Compiz Fusion(Fedora 8編)
2007年11月8日にFedora 8がリリースされました。
Fedora 8ではCompiz Fusionという3Dデスクトップ環境を簡単に使用できるようになっています。
Compiz FusionというのはCompizウィンドウマネジャにCompizプラグインとEmeraldテーマを統合させたものです。
Compiz Fusionによる各種デスクトップ効果(3D, 半透明, 反射, ウィンドウ装飾等)はちょっとした気分転換に役立ちそうです。
また下のサンプルキューブ画面のような幻想的な半透明キューブは目の保養になるかも知れません。
(キューブ部分の拡大図は後述)
ここではFedora 8のGNOME環境でCompiz Fusionを体験する手順を紹介します。
尚、今回使用したVGAカードはnVIDIA GeForce 7600GTです。
PC本体も3Dっぽく、かつ幻想的にしたい場合はGIGABYTEの「3D Aurora」シリーズのPCケースなどが適していると思います。
- Fedora 8のインストール
Fedora 8はデフォルトインストールとします(つまりインストール時のパッケージ取捨選択はなしです)。
デフォルトインストールでも以下のパッケージがインストールされます。
・compiz-gnome-0.6.2-3.fc8
・compiz-0.6.2-3.fc8
- NVIDIAカーネルドライバの組み込み
NVIDIAカーネルドライバはNVIDIAのサイトからNVIDIA-Linux-x86-169.07-pkg1.run(2007年12月での最新版)をダウンロードして組み込みます。
コンソールで以下のコマンドを実行してインストールを行います(カーネルモジュールとしてコンパイルしてnvidia.koを作成)。
※デスクトップからCtrl+Alt+F1でコンソール画面に切り換えて、「init 3」コマンドでランレベル3にします。
# sh NVIDIA-Linux-x86-169.07-pkg1.run
インストーラ起動後は画面の指示に従います。
このインストールで/lib/modules/2.6.23.1-42.fc8/kernel/drivers/video/nvidia.koというカーネルモジュールが生成されます。
インストールの最後の部分で「nvidia-xconfig」ユーティリティの実行を尋ねられますので<Yes>を応答します。
これによって/etc/X11/xorg.confのDeviceセクションの「Driver "nv"」が「Driver "nvidia"」に自動変更されます。
また、Moduleセクションに「Load "glx"」が自動追加されますがこれは後で手動削除します。
リブート後のX起動時にはnVIDIAの立体ロゴが表示されるようになります。
- /etc/X11/xorg.confの編集
Compiz Fusion向けに/etc/X11/xorg.confを以下のように編集します。
(1)Moduleセクションから「Load "glx"」の指定を削除(本指定があるとウィンドウ枠が表示されなくなり、ウィンドウ移動ができません)。
(2)下記のセクションを追加。
Section "ServerFlags"
Option "AIGLX" "on"
EndSection
Section "Extensions"
Option "Composite" "Enable"
EndSection
|
編集後、再起動します(編集後のxorg.conf例)。
- デスクトップ効果の基本動作確認
[システム]メニューの[設定]-[ルック&フィール]-[デスクトップ効果]で<デスクトップ効果を有効にする>をクリックします。
<移動時にウィンドウを揺らす>及び<キューブ上のワークスペース>のオプションを有効にします。
これでウィンドウ移動時にウィンドウが揺れます。
またCtrl+Alt+マウス左ボタンでデスクトップのキューブ表示ができるようになります。
基本確認終了後、[システム]-[設定]-[ルック&フィール]-[デスクトップ効果]で<デスクトップ効果を有効にする>を再度クリックすることで無効にします。
- Compiz関連パッケージの追加
種々のデスクトップ効果を体験できるように以下のようにしてパッケージを追加します。
# yum install libcompizconfig ※ インストールDVDを使用して「rpm -ivh libcompizconfig-0.6.0-3.fc8.i386.rpm」を実行しても構いません。
# yum install compiz-manager ※ インストールDVDを使用して「rpm -ivh lcompiz-manager-0.6.0-3.fc8.noarch.rpm」を実行しても構いません。
この時点で「compiz-manager &」(またはcompiz-manager --replace &)でCompizウィンドウマネジャを起動できます。
Compizプラグイン関連パッケージを次のようにインストールします。
# yum install ccsm ※ これはCCSM(CompizConfig Settings Manager)のインストールです。
ccsmをインストールすると[システム]メニューの[設定]-[ルック&フィール]に[CompizConfig Settings Manager]が自動追加されます。
そのCCSMで、Desktopカテゴリの[キューブの回転]でズームの値を0から1に変更するとキューブを小さく表示できます。
# yum install compiz-fusion
※compiz-fusionをインストールするとCCSMのEffectsカテゴリに[アニメーション]も追加されます。
# yum install compiz-fusion-extras
※CCSMのEffectsカテゴリに[キューブの反射], [キューブギア], [モーションブラー]等の拡張プラグインが追加されます。
# yum install compiz-fusion-gnome
# yum install compiz-fusion-extras-gnome
# yum install fusion-icon
これによって[アプリケーション]メニューの[システムツール]に[Compiz Fusion Icon]が自動追加されます。
[Compiz Fusion Icon]を起動すると「compiz-manager」コマンドをキー入力しなくてもCompizウィンドウマネジャが使用できるようになります。
と同時にGNOMEパネルに青いCompiz Fusionアイコンが追加されウィンドウマネジャの切り替え操作もそのアイコンからできるようになります。
- アプリケーション切り替え操作
CCSMのWindow Managementカテゴリの[Shift Switcher]を有効にし、かつSwitcher modeをCover(デフォルト)にしておきます。
この設定でSuperキー(Windowsキー)+Tabを利用するとウィンドウ群がカバーフロー表示になります。
尚、CCSMのImage Loadingカテゴリの[Text]を有効にしておくと中央のウィンドウタイトル名が画面下に表示されます。
- Windowsキーの認識問題
マシン環境によってはキーボードのWindowsキーがCompiz Fusion環境で認識されない場合があります。
その場合はWindowsキーが壊れていると早合点せずに[Shift Switcher]のActionsのキーバインド欄でSuperキーの代替キー(例:Ctrl)を指定します。
- Emraldの導入
Emeraldはウィンドウ装飾を行うソフトウェアで豊富なテーマが利用できます。
まずはEmeraldと標準テーマを次のコマンドでインストールします。
# yum install emerald emerald-themes
これによって[システム]メニューの[設定]に[Emerald Theme Manager]が追加されます。
またテーマは/usr/share/emerald/themesに格納されます。
- Emeraldの起動
Emeraldを以下のコマンドで起動するとデフォルトのウィンドウ装飾となります。
# emerald --replace &
尚、Emeraldをインストールした状態でCompiz Fusion Iconを起動するとEmeraldも自動起動されます。
- Emeraldの非GPLテーマの追加
[システム]メニューの[設定]にある[Emerald Theme Manager]を起動します。
その「Emerald Theme Manager]」の画面にはEmeraldの非GPLテーマの追加方法が記載されています。
※非GPLのため利用範囲は限定されますのであくまでも自己責任での個人利用となります。
具体的には以下のようにします。
(1)まず一般ユーザで次のコマンドを実行します(root以外の一般ユーザでも使用できるように)。
$ svn ls https://svn.generation.no/emerald-themes
サーバ証明書の手動認証確認「拒否しますか (R)、一時的に承認しますか (t)、常に承認しますか (p)? 」に対してpを応答します。
(2)rootユーザになって、「Emerald Theme Manager」画面で[テーマの設定]-「リポジトリ」タブの<Fetch non GPL'd Themes>をクリックします。
※ついでに<Fetch GPL'd Themes>も押してみて下さい。
非GPLのEmeraldテーマ配布サイトから「Vista」、「WinXP」等のテーマがインストールされます。
※場合によってはテーマをインストールできないケースもあります(Emeraldのバージョン依存)。
下記はWinXPテーマ選択時の様子です。
Mac OS Xライクなテーマもあります。
- 個別のテーマ追加
ここではBeryl Emeraldテーマの「Vista_glow」の変更版である「Vista Glow Emerald Green」(<閉じる>ボタン色がグリーン系)のインストール例を紹介します。
(1)http://www.kde-look.org/content/show.php/Vista+Glow+Emerald+Green?content=70602から以下のファイルをダウンロードします。
・70602-vista_glow_emerald_green.tar.gz ※ダウンロード先は/tmpとします。
(2)rootユーザで以下のコマンド操作を行います。
# cd /usr/share/emerald/themes
# tar zxvf /tmp/70602-vista_glow_emerald_green.tar.gz
これによって/usr/share/emerald/themes/vista_glow_emerald_greenディレクトリが生成されます。
そのvista_glow_emerald_green自体がテーマ名(初期テーマ名)となります。
- サンプルキューブ画面の補足説明
下記は先頭画像のキューブ部分の拡大図です。
[補足事項(CCSMでの主な設定内容)]
(1)Desktopカテゴリのキューブ回転のズーム値は1にしています(デフォルトは0で最大値は2)。
(2)Desktopカテゴリのデスクトップキューブの回転キューブの不透明度は48にしています。
尚、キューブ化していないデスクトップの不透明度は100にしています。
(100未満にすると通常のデスクトップに半透明キューブの奥行きが見えてウィンドウの視認性が低下するため)。
(3)キューブの上面画像はCompiz Fusionロゴを使用させて戴きました。
※Compiz Fusionロゴの所在:http://ja.wikipedia.org/wiki/Compiz_Fusion
(4)キューブの底面画像はhttp://compiz-themes.orgのCubecapsにあるNvidia Blackという画像を使用させて戴きました。
※Nvidia Blackの所在:http://compiz-themes.org/content/show.php/Nvidia+Black?content=71776
(5)キューブのSkydoom画像はhttp://compiz-themes.orgのWallpapersにある「Green explosion」という壁紙を使用させて戴きました。
※Green explosion壁紙の所在:http://compiz-themes.org/content/show.php/Green+Swirl?content=68197
このSkydoom画像についてはアニメーション化するオプションを指定して、より一層幻想的イメージにしています。
(6)Effectsカテゴリのキューブの反射での反射モードは「飛び跳ねる」を指定しています。
- キューブギアの利用
Effectsカテゴリの[キューブギア]を有効にするとglxgearsと同様の歯車群がキューブの中で自動回転します。
- キューブ上のVMware Server
Fedora 8にVMware Server 1.0.4+Patchを導入し、Windows XP x64をインストール&実行させてみました。
※VMware Serverを設定(vmware-configure.pl)するには事前にxinetdのインストール・起動が必要となります。
更にVMware ServerでWindows 95を実行した状態でのキューブ表示も行ってみました。
PhotoShop 3.0Jで表示している画像はMicrosoft Plus!付属の画像です。