AtheOS環境
AtheOS(アテオーエス)というのはPOSIX仕様をベースにしたフリーのデスクトップOSで非常にコンパクトなOSです。
GUIについてはLinuxやFreeBSDとは違いXウィンドウではありませんがEmacs等のGUIアプリケーションがAtheOS用に移植されています。
今回はABrowseというWebブラウザが付いているAtheOS 0.3.5環境を簡単に紹介します。
※AtheOSはその0.3.7を最後にSyllableに継承されているようです。
尚、AtheOSのバイナリパッケージはhttp://www.atheos.cx/からダウンロードできます。
(インストール用ブートFDを作成してインストーラを起動します)
(1)ローカル環境
- GRUBブータローダ
GRUBブータローダでWindowsとのマルチOS環境を構築してみました。
AtheOSをブートするといろいろな起動メッセージが表示されます。
- ログイン画面
AtheOSのグラフィカルログイン画面はとてもシンプルです。
- 画像ビューア
AtheOSではxv(Bitmap Viewerにリンクされている画像ビューア)でgif,jpg,png画像等を表示できます。
- インターネットユティリティとApacheの導入
インターネットユティリティ(inetutils-1.3.2.bin.1.tgz)やApacheのバイナリ(apache-1.3.9.bin.1.tgz)もhttp://www.atheos.cx/からダウンロードできます。
インターネットユティリティにはftp, telnet, inetd等が含まれています。
インターネットユティリティのインストールはとても簡単で次のコマンドを実行するだけです。
cd /usr
tar -xvpzf /atheos/packages/inetutils-1.3.2.bin.1.tgz
(Apacheの組み込み操作もインターネットユティリティと同様です)
Konquerorベースのレンダリングエンジンを内蔵したABrowse(Webブラウザ)からhttp://localhostをアクセスしてみました。
- ドラッグ&ドロップによるファイルコピー
ファイルのコピーはドラッグ&ドロップ操作で簡単に行えます。
- ドラッグ&ドロップ
- コピー結果
- デスクトップの設定
デスクトップのルック&フィールや解像度はデスクトップ上にあるPrefsアイコンを起動して簡単に設定できます。
- デスクトップ画面
Atheosの基本パッケージにはjedというエディタが付いていますがEmacsを組み込んで使ってみました。
またローカル環境でftpも使ってみました(デフォルトのIPアドレスは192.168.1.50です)。
実寸大の画面はこちらです(800x600)。
(2)ネットワーク環境の構築
AtheOS 0.3.5でサポートされているネットワークカードはNE2000互換カードです。
今回の環境ではISAのNE2000互換カードを使用してみました。
ISAカードのIRQはAtheOSに自動認識されないため/system/config/dev/ne2000.cfgの中にあるISA_IRQの値を書き換えます。
次にネットワーク環境の実態に合わせて/etc/resolv.confや/system/user_init.sh(ifconfig, route, inetdの実行用シェル)の中を書き換えます。
(3)インターネットアクセス
(4)AtheOSとTurboLinuxのネットワーク接続
(5)lynx,w3m,ncftp等
AtheOS 0.3.4までのWebブラウザはlynx,w3mといったテキストベースのものでした。
ここではAtheOS 0.3.5上でABrowseとlynx,w3mを同時に使用した画面を紹介します。
またftpクライアントとしてはbin,pwd,get等の入力コマンドが標準で残るncftpも使ってみました。
実寸大の画面はこちらです(1024x768)。
画面説明。
- 背景画像:/system/backdrop.jpgファイルとして用意した画像が表示されます。
- 画面右上:ABrowseです。
- 画面左上:lynxです。
- 画面右上から2番目:フレームをサポートしているw3mです。
- 画面右上から3番目:ncftpです。
- 画面下の画像ビューア:ncftpでgetした画像ファイル(welcometoog.gif)を表示しています。
(6)WindowsからのAtheOSアクセス
AtheOS標準の設定では他のマシンからAtheOSへのftpアクセスやtelnetは許可されていないようです。
そこでアクセス許可の設定を行い他のマシンからftpやtelnetが使えるようにしました。
- Windowsからのftpアクセス
- Windowsからのtelnetアクセス
- Welcomeメッセージ
- telnet操作
(7)その他
- 画面キャプチャ
AtheOSの画面キャプチャはPrintScreenキーで行えます。
PrintScreenキーを押すとキャプチャされた画像が/tmp/screenshot.pngファイルとして格納されます。
- MS-DOS形式のフロッピーディスクマウント
MS-DOS形式のFDは次のようにマウントできます。
mkdir /tmp/dos
mount /dev/disk/bios/fda/raw /tmp/dos
ちなみにアンマウントは「unmount /tmp/dos」です(umountではありません)。
- 一般ユーザの追加
AtheOS 0.3.5にはrootユーザとguestユーザが標準で初期登録されています。
これ以外の一般ユーザを追加するには/etc/passwdファイルを開いてユーザ情報を直接書き込みます。
(AtheOS 0.3.5にはユーザ追加用のadduserコマンドやGUIツールは備わっていません)
例えばamberユーザを追加するには/etc/passwdファイルに「amber:○○○:501:100:Amber:/home/amber:/bin/bash」という形式の1行を追加します。
○○○の部分にはパスワードをMD5暗号化した値を指定します。
(パスワードのMD5暗号化値を求めるにはcryptコマンドを使用します)
尚、追加したユーザのホームディレクトリは既存ユーザのホームディレクトリの内容をそのままコピーして作成するのが手っ取り早いようです。
(例えば、cp -a /home/guest /home/amber というように)
amberユーザでログインしてMS-DOS形式のFDをマウントしてFD内の画像を表示してみました。
- 電卓
AtheOSの基本パッケージに電卓はありませんがGPLライセンスに基づくacalcという電卓ソフトがWebで公開されています。
- ウィンドウのポップアップメニュー
GUIアプリケーションによってはマウスの右クリックでウィンドウのポップアップメニューが表示されます。
例えばABrowseの場合は次のようなポップアップメニューが表示されます。
- New window:別のABrowseウィンドウを開きます。
- Reload:カレントのWebページの内容を読み込み直して表示します。
- Quit:ウィンドウを閉じます。
- AtheOSという名前の由来
AtheOSは最初「AltOS」(Alternate Operating System:代替OS)と呼ばれていました。
しかしAltOSというトレードマークは既に別のところで使われていたためAthena (ギリシャ神話の女神) とOSを組み合わせて「AtheOS」という名前になったようです(出典はこちらです)。