iPhone画面のワイヤレスディスプレイへのMiracast表示

ここではiPhoneの画面をMiracastを応用してMicrosoft ワイヤレスディスプレイアダプター(P3Q-00009)に表示する方法を紹介致します。
Miracastは簡単に言うと「1対1のWi-Fiダイレクトを利用してデバイスに画面伝送を行う技術」です。
画面データを受け取る側のデバイスを「Miracastレシーバ」と言います。
Windows 10/11ではMiracast機能が標準装備されていて、PC画面をMiracastレシーバに伝送したり、そのPC自体をMiracastレシーバとして機能させることもできます(正確には、PCの「ワイヤレスディスプレイ」アプリのウィンドウに画面伝送)。
Miracastレシーバ機能を備えたTVもあるかと思いますが、通常のTVやプロジェクタにMiracastレシーバをHDMI接続すればPC画面をTVやプロジェクタに表示させることが可能となります。

iPhoneはWi-Fiダイレクトには対応していますが、Miracastでの画面伝送は未サポートです。
iPhoneのWi-Fiダイレクト機能を使うシーンとしてはコンビニのマルチコピー機接続等が代表的な例かと思います。
iPhoneの画面をWi-Fiダイレクトを使用してTV表示させる方法としては、Wi-Fiダイレクトを有効にできるTVのSSID/パスワードでWi-Fi接続してから「iMediaShare」アプリを使用する方法があるようですが、それはMiracastでの画面伝送とは異なります。
(iPhoneのWi-Fi Direct接続先としてMicrosoft ワイヤレスディスプレイアダプター用のSSIDがiPhone側の「Wi-Fi」画面に表示されませんので今回はiMediaShareを使用できません)
では、どのようにしてMiracast未対応のiPhoneの画面をMicrosoft ワイヤレスディスプレイアダプターに表示させればいいのでしょうか?
その答えは簡単で、例えば次の2ステップで実現できます。
ステップ1:Miracastを有効化したAndroidスマホからMicrosoft ワイヤレスディスプレイアダプターに画面伝送
ステップ2:iPhoneからそのAndroidスマホへの画面ミラーリング(今回はApowerMirrorを使用)
この結果としてiPhone,Androidスマホ,Microsoft ワイヤレスディスプレイアダプターのすべてが同じ画面となります。

以下に、上記の詳細をご紹介致します。

  1. 使用機器

  2. iPhone画面のMicrosoft ワイヤレスディスプレイアダプターへの画面伝送
    MiracastレシーバとしてのELECOM LDT-MRC03はAirPlayをサポートしており、iPhoneのコントロールセンターの画面ミラーリングからiPhone画面をELECOM LDT-MRC03側のモニターに直接表示できます(表示例)。
    それと同等のことをAirPlay未サポートのMicrosoft ワイヤレスディスプレイアダプターで実現してみます。

  3. AndroidスマホからWindows 11の「ワイヤレスディスプレイ」ウインドウへの画面伝送
    Windows 11の「ワイヤレスディスプレイ」アプリはMicrosoft ワイヤレスディスプレイアダプター相当の機能を実現するアプリです。
    両者の大きな違いの一つは、今回使用しているMicrosoft ワイヤレスディスプレイアダプター(P3Q-00009)はHDCP対応ですが「ワイヤレスディスプレイ」アプリはHDCP未対応でPrime Video動画については映像は表示されないという点です。

  4. iPhone画面のWindows 11「ワイヤレスディスプレイ」アプリへの画面伝送
    これもMicrosoft ワイヤレスディスプレイアダプター使用の場合と同様に次の2ステップで実現できます。
    ステップ1:Miracastを有効化したAndroidスマホから「ワイヤレスディスプレイ」アプリに画面伝送
    ステップ2:iPhoneからそのAndroidスマホへの画面ミラーリング(ApowerMirrorを使用)
    下記は「ワイヤレスディスプレイ」アプリへ伝送されたiPhone画面例です。


  5. 補足1:デスクトップPC画面のMicrosoft ワイヤレスディスプレイアダプターへの間接伝送
    Windows 11のデスクトップPCに無線LANアダプタを接続するとWindows 11のMiracast機能(Windows+Kキーによるキャスト)を使用してPC画面をMicrosoft ワイヤレスディスプレイアダプターに直接伝送できます。
    しかし、デスクトップPCとMicrosoft ワイヤレスディスプレイアダプターとの距離が離れすぎていてWi-Fiダイレクト接続が困難等の事情によってその直接伝送ができない場合もあります。
    そのような直接伝送ができない場合の代替え策としての間接的な画面伝送(間接伝送)の例をここでは紹介致します。
    デスクトップPC画面をMicrosoft ワイヤレスディスプレイアダプターへの間接伝送は次の2ステップで実現できます。
    ステップ1:Miracastを有効化したAndroidスマホからMicrosoft ワイヤレスディスプレイアダプターに画面伝送
    ステップ2:PCからそのAndroidスマホへの画面ミラーリング(ApowerMirrorを使用)
    各ステップについて以下に説明します。

  6. 補足2:AndroidスマホのAirPlayデバイス化
    本題のiPhone画面のワイヤレスディスプレイへのMiracast表示操作のステップ2(iPhoneからAndroidスマホへの画面ミラーリング)についてはApowerMirrorを使用する方法を説明致しました。
    ApowerMirrorを使用する場合はミラーリング先のデバイスにおけるApowerMirrorは有料版でログインしておかないと試用版扱いで10分間という使用制限があります。
    そこでiPhoneからAndroidスマホへの画面ミラーリングをAirPlayで実現すればAndroidスマホへのAirReceiverの導入だけで済みます(AirReceiverはApowerMirrorよりも低価格)。

  7. その他

  8. 応用:Miracast未対応AndroidスマホのワイヤレスディスプレイへのMiracast表示例
    Miracast未対応スマホはiPhoneだけではありません。
    Androidスマホの中にもMiracast未対応のスマホもあります。
    そのようなMiracast未対応のAndroidスマホ画面も今回ご紹介した間接的なMiracast接続方法の応用としてそのスマホ画面をワイヤレスディスプレイに表示させることが可能となります。
    【例】
    (1)右下の画面はMiracast未対応のAndroidスマホ画面です。
    (2)左下の画面はMiracast対応のAndroidスマホ画面でMiracast未対応のAndroidスマホ画面のミラーリング画面です。
    (3)中央の画面はワイヤレスディスプレイの画面でMiracast対応のAndroidスマホ画面が伝送表示されています。