Vine Linux 3.1でのWindowsアプリケーション実行環境(Wine 0.9)
2005月10月25日にWine 0.9がリリースされました。
その後もマイナーアップグレードが実施されています。
0.9.1:2005.11.9リリース
0.9.2:2005.11.22リリース
0.9.3:2005.12.11リリース
0.9.4:2005.12.22リリース
0.9.5:2006.1.5リリース
WineはWindowsアプリケーションのバイナリをそのままLinux上で実行させるオープンソースソーフトウェアです。
WineはWin32を実装しておりLinux上にWindows(OS)をインストールする必要はありません。
※当初のWineではWin32の実装レベルが低く、Windows 9xとのマルチブート環境でWindows 9x(OS)のファイルを使用する形態でした。
今回はVine Linux 3.1上にWine 0.9を導入してWineの仕上がり度を味わってみました。
※日本語版ノーツが利用できることは評価できますが日本語入力の問題は依然として解決していません。
1.Wine本体の導入
WineのサイトにはWineの最新ソース(wine-0.9.x-tar.bz2)とディストリビューション別バイナリパッケージが公開されています。
バイナリパッケージではRedHat 9用のwine-0.9.2-1rh9winehq.i686.rpmがVine Linux 3.1で利用できます。
ソースからのインストールは以下のように行います。
# apt-get update
# apt-get install flex bison freetype-devel
# tar jxf wine-0.9.5-tar.bz2
# cd wine-0.9.5
# ./configure
# make depend
# make
# make install
# /etc/ld.so.confへの/usr/local/libの追加
# ldconfig -v
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wine-0.9.2-1rh9winehq.i686.rpmを使用したバイナリパッケージからのインストールは以下のように行います。
# apt-get update
# apt-get install glut openldap sane
# rpm -ivh wine-0.9.2-1rh9winehq.i686.rpm
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Wine本体を導入した後はWine環境設定を行います。
2.Wine環境設定ツール
Wineを動作させるためにはユーザのホームディレクトリに~/.wineディレクトリを用意する必要があります。
また~/.wineには以下のようなディレクトリも必要になります。
dosdevices
drive_c/Program Files
drive_c/windows
Wine環境設定ツールは上記のようなディレクトリを自動生成し、必要なファイルを自動的に格納するツールです。
主なWine環境設定ツールとしては次の2種類あります。
(1)winecfg:Wine本体に付属している環境設定専用ツールです。
(2)WineTools:Wine本体とは別に公開されている環境設定&ソフトウェア自動インストールツールです。
- winecfg
winecfgはrootユーザでも使用できる環境設定ツールです。
winecfgコマンドを実行すると以下の画面が出てきますので必要な設定を行って<OK>ボタンを押すとWine環境(~/.wine)が自動設定されます。
Wine環境のカスタマイズも本ツールで行えます。
WineではアプリケーションごとにどのWindowsバージョン環境で実行させるかの指定が行えます。
その指定はwinecfgの「アプリケーション」タブで行えます。
- WineTools
- WineToolsのインストール
WineToolsのサイトからwinetools-0.9-3jo.i386.rpmとXdialog-2.0.5-1.i386.rpmをダウンロードして次のようにインストールします。
# apt-get update
# apt-get install gettext
# rpm -ivh Xdialog-2.0.5-1.i386.rpm
# rpm -ivh winetools-0.9-3jo.i386.rpm
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- WineToolsの利用
WineToolsはroot以外の一般ユーザで利用できます。
winetoolsコマンドでWineToolsを起動してウィザードに沿った操作だけで必要なファイルが自動ダウンロードされてインストールされます。
またInternet Explorer 6.0 SP1日本語版のインストールまでも一気に行うことができます。
- WinwToolsでインストールしたInternet Explorer 6.0 SP1日本語版の利用
3.Wine付属のメモ帳
Wine付属のメモ帳は「notepad &」でそのまま起動できます。
[編集]−[フォント]でKochi Minchoを選択しておくと日本語入力・表示が行えます。
但し、フォントの設定は引き継がれないためメモ帳起動のたびに設定し直す必要があり若干不便です。
またCanna + kinput2による日本語入力はできますがインライン日本語入力とはならないため違和感は否めません。
4.Microsoft Office 2000
- Microsoft Office 2000のインストール
Microsoft Office 2000のCD-ROMをセットし、nautilusからそのsetup.exeを起動します。
Wine環境で起動されたMicrosoft Office 2000インストーラは文字化けしますがインストールを続行させます。
Vine Linux 3.1上のWineの場合Microsoft Office 2000のインストーラが途中でハングアップし強制終了させました。
- Excel利用
Microsoft Office 2000のインストールが不完全のためか利用できるExcel機能にも制限が生じ、VBAマクロのテストまでには至らず。
5.Netscape 7.1
- Netscape Communicator 4.7
Netscape Comminicator 4.7のインストーラを起動して標準セットアップしてみました。
NetscapeのComminicator 4.7の表示フォントをKochi Minchoにすると日本語Webサイトの表示で固まってしまいます。
そこでwinecfgでNetscapeのComminicator 4.7のnetscape.exeをWindows Meモードにするとそのフリーズ回避ができました。
日本語のインライン入力も可能です。
- Netscape 7.1
Vine Linux 3.1にWindows版Netscape 7.1とLinux版Netscape 7.1の両方をインストールしてみました。
下の画面は手前からWindows版Netscape 7.1(Wine環境)、Linux版Netscape 7.1、Vine Linux 3.1付属のMozillaです。
6.ノーツ R5/ドミノデザイナR5(5.0.9 April 1999版)
Wineのソースから導入したWine 0.9.5環境にノーツ R5(デザイナー込み)をインストールしてみました。
notes.exeをWindows MeモードにするとノーツのWelcome画面が表示されます。
しかしその後のノーツ操作は全くできない状態となりました。
そこでRedHat 9用のwine-0.9.2-1rh9winehq.i686.rpmでWine 0.9.2をクリーンインストールしました。
winecfgも実行し直してノーツ R5(デザイナー込み)をインストールしてみました。
Wine 0.9.2環境でのノーツ R5ではCanna + kinput2での日本語直接入力ができません(日本語入力モードに切り替えた途端にデスクトップ暴走発生)。
ノーツ R5への日本語入力はWine付属のメモ帳から行うようにしましたが実用には耐えません。
日本語直接入力を除いてノーツ R5の操作は一応できます。
※Lotus Scriptは一部動作不可、文書に埋め込んだJavaアプレットの動作は可。
※ポッポアップテキストの作成は可。
- ノーツ R5(Wine 0.9.2環境)
- デザイナ R5(Wine 0.9.2環境)
ノーツ R5の操作中のノーツ R5のウィンドウがたまに消えてしまうこともありました。
7.ノーツ R5(5.0.1b 13 October 1999版)
Wine 0.9.2環境にノーツ R5クライアント単体版をインストールして利用してみました。
- インストール
- インストール後のクライアント設定
- データベースを開く
- データベースの作成
- E-Mailの利用
- レプリケータによるメールの受信
- 受信メールの閲覧
メールの送信も行えます。
8.Acrobat Reader 5.0.5日本語版
AdobeのサイトよりWindows 98用ar505jpn.exeを取得してインストールして利用してみました。
9.CrossOver Office 5環境のWineでの利用
Wine 0.9の商用版であるCrossOver Office 5環境はWine 0.9でも使用できます。
- CrossOver OfficeとWineの混在環境
ここでのデスクトップはADE(Aurora Desktop Environment)を使用しています。
- CrossOver Office 5環境にインストールしたMicrosoft Office 2000の利用(その1)
実寸画像はこちらです。
- CrossOver Office 5環境にインストールしたMicrosoft Office 2000の利用(その2)
実寸画像はこちらです。