Virtual Iron(Single Server Edition編)


Virtual IronはVirtual Iron Software社が開発しているXenベースの仮想化ソフト製品群です(データセンタ仮想化ソフト)。
(Virtual Iron 3.0からそのハイパバイザーは独自のものからXen 3.0ベースのものに変更されました)
その製品群の中でVirtual Iron Single Server Edition(VI SSE)は仮想データセンタでのXenサーバ(ノードと言います)を1個に制限した無償ソフトです。
※一方のVI EE(Enterprise Edition)は複数ノードを扱える有償製品です。
VI SSEはx64(64bit)マシンで動作するXenサーバとしてのLinux OSです。
VI SSEではWindows用のVirtual Iron Virtualization Manager(VIVM)という管理ソフトで仮想サーバ(XenのHVMで動作するOS)を構成して起動・制御します。
今回紹介するVI SSEのバージョンは3.6で2007年5月2日にビルドされたものです。

VI SSEの特徴は以下の通りです。
(1)元々Xenを採用していなかったVI SSEはXenベースになってもXenをカプセル化しており表面上はXenという用語が出てきません。
(2)VI SSEはXenの完全仮想化だけをサポートしており、かつx64(64bit)マシンだけで動作します(EM64T/VT対応マシン)。
(3)VI SSEのファイルシステムを構成するディレクトリはその多くがVI SSEブート時に動的に編成されます。
そのため/usr/myxxxというようなディレクトリを作成してもリブートするとそのディレクトリは残っていません。
(4)仮想サーバ(VS:Virtual Server)の仮想ディスクはVI SSEサーバ中の論理ボリューム内のファイルとして格納されます。
(5)VI SSEの仮想サーバを制御するのはWindowsで動作するJavaベースのVirtual Iron Virtualization Manager(VIVM)です。
(6)VI SSEの仮想サーバとしてはLinuxの他にWindows XPやWindows Server 2003もサポートされています。
(7)VI SSEの仮想サーバはVNCインタフェースでVIVMのコンソールから操作できます。
(8)VI SSEにはDSLというLinuxのループファイルシステムイメージが予め組み込まれています。
(9)VI SSE自体にはデスクトップ環境は付属していません。
(10)VI SSE 3.6レベルではXen 3.0.4機能をフル装備していないためWindows VistaやWindows Server 2008等はインストールができないようです。
(11)VI SSEのインストールではパーティションが自動設定されるため既存OSやユーザデータを残したままVI SSEをインストールすることはできません。

ここではVI SSEの使用方法についてCentOS 5の実行手順を例に紹介します。


今回使用したPCのハードウェア構成は以下の通りです。
・CPU:Core 2 Duo E6600
・チップセット:Intel P965
・メモリ:3GB
・VGAカード:nVIDIA GeForce 7600 GT(VRAM 256MB)
・HDD:S-ATA 320GB
・CD-ROM装置:USB接続DVD/CD-ROM(DVD/CDブート対応)



1.VI SSEのインストール




2.VI SSE管理クライアントのインストール

VI SSEにはVirtual Iron Management Suiteという管理クライアントが含まれています。
VI SSE管理クライアントはAdministration ManagerとVirtualization Managerを含んでいます。
WindowsへのVI SSE管理クライアントのインストール手順は以下の通りです。




3.VI SSEへのCentOS 5のインストールと実行

ここではVI SSEへのCentOS 5のインストール方法と実行の流れを例を用いて説明します。




4.VI SSE付属のDSL(Linux)実行例

VI SSEにはDebianベースのDSL(Damn Small Linux)というライブCDイメージファイル(dsl-3.0.1.iso)が付属しています。
仮想サーバのブートオプションでそのイメージファイルを指定してブートするとDSL(50MB Live Bizcard CD)を使用できます。




5.VI SSEへのWindows XPのインストールについて

Windows XP Professional SP2 (x86)は問題なくインストールして利用できます。


尚、Windows XP x64(64bit版)はAPICの問題回避のオプション設定がなくインストール自体ができません。



6.VI SSEへのWindows Vistaのインストールについて

VI SSE 3.6の仮想サーバのOS種別の選択リストの中にMicrosoft Windows XPやWindows Server 2003は存在しますがWindows Vistaはありません。
OS種別としてMicrosoft Windows XP, Windows Server 2003, Other Windowsのどれを選択してもインストーラが異常終了します。
異常終了箇所は「Windows is loading files...」が完了した直後です。
※ブルー画面に「STOP: 0x0000007F」と表示されます。
これはWindows Vista固有のインストールに必要なXenのオプションを利用できないのが要因かも知れません。



7.VI SSEの永続ディレクトリについて

VI SSEは起動のたびに動的にファイルシステムを再構築します。
このため/usr等にファイルを保存してもVI SSE再起動後はそのファイルは見えません。
またブート後は/boot自体(/dev/sda1)も切り離します。

しかしVI SSE再起動後も永続するディレクトリがいくつかあります。
例えば/mnt/mgmt(/dev/sda2のマウント先)直下のnbdディレクトリ等はVI SSE再起動後も永続します。

VI SSEのWindows用VI SSE管理クライアントの「Virtual Iron Administration Manager」ページには<File Management>があります。



このFile Management機能を利用して/mnt/mgmt直下のディレクトリ/ファイルとWindows側でファイルの相互転送が可能となります。
CDブートイメージファイル等もWindows側から/mnt/mgmt/nbdに直接転送できるので結構重宝します。