Xen 3.0.3(Core 2 Duo編[CentOS 5])

2007年4月12日、Red Hat Enterprise Linux 5(RHEL 5)をベースにしたCentOS 5がリリースされました(RHEL 5クローン)。
RHEL 5自体はそのBeta2が2006年11月17日にリリースされ、製品版は2007年3月14日にリリースされました。

CentOS 5は仮想化ソフト(Xen 3.0.3)を標準装備しており、CentOS 4.4でのXen利用よりも簡単に利用できます。



ここではCore 2 DuoでのHVMドメインでWindows Vista(x86)を動作させる手順を紹介します。

今回使用したPCのハードウェア構成は以下の通りです。
・CPU：Core 2 Duo E6600
・チップセット：Intel P965
・メモリ：3GB
・VGAカード：nVIDIA GeForce 7600 GT(VRAM 256MB)
・HDD：S-ATA 250GB
・LANカード：Intel PRO/100 S ※新しいOSを試行する際の無難なLANカードの一種です。


１．CentOS 5へのXenの導入

CentOS 5へのXenの導入はCentOS 5インストール時に「仮想化」というソフトウェアセットを選択することで行えます。

「仮想化」をインストールすると/boot/grub/grub.confに以下の内容が自動追加されます。

title CentOS5 (2.6.18-8.el5xen) root (hd0,0) kernel /boot/xen.gz-2.6.18-8.el5 module /boot/vmlinuz-2.6.18-8.el5xen ro root=LABEL=/12 rhgb quiet module /boot/initrd-2.6.18-8.el5xen.img

※kernel行へのdom0_memの自動追加はされませんのでdom0_mem=2048mを手動で追加しておきます。

言語関係を除外してフルインストールした場合にインストールされるCentOS 5パッケージ一覧はこちらです。


２．Xen環境でのWindows Vistaのインストール

Xen環境でのWindows Vistaのインストール/実行までの手順例は以下の通りです。

• HVMドメインでのWindows Vistaのインストール
  
  
  • XenモードでのCentOS 5ブート
    
    
    
    
  • GDMログイン
    
    
    
    
  • 仮想ディスク(40GB)の作成
    
    # dd if=/dev/zero of=/boot/xenvistax86.img bs=1M count=1 seek=40960
    
    
  • HVMドメイン設定ファイルの作成
    Xen付属のxmexample.hvmというサンプルファイルをベースにWindows Vista実行用設定ファイルを作成します。
    
    # cp -a /etc/xen/xmexample.hvm /etc/xen/xmvistax86.hvm
    # cd /etc/xen
    # vi xmvistax86.hvmで以下のように内容変更します。
    

    (1)memory = 128を768に変更。 (2)name = "ExampleHVMDomain"を"Vistax86HVM"に変更。 (3)#acpi=0をacpi=1に変更。※これは「Windows failed to load because the firmware (BIOS) is not ACPI compatibe.」の回避用です。 (4)#acpi=0をapic=1に変更。※この変更を行わないと「Windows is Loading files...」画面が繰り返し表示されます。 (5)disk = [ 'file:/var/images/min-el3-i386.img,hda,w', ',hdc:cdrom,r' ]を disk = [ 'file:/boot/xenvistax86.img,hda,w', 'phy:/dev/cdrom,hdc:cdrom,r' ]に変更。 ※上記diskでcdromを定義しています。 (6)#boot="cda"はそのままにしておきます。※インストールDVDからのブートはxm createでのboot=dで指定できます。 (7)sdl=0を1に変更。 (8)vnc=1を0に変更。 (9)#localtime=1の#を削除。 (10)#keymap='ja'の#を削除。

    
    
  • Windows VistaのインストールDVDのセット
    
    
  • HVMドメインの起動
    
    # xm create xmvistax86.hvm boot=d
    
    これでWindows Vistaのインストール画面がHVMXENウィンドウに表示されます。
    ※ウィンドウタイトルは「HVMXEN-Vistax86HVM」となりますがQEMUを直接使用しているのと同じ感覚です。
    
    
    
    
  • プロダクトキー入力〜インストール場所の選択：説明略
    
    
  • Windowsのインストール中
    
    
  • 自動再起動
    自動再起動時はWindows Vista実行用設定ファイル(xmvistax86.hvm)が参照されるためDVDからではなくHDDからブートされます。
    
    
  • インストールの最終処理を実行しています
    
    
  • 自動再起動
    
    
  • Windowsのセットアップ
    ユーザ名、コンピュータ名、デスクトップ画像、時刻と日付の指定(設定)を行います。
    
    
  • お使いのコンピュータの現在の場所を選択して下さい
    ここでは「職場」を選択します。
    
    
    
    尚、TCP/IPの設定はDHCP設定となります。
    
    
  • ありがとうございます
    ＜開始＞ボタンを押します。
    
    
  • お待ちください。コンピュータのパフォーマンスを確認しています。
    
    
  • ログオン画面
    
    
  • ログオン後
    ようこそ画面、デスクトップの準備をしています画面が表示されます。
    
    
  • 最初のデスクトップ
    最初の画面解像度は800x600x24です。
    
    
    
    
    
  
  
• HVMドメインでのWindows Vistaの実行
  以下のコマンドでHVMドメインを起動します。
  # xm create xmvistax86.hvm
  
  まず画面解像度を1024x768x24に変更します。
  
  ネットワークカードはRealtek RTL8139C+ Fast Ethernet NICとして認識されますが利用できません。
  
  
  
  
  
• Linux側のファイルをWindows Vistaで利用する方法
  HVMドメインでのWindows Vistaはネットワークが利用できません。
  このためネットワーク以外の方法でLinux側のファイルをWindows Vistaに送る必要があります。
  いくつか手段はありますが比較的簡単なのはLinux側のファイルをisoイメージ化することです。
  そのisoイメージファイルをHVMドメイン設定ファイルにcdromとして指定すればWindows Vista側からはDドライブとして利用できます。
  
  ここではLinxu側でダウンロードした「Realtek 8139 8139C NDIS Driver for Vista」をWindows Vistaで利用する例を紹介します。
  
  
  • ドライバのダウンロード
    例えばhttp://cowscorpion.com/dl/Realtek81398139CNDISDriverforVista.htmlのサイトにあるvista-8139(6101).zipというファイルをvista-8139_6101.zipというファイル名でダウンロードします。
    ※( )付きのファイル名はLinux側で操作困難なため( )を使用しない名称でダウンロードします。
    
    
  • ダウンロードファイルの展開とisoイメージ化
    # mkdir netdriver
    # unzip vista-8139_6101.zip -d netdriver
    # mkisofs -o netdriver.iso -R -J netdriver
    
    
  • HVMドメイン設定ファイルの変更
    HVMドメイン設定ファイル(xmvistax86.hvm)中のdisk = [ 'file:/boot/xenvistax86.img,hda,w', 'phy:/dev/cdrom,hdc:cdrom,r' ]を
    disk = [ 'file:/boot/xenvistax86.img,hda,w', 'file:/root/netdriver.iso,hdc:cdrom,r' ]に変更します。
    
    
  • HVMドメインでのWindows Vistaの実行
    以下のコマンドでHVMドメインを起動します。
    # xm create xmvistax86.hvm
    
    
  • Windows Vista側でのDドライブ利用
    Windows Vista側でDドライブを利用します。
    
    
    
    
  
  
• 仮想マシンマネージャ
  CentOS 5付属の仮想マシンマネージャを使用するとドメイン状況を容易に把握できるようになります。
  ※仮想マシンマネージャはCentOS 5のアプリケーションメニューから起動できます。
  
  
  
  

• 既存Vine Linux 4へのVNCサーバと仮想フレームバッファの導入
  VNCクライアントからHVMドメイン上のVine Linux 4にXDMCP接続してGUI操作できるように仮想フレームバッファを導入します。
  その詳細手順は「仮想フレームバッファ(Vine Linux 4.0編)」を参照して下さい(手順変更は不要です)。
  
  
• Vine Linux 4のHDDイメージの取り込み
  CentOS 5側にVine Linux 4のHDDイメージを取り込みます。
  ここではそのイメージファイル名をvine40.imgとします。
  
  
  
• Vine Linux 4用HVMドメイン設定ファイルの作成
  Xen付属のxmexample.hvmというサンプルファイルをベースに以下のようにVine Linux 4実行用設定ファイルを作成します。
  
  # cp -a /etc/xen/xmexample.hvm /etc/xen/xmvine40.hvm
  # cd /etc/xen
  # vi xmvine40.hvmで以下のように内容変更します。
  

  (1)memory = 128を256に変更。 (2)name = "ExampleHVMDomain"を"Vine40HVM"に変更。 (3)disk = [ 'file:/var/images/min-el3-i386.img,hda,w', ',hdc:cdrom,r' ]を disk = [ 'file:/boot/vine40.img,hda,w', 'phy:/dev/cdrom,hdc:cdrom,r' ]に変更。 (4)#boot="cda"はそのままにしておきます。 (5)sdl=0を1に変更。 (6)vnc=1を0に変更。 (7)#localtime=1の#を削除。 (8)#keymap='ja'の#を削除。

  
  
• HVMドメインの起動
  # xm create xmvine40.hvm
  ※構成ファイルは/etc/xenから探索されます。
  
  
• Kudzu画面での操作
  HVMドメインではQEMU用の仮想ネットワークカードを使用することになります。
  まず「Welcome to Kudzu」画面が表示されたらEnterキーを押し、次の「Hardware Removed」(ネットワークカードの取り外し)画面では ＜Remove Configuration＞を実行します。
  またネットワークカードの「Hardware Added」については＜Configure TCP/IP＞を実行します。
  
  
• ログインプロンプト
  ブートプロセスのメッセージが流れてテキストログインプロンプトが表示されます。
  テキストログインプロンプトはそのまま放置しておいて構いません。
  
  
• VNCクライアントからの接続
  VNCクライアントのvncviewerを起動します。
  接続先に「vine40share:1」を指定して＜接続＞ボタンで接続します。
  ※vine40shareはVine Linux 4のホスト名です。
  
  
• GDMログイン画面
  VNC接続できるとGDMログイン画面が表示されますので通常通りログインします。
  
  
• デスクトップ操作
  VNCクライアントからHVMドメイン側のGUI操作が行えます(日本語入力も行えます)。
  
  
  
  

• HVMドメイン設定ファイル
  HVMドメイン設定ファイルとして下記の内容をもつ/etc/xen/LiveCDを用意しました。
  
  

  name = "LiveCD" builder = "hvm" memory = "500" disk = [ 'file:/root/mylivecd.img,hda,w', 'phy:/dev/hde,hdc:cdrom,r' ] vif = [ 'type=ioemu, mac=00:16:3e:4c:99:3d, bridge=xenbr0', ] device_model = "/usr/lib64/xen/bin/qemu-dm" kernel = "/usr/lib/xen/boot/hvmloader" vnc=1 vncunused=1 apic=1 acpi=1 pae=1 vcpus=1 serial = "pty" on_reboot = 'restart' on_crash = 'restart'

  
  
• HVMドメインの起動
  # xm create LiveCD boot=d
  仮想マシンマネージャの「LiveCD」エントリに対して＜開く＞を実行すると仮想マシンコンソールで仮想マシンをGUI操作できます。
  
  
• HVMドメインのデスクトップ操作