MSX turbo Rの環境
1990年の暮れにMSX turbo R仕様のMSXマシンを購入しました。
(MSX turbo RというのはMSX2+の上位互換をもつMSX規格です)
それ以前はMSX2+仕様の8ビットマシン(Panasonic FS-A1WSX:CPUはZ80, 3.58MHz)を使用していました。
しかし16ビット仕様のマシンに興味をそそられてついついPanasonic A1ST(Super Turbo)を衝動買いしてしまいました。
価格の話は単純比較が困難なためあまりしたくはないのですが実はこのA1STの定価は87,800円でそれまで使っていたMSX2+のマシンより約20,000円程高くなっていました。
でも当時のNECの16ビットパソコンPC-9801 UV11(日本語MS-DOS 3.1や日本語BASIC 5.0付属で265,000円、但しディスプレイは別売)に比べるとかなり低価格に押さえられていました(やはり対応アプリの数がものを言うのでしょうか...)。
ここでは主にMSX turbo Rの環境について簡単に紹介します。
(1)A1ST仕様
- CPU:アスキー製のR800(16ビットCPUでクロック周波数は28.64MHz)
- RAM:256KB
- VRAM:128KB
- PCM録音・再生機能の標準装備
BASICの新たなPCMREC,PCMPLAY命令でアプリケーションプログラムからPCM録再が可能
- MSX-DOS2の標準装備(MS-DOSとのデータ互換あり)
- MSX, MSX2, MSX2+互換
- S映像出力端子及びRGB出力端子付き
- おまけソフト:グラフィックソフト、ボイスガイダンス付きカラーワープロ等(充実したマニュアル付き)
(2)A1STの利用環境(MSX2+対応環境含む)
- 増設用3.5インチFDD:Sony HBD-F1
- プリンタ:型名不詳
- ディスプレイ:Panasonic TH-14G2(RGB端子付きの単なるテレビ)
- マウス:Panasonic FS-JM1
- 拡張スロットボックス:日本エレクトロニクス EX-4(4スロット用)
- 増設RAM(別途段階的に買い増し)
- ビデオデジタイザ:Sony HBI-V1(MSX2+の19,268色自然画表示モード対応のキャプチャソフト付き)
- ハンディスキャナ:HAL研究所 型名不詳
- 日本語MSX-DOS2(RAMDISK使用可)
- MSX-DOS2 TOOLS
- MSX-C(C言語コンパイラ)
- MSX-C Library(グラフィック系ライブラリ付き)
- MSX View
- MSX CALC
- シンセサウルス(楽曲編集ソフト)
- MSXべーしっ君
- ゲーム関係
- 上海
- TETRIS
- トライアンス(自販機「武尊」で購入したMSXディスク通信の中に入っていたものと記憶していますが...)
- エイリアン(これも自販機「武尊」で購入したMSXディスク通信の中に入っていたものと記憶していますが...)
(3)A1ST付属のグラフィックソフト
A1ST付属のグラフィックソフトをちょっと試してみました。
(4)自作グラフィックソフト(お絵書きツール)
A1STのPCM録音・再生APIを利用したボイスメモ付きグラフィックソフトを自作してみました。
A1STの味見を兼ねて1991年の春に作成したものですがとても気恥ずかしい思いがします。
【補足説明】
- 画面はメニュー部分とキャンバス部分から構成されています。
- メニュー選択及びキャンバスでの描画はすべてマウス操作で行います。
影付きマウスポインタはスプライトで実現しています。
- 前景色はコードでも指定できるようにしています。
- 「コード」の上の欄には文字入力ができます。
そこへ文字入力して「マーク」メニューを選択してからキャンバス内をクリックするとその文字がキャンバスに描かれます(スタンプ機能)。
- 機種依存の特殊文字等はコード値でも指定できるようにしています。
- 筆の太さを2種類の中から選択できるようにしています。
- 横と縦の値は表を描画するときの列数と行数を意味します。
- 「円」は円形状を描くメニューです。
- 「S」は自由曲線を描くメニューです。
- 「ファイル」は現時点のキャンバス内容をファイルに書き出すためのものです。
- 「漢字」「工作」「ウルトラ」メニューを選択するとそれぞれのサブメニュー表示に切り替わります。
「工作」というのはキャンバス内の一部を選択して(仮想的な)クリップボード経由でコピー&ペースト等が行えるサブメニューを表示します。
クリップボードは最大3個使えるようにしています。
- 「聞く」はボイスメモを再生するメニューです。
- 「録音」はボイスメモの録音メニューです。
A1ST等にはマシンにマイクが付いています。
- 「クリア」はキャンバスをクリアします。
- 「取消」は直前の操作を取り消します。
(5)泳ぐカード(自作)
お部屋のちょっと変わったインテリアとして「泳ぐカード」というプログラムを作成してみました。
プログラムを起動すると水槽のような空間に3枚のカードが出てきてその空間をゆっくり遊泳しはじめます。
3枚のカードは互いにぶつかることなく遊泳します。
また壁に接近すると方向転換します。
カードをマウスでクリックするとそのカードの文字が不規則に変化します。
(6)簡単なカード合せゲーム(幼児向けゲームでこれも自作)
トランプカードのゲームにあるものと似たようなものですが、画面にランダムに伏せて並べられたカード群の中から2枚のカードをめくっていって同じカードなら得点が得られるというものです。
「カードの総数をいくつかにするか」とか「1プレーヤモードと2プレーヤモードのどちらにするか」等についてはゲームを起動したときのオプション選択画面で指定できるようにしてあります。
また2枚目をめくったときの結果(不一致、一致)に応じて「ピッピー」「ピンポ−ン」という音を鳴らすようにしています。
更に1枚目のカードをマウスでクリックした時にそのカードの文字を表示するわけですが、そのカードには通常のマウスカーソルとは別のマウスカーソルを表示したままにするというMSXならではのスプライト制御を利用しています。
下の画像は1プレーヤモードの時のゲーム画面です。
(「八百屋」カードが一致した時の画面ですが1枚目に対するマウスカーソルは既にリセットされた状態になっています)
これと似た発想で19,268色自然画表示モードのジグソーパズルも作成してこともあります。
19,268色自然画表示モードを扱うゲームではYJKの輝度制御を含めたちょっとしたテクニックが必要となります。