Xen 3.1.0(XenServer 4.1編)


2008年4月1日にCitrix XenServer 4.1がリリースされました。
XenServerはXenExpressと違って有償ソフトですが複数のXenサーバを管理することができます。
更にそのEnterprise版になると複数のXenサーバを束ねてリソースプールを構成できます。
XenServer 4.1ではWindows Vistaの32ビット版が正式サポートされ、XenCenter管理コンソールでWindows Vistaテンプレートが使用可能となりました。
XenServer 4.1は32ビット版CentOS 5.1をベースに64ビット版ハイパバイザーを加えたものでありXenServer 4.1のデスクトップ化によってXenServer上で
Windows Vistaデスクトップを操作できます。

ここではXenServer 4.1のデスクトップ上でWindows Vistaを操作できる環境の構築手順を主に紹介します。
(Oracle Enterprise Linux 5 x64の準仮想化にも触れます)

今回使用したPCのハードウェア構成は以下の通りです。
・CPU:Core 2 Duo E6600
・チップセット:Intel P965
・メモリ:3GB
・VGAカード:nVIDIA GeForce 7600 GT(VRAM 256MB)
・HDD:S-ATA 250GB
・LANカード:Intel PRO/100 S ※新しいOSを試行する際の無難なLANカードの一種です


1.XenServer 4.1のインストール



2.XenServerへの日本語GNOME環境の導入

XenServer 4.1ではパーティション構成を変更しなくても日本語GNOME環境を導入できます。
まずyumコマンドが使用できるように/etc/yum.repos.d/CentOS-Base.repoの内容を変更します。
# vi /etc/yum.repos.d/CentOS-Base.repo
下記の各エントリに指定されている「enabled=0」をコメント化します。
[base] [updates] [addons] [extras]
次にyumコマンドを使用して日本語GNOME環境を導入します。
※XenServer付属のyumコマンドはCentOS 5.1の最新リポジトリからパッケージをインストールしてくれます。


3.XenServer管理コマンドツール(xe)のインストール

XenServerのLinux Pack CD-ROMにはゲストOS用テンプレートの他にXenServer/仮想マシンを管理するコマンドツールが含まれています。
まずそのツールをインストールします。
※取りあえずそのXenServer用コマンドツールはXen付属のxmツール相当と考えて下さい。
# Linux Pack CD-ROMをCD-ROMドライブにセットします。
# mount /dev/cdrom /mnt
# rpm -ivh /mnt/client_install/xe-cli-4.1.0-7843p.i386.rpm
# umount /mnt

次に本コマンドツール利用時に指定するパスワードファイル(名称は任意)を作成します。
# vi /root/xs41pwf
・1行目には「root」を記載します。
・2行目にはそのrootのパスワードを記載します。

XenServerの中でXenServer/仮想マシンを管理するコマンド(xe)を使用する場合は以下のようにパスワードファイルを指定します。
# xe vm-list -pwf xs41pwf
※別マシンのXenServerを管理する場合は「xe vm-list -s サーバ名 -pwf 該当サーバ用のパスワードファイル」というように指定します。

尚、パスワードファイルを使用せずに「xe vm-list -s サーバ名 -u ユーザ名 -pw パスワード」という形式でも構いませんが推奨はできません。


4.XenCenter(Windows版管理コンソール)のインストール

XenServerでは仮想マシンの作成やゲストOSのインストールはWindows版XenCente管理コンソールから行います。


5.XenCenter(管理コンソール)によるWindows Vistaのインストール

Windows Vistaのインストールメディアの使用方法はいくつかあります。
ここでは最も簡単なWindows VistaのインストールDVDをXenServerのマシンにセットして利用することにします。


6.XenServer上のWindows VistaへのWindows準仮想化ドライバのインストール

XenServer上のWindows Vistaは完全仮想化(HVM)モードで動作します。
完全仮想化では仮想ディスクやネットワークカードがエミュレートされるためディスク/ネットワークのI/Oオーバヘッドが余分に掛ります。
このオーバヘッド対策としてXenServerでは以下のWindows準仮想化ドライバを提供しています。
・Citrix準仮想化ネットワークドライバ
・Citrix準仮想化SCSIドライバ
これらのドライバはXenServer Toolsとして提供され、以下のようにインストールします。



7.XenServer上でのWindows Vistaの起動・操作



8.XenServerへの準仮想化64ビットOracle Enterprise Linux 5の導入例

XenServerは64ビット版のハイパバイザーであり32ビット版と64ビット版の両方のDomainU(準仮想化ドメイン)を実行できます。
XenServer 4.1では新たに32ビット版及び64ビット版のOEL(Oracle Enterprise Linux) 5.0/5.1のゲストサポートが追加されました。
ここでは64ビット版OEL 5のインストールからGUI操作までの手順を簡単に紹介します。



9.XenServerへの完全仮想化64ビットOracle Enterprise Linux 5の導入例

64ビット版OEL 5の仮想マシンの定義でテンプレート一覧から「Oracle Enterprise Linux 5.0 x64」を選択すると準仮想化ドメインとなります。
テンプレート一覧の有無に関わらずテンプレート一覧で「Other install media」を選択すると完全仮想化ドメイン(HVMドメイン)となります。
ここでは64ビット版OEL 5の完全仮想化ドメインの作成から実行までの手順を簡単に紹介します。