windows側のマイネットワークのワークグループのコンピュータを表示するとKNOPPIXのマシン名(Knoppix)が表示されます。
(\\192.168.0.212\knoppixを指定するなどして)Knoppixマシンのknoppixユーザのホームディレクトリにアクセスできます。
当然Windows側からの書き込みも問題なくできます。
6.ゲストOSからホストOSのファイルアクセス
KNOPPIXのKonquerorでの場所欄にsmb://ホストマシン名/共有名を指定するとKNOPPIX側からWindows共有ファイルをアクセスできます。
7.その他
- 動作速度
アルファ版でのQEMU on WindowsでKNOPPIXを使用した場合の動作速度は正直言ってまだ実用レベルには達していません。
- OpenOffice.org 2.0Beta
KNOPPIX付属のOpenOffice.org 2.0Beta(実際は1.9)のワープロソフト(Writer)をSCIMを使用して試してみました。
- Adobe Reader 7.0の導入
- Adobe Reader 7.0のダウンロードとインストール
http://www.adobe.co.jp/products/acrobat/readstep2.htmlから「AdbeRdr_linux_jpn.tar.gz」をダウンロードします。
# tar zxvf AdbeRdr_linux_jpn.tar.gz
# cd AdobeReader
# ./INSTALL
-->インストール先はデフォルトの/usr/local/Adobe/Acrobat7.0にします。
# ln -s /usr/local/Adobe/Acrobat7.0/bin/acroread /usr/bin
# cd /usr/lib/mozilla-firefox/plugins
# ln -fs /usr/local/Adobe/Acrobat7.0/Browser/intellinux/nppdf.so . ※FireFoxのプラグインとしても登録しておきます
(ブラウザにプラグインとして登録するinstall_browser_pluginスクリプトも付属していますが今回は手作業にて実施)
- FireFoxの再起動
- FireFoxでローカルのpdfファイルを開いてみます。
プラグインの初期化失敗エラーも出ずにpdfファイルがブラウザの中で表示されます。
7.KNOPPIXのインストール
KNOPPIXをQEMU環境にインストールし、KNOPPIXのCD-ROM起動ではない利用を試してみました。
rootで「knoppix-installer」コマンドを実行するとKNOPPIXのインストーラが起動します。
KNOPPIXのインストールタイプには「debian」タイプと「Knoppix」タイプの二種類あります。
「debian」タイプではインストールの過程で一般ユーザアカウントの作成、rootパスワードの設定、ホスト名設定を求められます(ネットワーク設定は求められません)。
一方の「Knoppix」タイプではそれがなくCD-ROMからの起動と同じような環境となります。
- 「debian」タイプでインストールしたKNOPPIXの利用
- GRUB画面
- ログイン画面
KDMのログイン画面からはrootでのログインが許可されていません。
rootでのログインを許可するには一旦一般ユーザでログインしてからroot権限で/etc/kde3/kdm/kdmrc中の「AllowRootLogin = fales」をtrueに変更する必要があります。
- netcardconfigによるネットワーク設定
- konsole利用
- 「Knoppix」タイプでインストールしたKNOPPIXの利用
- GRUB画面:表示なし
- ログイン画面:表示なし
「Knoppix」タイプでインストールしたKNOPPIXをブートしてもログイン画面は表示されません。
CD-ROM起動と同様にknoppixアカウントでの自動ログイン扱いとなります。
- ネットワーク設定
sudo netcardconfigで行えます。
これはメニューから「ネットワークカードの設定」を実行した場合と同じものです。
- konsole利用
- Windowsとのピアツーピア接続
CD-ROM起動の場合と同様の設定でWindowsとKOPPIXとの間でピアツーピアのファイル共有が行えます。