Parallels Desktop 3.0 for Mac 日本語版
Parallels DesktopはParallels社が開発しているIntel Mac(32bit)向けのデスクトップ用仮想化ソフトです。
2007年6月にParallels Desktop 2.5 for Mac 日本語版がリリースされました(プロトン社が日本語化を実施)。
更に、2007年10月5日にはParallels Desktop 3.0 for Mac 日本語版(Build 4560:2007/08/28ビルド版)パッケージがリリースされました。
※Parallels Desktop 3.0 for Mac 日本語版はXenカーネル未サポートのままです。
Parallels Desktop 3.0 for Mac 日本語版(以下、Parallels 3.0)の大きな特徴は以下の通りです。
- 仮想ディスク形式の変更
Parallels 3.0の仮想ディスク形式がParallels 2.5から変更となりました。
Parallels 3.0でParallels 2.5形式の仮想ディスクを初めて使用する場合は仮想ディスクの変換が行われます。
- Windows仮想ディスクの自動マウント
Parallels 3.0でWindows仮想マシンを起動するとその仮想ディスクがMac上に自動マウントされます。
- Parallelsエクスプローラの搭載
Parallelsエクスプローラは仮想ディスクのアクセスツールでありNTFSやext3ファイルシステムをサポートしています。
(日本語ファイル名はファイル参照系のみサポート)
Parallelsエクスプローラは単体のツールでVMware Fusionの仮想ディスクもサポートしています。
尚、ParallelsエクスプローラはBoot Campパーティションは未サポートです。
- 共有アプリケーション(SmartSelect機能含む)
Windows側のファイルをMacアプリで直接操作したり、逆にMac側のファイルをWindowsアプリで直接操作したりできるようになりました。
Parallelsエクスプローラとアプリケーション共有を組み合わせるとLinux仮想ディスクのファイルをMac/Windowsアプリで直接操作できます。
- Boot Campパーティションサポートの強化
Boot CampパーティションにインストールしたWindows VistaをParallels環境で実行できるようになりました。
- WindowsのDirectXサポート
Windows用仮想マシンの構築エディタに新規追加された「ビデオ」エントリで<DirectXサポートを有効にする>をonにすると
スクリーンセーバーとしてバブル等を利用できるようになります。
ここではParallelsエクスプローラとアプリケーション共有を中心にParallels 3.0について紹介します。
尚、Mac OS X 10.5(Leopard)環境下での問題点についても紹介します。
1.Parallels 2.5から3.0へのアップグレードインストール
Parallels 3.0のインストーラはParallels 2.5をアップグレード(上書きインストール)できます。
このためParallels 2.5の事前アンインストールは不要です。
2.Parallels 2.5仮想ディスクの利用とParallels Toolsのアップグレード
Parallels 3.0でParallels 2.5形式の仮想ディスクを初めて使用する場合は「Parallels仮想マシンの更新」画面が表示されます。
この画面で<変換>ボタンを押すとParallels 3.0形式への変換が行われます。
ほとんどの場合この変換は瞬時に終ります。
Parallels 2.5仮想マシン環境にParallels Toolsが導入されている場合はParallels 3.0のParallels Toolsの導入(アップグレード)も必要です。
Windows XP/VistaにParallels 3.0のParallels Toolsを導入した場合、その再起動過程でSmartSelectの更新が自動実行されます。
このSmartSelectの更新によってWindows側のスタートメニューに「Parallels Shared Applications」(共有Macアプリケーション)が登録されます。
※Parallelsの[アプリケーション]−[共有Macアプリケーション]−[リストの作成]メニューで共有Macアプリケーション一覧を更新できます。
例えば共有Macアプリケーションとして「Safari (Mac)」を選択するとMac側のSafariが起動します。
※Windowsデスクトップ上にSafariが表示されるわけではありません。
3.Windows仮想ディスクの自動マウント
Parallels 3.0でWindows仮想マシンを起動するとその仮想ディスクがMac上に自動マウントされMac側Finderから直接操作できるようになります。
Windows仮想ディスクの自動マウント機能は「共有フォルダ」のオプション機能です。
※仮想マシンの構築エディタの「共有フォルダ」オプションで<仮想ディスクをMacデスクトップにマウントする>をonにしておきます。
自動マウントたボリューム名は「[C] 仮想マシン名」となります。
4.Parallelsエクスプローラ
Parallelsエクスプローラは実行していない仮想マシンの仮想ディスクを直接アクセスできる単体ツールです。
- 基本的な使用方法
操作の基本はアプリケーションフォルダからParallelsエクスプローラを起動し、[ファイル]メニュー中の以下のいずれかのメニューで仮想ディスクを開きます。
(1)[仮想マシンを開く]メニュー
(2)[仮想ハードディスクを開く]メニュー
※仮想ディスクのコンテキストメニュー([このアプリケーションで開く])からParallelsエクスプローラを起動することもできます。
- アプリケーションでの仮想ディスク利用
Parallelsエクスプローラ自体のコンテキストメニュー([このアプリケーションで開く])からWindows/Macアプリを選択起動できます。
- 仮想ディスクのサポートフォーマット
拡張可能フォーマット、プレーンフォーマット共にサポートされています。
- サポートファイルシステム
仮想ディスクのアクセスツールであるParallelsエクスプローラはNTFSやext3ファイルシステムをサポートしています。
※Build 4560のParallels 3.0付属のParallelsエクスプローラでは日本語ファイル名はファイル参照系のみサポートされています。
Solaris/FreeBSD/NetBSD用の標準ファイルシステムは未サポートのようです。
Boot Campパーティションは利用できないようです。
- Parallelsエクスプローラが使用できる仮想ディスク
- Parallels 3.0の仮想ディスク
Parallels 2.5の仮想ディスクはParallels 3.0形式に変換してからParallelsエクスプローラで利用可能となります。
下記はWindows Vistaの仮想ディスク(拡張可能フォーマット)をParallelsエクスプローラで利用している様子です。
- VMwareシリーズの仮想ディスク
VMware FusionだけでなくVMware Workstation 5.5等の仮想ディスクも利用できます。
下記の画像はVMware FusionのFedora 7 x64用の仮想ディスクをParallelsエクスプローラを使用してParallelsのWindowsで利用している様子です。
※ParallelsのWindowsが実行されていない場合はParallelsのWindowsがブートされてから該当アプリケーションが起動されます。
VMware FusionのLinux(Fedora 7 x64)側音声ファイル(phone.wav)をWindows Media Playerで再生してみました(エフェクト効果は「電離雲」を使用)。
- Virtual PC仮想ディスク
Virtual PC仮想ディスク(vhdファイル)についてはどのプラットフォーム/バージョンのVirtual PCが正式サポート対象かがはっきりしませんでした。
しかしWindows版Virtual PC 5の仮想ディスクはNTFS及びext3共に利用できました。
下記はext3とswapパーティションをもつVine Linux 3.1のVirtual PC仮想ディスクをMac側にコピーしてParallelsエクスプローラで利用している様子です。
尚、Virtual PC 2007(Windows版)で作成したVine Linux 4.0のext3ファイルシステムの仮想ディスクはParallelsエクスプローラでは利用できませんでした。
- Parallelsエクスプローラの安定性
Parallelsエクスプローラを使用していると時々異常終了する場合がありますので今後の安定性向上に期待したいところです。
Build 4560のParallels 3.0付属のParallelsエクスプローラをファイル更新用に使用するのは危険のようです。
5.共有アプリケーション(SmartSelect機能含む)
共有アプリケーション機能とはWindowsアプリをMac側から起動したり、MacアプリをWindows側から起動したりすることをサポートするオプション機能です。
またSmartSelect機能とはWindows仮想マシン用の共有アプリケーション機能に含まれるオプション機能で、
「ファイル拡張子ごとに関連付けるWindowsアプリまたはMacアプリを事前に決めておける機能」です。
SmartSelect機能の使用有無はParallels 3.0から追加された共有アプリケーションオプションで指定できます。
SmartSelect機能におけるファイル拡張子とWindowsアプリ/Macアプリの関連付けは[アプリケーション]−[SmartSelect]−[編集]でWindowsアプリを選択することから始めます。
例えば、SmartSelectの編集対象としてWindowsアプリのペイントを選択した場合、画像ファイルの拡張子ごとに関連付けるアプリ(Windows or Mac)の設定画面が表示されます。
以下にWindowsとMacの共有アプリケーションについて簡単に紹介します。
- Windows仮想マシンファイルのMacアプリからの利用
アプリケーション共有(SmartSelect機能)ではWindowsエクスプローラの[プログラムから開く]でWindows側ファイルをMacアプリから開くことができます。
例えばWindows側のC:\Windows\Web\Wallpaper\img36.jpgをMac側のPhotoshop Elementsで開いた場合、
Mac側のPhotoshop Elements側で認識されるそのファイルパスは[C] Windows VistaのWindows/Web/Wallpaper/img36.jpgとなります。
- Mac側ファイルのWindowsアプリからの利用
アプリケーション共有(SmartSelect機能)ではFinderの[このアプリケーションで開く]でMac側ファイルをWindowsアプリ(ペイント、メモ帳等)から開くことができます。
※実際にはネットワーク経由での共有フォルダ(\\.PSF\.Mac\xx)利用となります。
6.Parallels 3.0の印象
Windows仮想ディスクの自動マウント、Parallelsエクスプローラ、SmartSelect機能をWindowsのコヒーレンスモードで組み合わせて使用すると
MacとWindowsが同じデスクトップ上でかなり融合されたレベルになったという印象を強く感じます。
Windows仮想マシンでのIME言語バーのモードは「Shift+英数」と「Shift+かな」で相互切替できるので日本語利用もそれほど負担にはなりません。
Parallels 3.0での開発思想はWindows仮想マシンを下記のようにコヒーレンスモードで使用することを想定しているようです。
7.Mac OS X 10.5(Leopard)での問題点
Mac OS X 10.5(Leopard)が2007年10月26日にリリースされました。
Leopard環境ではParallels 3.0をBuild 5162(2007/10/23版)にアップグレードして使用します。
しかしLeopard環境でのParallels 3.0 Build 5162実行では下記のようないくつかの問題が発生します(Parallels 3.0の目玉機能が動作しません)。
※これらの問題点はParallels Support Forumでも報告されています。
- Windows仮想ディスクの自動マウント不可
ParallelsでWindowsを起動した際、それのMacデスクトップへの自動マウントに失敗します。
※MacFUSEをLeopard対応のものに変更してもWindows仮想ディスクの自動マウントは失敗します。
- WindowsファイルのMacアプリでの起動不可
Parallels環境のWindowsエクスプローラでファイルをMacアプリで開こうとするとエラーが発生します。
尚、ParallelsエクスプローラでWindows仮想ディスク(winvista.hdd)を開いてその中のファイルをMacアプリ(Safari等)で開くことはできます。