Compiz Fusion(Fedora 9編)


2008年5月13日にFedora 9がリリースされました。
Fedora 9でもFedora 8同様にCompiz Fusionという3Dデスクトップ環境を簡単に使用できるようになっています。
Fedora 9の初期版にはCompiz Fusion 0.7.2が付属していますがそれを0.7.6にアップグレードすることでキューブ形状を球体にも変形できます。
下のサンプル画面はCube 3D Modelsプラグインを使用して球体の奥でイルカをアニメート表示した様子です。




ここではFedora 9のGNOME環境でCompiz Fusionを体験する手順を紹介します。

尚、今回使用したVGAカードはnVIDIA GeForce 7600GTです。


  1. Fedora 9のインストール
    Fedora 9はデフォルトインストールとします(つまりインストール時のパッケージ取捨選択はなしです)。
    デフォルトインストールでも以下のパッケージがインストールされます。
    ・compiz-gnome-0.7.2-3.fc9
    ・compiz-0.7.2-3.fc9

  2. NVIDIAカーネルドライバの組み込み
    NVIDIAカーネルドライバはNVIDIAのサイトからNVIDIA-Linux-x86-vvv.pkg1.runをダウンロードして組み込みます(vvv部分はバージョン番号)。
    コンソールで以下のコマンドを実行してインストールを行います(カーネルモジュールとしてコンパイルしてnvidia.koを作成)。
    ※デスクトップからCtrl+Alt+F1でコンソール画面に切り換えて、「init 3」コマンドでランレベル3にします。

    # sh NVIDIA-Linux-x86-vvv.pkg1.run

    インストーラ起動後は画面の指示に従います。
    このインストールでnvidia.koというカーネルモジュールが生成されます。
    インストールの最後の部分で「nvidia-xconfig」ユーティリティの実行を尋ねられますので<Yes>を応答します。
    これによって/etc/X11/xorg.confのDeviceセクションの「Driver "nv"」が「Driver "nvidia"」に自動変更されます。
    NVIDIA-Linux-x86-vvv.pkg1.runのバージョンによってはModuleセクションに「Load "glx"」が自動追加されますがこれは手動削除しておきます。

  3. Compiz関連パッケージの追加
    種々のデスクトップ効果を体験できるように以下のようにしてパッケージを追加します。

    # yum remove compiz-gnome compiz
    # yum install compiz-fusion compiz-fusion-gnome
    # yum install compiz-fusion-extras
    # yum install compiz-manager
    # yum install ccsm fusion-icon emerald emerald-themes
    # yum install compiz-devel
    # yum install compiz-bcop
    # yum install git
    ここで一旦再ログインします。

  4. Compiz Fusionの有効化
    [アプリケーション]メニューの[システムツール]にある[Compiz Fusion Icon]を起動するとCompiz Fusionが有効となります。
    最初はEmeraldのデフォルトテーマ表示となります。




  5. Snowプラグインの追加
    エクストラカテゴリにSnowプラグインを追加する手順は以下の通りです。
    (1)http://gitweb.opencompositing.org/から2008年2月10日版のsnapshot(tar.gz形式ファイル)を取得して展開します。
    gitで常に最新版をもってくるとコンパイルエラーとなることありますのでCompizビルド日に近い時期のsnapshotを選択して取得します。
    (2)以下のようにしてコンパイルします。
    # cd snow
    # make
    # make install
    (3)CompizConfig 設定マネージャ(CCSM)を起動してエクストラカテゴリのSnowプラグインを有効にします。
    (4)Superキー(Windowsキー)+F3キーを押します(Snow効果のon/offの切り替えができます)。
    (5)画面に雪が降ります。



    (6)Superキー(Windowsキー)+F3キーを押すと雪が消えます。

  6. Cube 3D Modelsプラグインの追加
    エフェクトカテゴリにCube 3D Modelsプラグインを追加する手順は以下の通りです。
    (1)http://gitweb.opencompositing.org/から2008年8月23日版のsnapshot(tar.gz形式ファイル)を取得して展開します。
    (2)以下のようにしてコンパイルします。
    # cd cubemode
    # make
    # make install
    (3)CompizConfig 設定マネージャ(CCSM)を起動してエフェクトカテゴリのCube 3D Modelsプラグインを有効にします。
    (4)Cube 3D Modelsプラグイン付属の雪だるまの表示設定;
    Cube 3D ModelsプラグインにはサンプルモデルとしてBlenderで生成された雪だるまが含まれています。
    Cube 3D Modelsプラグインでその雪だるまモデルを追加してその設定を以下のようにします。

    Model:/root/cubemodel/sample/snowman.obj
    Scale factor:0.01
    X:0.2
    Y:0.5
    Z:-0.7
    Rotaion plane:XY
    Rotation rate:1 ※比較的ゆっくり雪だるまが横方向に回転させる設定です。
    Model type:Still
    Frame per second:0

    上記設定後にキューブ表示するとキューブの中で雪だるまが横方向に回転します。



  7. ウィンドウのグループ化とタブ化
    「ウィンドウのグループ化とタブ化」自体はCompiz Fusionとしての初期バージョン(0.5.2)からがサポートされています。
    ここではグループ化されたウィンドウにFreely Transformable Windowsプラグインを適用するとどうなるかを紹介します。


  8. Compiz Fusion 0.7.9へのアップグレードとプラグインの再追加
    Compiz Fusion 0.7.9ではマウスジェスチャによるデスクトップ(ワークスペース)切り替えがスムーズに行えます。
    またデスクトップへの手書き注釈も簡単に描けるようになっています。

    Compiz Fusion 0.7.9へのアップグレードは以下のように行います。
    # wget http://www.linux-ati-drivers.homecall.co.uk/compiz-fusion-release-1-6.noarch.rpm
    # rpm -Uvh compiz-fusion-release-1-6.noarch.rpm
    # yum remove compiz*
    # mv ~/.gconf/apps/compiz ~/.gconf/apps/compiz.old
    # mv ~/.config/compiz ~/.config/compiz.old
    # yum install compiz-gnome fusion-icon-gtk compiz-fusion-plugins-unsupported compiz-fusion-plugins-extra compiz-bcop ccsm emerald-themes compizconfig-backend-gconf
    # yum install compiz-devel

    (1)Snowプラグインの追加
    Snowプラグインはhttp://gitweb.opencompositing.org/から2008年9月1日版のsnapshot(tar.gz形式ファイル)を取得して展開・ビルドします。

    (2)Freely Transformable Windowsプラグインの追加
    # git clone git://anongit.compiz-fusion.org/users/warlock/freewins
    # cd freewins
    # make
    # make install

    (3)Cube 3D Modelsプラグインの追加
    # git clone git://anongit.compiz-fusion.org/users/metastability/cubemodel
    # cd cubemodel
    # make
    # make install
    Compiz Fusion 0.7.9ではcompiz-develにおけるScale factorの扱い方法が変更されたようです。
    具体的には雪だるまモデルのScale factorは0.01では表示されず、0.3位の指定が必要となります。

    Cube 3D Modelsプラグインを応用するとデスクトップキューブの中で任意の画像を六面体化して回転表示できます。
    下記は本オープンギャラリーのOS博物館ロゴ画像を六面体化して回転表示させている様子です。




  9. Fedora 10 Preview版でのCompiz Fusion
    2008年11月4日にFedora 10 Preview版(Fedora 9.93)がリリースされました。
    パッケージをほぼフルインストールした状態でもそのOS起動がかなり速くなりました。

    Fedora 10 Preview版には/etc/X11/xorg.confが存在しません。
    NVIDIAカーネルドライバ導入に際してそれが不安な場合は「echo "#" > /etc/X11/xorg.conf」でダミーのxorg.confを作成しておきます。
    ランレベル3でのNVIDIAカーネルドライバ導入で完全な/etc/X11/xorg.confが自動生成されます。
    Fedora 10 Preview版にはCompiz Fusion 0.7.6が付属しています。
    Compiz Fusion自体のインストール手順はFedora 9の場合と同じです(yum remove compiz-gnome compizは不要)。