AnyDeskメモ
AnyDeskは別々のネットワークに存在するデバイス同士でリモートデスクトップ接続&遠隔GUI操作をサポートするアプリとしてよく知られています。
リモートデスクトップと言えばPC(Windows,Linux等)同士の接続やスマホからPCへの接続を思い浮かべる方も多いかと思います。
しかし、AnyDeskではPCからスマホにもリモートデスクトップ接続して遠隔GUI操作できるのも大きな特徴です。
尚、AnyDeskでは各デバイスに導入されたAnyDeskアプリのことを「クライアント」と呼んでいます。
ここではAnyDeskをこれから試してみたいというユーザの方へのメモ書きを集めてみました。
- 同時接続数について
AnyDeskではデバイスにもよりますが例えば一つのPC(Windows)から複数のデバイスに同時に接続することができます。
AnyDeskでは一つのデバイスから最大何個のデバイスに同時接続できるかを表すもの(同時に発信接続できる数)として「同時接続数」という用語を使用しています。
小規模から中規模のチームや企業に最適なライセンスとしてスタンダードライセンスというものがあります。
(中規模の企業や大規模なチーム向けに設計されたビジネス機能の完全なセットのライセンスはアドバンストライセンスと呼ばれています)
スタンダードライセンスでの同時接続数はデフォルトで1ですが、ライセンス購入時の同時接続の追加購入(アドオン)で同時接続数を20にまで拡大することができます。
スタンダードライセンスでの同時接続数n個分の年間価格は1個分の約n倍の価格となります。
同時接続数nのライセンスは複数のデバイスに登録できます。
但し、iPhoneについてはベンダーの制限によりライセンスの登録機能は用意されていません。
- 無料ライセンスについて
デバイスにAnyDeskをインストールしただけでは無料ライセンスとしてのみ使用可能です。
無料ライセンスの場合はPCのAnyDesk ID(9〜10桁の番号)の代わりとなるエイリアス(別名)を設定できないという制約があります。
スマホについてはライセンス登録なしでエイリアス設定が可能です。
無料ライセンスでの同時接続数は1ではありません(複数デバイスへの同時接続可能)。
- 無料トライアルライセンスについて
AnyDeskアカウントを登録(無料)すると、ビジネス用途のスタンダードライセンスの「同時接続9」版ライセンスが自動付与されます(14日間無料で使用可能)。
※ AnyDeskアカウントの登録(Register)はmy.anydesk II( https://my.anydesk.com/v2 )にて行います。
実際にはデバイスに登録する無料トライアルライセンスキーが付与されます。
無料トライアルライセンスの有効期限が切れた場合は有料版への自動移行はされず、単にそのライセンスでの発信接続ができなくなるだけですので次のいずれかの処置をして発信接続を可能とします。
- 無料ライセンスへの戻し
デバイスのAnyDeskのアンインストール&再インストールによって無料ライセンスに戻すことができます。
その場合のポイントはアンインストールのオプションで設定(AnyDesk IDやエイリアス)を残したままアンインストールすることです(詳細略)。
- 有料ライセンスの購入とそのライセンスキーの登録
尚、Appleの制限により無料トライアルライセンスでのiPhoneへの接続はできないようになっています(iPhoneへの接続には有料ライセンスが必須)。
- システムサウンドとマイク入力音声について
デバイス内の動画再生音はシステムサウンドです。
スマホからPCにAnyDesk接続してスマホ側からPC内の動画を再生するとその動画再生音はスマホとPCの両方から聞こえてきます。
しかし、Androidスマホについてはシステムサウンドの他のデバイスへの転送をサポートしていません。
そのためPCからAndroidスマホにAnyDesk接続してPC側からAndroidスマホ内の動画を再生してもその動画再生音はPCからは聞こえてきません。
PCからAndroidスマホにAnyDesk接続してPC側から音声が聞こえるようにできるのはAndroidスマホ側のマイク入力音声に限定されています。
- PCからAndroidスマホにAnyDesk接続してスマホ側のマイク入力音声をPC側に転送させるための設定例
ここではあくまでも設定の手順例を紹介するものであり、スマホの機種、AndroidバージョンによってはPC側から音声が聞こえてこない場合もあります。
- PC側の設定
特に設定すべき項目はありません。
- Androidスマホ側の設定
ここで紹介させて戴く設定はあくまでも必須な設定+αの設定例です。
ここではAndroidスマホとしてSamsung Galaxy S22を使用した場合の設定手順を示しています。
別の機種をお使いの場合は設定内容を読み替えて下さい。
- AnyDesk側での[音声を鳴らす]オプションの有効化確認
AnyDeskの「設定」−「セキュリティ」−「権限プロファイル」の「デフォルト」で[音声を鳴らす]にチェックマークが付いていることを確認します。
- AnyDeskの音声設定
AnyDeskの「設定」−「音声」で以下の設定・確認をします。
- 送受信
[音声転送を有効にします(マイクロホン)]にチェックを入れます。
これによって、PCからAndroidスマホに接続要求した際の「着信接続リクエスト」での[デフォルト]権限プロファイルの「音声を鳴らす」アイコンには鍵マーク()が付かなくなります。
- 再生
[再生を有効にする]にチェックが入っていることの確認をします。
- AnyDeskでのマイク許可確認
システムの「設定」−「アプリ」−「AnyDesk」でアプリ情報画面を表示します。
アプリ情報画面のAnyDeskの権限欄に「マイク」があることを確認します。
- AnyDeskのデバイス管理アプリへの追加
※ デバイス管理機能へのアクセスを許可するための設定です。
Androidデバイスに対するロック等を含めた遠隔操作も可能とする設定をしておきます。
(1)システムの「設定」−「セキュリティおよびプライバシー」−「その他のセキュリティ設定」−「デバイス管理アプリ」をタップします。
(2)AnyDeskをONにします(「デバイス管理アプリ起動」ダイアログでは[開始]をタップします)。
- PCからAndroidスマホに接続時の権限プロファイル選択
PCからAndroidスマホに接続要求した際にAndroidスマホ側に表示される「着信接続リクエスト」ダイアログでの権限プロファイルとして[デフォルト]を選択します。
- PCからAndroidスマホに接続した際の確認事項
接続完了後、PC側AnyDeskのパーミッション一覧に「音声送受信(未対応)」ではなく「音声送受信」があることを確認します。
その後Androidスマホに対する操作でマイク入力を実施してみます。
例えばAnyDeskのトップ画面のマイクアイコンをタップしてAnyDeskに話かけたり、Androidスマホのマイクに向かって音楽をかけたりするとそのマイク入力音がPCから聞こえてきます。
※ AnyDeskのトップ画面のマイクアイコンをタップせずにAnyDeskに直接話かけてもその入力音はPCから聞こえてきます。
Androidスマホのアプリによってはマイク入力音がPCに転送できない場合もあるようです。
【補足】
(1)S22以外のAndroidスマホからS22に接続した場合は、S22からのマイク入力音声は接続元のAndroidスマホからは聞こえてきません。
(2)iPhoneからS22に接続した場合も、S22からのマイク入力音声は接続元のiPhoneからは聞こえてきません。
- PCからFire TVにAnyDesk接続してFire TV側のマイク入力音声をPC側に転送させる設定例
ここでのFire TVはFire TV Stick 4K(2019年版)としています。
またここでのPCはhyper-V上のWindows 11を使用しています。
PCからこのFire TVへの接続においてPCマウス/キーボードを使用しての遠隔操作はできませんがFire TVの画面共有とFire TV側のマイク入力音声をPCで聴くことはできます。
- Fire TV用AnyDeskプラグインの起動不可について
Fire TVでAnyDeskを起動すると「プラグインの有効化」ダイアログが表示されます。
[AGREE]を応答すると以下のエラーが表示されます。
エラー:Androidのアクセシビリティ設定でAnyDeskコントロールサービスを有効にしてください!
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Fire TVでのアクセシビリティ設定というのは「設定」の「ユーザ補助」の中に集められているのですがその中にはAnyDeskコントロールサービスらしきものは含まれていません。
また、Fire TVの「設定」−「アプリケーション」−「インストール済みアプリを管理」の中の[AdControl-AD1](プラグイン)を開いて[アプリを起動]を実行してもそのプラグインは起動されません。
[AdControl-AD1](プラグイン)が起動できないということはFire TVを他のデバイスから遠隔操作できないということを意味しますがFire TV側の画面をPCに表示することは可能です。
- AnyDesk側での[音声を鳴らす]オプションの有効化確認
AnyDeskの「設定」−「セキュリティ」−「権限プロファイル」の「デフォルト」で[音声を鳴らす]にチェックマークが付いていることを確認します。
- AnyDeskの音声設定
AnyDeskの「設定」−「音声」で以下の設定・確認をします。
- 送受信
[音声転送を有効にします(マイクロホン)]にチェックを入れます。
これによって、PCからFire TVに接続要求した際の「着信接続リクエスト」での[デフォルト]権限プロファイルの「音声を鳴らす」アイコンには鍵マーク()が付かなくなります。
- 再生
[再生を有効にする]にチェックが入っていることの確認をします。
- AnyDeskでのマイク許可設定
システムの「設定」−「アプリケーション」−「インストール済みアプリを管理」−「AnyDesk」でAnyDeskの設定画面を表示します。
デフォルトではマイクが却下となっていますのでマイクを許可に変更します。
- PCからAndroidスマホに接続時の権限プロファイル選択
PCからAndroidスマホに接続要求した際にAndroidスマホ側に表示される「着信接続リクエスト」ダイアログでの権限プロファイルとして[デフォルト]を選択します。
- PCからAndroidスマホに接続した際の確認事項
接続完了後、PC側AnyDeskのパーミッション一覧に「音声送受信(未対応)」ではなく「音声送受信」があることを確認します。
その後Fire TVのリモコンのマイクボタンを押したままマイクに話しかけるとそのマイク入力音がPCから聞こえてきます。
【補足】
(1)iPhoneからFire TV Stickに接続した場合、Fire TV Stickからのマイク入力音声は接続元のiPhoneからは聞こえてきません。
- PC同士のチャット例
AnyDeskはPC同士のチャットをサポートしています。
ここではPC1(Windows)からPC2(Windows)に接続した場合のチャット例をご紹介致します。
- PC1からPC2に接続要求します。
この時、PC2側には承諾セクションとチャットセクションが並んだ承認ウィンドウが表示されます。
ここでは便宜上PC2のチャット画面と呼ぶことにします。
その一番下にはチャットテキストの入力バーが表示されます。
PC2側で[承諾]ボタンをクリックすると接続が成立します(セッションの開始)。
PC1側のAnyDesk画面にはPC2のデスクトップが表示されます。
- PC1側のAnyDesk画面のAnyDeskツールバーの[チャット]メニューを開きます。
PC1側にチャット画面が表示されます。
その一番下にはチャットテキストの入力バーが表示されます。
- PC1からのテキスト送信
PC1のチャットテキストの入力バーにテキストを入力してその行の右側にある紙飛行機アイコンをクリックします。
そのテキストがPC1側とPC2側の両方のチャット画面に送信されます。
PC2からのテキスト送信も同様の操作となります。
- チャット中のPC1チャット画面例
・チャット中のPC2チャット画面例
【補足】
(1)チャットはPC2側で承諾する前の時点でも行えます。
(2)スマホについてはチャット画面が用意されていないためチャットはできないようです。
ちなみにAndroidスマホのAnyDesk用Chat keyboardはチャット用のキーボードということではありません。
(Chat keyboardは送信先デバイスのマウスポインタのある所にテキストを一括送信するためのキーボードです)
(3)PC1(Windows)からPC3(Ubuntu)に接続した環境でのチャット例
- AnyDeskアカウント削除不可の件
AnyDeskのアカウントを取得しておくとリモートデバイスに長時間接続したままにできる等のメリットがあります。
しかし何らかの要因でそのアカウントを削除したくなっても現状のAnyDeskでは削除不可となっています。
(そのアカウントでログインしているデバイスの有無やそのアカウントに紐付けされているライセンスの有効期限切れ状態に関係なく削除不可)
古い仕様での削除方法については、https://support.anydesk.com/knowledge/how-do-i-delete-my-anydesk-accountにて解説されていますがその内容は現在無効です。
- AnyDeskでの同時接続数について
同一ライセンスコードを設定しているPC1とPC2が同時に接続元になってそれぞれのセッションが実行されている場合の同時接続数は「2」となります。
簡単に言うと同時に接続元になっているデバイスの個数が同時接続数となります(あくまでも同一ライセンスコードの下での話です)。
尚、一つのデバイスから複数のデバイスに同時に接続できますが、そのデバイスの同時接続数は「1」とカウントされます。
具体例として、PC1が二つのデバイスに同時に接続して二つのセッションが実行されていて、更にPC2も同時に一つのデバイスと接続しているとします。
その場合も同時に接続元になっているデバイス数が2個なので同時接続数は「2」ということになります。
【補足】
(1)スマホはそのデバイスから複数デバイスへの同時接続はできません(「新しい接続」画面が用意されていません)。
(2)無料トライアルライセンスのライセンス種別は「standard_1」と表示されますが、最後の「1」には特別な意味はなく、同時接続数は「9」となっています。
(3)無料ライセンス(free-1)については同時接続の制約は特にありません。
- AnyDeskの同時接続ライセンスについて
AnyDeskのライセンスは「同時接続ライセンス」(Concurrent User License)が基本となっています。
例えば「同時接続n」ライセンスというのは、ライセンス登録デバイス数はnを超えてもOKですが、そのライセンスでの同時接続数(同時発信デバイス数)は最大n個に制限されるというライセンスです。
最もポピュラーとされるスタンダード(standard)ライセンスの「同時接続n」(送信接続n)ライセンス(n<=20)では次の通りとなります。
- ライセンス登録デバイス数:最大20台
これはそのライセンスのAnyDeskアカウントでのログインデバイス数が最大20ということでもあります。
また、一つのデバイスからログアウトすると新たに未ログインデバイス1台にログイン可能となります。
- 同時接続数:最大n
- 接続先のデバイス数:制限なし
ちなみに個人利用(solo)ライセンスでは「同時接続1」(送信接続1)しかなく、ライセンス登録デバイス数は最大3台となります。
尚、AndroidスマホにはAnyDeskのログイン機能がありますが、iPhoneにはそれがなく言ってみれば使いたい放題という扱いになるかと思います。
- クリップボード機能について
接続先デバイスから接続元デバイスへのテキストのコピー&ペーストは一つのOSの中でのコピー&ペースト方法と同じです。
AnyDesk画面内の接続先デバイスのテキストを選択して[コピー]後に接続元のコピー先に[貼り付け]するだけです。
下記は接続先デバイス(PC2)のUbuntu側から接続元デバイス(PC1)のWindows側メモ帳にテキストをコピー&ペーストした様子です。
その逆の接続元デバイスから接続先デバイスへのテキストのコピー&ペーストはAnyDeskのクリップボード機能を使用します。
接続元デバイス(PC1:Windows)から接続先デバイス(PC2:Ubuntu)へのテキストのコピー&ペーストの手順例をご紹介します。
- 接続元デバイスでのコピー
例えばWindowsのメモ帳に例えば「uname -srm」というコマンドを入力してその文字列を[コピー]します。
- ペースト先を決めます。
例えば、接続元のAnyDesk画面でUbuntu側の端末を起動してその端末の先頭にマウスポインタを位置付けます。
- AnyDesk画面のAnyDeskツールバーの「操作」(雷/稲妻アイコン)−[Insert from clipboard]を実行します。
- 接続先にコマンド(テキスト)がペーストされます。
- アドレス帳の新規作成について
AnyDeskのアドレス帳は9桁または10桁のAnyDesk IDに対する別名を登録するものです。
ここではアドレス帳にUbuntuのアドレスを登録利用する例をご紹介致します。
- Windows版AnyDeskでの[アドレス帳]メニュー
[新規]と[アドレス帳の管理]共にプレミアム版ライセンスが必要の旨表示されます。
プレミアム版ライセンスが必要と表示されてもスタンダード版の無料トライアルライセンスが利用できます。
- [サインイン]をクリックして無料トライアルライセンスを取得したAnyDeskアカウントを指定します。
※ [Start trial]をクリックすると無料トライアルライセンスの取得申請画面が表示されます。
ここでは無料トライアルライセンス取得済のAnyDeskアカウントでサインインします。
- サインイン後の「アドレス帳」−「新規」で新しい名称として例えば「AddrBook1」を指定します。
※ ここでのアドレス帳はAnyDeskアカウント/ライセンスコードに関連付けされるため「個人用アドレス帳」ではなく「組織のアドレス帳」という位置付けになります。
- 項目を追加する画面で例えばUbuntuのアドレス(AnyDesk IDまたはそのエイリアス)とアドレス帳での名称を指定します。
アドレス帳にデバイスを登録するとそれがアドレス帳に表示されます。
- 新しい接続で[アドレス帳]を選択して接続先デバイスのメニューから[接続する]をクリックします。
これで無料ライセンスでは使用できなかった「組織のアドレス帳」を無料トライアルライセンスで作成して接続が行えるようになります。
- デフォルトのアドレス帳への項目追加について
アドレス帳についての説明が前後してしまいますが、AnyDeskアカウントを登録したAnyDeskアカウントページ(正確にはmy.anydesk IIコンソール)にはデフォルトの個人用アドレス帳として「My address book」があります。
「My address book」を開いて[+エントリーを作成]でアドレスを追加できます。
ちなみにAnyDeskアカウントページでのアドレス帳についてはCSVでのエクスポートやインポートのオプション機能も使用できます。
「My address book」のエントリを選択してその[接続する]メニューで接続できます。
- ライセンス期限切れデバイスからのAnyDesk接続例
ライセンス期限が切れたデバイスは接続元にはなれず、接続しようとすると「ステータス:anynet_license_expired」エラーとなります。
(そのデバイスからログアウトすれば無料ライセンスになるため接続元にはなれますが...)
ここでは無料ライセンスにしないままでライセンス期限切れデバイス側に接続元デバイスの表示をして遠隔操作する例をご紹介します。
それは「期限切れ」を特に意識しないAnyDeskの「アクセス方向を反転する」という機能(サイドスイッチとも呼ばれています)で行えます。
「アクセス方向を反転する」という機能は接続元(ローカル端末)と接続先(リモート端末)をスイッチする(反転する)させる機能です。
ここではPC1(Windows)とPC2(Ubuntu)があってPC2側がライセンス期限切れになっていてPC1に接続できない状況とします。
- PC1(Windows)からPC2(Ubuntu)へのAnyDesk接続を実施します。
ライセンス期限切れになったデバイスでも接続先にはなれます。
- PC1(Windows)側のAnyDeskツールバーの「操作」−[アクセス方向を反転する]を実行します。
- 反転確認ダイアログで[OK]をクリックします。
- PC2(Ubuntu)側のAnyDeskにPC1(Windows)のデスクトップが表示されます。
この場合、PC1(Windows)とPC2(Ubuntu)のAnyDesk画面で「アクセス方向を反転する」ボタンが表示されるようになります。
- ライセンス期限切れになっているPC2(Ubuntu)側のAnyDesk画面でPC1(Windows)デスクトップを操作できます。
尚、PC2(Ubuntu)側からはPC1(Windows)内のAnyDesk監視画面は操作することはできません。
車両進入禁止のようなマークが表示されます。
- PC1(Windows)またはPC2(Ubuntu)の「アクセス方向を反転する」ボタンでPC1(Windows)側にPC2(Ubuntu)のデスクトップが表示されて再びPC2(Ubuntu)を遠隔操作可能となります。
- 無料ライセンスの接続時間制限について
ユーザ評価等の古い書き込みでは「1時間位」という表現も残っていますが、最新時点では接続して7時間放置しておいても「desk_rt_auto_disconnect」というステータスエラーにはなりませんでした。
無料ライセンスの接続時間制限(一定期間中の接続制限等)に関する開発元からのご回答内容について詳細を確認中です。
- AnyDeskのTCPトンネリング利用例
AnyDeskではPC同士での限定的なTCPトンネリングをサポートしています。
AnyDeskでのTCPトンネリングは接続元のローカルデバイスと接続先のリモートデバイスとの間でTCPベースのプロトコルを転送する機能です。
例えば接続元のローカルデバイス側にsshサーバがなくて接続先のリモートデバイスの属するリモートネットワーク側にsshサーバがある場合に、
「ssh localhost -p 8022」のようなコマンドでリモートネットワーク側のsshサーバに接続可能となります。
AnyDeskでのTCPトンネリングについては下記のAnDeskのヘルプセンタの「TCPトンネリング」で分かりやすく解説されています。
https://support.anydesk.com/ja/knowledge/tcp-tunneling
ここではWindowsからUbuntuへの順方向でのTCPトンネリング利用例をご紹介致します。
※ 逆方向でのTCPトンネリングもサポートされています。
- AnyDeskでのTCPトンネリング設定箇所について
TCPトンネリングの設定箇所はAnyDeskの「設定」には存在しません。
しかしアドレス帳の接続先デバイスのコンテキストメニューの中には[TCPトンネリングを設定]メニューがあります。
- AnyDesk接続後のTCPトンネリング設定について
接続元のローカルデバイスから接続先のリモートデバイスにAnyDesk接続した後でもTCPトンネリングを設定して有効にすることもできます。
今回はAnyDesk接続後のssh接続用TCPトンネリング設定例についてご紹介いたします。
- ssh接続用TCPトンネリングの前提条件
(1)接続元のローカルデバイス側でのssh接続ポートはそのローカルネットワークでは使用していない「8022」ポートとします。
(2)接続先のリモートデバイス側に存在するsshサーバのリモートネットワークでのアドレスは「192.168.1.223」とします。
(3)sshサーバの待ち受けポートは標準の「22」とします。
- TCPトンネリングの設定
(1)AnyDesk接続後のAnyDeskツールバーの「操作」メニュー(Action menu)の[TCPトンネリングを設定]を開きます。
(2)「TCPトンネリングを設定」ダイアログで下記を指定します。
・ローカルポート:8022
・リモートホスト:192.168.1.223
・リモートポート:22
上記の設定後に[トンネルを追加する]&[保存]ボタンをクリックします([保存]で設定内容が即機能します)。
ちなみに設定画面での赤い×マークはその行の削除を行うためのものです。
- TCPトンネリングの確認テスト
- 接続元のローカルデバイス(Windows)側のコマンドプロンプトを起動して以下のコマンドを実行します。
ssh amber@localhost -p 8022
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- パスワードを入力してsshでのログインが完了してコマンド操作が可能となります。
・sshでのログインとコマンド実行例
- AnyDesk VPNについて
通常よく使用されている「OpenVPN Connect」アプリはWindowsを含めた多様なデバイス/OSに対応しています。
しかし、AnyDesk VPNはWindowsには未対応でMacOS,Linux,及びAndroidクライアントでの限定サポートとなっています。
VPN設定としては、接続先デバイスの所属するLAN環境でのStart IPとDefault subnetを設定します。
接続先デバイスを指定して縦三点メニューの[VPN]でVPN接続が可能となり、接続元デバイスから接続先デバイスのLAN環境へのssh接続等が使用可能となります。
Androidスマホからの[VPN]接続では「接続リクエスト」ダイアログに、接続完了時に画面に鍵マークが表示される旨表示されます。
尚、AnyDeskのVPN接続では通常の業務で使用される汎用的なVPNサーバとは機能差があるようで一般的なVPNサーバの代替えとして使用することは困難なようです。
Windowsからのssh接続に限定して言えば、VPNを使用せずにAnyDesk接続した接続先からsshサーバに直接ssh接続すればOKかと思います。
(ssh実行コマンドやその実行結果等は接続元Windowsと接続先デバイスとの間で簡単にコピー&ペーストできます)
或いは、AnyDesk VPNではなく先述したAnyDeskのPC用TCPトンネリングを利用すればローカルPCからリモートのsshサーバに直接接続可能となります。
【AnyDesk VPNの補足】
(1)AnyDesk VPNはWindowsに未対応でWindowsを[VPN]接続先にすることもできません。
(2)Windows版でのAnyDesk VPNサポートの対応予定は未定のようです。
(3)「Automatically start and configure VPN connection」オプションは通常の接続時にVPN接続も自動的に行うオプションです。
(4)簡単なVPNテスト例
ここではLinuxからAndroidスマホ(Galaxy S22)へのVPN接続して、Androidスマホ側からVPN接続で得られたIPアドレスを使ってLinux側にssh接続する例を紹介します。
ローカルデバイスのLinuxのIPアドレスは192.168.1.23とし、リモートネットワーク側のAndroidスマホのIPアドレスを例えば192.168.0.22とします。
- Linux版AnyDeskでの[VPN]接続ボタン
接続先を指定する行の右側に[VPN]接続ボタンがあります。
- [VPN]接続後のステータス表示例
[VPN]接続によってリモート側スマホのIPアドレスが172.18.0.1となり、ローカル側LinuxのIPアドレスが172.18.0.2となりました。
(Linux側のifconfig結果はここでは表示していませんが、VPNトンネルによってローカル側Linuxのtun0インタフェースアドレスが172.18.0.2となりました)
ローカル(172.18.0.2)からリモート(172.18.0.1)へのpingも通ります。
- リモート側スマホからローカル側Linuxへのssh接続例
リモート側スマホのTermuxアプリでローカル側Linuxへのssh接続がOKとなりました。
ssh接続コマンドは次の通りです。
スマホの上部のステータスバーにはVPN接続の鍵マークが表示されています。
- スマートフォン連携でのAnyDesk利用例
Androidスマホ側の「Windowsにリンク」アプリとWindows側の「スマートフォン連携」アプリを使用するとWindows上でAndroidスマホから他のデバイスへのAnyDesk接続を操作可能となります。
「スマートフォン連携」はAndroidスマホ内のアプリをまるでWindowsアプリのようにWindows上から操作可能とするMicrosoft標準のアプリです。
実際には、Androidスマホ内のアプリはAndroidスマホ内で動いていていながらその画面をWindows側にミラーリングしています(ミラーリングの許可が要求されます)。
Windows側の「スマートフォン連携」でのアプリ一覧からAnyDeskを起動して別のスマホ(Galaxy S8)に接続してみました。
具体的には下記のデバイスのAndroidスマホ(Galaxy S22)から別のAndroidスマホ(Galaxy S8)へのAnyDesk接続をWindows側の「スマートフォン連携」で行ってみました。
・ローカル側のAndroidスマホ(Galaxy S22):モデル番号SCG13
・リモート側のAndroidスマホ(Galaxy S8):モデル番号SCV36
この利用例では、リモートネットワーク側にあるスマホ(S8)画面をローカル側のWindows上でスマホ画面をキャプチャできるようになります。
勿論、スマートフォン連携を使用しなくてもリモートネットワーク側にあるスマホ(S8)に対してローカル側のWindowsから直接AnyDesk接続しても同じようなキャプチャは取得できます。
しかしその場合はWindows側のAnyDeskウィンドウに大きな余白(グレイ部分)ができてしまいます。
Androidスマホ同士を接続してトラブルシュートする様子を記録する場合はスマートフォン連携を利用するのが便利かと思います。
- 実況中継例
AnyDeskはビジネス用途以外にも幅広く応用することができます。
ここではスマホのカメラ映像とその解説音声を実況中継として遠く離れたPC側に転送する例を簡単にご紹介致します。
- 使用するデバイス
- Androidスマホ1(AS1)
カメラ映像の転送用スマホです。
- Androidスマホ2(AS2)
カメラ映像に対する解説音声の転送用スマホです。
AS1スマホのカメラで被写体を捉えて解説してもその音声は転送できないためAS1とは別のスマホを音声転送用として使用します。
- Windows用PC(PC1)
カメラ映像と解説音声を受け取るPCです。
- 手順
- PC1からAS1にAnyDesk接続します。
- AS1で「カメラ」アプリを起動して被写体を追います。
この映像はPC1に転送されます。
- PC1からAS2にも同時にAnyDesk接続します。
- AS2でカメラ映像に対する解説を行います。
この解説音声もPC1に同時転送されます。
- PC1ではカメラ映像と解説音声を同時に視聴できます。
・AS1のカメラ映像(被写体はAS2:ちょっとややこしい)をAS2で解説している際のPC1の画面例
- AnyDeskの利点
- LANを越えてWANレベルでリモートデスクトップ接続が可能
- Linuxサーバの遠隔GUI操作
Linuxサーバの維持・管理をGUIでせざるを得ない場合にWindows等からAnyDeskで接続してそのLinuxサーバを遠隔GUI操作できます。
CUIだけで済む場合はAnyDeskは導入しなくてもVPN経由でssh接続してLinuxサーバの維持・管理が行えます。
- その他...
色々あります。
- AnyDeskのパーソナルテクニカルサポートについて
AnyDeskサポートセンタへの直接的な問い合わせ等のパーソナルテクニカルサポートを受けるには「カスタマサポート」というものが必要になります。
カスタマサポートはソロライセンスを含むすべての有料ライセンスに標準で含まれています。
パーソナルテクニカルサポートを受ける際は基本的に有料ライセンスとリンクされたメールアドレスで質問をするか、またはメール内に顧客番号を記載します。
パーソナルテクニカルサポートは迅速かつ丁寧な対応のようです。
尚、有料ライセンスをお持ちでない方はカスタマポータルサイト(https://anydesk.com/ja/contact-anydesk/general)から問い合わせが可能です(但し、パーソナルテクニカルサポートと違って添付ファイル不可)。
(その際、顧客IDを指定すればパーソナルテクニカルサポートと同じ扱いになるかも知れません)。
- AnyDeskのエラー診断サポートについて
トラブル発生時にAnyDeskのパーソナルテクニカルサポートを受ける際、その接続元及び接続先の情報の提示を求められることがあります。
- 接続元情報
(1)OSとそのバージョン
(2)AnyDeskのバージョン
(3)AnyDeskのアプリビルド区分
これは標準ビルドなのか、またはカスタムビルドされたものなのかの区分です。
- 接続先情報
接続元情報と同様です。
更に接続元及び接続先のトレース情報も求められる場合があります。
- トレース情報の所在
デバイス別トレース情報の所在はhttps://support.anydesk.com/knowledge/trace-files#trace-file-locationsに記載されています。
トレース情報をAnyDeskサポートセンタへメール送信します。
尚、Androidスマホでのトレース情報の所在は示されていませんので、次の方法でトレース情報送信を行います。
- Androidスマホでのトレース情報送信
Androidスマホでのトレース情報の所在は公開されていないようですが、そのトレース情報の送付方法は以下の通りです。
(1)AndroidスマホのAnyDeskアプリの三本線メニューから[AnyDeskについて]を開きます。
(2)[データをエラー診断に送信します]をタップします。
(3)エラーについての必要事項を記入・選択(日付・時刻の選択)して[電子メールを送信します]をタップします。