Parallels Workstation 2.2 for Windows(FreeBSD 6.1利用)

Parallels WorkstationはParallels社が開発している32bit対応のデスクトップ用仮想化ソフトです。
2006年10月11日にParallels Workstation 2.2 for Windowsがリリースされ、VMwareのように出荷後もビルド番号をアップしています。
※Parallels Workstation 2.2 for Linuxもあります。

Parallels WorkstationではホストOSのことを正式にはプライマリOSと呼びます(ゲストOSはゲストOSのままです)。

Parallels Workstationの大きな特徴は操作性の簡易性はもとより、プライマリOSとゲストOSの両方にWindows Vistaが使用できることです。
※VMware Workstation 5.5でもホストOSとゲストOSの両方でWindows Vistaが使用できますが正式サポートはVMware Workstation 6.0からという扱いになっています。
Parallels Workstationは現在有償ソフトですがそのうちそのオープンソース版がリリースされるのではないでしょうか。

今回はWindows Vista Beta2にParallels Workstation 2.2 for Windowsを導入し、FreeBSD 6.1-RELEASE(2006年5月8日リリース版)をゲストOSとして稼動させてみました。

ここではParallels Workstation 2.2 for WindowsでのゲストOS(FreeBSD 6.1)の実行手順を紹介します。


１．プライマリOSの環境

プライマリOSの環境は以下の通りです。
・CPU：Pentium D 940(3.2GHzのデュアルコアでEM64T/VT対応)
・チップセット：Intel 945P
・メモリ：3GB
・VGAカード：nVIDIA GeForce 7600GT (VRAM 256MB)
・モニター：20インチ液晶ディスプレイ
・LANカード：Intel PRO/100 S Desktop Adapter
・OS：Windows Vista Beta2



２．Parallels Workstation 2.2 for Windowsの導入

省略します。



３．ゲストOS(FreeBSD 6.1)の仮想マシン設定

ゲストOSの仮想マシン設定(仮想マシン環境定義)はVMwareのようなウィザードで行います。

• [File]−[New VM](または「New VM」ボタン)による新規仮想マシン設定の開始
  本操作で「New Virtual Machine Wizard」が起動します。
  
  
• 「Select virtual machine configuration」画面
  「Create a typical VM(recommended).」がデフォルトですが設定内容の確認が面倒ですので「Create a custom VM configuration.」を選択します。
  
  
• 「Select guest OS」画面
  Guest OS Typeとして「FreeBSD」を選択します。
  
  Guest OS Versionとしては「FreeBSD 6.x」を選択します。
  
  
• 「Specify memory size」画面
  今回は1024MBを指定しました。
  
  
• 「Select action type」画面
  仮想ハードディスク(仮想ディスク)を新規作成するか既存のものを利用するかの選択を行います。
  ここでは＜Create a new virtual hard disk＞を選択します。
  
  
• 「Specify hard disk options」画面
  ここでは仮想ディスクのサイズとそのタイプを指定します。
  FreeBSD用仮想ディスクサイズのデフォルトは800MBですが、これを20000MB(20GB)に変更します。
  仮想ディスクのタイプにはExpanding(実容量が次第に増えるタイプ)とPlain(最初から指定サイズ分のファイルを確保するタイプ)があります。
  ここではExpandingを選択します。
  
  
• 「Select an image file」画面
  仮想ディスク用ファイルの格納パスを指定します。
  Vistaの場合のデフォルトはC:\Users\カレントユーザ名\Documents\Parallels Virtual Machines\fedora\freebsd6x.hddです。
  ここは仮想マシンを管理しやすいように指定して下さい。
  
  
• 「Select a type of networking」画面
  ネットワークタイプにはBridged(デフォルト), Host-only, ネットワーク未使用があります。
  プライマリOSのLAN環境に接続するのであれば「Bridged Ethernet」を選択します。
  
  
• 「Select a real adapter」画面
  実際のネットワークアダプターを選択します。
  通常は「Default Adapter」選択で構いません。
  ＜Connect cable at startup＞はチェックを入れたままにします。
  
  
• 「Select virtual machine configuration file」画面
  仮想マシン名と仮想マシン設定格納パスを指定します。
  仮想マシン名のデフォルトは「Fedora Core Linux」ですがここでは「FreeBSD6.1」と指定しました。
  仮想マシン設定格納パスは通常仮想ディスクファイルと同じ場所にします。
  Vistaの場合のデフォルトはC:\Users\カレントユーザ名\Documents\Parallels Virtual Machines\fedora\freebsd6x.pvsです。
  
  ここで＜完了＞ボタンを押すと設定完了です。
  この時点のfedora.hddサイズは約2.5MBです。
  
  
• Parallels Workstationのメイン画面
  一つのParallels Workstation画面には一つの仮想マシンしか表示されません。
  複数の仮想マシンを扱う場合はParallels Workstationの[File]−[New Window]で別の画面を開きます。
  
  
• 仮想マシン設定情報の変更方法
  [File]−[Edit Configuration]で仮想マシン設定情報を変更することができます。
  

• FreeBSD 6.1のインストールディスク(disc1)をセットします。
  
  
• FreeBSD 6.1用のParallels Workstation画面で＜Power On＞します。
  FreeBSD 6.1のインストーラが表示されます。
  
  
• 「Country Selection」画面
  Japanを選択します。
  
  
• 「System Console Keymap」画面
  Japanese 106を選択します。
  
  
• 「Sysinstall Main Menu」画面
  Customを選択します。
  ※Standardを選択してDisc2も併用したバイナリインストールも可能ですがここではportsからのインストールを前提にCustom選択しています。
  
  
• 「FDISK Partition Editor」画面
  aキーを押してディスク全体を一つのスライスとして使用するようにします。
  
  
  
  
• 「Install Boot Manager for drive ad0」画面
  FreeBSD 6.1だけのインストールなのでStandardを選択します。
  
  
• 「FreeBSD Disklabel Editor」画面
  aキーを押して自動設定します。
  
  
  
  
• 「Choose Distributions」画面
  Allを選択します。
  
  また「Would you like to install the FreeBSD ports collection?」についてはYesを応答します。
  
  
• 「Choose Installation Media」画面
  CD/DVDを選択してcommitします。
  
  
• 基本パッケージのインストール
  この時点で基本パッケージがインストールされます。
  
  
• 「Root Password」画面
  rootのパスワードを指定します。
  
  
• 「User Management」−「User」画面
  一般ユーザを追加します。
  
  
• 「Time Zone」画面
  Asia, Japanの順に選択します。
  
  
• 「Please configure your mosue」画面
  Enableを選択しマウスポインタが動くことをここで確認します。
  
  
• 「Network Services Menu」画面
  まずInterfacesを選択して「Network interface informaion required」画面を表示します。
  NE2000互換のed0インタフェースが自動認識されて表示されます。
  
  
  
  
• 「Network Configuration」画面
  ホスト名、ドメイン名、IPアドレス等を指定します。
  
  
• 基本設定の終了
  Exitの連続選択でインストールメニューを終了します。
  
  この基本インストールでインストールされるパッケージ一覧はこちらです。
  
  
• 自動リブートとログイン
  自動リブートされます。
  
  
  
  
  
  テキストログイン画面が表示されますのでrootでログインします。
  この時点ではsshdもまだ開始されていません。
  
  
• Xの導入
  portsからXを導入します。
  ※パッケージはすべてportsから導入することにします。
  # cd /usr/ports/x11/xorg
  # make install clean
  これで必要なファイルがダウンロードされ、順次コンパイルされてパッケージがインストールされます。
  
  
• Xの設定
  # Xorg -configure
  これでデフォルトのX設定ファイルが/root/xorg.conf.newとして作成されます。
  ドライバはvesaが使用されます。
  
  # cp /root/xorg.conf.new /etc/X11/xorg.conf
  # startx
  これで1600x1200の大きさのXが表示されます(ウィンドウマネジャはtwmです)。
  Ctrl + Alt + Backspaceでコンソールに戻ります。
  
  # xorgcfg -textmode
  テキストモードでXの細かい設定を行います(マウス、キーボード、モニター、解像度の設定)。
  
  FontPathは/etc/X11/xorg.confを直接編集して設定します。
  
  
• フォントのインストール
  IPAフォントとさざなみフォントをインストールします。
  # cd /usr/ports/japanese/ipa-ttfonts
  # make install clean
  # cd /usr/ports/japanese/sazanami-ttf
  # make install clean
  ※/usr/X11R6/lib/X11/fonts/TrueTypeにそれらのフォントがインストールされます。
  
  
• GNOMEのインストール
  GNOMEをインストールするとgdm, firefoxもインストールされます。
  # cd /usr/ports/x11/gnome2
  # make install clean
  
  
• 日本語入力環境のインストール(SCIM+Anthyの例)
  # cd /usr/ports/japanese/scim-anthy
  # make install clean
  startxで起動したXで日本語を使用する場合には~/.xinitrcにSCIMを使用する設定をしておきます。
  
  
• gdmの自動起動設定
  /etc/rc.confに「gdm_enable="YES"」という行を追加します。
  これでgdmのログイン画面が表示されるようになります。
  
  
  
  尚、gdmの一時的な停止は/usr/X11R6/sbin/gdm-stopコマンドで行います。
  
  
• sshdの自動起動設定
  (1)/etc/rc.confに「sshd_enable="YES"」という行を追加します。
  (2)rootでのsshログインを許可したい場合は/etc/ssh/sshd_configに「PermitRootLogin yes」を設定します。
  
  
• Apacheのインストール
  # cd /usr/ports/www/apache22
  # make install clean
  # vi /etc/rc.conf
  ここで「apache22_enable="YES"」という行を追加します。
  尚、Apacheの設定ファイルは/usr/local/etc/apache22/httpd.confです。
  またドキュメントルートは/usr/local/www/apache22/dataになっています。
  このApacheをアクセスすると「It works!」と表示されます(http://localhost/指定)。
  
  
  
  
  
• GIMPのインストール
  # cd /usr/ports/graphics/gimp
  # make install clean
  
  インストール後にGNOMEを再起動するとアプリケーションメニューの[グラフィックス]に[The GIMP]が追加表示されるようになります。
  
  
• Adobe Readerのインストール
  # cd /usr/ports/japanese/acroread
  # make install clean
  インストールの途中でエンドユーザライセンスに対するaccept入力を求められます。
  
  
• OpenOffice.org-2.0のインストール
  OpenOffice.org-2.0をportsからインストールする場合jdk-1.4.2系が必要となります。
  そこで所定のサイトから以下のファイルをダウンロードして/usr/ports/distfilesに格納しておきます。
  ・j2sdk-1_4_2-src-scsl.zip
  ・j2sdk-1_4_2-bin-scsl.zip
  ・bsd-jdk14-patches-8.tar.gz
  ・j2sdk-1_4_2_10-linux-i586.bin
  
  

  # vi /etc/fstab
  /etc/fstabに以下の行を追加します。
  linprocfs        /compat/linux/proc  linprocfs  rw              0       0
  

  # kldload linprocfs
  # mount /compat/linux/proc
  # cd /usr/ports/editors/openoffice.org-2.0
  # make install clean
  インストール途中で既存の古いバージョンパッケージとの競合が検出された場合はpkg_deleteで古い方を削除してインストールを再実行します
  その場合の再インストールは中断したところから再開されます。
  
  
• RealPlayer 10.0のインストール
  # /usr/ports/multimedia/linux-realplayer
  # make install clean
  
  
• FirefoxへのJavaプラグインの設定
  # cd /usr/X11R6/lib/firefox/plugins
  # ln -s /usr/local/jdk1.4.2/jre/plugin/i386/ns610/libjavaplugin_oji.so .
  
  
• デスクトップ
  
  
  
  実寸画像はこちらです。
  
  
• GNOMEスプラッシュ画像群
  /usr/X11R6/share/gnome/pixmaps/splashにあるGNOMEスプラッシュ画像一覧です。