Xen 3.1.0(Fedora 8上でのWindows 7実行編)

2007年11月8日にXen 3.1.0搭載のFedora 8がリリースされました。
また2009年5月7日にはWindows 7 RC(Ultimate版)が日本でも公開されました。
ここではFedora 8のHVMドメインでそのWindows 7を実行する手順を簡単に紹介します。

尚、今回使用したCPUはCore 2 Duo E6600です。
またここで紹介するホストOS(Fedora 8), HVMドメインOS(Windows 7)共にすべて32ビット版OSです。


１．Fedora 8でのXen環境の構築

Fedora 8でのXen環境の構築については説明を省略します。
尚、本環境ではeth0の代りにeth1を使用しています。

２．仮想マシンマネージャによるWindows 7のインストール

• 仮想マシン作成用ウィザードの起動
  GNOMEのメニューから仮想マシンマネージャを起動してlocalhostのXenに接続します。
  仮想マシンマネージャの＜新規＞ボタンを押して新しい仮想マシンの作成ウィザードを起動します。
  
  
• 仮想マシン名：f8hvmwin7
  ここでの仮想マシン名は「f8hvmwin7」とします。
  (またゲストOSのホスト名もf8hvmwin7とします)
  
  
• 仮想化の方法：完全仮想化
  
  
• インストールメディアの指定
  ISOの場所：/root/win7rc.iso
  /root/win7rc.isoは7100.0.090421-1700_x86fre_client_ja-jp_retail_ultimate-grc1culfrer_ja_dvd.isoと同じものです。
  
  OSタイプ：Windows
  OS種別：Microsoft Windows Vista
  
  
• ストレージ指定
  ゲストOSをインストールするストレージはシンプルファイルとします(10,000MB割り当て)。
  
  
• ネットワーク設定
  ・共有物理デバイスを選択します。
  ・そのデバイスとしてpeth1(Bridge eth1)を選択します。
  
  
  
  
• サマリ情報
  
  
  
  
• Windows 7のインストール
  「インストール準備完了」画面の＜完了＞ボタンを押すと仮想マシンが生成されます。
  やがて「Windows is loading files...」という表示を伴ってWindows 7のインストーラが立ち上がります。
  Windows 7のネーティブインストールと同様にインストールを進めます。
  
  インストール開始時の内部起動コマンドは以下のようになっています(便宜上折り返し表示にしています)。
  

  # ps aux|grep f8hvmwin7 /usr/lib/xen/bin/qemu-dm -d 1 -vcpus 1 -boot d -localtime -serial pty -acpi -usb -usbdevice tablet  -domain-name f8hvmwin7 -net nic,vlan=1,macaddr=00:16:3e:66:13:f7,model=rtl8139  -net tap,vlan=1,bridge=eth1 -vnc 127.0.0.1:0 -vncunused

  
  Windows 7のインストー中の最初の再起動で仮想マシンコンソールは「Guest not running」となります。
  この場合は仮想マシンコンソールで＜実行＞ボタンを押すことでインストール処理が継続されます。
  
  
• インストール完了後のネットワーク設定
  インストール完了後Windows 7のデスクトップが表示されます。
  ネットワークが利用できない場合はネットワーク設定を変更します(例えばスタティックIPアドレス指定に変更)。
  下記は最初のデスクトップで画面解像度は800x600です。
  
  
  
  
• 画面解像度の変更
  画面解像度を800x600から最大の1024x768に変更してみました。
  
  
  
  

• HVMドメイン定義
  Windows 7の表示をSDLで行う以下の内容をもつ/etc/xen/myhvmwin7を作成します。
  

  kernel = "/usr/lib/xen/boot/hvmloader" builder='hvm' memory = 1024 shadow_memory = 8 name = "myhvmwin7" vcpus=1 pae=1 acpi=1 apic=1 vif = [ 'type=ioemu, mac=00:16:3e:66:12:34, bridge=eth1' ] disk = [ 'file:/root/myf8hvmwin7.img,hda,w', 'file:/root/win7rc.iso,hdc:cdrom,r' ] on_poweroff = 'destroy' on_reboot = 'restart' on_crash = 'restart' device_model = '/usr/lib/xen/bin/qemu-dm' sdl=1 vnc=0 serial='pty' soundhw='es1370' localtime=1 keymap='ja'

  
  
• インストールの実行
  以下のコマンドでWindows 7のインストーラを起動してインストールを進めます。
  # xm create myhvmwin7 boot=d
  
  
• HVMドメインでのWindows 7の実行
  以下のコマンドでWindows 7を起動できます。
  # xm create myhvmwin7
  
  
  
  
• Windows 7の表示をVNCで行う方法
  仮想マシンコンソールのようにxm create方式でもWindows 7の表示をVNCで行うことができます。
  但し、この方法ではホスト用マウスポインタとゲスト用マウスポインタが同時に二重表示されて操作しづらくなります。
  しかしVNC接続ではVNC画面を閉じてもVNCで再接続してゲストOSを再表示できるというメリットもあります。
  ※SDL表示ではゲストOSの画面を閉じるとそのHVMドメインが終了しますので再表示はできません。
  
  SDLとVNCを使い分ける場合のHVMドメイン構成定義の違いは以下のようになります。
  
  • SDL使用の場合
    (1)まずSDLパッケージを以下のコマンドでインストールしておく必要があります。
    # yum install SDL
    (2)SDLを利用するHVMドメイン構成定義は以下のようにします。
    

    sdl=1 vnc=0

    
    
  • VNC使用の場合
    (1)まずvncviewerを含むvncパッケージを以下のコマンドでインストールしておく必要があります。
    # yum install vnc
    (2)VNCを利用するHVMドメイン構成定義は以下のようにします。
    

    sdl=0 vnc=1 vncconsole=1 vncpasswd=''

    [補足]
    (a)vncconsole=1はvncviewerの自動表示を意味します。
    (b)vncconsole=1を指定しない場合はvncviewerを手動起動して接続先に「localhost:0」を指定します。
    (c)vncpasswd='パスワード'指定の場合は、vncconsole=1の指定があってもパスワード入力を要求されます。
    
    下記はHVMドメインのWindows 7をVNCで表示した例です(ウィンドウタイトルに「VNC:」が表示されます)。