Red Hat Professional Workstation
従来Red Hat社は「Red Hat Linux」ファミリと「Red Hat Enterprise Linux」ファミリの2系列のディストリビューションを提供してきました。
従来のコンシューマ向け「Red Hat Linux」系ディストリビューション(この系列の最終バージョンはRed Hat Linux 9)は、Red Hat社がスポンサとなるコミュニティ「Fedoraプロジェクト」にその開発が移されました。
Red Hat社による「Red Hat Linux」ファミリは今後製品としては出荷されず、Red Hat社によるLinux製品は企業向けの「Red Hat Enterprise Linux」ファミリに一本化されます。
「Red Hat Enterprise Linux」ファミリには次の3種類の製品があります。
・Red Hat Enterprise Linux AS(Advanced Server:ハイエンド&ミッションクリティカル向けのサーバOS)
・Red Hat Enterprise Linux ES(中・小規模システム向けのサーバOS)
・Red Hat Enterprise Linux WS(Workstation:AS/ESのデスクトップ&クライアント向けOS)
2003年11月時点の「Red Hat Enterprise Linux」ファミリの最新バージョンはVersion 3(日本での出荷は2003年11月末)で使用カーネルは2.4.21ですが、Kernel 2.6の機能も数多く取り込まれているようです。
またバージョン3でのデスクトップGUIはBluecurveに統一されています。
Red Hat Professional WorkstationというのはRed Hat Enterprise Linux WS Ver 3.0をベースした簡略版サポートサービス付きの製品です。
Red Hat Professional Workstationは2003年10月31日にリリースされました。
Red Hat Professional Workstationのソフトウェア構成はRed Hat Enterprise Linux WS Ver 3.0と同等であり、Red Hat Professional Workstation本体のどこにもRed Hat Professional Workstationなるキーワードは出てきません。
(実際、「Red Hat Professional Workstation 」のインストールCDのラベルには「RED HAT ENTERPRISE LINUX WS version 3」と記載されています:インストールCDは4枚)
ここではデスクトップ環境を中心にRed Hat Professional Workstation(ソフトウェア構成としてはRed Hat Enterprise Linux WS 3.0)の環境をちょっぴりみてみましょう。
(1)Red Hat Professional Workstationのインストール
インストールの流れは以下のようになります。
基本的にRed Hat Linux 9と同じ部分は説明を省略しています。
- インストールCD#1からのブート
インストールCD#1をセットしてマシンをブートすると以下の画面が表示されます。
グラフィカルモードでインストールを行う場合はそのままEnterキーを押します。
実寸画像はこちらです。
- GUIインストーラの開始
ブートメッセージが表示された後にanacondaが開始されます。
anacondaの開始後、ビデオカード・モニタータイプ等が自動検出されてXが内部起動しGUIモードのインストール画面になります。
- Language Selection
インストール時に使用される言語のデフォルトはEnglishになっていますのでJapanese(日本語)を選択します。
- キーボード設定
- マウス設定
- ディスクパーティションの設定
Disk Druidを使用したパーティション編集画面において不良ブロックのチェックオプションが見当たりませんでした。
- ブートローダの設定
ブートローダをインストールしないオプションもあります。
- ネットワークの設定
- ファイアウォール設定
「Red Hat Linux 9」では「高」「中」「ファイアウォールなし」の3種類の選択肢がありましたがRed Hat Professional Workstationでは「ファイアウォールなし」「ファイアウォールを有効にする」の2種類になっています。
- 追加の言語サポート
- タイムゾーンの選択
- Rootパスワードを設定
- パッケージインストールのデフォルト
デフォルトのインストール環境での主なパッケージが表示されます。
インストールパッケージをデフォルト以外にする場合には「インストールするパッケージセットをカスタマイズ」オプションを選択します。
- パッケージグループの選択
- インストール準備完了
- ファイルシステムのフォーマット
- パッケージインストールの開始
- インストールメディア(CD)の交換
- 再度インストールCD#1のセット
anaconda-productパッケージが最後にインストールされます。
- ブートディスクの作成プロセスはありません
Red Hat Professional Workstationではインストール時にブートディスクを作成することはできません。
- グラフィカルインタフェース(X)の設定
- モニターの設定
- Xのカスタム設定(グラフィカル設定のカスタマイズ)
- インストールの完了
- インストール後の最初の起動
インストールが完了すると<終了>ボタンでリブートします。
- GRUB画面
GRUBの画面には「Red Hat Enterprise Linux WS (2.4.21-4.EL)」と表示されます。
- システム起動時のメッセージ表示
- ライセンス契約
- 日付と時刻の設定
- ユーザアカウントの設定
- Red Hat ネットワークへのシステム登録
Red Hat ネットワークへのシステム登録はウィザードで簡単に行えます。
- Red Hat更新エージェントによるユーザ名/パスワード登録
Red Hat更新エージェント(up2date)用のユーザ名/パスワードをここで登録します。
尚、Red Hat Professional Workstationのサポート登録はhttp://www.jp.redhat.com/support/RHPW/から行います。
更にRed Hatネットワークのアクティベーションはhttps://rhn.redhat.comから行います。
- 追加のCD
追加用のCDとしては「ドキュメントCD」と「エキストラCD」(Java関連パッケージ)があります。
- セットアップを終了
- グラフィカルログイン
- GNOMEスプラッシュ画面
- GNOMEデスクトップ画面表示
実寸画像はこちらです。
- KDEデスクトップ画面表示
- シャットダウン画面
(2)パッケージ一覧
Red Hat Professional Workstationのインストール直後に確認したパッケージ一覧はこちらです。
(3)up2dateによる全パッケージの更新
Red Hat Professional Workstation付属のカーネルは2.4.21-4.ELです。
up2dateで全パッケージを更新するとカーネルも更新されます。
新しいカーネルを使用するにはマシンの再起動が必要となります。
再起動後の標準カーネルは2.4.21-4.0.1.ELとなります(新しいGRUB)。
(4)SambaによるWindows連携
従来通りRed Hat Professional WorkstationでもSambaを利用してWindowsとのファイル共有が簡単に行えます。
(5)Webサーバの利用
Red Hat Professional Workstationにはhttpd-2.0.46パッケージが付属しています。
実寸画像はこちらです。