Xen 3.0.2(OpenSolaris編)


2006年4月13日にXen 3.0.2が正式リリースされました。
Xen 3.0.2の特徴は初めてLinux Kernel 2.6.16ベースのXenカーネルが採用されたことです。

さて、OpenSolarisのXenコミュニティではXen 3.0.2のOpenSolaris対応版を2006年8月に何とかリリースしました。
このXen 3.0.2のOpenSolaris対応版はHVM(完全仮想化)等は未サポートという制限もありまだ「不完全」と自己アナウンスされています。

OpenSolaris版Xenのメインサイトは http://www.opensolaris.org/os/community/xen/How-To-8-15-06/ です。
このサイトにOpenSolaris版Xenの導入と実行に関する情報が集約されています。

OpenSolaris版Xen 3.0.2が前提とするドメイン0のOSはSolaris Express Community Release build 44(Nevada 44)となっています。
サポートされるドメインU(ゲストOS)はOpenSolaris, Linux, FreeBSDの3種類です。
OpenSolaris版Xen 3.0.2において「32ビット版PAEモードは未サポート」という制限事項については特に注意が必要です。
これは32ビットのOpenSolaris版Xen自体がnon-PAEモードでのみ動作するためです。
したがって32ビットLinuxをドメインUで実行させる場合は、
XenSourceのサイトで公開されている32ビット版non-PAEのXen 3.0.2カーネルを使用しなければなりません。
※32ビット版PAEカーネルは起動自体ができません(「PAE-kernel on non-PAE host」というエラーとなります)。

ドメインUでLinuxを実行させる場合にもう一つ注意しなければならないことがあります。
それはOpenSolaris版Xenのリリースノートにも記載されていますがLinuxでネットワークを使用する場合はLinuxブートのたびに
Linux側で「ethtool -K eth0 tx off」を実行しておかなければならないという点です。
これを実行しておかないとドメイン0の物理ネットワーク上にあるマシンとドメインU(Linux)とのネットワーク接続に支障が出ます(ドメインU側からDNSを引けない等)。
尚、ethtoolが標準でインストールされないディストリビューション(Vine Linux 4等)ではethtoolを追加インストールしておく必要があります。

また、 http://www.opensolaris.org/os/community/xen/How-To-8-15-06/install/AugDomUs/ には
その場で即使用できるドメインU仮想ディスクイメージファイル情報が公開されています。
例えば、ドメインUでOpenSolarisを動作させるために必要なファイル(snv44-domu.tar.bz2)の取得方法や使用方法も詳しく紹介されています。
特にsnv44-domu.tar.bz2については仮想ディスクだけではなくドメインU構成ファイルも付いていますので所定のディレクトリで展開すると手直しすることなく利用できます。

ここではOpenSolaris版Xenの導入とドメインU(OpenSolaris, Linux)の実行手順について紹介します。


1.Solaris Express Community Release build 44のインストール




2.OpenSolaris版Xenの導入

OpenSolaris版Xenの導入手順は以下の通りです。




3.ドメインUでのOpenSolaris実行

http://www.opensolaris.org/os/community/xen/How-To-8-15-06/install/AugDomUs/には
ドメインUでOpenSolarisを動作させるために必要なファイル(snv44-domu.tar.bz2)の取得方法や使用方法も詳しく紹介されています。




4.ドメインUでLinuxを動作させるXenファイルの準備

OpenSolaris上ではLinuxカーネルを実行することができます。
まずXenSourceのサイトからXen 3.0.2 32 bit SMP用ファイル(xen-3.0.2-install-x86_32.tgz)を取得します。
Xen 3.0.2 32 bit SMP用ファイル以外のもの(Xen 3.0.3用やPAE版)はOpenSolarisでは使用できません。

次にxen-3.0.2-install-x86_32.tgzを解凍して得られるxen-3.0.2-2-install/install/boot/vmlinuz-2.6.16-xenというカーネルを取り出しておきます。
vmlinuz-2.6.16-xenというカーネルはあとで使用します。



5.ドメインUでのttylinuxの実行(ネットワーク利用含む)

ドメインUでのLinux起動確認で最も手軽に使える仮想ディスクイメージはttylinux-xenです。
今回はttylinux-xen 4.2を使用してみました。




6.ドメインUでのVine Linux 4の実行(GUI操作含む)

OpenSolaris版XenでVine Linux 4をドメインUとして実行させるためには仮想ディスク化する前に準備しておいた方が都合がよいものがいくつかあります。
ここではその準備を含めて既に稼動しているデスクトップ環境付きVine Linux 4をドメインUで実行させる手順を紹介します。