AnyDeskメモ
AnyDeskは別々のネットワークに存在するデバイス同士でリモートデスクトップ接続&遠隔GUI操作をサポートするアプリとしてよく知られています。
リモートデスクトップと言えばPC(Windows,Linux等)同士の接続やスマホからPCへの接続を思い浮かべる方も多いかと思います。
しかし、AnyDeskではPCからスマホにもリモートデスクトップ接続して遠隔GUI操作できるのも大きな特徴です。
尚、AnyDeskでは各デバイスに導入されたAnyDeskアプリのことを「クライアント」と呼んでいます。
ここではAnyDeskをこれから試してみたいというユーザの方へのメモ書きを集めてみました。
- 「同時接続」について
AnyDeskについては「同時接続」という表現がよく使用されますのでここで簡単に説明します。
- 同時接続数
同時接続数の詳しい内容は本ページの「AnyDeskでの同時接続数について」をご参照下さい。
スタンダードライセンスでの同時接続数はデフォルトで1ですが、ライセンス購入時の同時接続の追加購入(アドオン)で同時接続数を20にまで拡大することができます。
スタンダードライセンスでの同時接続数n個分の年間価格は1個分の約n倍の価格となります。
同時接続数nのライセンスは複数のデバイスに登録できます。
但し、iPhoneについてはベンダーの制限によりライセンスの登録機能は用意されていません。
- マルチセッション
一つのデバイスから複数のデバイスに同時接続した場合の接続元デバイスの状態をマルチセッションと呼びます。
- マルチインスタンス
複数のデバイスから同一デバイスに同時接続した場合の接続先デバイスの状態をマルチインスタンスと呼びます。
下記はGalaxy S22とGalaxy S8(モデル番号:SCV36)から同一LinuxにAnyDesk接続して操作している様子です。
(S22側に表示されるLinuxデスクトップとS8側に表示されるLinuxデスクトップは同一内容となります)
- 無料ライセンスについて
デバイスにAnyDeskをインストールしただけでは無料ライセンスとしてのみ使用可能です。
無料ライセンスの場合はPCのAnyDesk ID(9〜10桁の番号)の代わりとなるエイリアス(別名)を設定できないという制約があります。
スマホについてはライセンス登録なしでエイリアス設定が可能です。
無料ライセンスでの同時接続数は1ではありません(複数デバイスへの同時接続可能)。
- 無料トライアルライセンスについて
AnyDeskアカウントを登録(無料)すると、ビジネス用途のスタンダードライセンスの「同時接続9」版ライセンスが自動付与されます(14日間無料で使用可能)。
※ AnyDeskアカウントの登録(Register)はmy.anydesk II( https://my.anydesk.com/v2 )にて行います。
実際にはデバイスに登録する無料トライアルライセンスキーが付与されます。
無料トライアルライセンスの有効期限が切れた場合は有料版への自動移行はされず、単にそのライセンスでの発信接続ができなくなるだけですので次のいずれかの処置をして発信接続を可能とします。
- 無料ライセンスへの戻し
デバイスのAnyDeskのアンインストール&再インストールによって無料ライセンスに戻すことができます。
その場合のポイントはアンインストールのオプションで設定(AnyDesk IDやエイリアス)を残したままアンインストールすることです(詳細略)。
- 有料ライセンスの購入とそのライセンスキーの登録
尚、Appleの制限により無料トライアルライセンスでのiPhoneへの接続はできないようになっています(iPhoneへの接続には有料ライセンスが必須)。
- システムサウンドとマイク入力音声について
デバイス内の動画再生音はシステムサウンドです。
スマホからPCにAnyDesk接続してスマホ側からPC内の動画を再生するとその動画再生音はスマホとPCの両方から聞こえてきます。
しかし、Androidスマホについてはシステムサウンドの他のデバイスへの転送をサポートしていません。
そのためPCからAndroidスマホにAnyDesk接続してPC側からAndroidスマホ内の動画を再生してもその動画再生音はPCからは聞こえてきません。
PCからAndroidスマホにAnyDesk接続してPC側から音声が聞こえるようにできるのはAndroidスマホ側のマイク入力音声に限定されています。
- PCからAndroidスマホにAnyDesk接続してスマホ側のマイク入力音声をPC側に転送させるための設定例
ここではあくまでも設定の手順例を紹介するものであり、スマホの機種、AndroidバージョンによってはPC側から音声が聞こえてこない場合もあります。
- PC側の設定
特に設定すべき項目はありません。
- Androidスマホ側の設定
ここで紹介させて戴く設定はあくまでも必須な設定+αの設定例です。
ここではAndroidスマホとしてSamsung Galaxy S22を使用した場合の設定手順を示しています。
別の機種をお使いの場合は設定内容を読み替えて下さい。
- AnyDesk側での[音声を鳴らす]オプションの有効化確認
AnyDeskの「設定」−「セキュリティ」−「権限プロファイル」の「デフォルト」で[音声を鳴らす]にチェックマークが付いていることを確認します。
- AnyDeskの音声設定
AnyDeskの「設定」−「音声」で以下の設定・確認をします。
- 送受信
[音声転送を有効にします(マイクロホン)]にチェックを入れます。
これによって、PCからAndroidスマホに接続要求した際の「着信接続リクエスト」での[デフォルト]権限プロファイルの「音声を鳴らす」アイコンには鍵マーク()が付かなくなります。
- 再生
[再生を有効にする]にチェックが入っていることの確認をします。
- AnyDeskでのマイク許可確認
システムの「設定」−「アプリ」−「AnyDesk」でアプリ情報画面を表示します。
アプリ情報画面のAnyDeskの権限欄に「マイク」があることを確認します。
- AnyDeskのデバイス管理アプリへの追加
※ デバイス管理機能へのアクセスを許可するための設定です。
Androidデバイスに対するロック等を含めた遠隔操作も可能とする設定をしておきます。
(1)システムの「設定」−「セキュリティおよびプライバシー」−「その他のセキュリティ設定」−「デバイス管理アプリ」をタップします。
(2)AnyDeskをONにします(「デバイス管理アプリ起動」ダイアログでは[開始]をタップします)。
- PCからAndroidスマホに接続時の権限プロファイル選択
PCからAndroidスマホに接続要求した際にAndroidスマホ側に表示される「着信接続リクエスト」ダイアログでの権限プロファイルとして[デフォルト]を選択します。
- PCからAndroidスマホに接続した際の確認事項
接続完了後、PC側AnyDeskのパーミッション一覧に「音声送受信(未対応)」ではなく「音声送受信」があることを確認します。
その後Androidスマホに対する操作でマイク入力を実施してみます。
例えばAnyDeskのトップ画面のマイクアイコンをタップしてAnyDeskに話かけたり、Androidスマホのマイクに向かって音楽をかけたりするとそのマイク入力音がPCから聞こえてきます。
※ AnyDeskのトップ画面のマイクアイコンをタップせずにAnyDeskに直接話かけてもその入力音はPCから聞こえてきます。
Androidスマホのアプリによってはマイク入力音がPCに転送できない場合もあるようです。
【補足】
(1)S22以外のAndroidスマホからS22に接続した場合は、S22からのマイク入力音声は接続元のAndroidスマホからは聞こえてきません。
(2)iPhoneからS22に接続した場合も、S22からのマイク入力音声は接続元のiPhoneからは聞こえてきません。
- PCからFire TVにAnyDesk接続してFire TV側のマイク入力音声をPC側に転送させる設定例
ここでのFire TVはFire TV Stick 4K(2019年版)としています。
またここでのPCはhyper-V上のWindows 11を使用しています。
PCからこのFire TVへの接続においてPCマウス/キーボードを使用しての遠隔操作はできませんがFire TVの画面共有とFire TV側のマイク入力音声をPCで聴くことはできます。
- Fire TV用AnyDeskプラグインの起動不可について
Fire TVでAnyDeskを起動すると「プラグインの有効化」ダイアログが表示されます。
[AGREE]を応答すると以下のエラーが表示されます。
エラー:Androidのアクセシビリティ設定でAnyDeskコントロールサービスを有効にしてください!
|
Fire TVでのアクセシビリティ設定というのは「設定」の「ユーザ補助」の中に集められているのですがその中にはAnyDeskコントロールサービスらしきものは含まれていません。
また、Fire TVの「設定」−「アプリケーション」−「インストール済みアプリを管理」の中の[AdControl-AD1](プラグイン)を開いて[アプリを起動]を実行してもそのプラグインは起動されません。
[AdControl-AD1](プラグイン)が起動できないということはFire TVを他のデバイスから遠隔操作できないということを意味しますがFire TV側の画面をPCに表示することは可能です。
- AnyDesk側での[音声を鳴らす]オプションの有効化確認
AnyDeskの「設定」−「セキュリティ」−「権限プロファイル」の「デフォルト」で[音声を鳴らす]にチェックマークが付いていることを確認します。
- AnyDeskの音声設定
AnyDeskの「設定」−「音声」で以下の設定・確認をします。
- 送受信
[音声転送を有効にします(マイクロホン)]にチェックを入れます。
これによって、PCからFire TVに接続要求した際の「着信接続リクエスト」での[デフォルト]権限プロファイルの「音声を鳴らす」アイコンには鍵マーク()が付かなくなります。
- 再生
[再生を有効にする]にチェックが入っていることの確認をします。
- AnyDeskでのマイク許可設定
システムの「設定」−「アプリケーション」−「インストール済みアプリを管理」−「AnyDesk」でAnyDeskの設定画面を表示します。
デフォルトではマイクが却下となっていますのでマイクを許可に変更します。
- PCからAndroidスマホに接続時の権限プロファイル選択
PCからAndroidスマホに接続要求した際にAndroidスマホ側に表示される「着信接続リクエスト」ダイアログでの権限プロファイルとして[デフォルト]を選択します。
- PCからAndroidスマホに接続した際の確認事項
接続完了後、PC側AnyDeskのパーミッション一覧に「音声送受信(未対応)」ではなく「音声送受信」があることを確認します。
その後Fire TVのリモコンのマイクボタンを押したままマイクに話しかけるとそのマイク入力音がPCから聞こえてきます。
【補足】
(1)iPhoneからFire TV Stickに接続した場合、Fire TV Stickからのマイク入力音声は接続元のiPhoneからは聞こえてきません。
- PC同士のチャット例
AnyDeskはPC同士のチャットをサポートしています。
ここではPC1(Windows)からPC2(Windows)に接続した場合のチャット例をご紹介致します。
- PC1からPC2に接続要求します。
この時、PC2側には承諾セクションとチャットセクションが並んだ承認ウィンドウが表示されます。
ここでは便宜上PC2のチャット画面と呼ぶことにします。
その一番下にはチャットテキストの入力バーが表示されます。
PC2側で[承諾]ボタンをクリックすると接続が成立します(セッションの開始)。
PC1側のAnyDesk画面にはPC2のデスクトップが表示されます。
- PC1側のAnyDesk画面のAnyDeskツールバーの[チャット]メニューを開きます。
PC1側にチャット画面が表示されます。
その一番下にはチャットテキストの入力バーが表示されます。
- PC1からのテキスト送信
PC1のチャットテキストの入力バーにテキストを入力してその行の右側にある紙飛行機アイコンをクリックします。
そのテキストがPC1側とPC2側の両方のチャット画面に送信されます。
PC2からのテキスト送信も同様の操作となります。
- チャット中のPC1チャット画面例
・チャット中のPC2チャット画面例
【補足】
(1)チャットはPC2側で承諾する前の時点でも行えます。
(2)スマホについてはチャット画面が用意されていないためチャットはできないようです。
ちなみにAndroidスマホのAnyDesk用Chat keyboardはチャット用のキーボードということではありません。
(Chat keyboardは送信先デバイスのマウスポインタのある所にテキストを一括送信するためのキーボードです)
(3)PC1(Windows)からPC3(Ubuntu)に接続した環境でのチャット例
- AnyDeskアカウント削除不可の件
AnyDeskのアカウントを取得しておくとリモートデバイスに長時間接続したままにできる等のメリットがあります。
しかし何らかの要因でそのアカウントを削除したくなっても現状のAnyDeskでは削除不可となっています。
(そのアカウントでログインしているデバイスの有無やそのアカウントに紐付けされているライセンスの有効期限切れ状態に関係なく削除不可)
古い仕様での削除方法については、https://support.anydesk.com/knowledge/how-do-i-delete-my-anydesk-accountにて解説されていますがその内容は現在無効です。
- AnyDeskでの同時接続数について
同一ライセンスコードを設定しているPC1とPC2が同時に接続元になってそれぞれのセッションが実行されている場合の同時接続数は「2」となります。
簡単に言うと同時に接続元になっているデバイスの個数が同時接続数となります(あくまでも同一ライセンスコードの下での話です)。
尚、一つのデバイスから複数のデバイスに同時に接続できますが、そのデバイスの同時接続数は「1」とカウントされます。
具体例として、PC1が二つのデバイスに同時に接続して二つのセッションが実行されていて、更にPC2も同時に一つのデバイスと接続しているとします。
その場合も同時に接続元になっているデバイス数が2個なので同時接続数は「2」ということになります。
【補足】
(1)スマホはそのデバイスから複数デバイスへの同時接続はできません(「新しい接続」画面が用意されていません)。
(2)無料トライアルライセンスのライセンス種別は「standard_1」と表示されますが、最後の「1」には特別な意味はなく、同時接続数は「9」となっています。
(3)無料ライセンス(free-1)については同時接続の制約は特にありません。
- AnyDeskの同時接続ライセンスについて
AnyDeskのライセンスは「同時接続ライセンス」(Concurrent User License)が基本となっています。
例えば「同時接続n」ライセンスというのは、ライセンス登録デバイス数はnを超えてもOKですが、そのライセンスでの同時接続数(同時発信デバイス数)は最大n個に制限されるというライセンスです。
最もポピュラーとされるスタンダード(standard)ライセンスの「同時接続n」(送信接続n)ライセンス(n<=20)では次の通りとなります。
- ライセンス登録デバイス数:最大20台
これはそのライセンスのAnyDeskアカウントでのログインデバイス数が最大20ということでもあります。
また、一つのデバイスからログアウトすると新たに未ログインデバイス1台にログイン可能となります。
- 同時接続数:最大n
- 接続先のデバイス数:制限なし
ちなみに個人利用(solo)ライセンスでは「同時接続1」(送信接続1)しかなく、ライセンス登録デバイス数は最大3台となります。
尚、AndroidスマホにはAnyDeskのログイン機能がありますが、iPhoneにはそれがなく言ってみれば使いたい放題という扱いになるかと思います。
- クリップボード機能について
接続先デバイスから接続元デバイスへのテキストのコピー&ペーストは一つのOSの中でのコピー&ペースト方法と同じです。
AnyDesk画面内の接続先デバイスのテキストを選択して[コピー]後に接続元のコピー先に[貼り付け]するだけです。
下記は接続先デバイス(PC2)のUbuntu側から接続元デバイス(PC1)のWindows側メモ帳にテキストをコピー&ペーストした様子です。
その逆の接続元デバイスから接続先デバイスへのテキストのコピー&ペーストはAnyDeskのクリップボード機能を使用します。
接続元デバイス(PC1:Windows)から接続先デバイス(PC2:Ubuntu)へのテキストのコピー&ペーストの手順例をご紹介します。
- 接続元デバイスでのコピー
例えばWindowsのメモ帳に例えば「uname -srm」というコマンドを入力してその文字列を[コピー]します。
- ペースト先を決めます。
例えば、接続元のAnyDesk画面でUbuntu側の端末を起動してその端末の先頭にマウスポインタを位置付けます。
- AnyDesk画面のAnyDeskツールバーの「操作」(雷/稲妻アイコン)−[Insert from clipboard]を実行します。
- 接続先にコマンド(テキスト)がペーストされます。
- アドレス帳の新規作成について
AnyDeskのアドレス帳は9桁または10桁のAnyDesk IDに対する別名を登録するものです。
ここではアドレス帳にUbuntuのアドレスを登録利用する例をご紹介致します。
- Windows版AnyDeskでの[アドレス帳]メニュー
[新規]と[アドレス帳の管理]共にプレミアム版ライセンスが必要の旨表示されます。
プレミアム版ライセンスが必要と表示されてもスタンダード版の無料トライアルライセンスが利用できます。
- [サインイン]をクリックして無料トライアルライセンスを取得したAnyDeskアカウントを指定します。
※ [Start trial]をクリックすると無料トライアルライセンスの取得申請画面が表示されます。
ここでは無料トライアルライセンス取得済のAnyDeskアカウントでサインインします。
- サインイン後の「アドレス帳」−「新規」で新しい名称として例えば「AddrBook1」を指定します。
※ ここでのアドレス帳はAnyDeskアカウント/ライセンスコードに関連付けされるため「個人用アドレス帳」ではなく「組織のアドレス帳」という位置付けになります。
- 項目を追加する画面で例えばUbuntuのアドレス(AnyDesk IDまたはそのエイリアス)とアドレス帳での名称を指定します。
アドレス帳にデバイスを登録するとそれがアドレス帳に表示されます。
- 新しい接続で[アドレス帳]を選択して接続先デバイスのメニューから[接続する]をクリックします。
これで無料ライセンスでは使用できなかった「組織のアドレス帳」を無料トライアルライセンスで作成して接続が行えるようになります。
- デフォルトのアドレス帳への項目追加について
アドレス帳についての説明が前後してしまいますが、AnyDeskアカウントを登録したAnyDeskアカウントページ(正確にはmy.anydesk IIコンソール)にはデフォルトの個人用アドレス帳として「My address book」があります。
「My address book」を開いて[+エントリーを作成]でアドレスを追加できます。
ちなみにAnyDeskアカウントページでのアドレス帳についてはCSVでのエクスポートやインポートのオプション機能も使用できます。
「My address book」のエントリを選択してその[接続する]メニューで接続できます。
- ライセンス期限切れデバイスからのAnyDesk接続例
ライセンス期限が切れたデバイスは接続元にはなれず、接続しようとすると「ステータス:anynet_license_expired」エラーとなります。
(そのデバイスからログアウトすれば無料ライセンスになるため接続元にはなれますが...)
ここでは無料ライセンスにしないままでライセンス期限切れデバイス側に接続元デバイスの表示をして遠隔操作する例をご紹介します。
それは「期限切れ」を特に意識しないAnyDeskの「アクセス方向を反転する」という機能(サイドスイッチとも呼ばれています)で行えます。
「アクセス方向を反転する」という機能は接続元(ローカル端末)と接続先(リモート端末)をスイッチする(反転する)させる機能です。
ここではPC1(Windows)とPC2(Ubuntu)があってPC2側がライセンス期限切れになっていてPC1に接続できない状況とします。
- PC1(Windows)からPC2(Ubuntu)へのAnyDesk接続を実施します。
ライセンス期限切れになったデバイスでも接続先にはなれます。
- PC1(Windows)側のAnyDeskツールバーの「操作」−[アクセス方向を反転する]を実行します。
- 反転確認ダイアログで[OK]をクリックします。
- PC2(Ubuntu)側のAnyDeskにPC1(Windows)のデスクトップが表示されます。
この場合、PC1(Windows)とPC2(Ubuntu)のAnyDesk画面で「アクセス方向を反転する」ボタンが表示されるようになります。
- ライセンス期限切れになっているPC2(Ubuntu)側のAnyDesk画面でPC1(Windows)デスクトップを操作できます。
尚、PC2(Ubuntu)側からはPC1(Windows)内のAnyDesk監視画面は操作することはできません。
車両進入禁止のようなマークが表示されます。
- PC1(Windows)またはPC2(Ubuntu)の「アクセス方向を反転する」ボタンでPC1(Windows)側にPC2(Ubuntu)のデスクトップが表示されて再びPC2(Ubuntu)を遠隔操作可能となります。
- 無料ライセンスの接続時間制限について
ユーザ評価等の古い書き込みでは「1時間位」という表現も残っていますが、最新時点では接続して7時間放置しておいても「desk_rt_auto_disconnect」というステータスエラーにはなりませんでした。
無料ライセンスの接続時間制限(一定期間中の接続制限等)に関する開発元からのご回答内容について詳細を確認中です。
- AnyDeskのTCPトンネリング利用例
AnyDeskではPC同士での限定的なTCPトンネリングをサポートしています。
AnyDeskでのTCPトンネリングは接続元のローカルデバイスと接続先のリモートデバイスとの間でTCPベースのプロトコルを転送する機能です。
例えば接続元のローカルデバイス側にsshサーバがなくて接続先のリモートデバイスの属するリモートネットワーク側にsshサーバがある場合に、
「ssh localhost -p 8022」のようなコマンドでリモートネットワーク側のsshサーバに接続可能となります。
AnyDeskでのTCPトンネリングについては下記のAnyDeskのヘルプセンタの「TCPトンネリング」で分かりやすく解説されています。
https://support.anydesk.com/ja/knowledge/tcp-tunneling
ここではWindowsからUbuntuへの順方向でのTCPトンネリング利用例をご紹介致します。
※ 逆方向でのTCPトンネリングもサポートされています。
- AnyDeskでのTCPトンネリング設定箇所について
TCPトンネリングの設定は接続先デバイスごとの設定となるためAnyDeskの「設定」自体には存在しません。
しかしアドレス帳の接続先デバイスのコンテキストメニューの中には[TCPトンネリングを設定]メニューがあります。
- AnyDesk接続後のTCPトンネリング設定について
接続元のローカルデバイスから接続先のリモートデバイスにAnyDesk接続した後でもTCPトンネリングを設定して有効にすることもできます。
今回はAnyDesk接続後のssh接続用TCPトンネリング設定例についてご紹介いたします。
- ssh接続用TCPトンネリングの前提条件
(1)接続元のローカルデバイス側でのssh接続ポートはそのローカルネットワークでは使用していない「8022」ポートとします。
(2)接続先のリモートデバイス側に存在するsshサーバのリモートネットワークでのアドレスは「192.168.1.223」とします。
(3)sshサーバの待ち受けポートは標準の「22」とします。
- TCPトンネリングの設定
(1)AnyDesk接続後のAnyDeskツールバーの「操作」メニュー(Action menu)の[TCPトンネリングを設定]を開きます。
(2)「TCPトンネリングを設定」ダイアログで下記を指定します。
・ローカルポート:8022
・リモートホスト:192.168.1.223
・リモートポート:22
上記の設定後に[トンネルを追加する]&[保存]ボタンをクリックします([保存]で設定内容が即機能します)。
ちなみに設定画面での赤い×マークはその行の削除を行うためのものです。
- TCPトンネリングの確認テスト
- 接続元のローカルデバイス(Windows)側のコマンドプロンプトを起動して以下のコマンドを実行します。
ssh amber@localhost -p 8022
|
これがAnyDesk接続先デバイスに「ssh amber@192.168.1.223 -p 22」として転送されます。
- パスワードを入力してsshでのログインが完了してコマンド操作が可能となります。
・sshでのログインとコマンド実行例
- AnyDesk VPNについて
通常よく使用されている「OpenVPN Connect」アプリはWindowsを含めた多様なデバイス/OSに対応しています。
しかし、AnyDesk VPNはWindowsには未対応でMacOS,Linux,及びAndroidクライアントでの限定サポートとなっています。
AnyDesk VPNは通常業務で使用されるVPNとは違って、AnyDesk接続するローカルデバイスとリモートデバイス間に仮想ローカルネットワーク(トンネル)を作成するだけです。
(ローカルデバイスをリモートデバイスの属するネットワークに接続できるようにするものではありません)
AnyDesk VPN接続するとローカルデバイスとリモートデバイスの両方に仮想ローカルネットワーク用のIPアドレスが割り当てられます。
VPN設定としては、接続先デバイスの属するLAN環境情報ではなく、仮想ローカルネットワーク用のアドレス設定情報を指定します。
(デフォルトではリモートデバイスのアドレスが172.18.0.1で、ローカルデバイスのアドレスが172.18.0.2となります)
AndroidスマホからのAnyDesk VPNの接続方法は、接続先デバイスを指定して縦三点メニューの[VPN]でVPN接続が可能となり、接続元デバイスと接続先デバイスの間での相互アクセスが可能となります。
OpenVPN Connectでの「接続リクエスト」と同様にAndroidスマホからの[VPN]接続でもその「接続リクエスト」ダイアログに、接続完了時に画面に鍵マークが表示される旨表示されます。
尚、AnyDeskのVPN接続では通常の業務で使用される汎用的なVPNサーバとは機能的に異なっており、一般的なVPN接続の代替えとして使用することは想定されていないようです。
Windowsからのssh接続に限定して言えば、VPNを使用せずにAnyDesk接続した接続先からsshサーバに直接ssh接続すればOKかと思います。
(ssh実行コマンドやその実行結果等は接続元Windowsと接続先デバイスとの間で簡単にコピー&ペーストできます)
或いは、AnyDesk VPNではなく先述したAnyDeskのPC用TCPトンネリングを利用すればローカルPCからリモートのsshサーバに直接接続可能となります。
【AnyDesk VPNの補足】
(1)AnyDesk VPNはWindowsに未対応でWindowsを[VPN]接続先にすることもできません。
(2)Windows版でのAnyDesk VPNサポートの対応予定は未定のようです。
(3)[Automatically start and configure VPN connection]オプションはVPN構成の事前確認画面を表示せずに自動VPN接続するかどうかのオプションです。
(4)簡単なVPNテスト例
ここではLinuxからAndroidスマホ(Galaxy S22)へVPN接続して、Androidスマホ側からVPN接続で得られたIPアドレスを使ってLinux側にssh接続,ftp接続,Web接続する例をご紹介します。
ローカルデバイスのLinuxのIPアドレスは192.168.1.23とし、リモートネットワーク側のAndroidスマホのIPアドレスを例えば192.168.0.22とします(これらのアドレスは何でもOKです)。
- Linux版AnyDeskでの[VPN]接続ボタン
接続先を指定する行の右側に[VPN]接続ボタンがあります。
- [VPN]接続後のリモートデバイス(S22)側表示例
スマホの上部のステータスバーにはVPN接続の鍵マークが表示されます。
(OpenVPN ConnectアプリでのVPN接続時と同じ鍵マークです)
また、スマホ側のAnyDeskには「接続済 (VPN)」と表示されます。
- [VPN]接続後のLinux側ステータス表示について
[VPN]接続によってリモート側スマホのIPアドレスが172.18.0.1となり、ローカル側LinuxのIPアドレスが172.18.0.2となりました。
(つまりVPNトンネルによってローカル側Linuxのtun0インタフェースアドレスが172.18.0.2となっています)
ローカル(172.18.0.2)からリモート(172.18.0.1)へのpingも通ります。
・ローカルデバイス(Linux)側のifconfig
・リモートデバイス(S22)側のifconfig
- リモート側スマホからローカル側Linuxへのssh接続例
リモート側スマホのTermuxアプリでローカル側Linuxへのssh接続がOKとなりました。
ssh接続コマンドは次の通りです。
AnyDesk VPN接続での連続ssh接続ではssh接続時のLast login:には「from 172.18.0.1」と表示されます。
- リモート側スマホからローカル側Linuxへのftp接続例
- リモート側スマホからローカル側LinuxへのWeb接続例
Linux側のWebサーバ(Apache2)に対してURLとしてhttp://172.18.0.2を指定するとApache2 Default Pageが表示されます。
尚、Linux側の/var/log/apache2/access.logの内容を確認するとアクセス元は「172.18.0.1」となっています。
- AnyDesk VPN接続時の利用可能ポートの制限について
AnyDesk VPN接続時に開放されるポートには制限がかかるようです。
具体例でご紹介致します。
【現象例】
ローカル側LinuxのHome Media Serverに対するWeb-navigation設定でアクセス元の許可情報として「172.18.0.1」(アクセス元のIPアドレス)を指定してみました。
OpenVPN Connectによる通常のVPN接続時はWeb-navigationが可能なのですが、AnyDesk VPN接続時はhttp://172.18.0.2:45397を指定しても接続が拒否されます。
Web-navigationで使用するポート番号は45397ですがこの「ERR_CONNECTION_REFUSED」エラーはWeb-navigationのリクエストがHome Media Serverに届いていないことを示しています。
【原因】
今回の場合はnmapで原因を調べてみました。
- 通常のVPN接続時はポート45397は「open」状態となっています。
- AnyDesk VPN接続時はポート45397は「closed」状態となっておりWeb-navigation接続ができないことになります。
尚、ftp/ssh/http用ポートは「open」状態になっています。
- リモート側スマホからローカル側Linux経由でLinuxのネットワークへの接続例(一種の踏み台/リレー)
ローカル側LinuxのLAN上に例えばWindowsのFTPサーバがあったとして、リモート側スマホからそのWindowsのFTPサーバに中継接続する場合は次のコマンドを使用します。
ssh amber@172.18.0.2
ftp ftp://Windowsユーザ名:パスワード@WindowsのFTPサーバアドレス
|
【実行例】
...途中略...
- AnyDeskのマルチVPN接続について
AnyDeskのVPN機能で一つのデバイスから二つのデバイスに対して同時にVPN接続できるかどうかを実用性云々を無視して試してみました。
(このマルチVPN接続が正式サポートされているかどうかは現在未確認です)
今回は次の手順でLinux(Ubuntu)からGalaxy S22とGalaxy S8に同時にVPN接続してみました。
- Linux側でのVPN設定
初期設定のStart IP,Default subnetを適当に変更しておきます。
尚、S22とのVPN接続では理由は不明ですが、VPN設定やVPN接続順序に関係なく通常は172.18.0.2と172.18.0.1が割り当てられます。
- LinuxからS22へのVPN接続
最初のS22とのVPN接続ではVPN設定内容とは関係なく次のように設定されます。
(1)Linux側のtun0インタフェースのIPアドレス(Local IP):172.18.0.2
(2)S22側のtun0インタフェースのIPアドレス(Remote IP):172.18.0.1
- LinuxからS8への同時VPN接続
次のS8とのVPN接続ではVPN設定内容をベースに接続元及び接続先の実際のLAN環境のアドレス体系と重ならないようにVPNでのIPアドレスが自動設定されます。
(1)Linux側のtun1インタフェースのIPアドレス(Local IP):例えば129.0.1.2
(2)S8側のtun0インタフェースのIPアドレス(Remote IP):例えば129.0.1.1
・マルチVPN接続時のローカルデバイス(Linux)側のifconfig
- 2番目のVPN(LinuxとS8のVPN)接続後のテスト
(1)Linux側からS8へのping 129.0.1.1はOK。
(2)S8側からLinuxへのping 129.0.1.2もOK。
(3)S8からLinuxへのftp 129.0.1.2は「Connection timed out」エラー発生(Default subnet等のVPN設定内容に起因しているのかも知れません)。
- VPN設定での[Automatically start and configure VPN connection]オプションについて
[Automatically start and configure VPN connection]オプションはVPN構成の事前確認画面(ステータス画面)を表示せずに自動VPN接続するかどうかのオプションです。
VPN設定での[Automatically start and configure VPN connection]オプションをOffにしておくと[VPN]接続をクリックした際に以下のような事前確認画面(ステータス画面)が表示されます(一種のVPNプレビュー画面です)。
この事前確認画面で構成内容を変更することも可能です。
この画面で[Start]をクリックすると二つのデバイス間にトンネルインタフェースが作成されてS22側には鍵マークが表示されるようになります。
ここでの例では接続元のLinux側のLocal IPが「10.0.0.1」となっています([Automatically ...]がOnの場合は172.18.0.2でした)。
S22側から10.0.0.1指定でftp,ssh,http接続が可能となります。
・S22側のChromeでのhttp://10.0.0.1指定でのApache2 Default Pageの表示例
一旦S22側から10.0.0.1指定でLinuxにssh接続した後はそのLinuxが接続されているLAN上のデバイスアドレスに対しても自由にssh,ftp接続が可能となります。
下記はS22側から10.0.0.1指定でLinuxにssh接続した直後にそのLinuxが接続されているLAN上のWindows側のQEMU(Userモード)上で動作しているVine Linux 6.5にssh接続している様子です。
...途中略...
- AndroidスマホからLinuxへのVPN接続例
先に、LinuxからAndroidスマホ(Galaxy S22)へのVPN接続を紹介したのは、Galaxy S22からLinuxへのVPN接続ができないためです。
例えばGalaxy S8やS22ではそのスマホからのAnyDesk VPN接続は異常終了します(異常終了例)。
AnyDeskを利用してAndroidスマホからLinuxサーバの例えばPostgreSQL等の環境をメンテナンスするにはAndroidスマホ側からLinuxに無人アクセスでVPN接続するのがお薦めです。
Androidスマホ側からAnyDesk VPN接続ができるAndroidスマホは限定されているようです。
そこでここではAQUOSのSH-51C(Android 13/14)からLinux(Ubuntu)へのAnyDesk VPN接続例をご紹介致します。
AnyDesk VPN接続については次の二種類の方法があります。
(1)最初からAnyDesk VPN接続する方法
(2)最初は通常接続してからそれと並行してAnyDesk VPN接続を後から追加する方法
- まずは、最初からAnyDesk VPN接続する方法
- Androidスマホ側の「設定」−[VPN]設定
[VPN接続を自動的に開始して構成する]をOnからOffに切り替えておきます。
開始IPとサブネットはデフォルトの値(172.18.0.0, 255.255.255.252)のままで構いません。
- Linux側のAnyDesk IDを指定して[VPN]接続します。
この時、Linux側の承認画面には「SH-51C VPN接続を確立したいと思っています」と表示されます。
ここで[承諾]ボタンをクリックします。
- Androidスマホ側にVPN構成の事前確認画面(VPN画面)が表示されます。
[開始]ボタンはVPNトンネルの確立用ボタンで、これをタップするとVPNセッションが開始されます。
[停止]ボタンはVPNトンネルの終了用ボタンで、これをタップするとVPNセッションが閉じられます(セッションの切断ではありません)。
尚、タイミングによっては「VPNの準備に失敗しました。」エラーが発生することもありますが、その後の発生率は低いようです。
- [開始]タップで「接続が確立されました」と表示されます。
この時、Linux側にはVPNセッションが開始された旨のメッセージが表示されます。
Androidスマホ側に表示されるローカルIPは10.0.0.1ですが、Linux側に表示されるLocal IPは10.0.0.2となっています。
それは目の前にあるデバイスをローカルデバイスと位置付けてIPアドレスを表示しているためです(AnyDesk全般としては接続リクエストを送る方(発信側)を「ローカルデバイス」と読んでいます)。
尚、[開始]タップで下記の「接続リクエスト」画面が表示された場合は[OK]−[開始]をタップします。
- その状態でAndroidスマホ側のTermuxからLinuxへのssh接続も可能となります。
- VPNセッションの終了とセッションの終了
VPNセッションの終了(VPNトンネルの解除)はVPN画面で[停止]をタップすることで行えます。
VPNセッションを終了させるとLinux側にはVPNセッションが閉じられた旨のメッセージが表示されます。
VPNセッションが閉じられた後に再度VPNセッションを再開させる場合はVPN画面で[開始]をタップすればLinux側にVPNセッションが開始された旨のメッセージが再度表示されます。
尚、セッションの終了はAnyDesk画面の「×」をタップすることで行えます。
- 次に、最初は通常接続してからそれと並行してAnyDesk VPN接続を後から追加する方法
- Androidスマホ側の「設定」−[VPN]設定
[VPN接続を自動的に開始して構成する]をOnからOffに切り替えておきます。
開始IPとサブネットはデフォルトの値(172.18.0.0, 255.255.255.252)のままで構いません。
- Linux側のAnyDesk IDを指定して通常の接続を行います。
Androidスマホ側にLinuxデスクトップが表示されます。
- Linuxデスクトップの表示画面のパイメニューのスパナアイコンの[セッションの設定]メニューを開きます。
- [セッションの設定]メニュー一覧から[VPN]をタップします。
- VPN構成の事前確認画面(VPN画面)が表示されます。
- [開始]タップで「接続が確立されました」と表示されます。
- その状態でAndroidスマホ側のTermuxからLinuxへのssh接続も可能となります。
つまりAndroidスマホ側でLinuxをGUI操作しながらTermuxからもLinuxへのssh接続が可能となります。
- ちなみにAnyDeskとOpenVPN Connectは競合せずに動作しています(SoftEther VPN Server利用)。
- Linux用AnyDeskのトラブル対策例
AndroidスマホのAnyDeskからLinux側のAnyDeskに接続してGUI操作を行っている場合に突然Androidスマホ側のLinuxデスクトップからマウスポインタが消えてしまうことがあります。
他にもいつもと違う挙動をするようになることもあります。
このような場合はLinux用AnyDeskの再インストールが有効ですのでその例を下記に紹介致します。
- Linux側AnyDeskの前提条件の例
(1)AnyDesk IDはxxx yyy zzzとします。
(2)そのAnyDeskのライセンスは無料トライアルライセンス(standard-1)またはその有効期限切れ状態とします。
(3)Linux側AnyDeskに例えば「hvubt2310@ad」というエイリアスが設定されているとします。
(4)無人アクセス用パスワードが設定されているとします。
- AnyDeskのアンインストール
下記のコマンドでAnyDeskをアンインストールします。
sudo apt remove --purge anydesk
|
「--purge」オプションはAnyDesk IDを継承させないためのオプションです。
※ AnyDeskのライセンス、無人アクセス用パスワードは継承されます。
ちなみに、「--purge」オプションの指定なしでAnyDeskをアンインストールして再インストールしてもトラブル対策にはなりません(同じ現象が発生します)。
- AnyDeskの再インストール
sudo apt install ./anydesk...deb
|
- エイリアスの再設定
「設定」−「ユーザインタフェース」−[エイリアスの選択]では「既に取得者がいます」と表示されます。
これは「hvubt2310@ad」というエイリアスが既に別のID(実際には、再インストール前のAnyDesk ID)に括りつけられているという意味です。
そこで例えば「hvubt2310b@ad」というエイリアスを指定して登録します。
その後はAndroidスマホからの「hvubt2310b@ad」というエイリアス指定での接続でLinuxデスクトップにマウスポインタが表示されるようになります。
勿論、「hvubt2310b@ad」というエイリアス指定でのVPN接続も可能となります。
- Galaxy S22からLinuxへのVPN接続の代替策
AnyDeskの制限によりGalaxy S22のAnyDeskからLinuxへのVPN接続ができないようです。
しかし、S22からLinuxへのssh接続をしたいという場合はVPN接続の代わりにAnyDeskのTCPトンネリング機能で代替え可能です。
AnyDeskのTCPトンネリング機能については先述の「AnyDeskのTCPトンネリング利用例」でWindows版のケースでご紹介した通りです。
その方法をGalaxy S22で実行すればOKです。
【手順例】
- S22からLinuxへのAnyDeskの通常接続を実施
S22側のAnyDesk画面にLinuxデスクトップが表示されます。
- S22側のAnyDesk画面のパイメニューの[アクション(稲妻アイコン)]メニューから[TCPトンネリングを設定]を開きます。
- 「TCPトンネリングを設定」画面で下記を指定します。
・ローカルポート:8022
・リモートホスト:192.168.1.223
※ AnyDesk接続先デバイスではなくそこからアクセスできるsshサーバのデバイスアドレスを指定します。
・リモートポート:22
上記の設定後に[トンネルを追加する]&[保存]ボタンをタップします([保存]で設定内容が即機能します)。
- TCPトンネリングの確認テスト
接続元のローカルデバイス(S22)側のTermuxを起動して以下のコマンドを実行します。
ssh amber@localhost -p 8022
|
これがAnyDesk接続先デバイスに「ssh amber@192.168.1.223 -p 22」として転送されます。
パスワードを入力してsshでのログインが完了してコマンド操作が可能となります。
- AnyDeskのプライバシーモードのお試し
AnyDeskにはプライバシーモード機能があります。
このプライバシーモードは接続先のリモートデバイス(操作される側)の画面をブラックアウト(黒画面化)させる機能です。
プライバシーモードでは単に画面がブラックアウト表示になるだけではなく、マウス・キーボード操作もできなくなり、更にはサウンドも鳴らない状態になります。
用途的にはその名の通り操作されるデバイスの画面を他人に見られないようにするためのものです(デバイス操作もさせないためでもあります)。
プライバシーモードの解除はローカルデバイス(操作する側)からしかできません。
AnyDeskのHelp Center情報によると、プライバシーモードの機能は「有料ライセンスでのみ利用可能」となっています。
しかしながらリモートデバイス(操作される側)のAnyDeskが無料トライアルライセンスまたはその有効期限切れの場合であっても利用可能なようです(Linuxでは利用不可でしたが...)。
リモートデバイス(操作される側)がWindows 11でAnyDeskが無料トライアルライセンスの有効期限切れ状態の状態でGalaxy S22からプライバシーモードの切替テストは無事行えました。
その手順を以下にご紹介致します。
- Windows側
AnyDeskのHelp Centerの解説動画(https://anydesk.com/ja/features/privacy-mode)によるとリモートデバイス(操作される側)には無人アクセス用パスワードを設定するのが一般的なようですが、今回は単なるテストですので無人アクセスパスワードの設定は無しにしてあります。
- Galaxy S22側操作
- Windowsへの接続
(1)S22側からWindowsのAnyDesk IDを指定して通常の接続を開始します。
(2)この時、Windows側に承認画面が表示されますが、その承認画面でProfileとして[Unattended Access]を選択すると[Allow to enable privacy mode]が青色の有効表示になります。
ここで[承諾]をクリックするとS22側にWindowsのデスクトップが表示されます。
- S22側からのプライバシーモードへの手動切り替え
S22側のパイメニューのスパナアイコンの[セッションの設定]メニューを開いて[ディスプレイ]をタップします。
「ディスプレイ」画面で[プライバシーモードを有効にする]オプション(利用不可と表示されていますが)をOffからOnに変更するとプライバシーモードになります。
[プライバシーモードを有効にする]オプションをOnからOffに変更するとプライバシーモードが解除されてリモートデバイス(操作される側)にWindowsのデスクトップが表示されます。
[プライバシーモードを有効にする]オプションをOnのまま切断[終了]してもプライバシーモードが解除されますが、[プライバシーモードを有効にする]オプションをOnのまま残ります。
- 自動プライバシーモード化
[プライバシーモードを有効にする]オプションをOnのままそのWindowsに再接続すると自動的にプライバシーモードになります(この場合手動でOffに切り替えることも可能です)。
- プライバシーモードでのPCブラックアウトの強制解除例
プライバシーモードでPC画面がブラックアウト表示になるとそのPCでのマウス・キーボード操作ができなくなりシャットダウン操作もできなくなります(シャットダウンは電源を切るしか手はありません)。
何らかの要因で接続元からのプライバシーモード解除ができない状況においてブラックアウト状態になったPCを電源を切ることなしに接続元との接続を解除して画面を再表示する方法の一例をご紹介致します。
その方法の一例としてスマホ(例えばS22)からWindows側のOpenSSHサーバにログインしてAnyDesk Serviceを停止させるコマンドを実行する手順を簡単にご説明します。
※ PC画面がブラックアウトしてもssh接続要求は受け付けられます。
- 接続先Windows側でのbatファイルの準備
AnyDesk Serviceを停止させるコマンドから成るbatファイルを用意します。
(1)batファイルの所在:例えばC:\anydesk\anydesk-stop.batとします。
(2)anydesk-stop.batの内容
"C:\Program Files (x86)\AnyDesk\AnyDesk.exe" --stop-service
|
- Windows側へのOpenSSHの導入と設定
「設定」の「オプション機能」検索で表示される[OpenSSH]をインストールします。
更にOpenSSH SSH Serverサービスのスタートアップの種類を[手動]から[自動]に変更して[開始]ボタンをクリックします。
スマホ(S22)のTermuxアプリからのssh接続でAdministratorでのログインも可能です(今回は使用しません)。
- スマホ(S22)のTermuxアプリからのssh接続でのブラックアウト解除
- 通常ユーザでのsshログイン
Administratorsグループに所属する通常ユーザでログインします。
- C:\anydesk\anydesk-stop.batの実行
ログインユーザに対するC:\Users\ユーザ直下にanydesk-stop.batがある場合はanydesk-stopを指定してEnterキーを押すだけでいいのですがそうでない場合は「\」の指定方法で注意すべきことがあります。
スマホのオンスクリーンキーボードでは「\」を使ってC:\anydesk\anydesk-stopと指定するとファイル/コマンドが見つからないというエラーになります。
この場合は「\」ではなくバックスラッシュを指定する必要があります。
下記はその実行例です。
- 接続元での表示
プライバシーモードにした接続元がLinux(Ubuntu)の場合は下記のような「接続を終了する」メッセージが表示されます。
- Windows側でのAnyDesk Serviceの再開始
anydesk-stop.batの実行でAnyDesk Serviceサービスが停止状態になっているため再度[開始]ボタンをクリックします。
- AnyDeskのネスト例
AnyDeskでは接続のネストが可能です。
例えば最初にS22からLinuxに接続してS22側にLinuxデスクトップを表示します。
次に、LinuxからWindowsにAnyDesk接続するとS22のAnyDeskにはLinuxとWindowsの両方のデスクトップが表示されることになります。
このようなネスト実行でWindows側がプライバシーモードでブラックアウトしてもS22側に表示されているLinuxのAnyDeskでWindowsとの接続を終了させるとWindowsのブラックアウトは解除されます。
- スマートフォン連携でのAnyDesk利用例
Androidスマホ側の「Windowsにリンク」アプリとWindows側の「スマートフォン連携」アプリを使用するとWindows上でAndroidスマホから他のデバイスへのAnyDesk接続を操作可能となります。
「スマートフォン連携」はAndroidスマホ内のアプリをまるでWindowsアプリのようにWindows上から操作可能とするMicrosoft標準のアプリです。
実際には、Androidスマホ内のアプリはAndroidスマホ内で動いていていながらその画面をWindows側にミラーリングしています(ミラーリングの許可が要求されます)。
Windows側の「スマートフォン連携」でのアプリ一覧からAnyDeskを起動して別のスマホ(Galaxy S8)に接続してみました。
具体的には下記のデバイスのAndroidスマホ(Galaxy S22)から別のAndroidスマホ(Galaxy S8)へのAnyDesk接続をWindows側の「スマートフォン連携」で行ってみました。
・ローカル側のAndroidスマホ(Galaxy S22):モデル番号SCG13
・リモート側のAndroidスマホ(Galaxy S8):モデル番号SCV36
この利用例では、リモートネットワーク側にあるスマホ(S8)画面をローカル側のWindows上でスマホ画面をキャプチャできるようになります。
勿論、スマートフォン連携を使用しなくてもリモートネットワーク側にあるスマホ(S8)に対してローカル側のWindowsから直接AnyDesk接続しても同じようなキャプチャは取得できます。
しかしその場合はWindows側のAnyDeskウィンドウに大きな余白(グレイ部分)ができてしまいます。
Androidスマホ同士を接続してトラブルシュートする様子を記録する場合はスマートフォン連携を利用するのが便利かと思います。
- 実況中継例
AnyDeskはビジネス用途以外にも幅広く応用することができます。
ここではスマホのカメラ映像とその解説音声を実況中継として遠く離れたPC側に転送する例を簡単にご紹介致します。
- 使用するデバイス
- Androidスマホ1(AS1)
カメラ映像の転送用スマホです。
- Androidスマホ2(AS2)
カメラ映像に対する解説音声の転送用スマホです。
AS1スマホのカメラで被写体を捉えて解説してもその音声は転送できないためAS1とは別のスマホを音声転送用として使用します。
- Windows用PC(PC1)
カメラ映像と解説音声を受け取るPCです。
- 手順
- PC1からAS1にAnyDesk接続します。
- AS1で「カメラ」アプリを起動して被写体を追います。
この映像はPC1に転送されます。
- PC1からAS2にも同時にAnyDesk接続します。
- AS2でカメラ映像に対する解説を行います。
この解説音声もPC1に同時転送されます。
- PC1ではカメラ映像と解説音声を同時に視聴できます。
・AS1のカメラ映像(被写体はAS2:ちょっとややこしい)をAS2で解説している際のPC1の画面例
- AnyDeskの利点
- LANを越えてWANレベルでリモートデスクトップ接続が可能
- Linuxサーバの遠隔GUI操作
Linuxサーバの維持・管理をGUIでせざるを得ない場合にWindows等からAnyDeskで接続してそのLinuxサーバを遠隔GUI操作できます。
AndroidスマホからでもLinuxサーバの遠隔GUI操作は可能ですが、Androidスマホ側の狭い画面では操作がしづらいのでWindowsからの接続がベターかと思います。
- 超簡易VPN接続によるLinuxサーバの遠隔CUI操作
AnyDesk VPNは接続先と接続元の二つのエンドポイントデバイス間にVPNトンネルを簡易構築する機能です。
一般的なVPN機能に比べて用途は限定されますが、Linuxサーバに対するCUI操作だけで済むような場合(例:PostgreSQL環境のメンテナンス等)はAndroidスマホからAnyDesk VPN接続/VPNセッションを使ってそのVPN経由でのssh接続でLinuxサーバの維持・管理が行えます。
- その他...
色々あります。
- AnyDeskのパーソナルテクニカルサポートについて
AnyDeskサポートセンタへの直接的な問い合わせ等のパーソナルテクニカルサポートを受けるには「カスタマサポート」というものが必要になります。
カスタマサポートはソロライセンスを含むすべての有料ライセンスに標準で含まれています。
パーソナルテクニカルサポートを受ける際は基本的に有料ライセンスとリンクされたメールアドレスで質問をするか、またはメール内に顧客番号を記載します。
パーソナルテクニカルサポートは迅速かつ丁寧な対応のようです。
尚、有料ライセンスをお持ちでない方はカスタマポータルサイト(https://anydesk.com/ja/contact-anydesk/general)から問い合わせが可能です(但し、パーソナルテクニカルサポートと違って添付ファイル不可)。
(その際、顧客IDを指定すればパーソナルテクニカルサポートと同じ扱いになるかも知れません)。
- AnyDeskのエラー診断サポートについて
トラブル発生時にAnyDeskのパーソナルテクニカルサポートを受ける際、その接続元及び接続先の情報の提示を求められることがあります。
- 接続元情報
(1)OSとそのバージョン
(2)AnyDeskのバージョン
(3)AnyDeskのアプリビルド区分
これは標準ビルドなのか、またはカスタムビルドされたものなのかの区分です。
- 接続先情報
接続元情報と同様です。
更に接続元及び接続先のトレース情報も求められる場合があります。
- トレース情報の所在
デバイス別トレース情報の所在はhttps://support.anydesk.com/knowledge/trace-files#trace-file-locationsに記載されています。
トレース情報をAnyDeskサポートセンタへメール送信します。
尚、Androidスマホでのトレース情報の所在は示されていませんので、次の方法でトレース情報送信を行います。
- Androidスマホでのトレース情報送信
Androidスマホでのトレース情報の所在は公開されていないようですが、そのトレース情報の送付方法は以下の通りです。
(1)AndroidスマホのAnyDeskアプリの三本線メニューから[AnyDeskについて]を開きます。
(2)[データをエラー診断に送信します]をタップします。
(3)エラーについての必要事項を記入・選択(日付・時刻の選択)して[電子メールを送信します]をタップします。