Intel MacでのPearPC実行
PearPCはオープンソースのPowerPCアーキテクチャエミュレータでx86(互換)マシン上で動作します。
このx86用PowerPCエミュレータであるPearPCのPearとは「梨」の意味でPearPCはペアPCと読みます。
PearPCはIntel Mac上のWindows環境でも動作します。
ここではBoot CampパーティションにインストールしたWindows上でPearPCを使用してMac OS X v10.3(Panther)を実行した環境を紹介します。
尚、PearPCを動作させたマシンは非力なIntel Mac miniでその構成は以下の通りです。
※その後、MacBook Pro(Intel Core 2 Duo 2.8GHz版)マシンでもPearPCを動作させてみました。
- CPU:Intel Core 2 Duo 1.83GHz(T5600)
- メモリ:1GB
- VGA:Intel GMA 950
- モニタ:最大解像度=1600x1200
- サウンドチップ:Intel High Definition Audio
- LANカード
(1)Marvell Yukon 88E8053 PCI-E Gigabit Ethernet Controller
(2)AirMac Extremeカード
- 周辺機器
(1)アルミ製日本語Apple Keyboard
(2)Apple Mighty Mouse(Bluetooth接続)
- OS
(1)Mac OS X 10.4.10(Tiger)
(2)Windows XP Professional(SP2)
(3)Windows Vista Ultimate
- PearPCへの割り当てメモリ:128MB
1.Boot Camp Windows XPでのPearPC実行
Boot Camp Windows XPでのPearPC実行は以下の手順で実施してみました。
- Boot CampパーティションへのWindows XPのインストール
- Windows XPへのMac Windows Driverのインストール
- OpenVPN 2.1(RC4)のインストール
- インターネット接続共有設定
インターネット接続共有でのプライベートネットワーク接続としてOpenVPN付属のTAP-Win32 Adapter V9を利用。
- PearPCの実行
ここではPearPC 0.4(2005年12月20日版)を使用しました。
またディスクイメージはMac OS X 10.3.7のインストール済みディスクイメージを使用しました。
- CocoaBench 1.2.3でのトータル値:3.73
- デスクトップ
PearPC上のMac OS X 10.3.7でWebアクセスしてみました。
2.Boot Camp Windows VistaでのPearPC実行
Boot Camp Windows VistaでのPearPC実行は以下の手順で実施してみました。
- Boot CampパーティションのWindows XPのWindows Vistaへのアップグレード
- Windows VistaへのMac Windows Driverの再インストール(修復インストール)
- OpenVPN 2.1(RC4)の再インストール
- インターネット接続共有設定
インターネット接続共有でのプライベートネットワーク接続としてOpenVPN付属のTAP-Win32 Adapter V9を利用。
- PearPCの実行
ここではPearPC 0.3.1(2004年9月4日版)を使用しました。
※PearPC 0.4(2005年12月20日版)ではデスクトップ画面が真っ白となるため使用せず。
またディスクイメージはMac OS X 10.3.7のインストール済みディスクイメージを使用しました。
- CocoaBench 1.2.3でのトータル値:3.65
PowerPC G4 1GHz(メモリ:768MB)実機でのCocoaBenchのトータル値14.38に対して、
単純比較でこの場合のPearPC 0.3.1はPowerPC実機に比べて約4倍遅いというレベルになっています。
この程度なら体感速度も1GHzのPowerPC実機並みであり、よほど重いソフトでない限りは十分利用できます。
- デスクトップ
PearPC上のMac OS X 10.3.7でWebアクセスしてみました。
3.VMware Fusion上のBoot Camp Windows VistaでのPearPC実行
Mac OS X 10.4.10に導入したVMware FusionでBoot Camp Windows Vistaを起動してPearPCを実行してみました。
VMware Fusion上のBoot Camp Windows VistaではPearPC 0.4(2005年12月20日版)を使用しました。
※ネーティブBoot Camp Windows Vistaの場合と逆にPearPC 0.3.1(2004年9月4日版)ではデスクトップ画面が真っ白となります。
またディスクイメージはMac OS X 10.3.7のインストール済みディスクイメージを使用しました。
- CocoaBench 1.2.3でのトータル値:2.19
- デスクトップ
VMware FusionのUnityモードでPearPCを実行してみました。
UnityモードではMac OS X 10.4.10上でPearPCが直接動作しているかのように見えます。
- マウス動作の問題点
VMware Fusion上のBoot Camp Windows VistaでのPearPC 0.4実行ではマウスポインタが思い通りの動きとはなりませんでした。
4.Parallels Desktop 3.0 for Mac上のWindows VistaでのPearPC試行
Parallels Desktop 3.0 for Mac上のWindows VistaでのPearPC試行結果は以下の通りで、正常動作しませんでした。
(1)PearPC 0.3.1(2004年9月4日版)ではPearPCの起動に失敗します(SDLのFATALエラー発生)。
(2)PearPC 0.4(2005年12月20日版)ではデスクトップ画面が真っ白となります。
5.Parallels Desktop 5.0 for Mac上のWindows 7でのPearPC実行
MacBook Pro(Intel Core 2 Duo 2.8GHz版, OS:Snow Leopard)でPearPCを実行してみました。
Parallels Desktop 5.0 for Mac上のWindows 7でのPearPC実行結果は以下の通りです(PearPCで使用するディスクイメージはUSBディスクに格納)。
※CoherenceモードでMacLook表示するとPearPC自体がMac OS Xアプリのように見えます。
[補足]
PowerPC G4 1GHz(メモリ:768MB)の実機環境でのCocoaBenchのトータル値14.38に対して、
MacBook Pro + Parallels環境のPearPC 0.4でのCocoaBenchのトータル値は6.80でした。
単純比較でMacBook Pro + Parallels環境でのPearPC 0.4ではPowerPC実機に比べて約2倍遅い程度で済んでいます。