スマホからLinuxへのAnyDeskリモートデスクトップ接続・操作例

別々のネットワークに存在するデバイス同士でリモートデスクトップ接続&遠隔GUI操作をサポートするアプリとしてAnyDeskがよく知られています。
例えばLinuxを遠隔GUI操作する場合はPC(Windows)からLinuxへのAnyDesk接続するのが最も多くの機能が使えてまるで目の前に実物同様のLinuxマシンがあるような感覚でPC(Windows)側のマウス・キーボードで遠隔操作できます。
しかし、PCと比べて多少の機能制限はあるもののスマホからLinuxを遠隔GUI操作できるのもAnyDeskの大きな魅力の一つかと思います。
AnyDeskでは各デバイスに導入されたAnyDeskアプリのことを「クライアント」と呼んでいます。
つまりAnyDeskリモートデスクトップ接続の接続元も接続先も共にリモートデスクトップ接続の「クライアント」同士という扱いになります。
AnyDeskサーバについてはあまり紹介されることは無いようですがAnyDeskクライアント同士での接続をサポートする裏方がAnyDeskサーバということになります。
AnyDeskユーザはAnyDeskサーバの存在を特に意識することなくAnyDeskを利用することができます。

ここではスマホ(Galaxy S22)からLinux(Ubuntu 24.04)にAnyDesk接続してスマホからUbuntuを遠隔操作する例をご紹介致します。

  1. AnyDeskリモートデスクトップ操作のデバイス環境


  2. Linux側へのAnyDeskの導入
    (1)https://anydesk.com/en/download/linuxを開きます。
    (2)OS一覧から「Debian /Ubuntu / Mint (64 Bit)」をクリックしてダウンロードします。
    (3)/home/ユーザ/anydesk_6.3.3-1_amd64.debとして保存します。
    (4)下記のコマンドでインストールを実行します。
    ~$ sudo apt install ./anydesk_6.3.3-1_amd64.deb
    AnyDeskはUbuntuのサービスとして常に自動起動されます(そのためGDMログイン画面への接続自体も可能ですがログインユーザのパスワード入力が困難です:後述します)。
    (5)AnyDesk IDの確認


  3. Linux側AnyDeskのオプション設定


  4. S22側AnyDeskのオプション設定


  5. S22からLinuxへの接続


  6. S22側AnyDeskのオンスクリーンキーボードについて
    尚、S22側のAnyDesk画面にはパイメニューで三種類のオンスクリーンキーボードを表示できます。

    【補足:Ctrl+Pの入力例】


  7. S22からLinuxへの日本語入力例
    「端末」アプリで日本語を含む「echo "日本語"」コマンド自体の入力手順例をご紹介致します。
    Ubuntu実機(Hyper-V仮想マシン)ではPCに接続したマウスとキーボードで簡単に「echo "日本語"」コマンドを入力・実行できます。
    更に、S22からUbuntuへのAnyDesk接続でもS22に接続したBluetoothマウス・キーボードがあれば実機並みの操作も可能です。
    しかしここではS22のタッチ操作だけで「echo "日本語"」コマンドを入力・実行する手順例をご紹介致します。
    【前提条件】
    (1)Ubuntuでの日本語入力はMozcでの「ひらがな」(ローマ字)入力とします。
    (2)接続後のS22画面全体をタッチパッドとして利用する操作例;
    ・左クリック:マウスポインタを位置付けてのタップ
    ・右クリック:マウスポインタを位置付けての長押し
    ・デスクトップの拡大:二本指でのピンチアウト

    【echo "日本語"】入力例
    (S22接続のBluetoothマウス・キーボードがあればPC実機のマウス・キーボードと同じ手順で簡単に行えるのですが...)


  8. UbuntuのGDMログイン画面への接続について
    S22からLinux(Ubuntu)にAnyDesk接続してS22側からLinux(Ubuntu)を再起動することができます。
    その再起動でLinux側のAnyDeskサービスが停止し、S22との接続も解除されます。
    Linux側でのGDM(GNOME Display Manager)ログイン画面が表示される時点ではAnyDeskサービスが既に起動された状態になっています。
    この状態でS22からLinux(Ubuntu)にAnyDesk接続すると次のようになります。


  9. S22からLinuxへのファイル転送(その1:GDMログイン済でのデスクトップ表示状態の場合)
    WindowsからLinuxへのAnyDesk接続後においてGUI操作画面とファイル転送画面を自由に切り替えることが可能です。
    しかしS22からLinuxへのAnyDesk接続においてはデスクトップ画面表示とファイル転送画面表示を接続時に選択する必要があります(接続後の表示切り替えは不可)。
    通常、接続先を指定して「…>」(接続)アイコンをタップするとLinux側のデスクトップ画面が表示されます。
    それとは別に接続先を指定して縦三点メニューを表示して[ファイル転送を開始する]メニューがあることを確認します。


    S22側の/storage/emulated/0/DCIM/Screenshots/samplexxx.mp4(動画ファイル)をUbuntu側に転送する手順例は以下の通りです。
    尚、GDMログインユーザはamberとします。


  10. S22からLinuxへのファイル転送(その2:GDMログイン画面表示状態の場合)
    GDMログイン画面表示状態の場合でもAnyDeskのファイル転送機能が利用できます。
    S22側の/storage/emulated/0/DCIM/Screenshots/samplexxx.mp4(動画ファイル)をUbuntu側に転送する手順例は以下の通りです。
    尚、GDMはlightdmとします(それを司るユーザはrootです)。


  11. iPhoneからLinuxへのAnyDesk接続について
    iPhoneからLinux(Ubuntu)へのAnyDesk接続についてはS22からの接続とほぼ同様の操作で行えますがiPhoneのAnyDeskには下記のような違いがあります。


  12. 複数デバイスから一つのデバイスへの同時AnyDesk接続について
    AnyDeskでは複数デバイスから一つのデバイスへの同時AnyDesk接続ができる機能が備わっています。
    ※ 一つのデバイスの中で複数のAnyDeskインスタンス(プロセス)が実行できるようになっています。
    この機能を使用すると以下のような利用方法も可能となります。


  13. S22のDeXでのLinuxへのAnyDesk接続について
    出先においてS22のDeX環境を使用できることを想定してご紹介致します。
    出先でのS22のDeX環境でもUbuntuにAnyDesktop接続できますが、特に使いやすくなるのはファイル転送でしかもAnyDeskアプリを最大化表示した場合かと思います。


  14. AnyDeskの無料トライアルライセンスについて
    AnyDeskのライセンスには無料ライセンス(Free)と有料ライセンス(Solo,Standard,...)があります。
    個人利用では無料ライセンスでも基本的な機能は一通り使用できますが管理デバイス数等での量的制限があります。
    そのため組織での広範囲な用途で量的制限をクリアするためには有料ライセンスを購入する必要もあるかと思います。
    今回は無料ライセンスでは利用できない「エイリアス」(AnyDesk IDの代替え)機能を使用するために「無料トライアルライセンス」を使ってみました。
    AndroidやiOSのスマホでは無料ライセンスでも「エイリアス」設定は可能ですが、PC版(Windows,Linux)での無料ライセンスでは「エイリアス」設定ができないという制限があります。
    PC版(Windows,Linux)での無料ライセンスで「エイリアス」設定しようとすると次のエラーとなります。
    利用中のライセンスでは、この機能は利用できません。

    しかし、PC版(Windows,Linux)でもAnyDeskの無料トライアルライセンスを使用すると「エイリアス」設定ができるようになります。
    このAnyDeskの無料トライアルライセンスは有料ライセンスのStandard版の14日間限定の無料ライセンスです。
    無料トライアルライセンスが期限切れになるとそのデバイスのライセンスを元に戻さない限り他のデバイスへの接続はできなくなります。
    具体的には次のエラーとなります。
    ステータス:anynet_license_expired

    PC版(Windows,Linux)の無料ライセンスでも複数デバイスとの同時接続はできますので「エイリアス」設定等の機能は使用しないというのであれば無料トライアルライセンスの取得は不要です。
    ちなみに無料トライアルライセンスでもiPhoneへの接続はできません。



  15. その他