Parallels Desktop 5.0 for Mac 日本語版[3Dグラフィックス編]

2009年11月4日にParallels Desktop 5.0 for Mac 日本語版(Build 5.0.9220)がリリースされました。
Parallels Desktop 5.0 for Macでは3Dグラフィックス機能が強化されました。
例えば、WindowsゲストでのAeoグラフィックスやLinuxゲストでのCompiz Fusion等が利用可能となりました。
[補足]
2009年10月27日にリリースされたVMware Fusion 3.0のLinuxゲストでのCompiz FusionはIntel GMA950搭載のIntel Macでは動作しません。
しかしParallels Desktop 5.0 for MacのLinuxゲストでのCompiz FusionはIntel GMA950搭載のIntel Macでも動作します。

ここではそのParallels Desktop 5.0 for Mac 日本語版でAeoグラフィックスとCompiz Fusionを利用する手順を中心に紹介致します。
尚、今回使用したホストOSはSnow Leopardです(ゲストのWindowsはWindows 7 RCで、LinuxはUbuntu 9.04です)。


1.Windows 7用の仮想マシン定義

(1)オペレーティングシステムの種類とバージョンでは「Windows 7」を選択します。
(2)仮想メモリは1GBとします(512MBでも構いません)。
(3)仮想ハードディスクサイズは8GBの容量固定ディスクとしました。
(4)ネットワークの種類はブリッジネットワークとし、そのアダプタはデフォルトのアダプタを選択しました。
(5)仮想マシン作成後、その仮想マシン構成画面を表示します。
その画面の「ハードウェア」タブのビデオ欄で[3Dアクセラレーションを有効にする]オプションがonであることを確認します。


2.Windows 7のインストール

(1)Windows 7のインストールDVDをセットしてWindows 7用の仮想マシンを起動します。
(2)通常のWindows 7のインストール手順と同様にインストールを進めます。
(3)インストール後の確認;
・エミュレートされるネットワークカードはRealtekのRTL-8029ですが認識されません。
・サウンドドライバもインストールされません。

3.Windows 7へのParallels Toolsのインストール

(1)Parallels Desktopの[仮想マシン]−[Parallels Toolsのインストール]を実行してWindows 7にParallels Toolsをインストールします。
Parallels Toolsは自動マウスキャプチャや画面解像度の動的変更等をサポートするツールです。
(2)Parallels Toolsのインストール後に再起動します。
(3)ディスプレイアダプタはWDDM対応のParallels Display Adapterとなります。
(4)ネットワークカードが利用可能となり使用環境に合わせてネットワーク設定を行います。
(5)サウンドドライバもインストールされます。
そのドライバは「AC'97 Audio Controller」用でボリューム調整もできます。
(6)下記はParallels Desktop環境のドライバがすべて組み込まれた状態のWindows 7のAeroグラフィックス表示です。




4.Ubuntu 9.04用の仮想マシン定義

(1)オペレーティングシステムのバージョンでは「Ubuntu Linux」を選択します。
(2)仮想メモリは512MBとします。
(3)仮想ハードディスクサイズは4GBの容量固定ディスクとしました。
(4)ネットワークの種類はブリッジネットワークとし、そのアダプタはデフォルトのアダプタを選択しました。
(5)仮想マシン作成後、その仮想マシン構成画面を表示します。
その画面の「ハードウェア」タブのビデオ欄で[3Dアクセラレーションを有効にする]オプションがonであることを確認します。


5.Ubuntu 9.04のインストール

(1)Ubuntu 9.04のインストールCDをセットしてUbuntu 9.04用の仮想マシンを起動します。
(2)通常のUbuntu 9.04のインストール手順と同様にインストールを進めます。


6.Ubuntu 9.04へのParallels Toolsのインストール

Parallels Desktopの[仮想マシン]−[Parallels Toolsのインストール]を実行してUbuntu 9.04にParallels Toolsをインストールします。
Parallels Toolsは自動マウスキャプチャや画面解像度の動的変更等をサポートするツールです。
ディスプレイアダプタのドライバとしてprlvideoドライバを含みます。
実際には以下のコマンドを実行します。
# mount /dev/cdrom /mnt
# cd /mnt
# ./install
端末内でParallels Toolsインストーラが起動されますのですべてデフォルト応答で先に進みます。
※Parallels Desktop 4.0 for Macとは異なりParallels Toolsのインストールでエラーは発生しません。
「Parallels Tools for Linuxのインストールが正常に終了しました。」メッセージ表示後再起動します。

[補足]
Parallels Desktop 4.0 for MacではUbuntu 9.04へのParallels Toolsのインストールスクリプトでエラーとなっていました。
その/var/log/parallels-tools-install.logに記録されたエラー内容部分は下記の通りです。
make[1]: ディレクトリ `/usr/src/linux-headers-2.6.28-11-generic' から出ます
Installation of kernel modules was finished successfully
Start installation of user space modules
X server: xorg, v1.6.0
Install X modules from directory: .1.6
System X modules are placed in /usr/lib/xorg/modules
Error: there is no X modules for this version of X server
Error: failed to install user space applications and drivers


7.Ubuntu 9.04でのCompiz Fusionの導入・利用

(1)Compiz Fusionの導入は下記コマンドで行います。
# apt-get update
# apt-get install compiz-fusion* compizconfig-settings-manager fusion-icon emerald
(2)[アプリケーション]−[システムツール]−[Compiz Fusion Icon]を起動します。
(3)[システム]−[設定]−[CompizConfig設定マネージャ]を起動して各種プラグインの設定を行います。
(4)デスクトップサイズが小さい場合は仮想マシンウィンドウの右下をドラッグして任意のサイズに変更できます。
下記は1062x790のゲストデスクトップサイズでCompiz Fusionを利用した際の画面です。




8.MacBook Proでの纏め

MacBook Proに主要な仮想化ソフト(Parallels Desktop 5.0, VMware Fusion 3.0, VirtualBox 3.0.10)を導入し、
Windows 7のAero, Ubuntu 9.04のCompiz Fusionの動作可否を比較検証した結果を下表に纏めました。

MacBook Proのマシン構成;
(1)CPU:Intel Core 2 Duo 2.8GHz
(2)メモリ:4GB
(3)グラフィックス:NVIDIA GeForce 9400M, NVIDIA GeForce 9600M GT
(4)OS:Snow Leopard(ver 10.6)

区分Parallels Desktop 5.0VMware Fusion 3.0VirtualBox 3.0.10
Aero表示
(ゲスト:Windows 7)
○(パフォーマンス評価例)×
Compiz Fusion
(ゲスト:Ubuntu 9.04)
○(iSight利用と音楽CD再生例)×○(実行例)

[補足]
MacBook Pro内蔵の日本製DVDドライブはCPRM対応でありParallels Desktop 5.0のゲストからもCPRM対応ドライブとして扱えます。
Parallels Desktop 5.0上のWindows 7にPowerDVD 9を導入するとDVD-VR形式のDVDを再生できます(再生例)。
(VMware Fusion 3.0上のWindows 7にPowerDVD 9を導入してもPowerDVD 9自体を起動できないようです)