Xen 3.0.3(Core 2 Duo編[NetBSD])

Core 2 DuoマシンのNetBSD 4.0 BETA2(2007年3月版)にXen 3.0.3を導入し、Windows XPのインストールを行ってみました。

Xen環境で通常のOSカーネルのまま動作できるドメインをHVM(Hardware Virtual Machine)ドメインと呼びます。
この完全仮想化技術を利用したHVMドメインではLinux以外のOS(Windows等)も動作可能です。

ここではCore 2 DuoでのHVMドメインでWindows XP Professional(SP2)を動作させる手順を紹介します。

今回使用したPCのハードウェア構成は以下の通りです。
・CPU：Core 2 Duo E6600
・チップセット：Intel P965
・メモリ：3GB
・VGAカード：nVIDIA GeForce 7600 GT(VRAM 256MB)
・HDD：S-ATA 250GB
・LANカード：Intel PRO/100 S ※新しいOSを試行する際の無難なLANカードの一種です


１．NetBSDへのXen HVMの導入

NetBSDにHVM以外のXen 3.0.3環境は導入済みとします。
即ち、xentools30, xenkernel30, grubパッケージは導入済みとします(netbsd-XEN3_DOM0.gzファイルの取得も含む)。
また/etc/ifconfig.bridge0も以下の内容(2行)で作成済みとします(HVM環境でも必要です)。
create
!brconfig $int add fxp0 up

• Domain0の動作確認
  念のためDomain0の簡単な動作検証としてDomainUにNetBSD 3.1をインストールしてみます。
  
  
  • DomainU用NetBSD 3.1カーネルの準備
    ftp://ftp.netbsd.org/pub/NetBSD/NetBSD-3.1/i386/binary/kernelから以下のファイルをダウンロードします。
    netbsd-INSTALL_XEN3_DOMU.gz
    netbsd-XEN3_DOMU.gz
    # cp netbsd-INSTALL_XEN3_DOMU.gz /
    # cp netbsd-XEN3_DOMU.gz /
    # cd /
    # zcat netbsd-INSTALL_XEN3_DOMU.gz > netbsd-INSTALL_XEN3_DOMU
    # zcat netbsd-XEN3_DOMU.gz > netbsd-XEN3_DOMU
    
    
  • 仮想ディスクイメージファイルの作成
    簡単な検証用なので1GBの仮想ディスクイメージファイルを以下のコマンドで作成します。
    # dd if=/dev/zero of=/root/netbsd31u.img bs=1024k count=1024 ※seek指定は使用しません。
    
    
  • DomainU構成ファイルの作成
    # cd /usr/pkg/share/examples/xen
    # cp xmexample1 xmnetbsd31u
    # chmod 644 xmnetbsd31u
    # vi xmnetbsd31u でxmnetbsd31uの一部を以下のように変更します。
    ※NetBSD 3.1はftpからインストールするためインストールCDの定義は不要です。
    
    

    (1)kernel = "/boot/vmlinuz-2.6.10-xenU"を"/netbsd-INSTALL_XEN3_DOMU"に変更。 (2)memory = 64を256に変更。 (3)name = "ExampleDomain"を"netbsd31u"に変更。 (4)vif = [ '' ]を[ 'mac=00:16:3e:00:00:11, bridge=bridge0' ]に変更。 (5)disk = [ 'phy:hda1,hda1,w' ]を['file:/root/netbsd31u.img,wd0d,w' ]に変更。 (6)root = "/dev/hda1 ro"を"/dev/wd0d"に変更。

    
    
  • DomainUの起動(NetBSD 3.1インストーラの起動)
    # cd /usr/pkg/share/examples/xen
    # xm create -c xmnetbsd31u
    
    
  • NetBSD 3.1のインストール
    「NetBSD-3.1 Install System」メニューでまず「Utility menu」を選択して「Configure network」を行います。
    ftpインストールのサイトはデフォルトのままでOKです。
    
    
  • インストール後のNetBSD 3.1の起動
    DomainU構成ファイルのkernel = "/netbsd-INSTALL_XEN3_DOMU"を"/netbsd-XEN3_DOMU"に変更します。
    # cd /usr/pkg/share/examples/xen
    # xm create -c xmnetbsd31u
    
    
    
    
  
  
• Xen HVMパッケージの導入
  Xen HVMパッケージの導入は以下のコマンドで行います。
  ※dev86, SDL, arts, qt-x11-free等のパッケージも自動インストールされるためmakeに1時間近く掛かります。
  # cd /usr/pkgsrc/sysutils/xentools30-hvm
  # make install clean clean-depends
  
  
• /grub/menu.lst
  Xen HVM環境を使用する場合、/grub/menu.lstの変更は特に不要ですが念のため今回使用している/grub/menu.lstを紹介します。
  尚、module行の最後の「bootdev=wd0」はS-ATAドライブをrootデバイスとして認識できるようにする指定です。
  本指定を省略するとXenブート時に「Root device (default sd0a):」というプロンプトが表示されます(wd0aを応答すれば続行できます)。
  
  

  timeout 15 default 0 title NetBSD root (hd0,0,a) chainloader +1 title NetBSD Xen root (hd0,0,a) kernel (hd0,0,a)/xen dom0_mem=512m module (hd0,0,a)/netbsd-XEN3_DOM0 root=/dev/hda0 ro console=tty0 bootdev=wd0

  
  
• qemu-ifupの作成
  # cd /usr/pkg/etc/xen/scripts
  # vi qemu-ifup ※以下の内容で作成します。
  #!/bin/sh
  ifconfig $1 up
  exec /sbin/brconfig $2 add $1
  
  # chmod 755 qemu-ifup
  

• HVMドメインでのWindows XPのインストール
  
  
  • XenモードでのNetBSDブート
    
    
  • 仮想ディスク(4GB)の作成
    
    # dd if=/dev/zero of=/root/xenwinxp.img bs=1m count=1 seek=4096
    
    
  • HVMドメイン設定ファイルの作成
    xentools30-hvm付属のhvmというサンプルファイルをベースにWindows XP用設定ファイルを作成します。
    
    # cd /usr/pkg/share/examples/xen
    # cp hvm xmwinxp.hvm
    # chmod 644 xmwinxp.hvm
    # vi xmwinxp.hvmで以下のように内容変更します(変更不要部分も紹介しています)。
    

    (1)memory = 256：このままです。 (2)name = "hvm"を"WinXPHVM"に変更。 (3)vif = [ 'mac=00:16:3e:00:00:13, bridge=bridge0, type=ioemu' ]：このままです。 (4)device_model = '/usr/pkg/libexec/qemu-dm'：このままです。 (5)disk = [ 'file:/home/domains/vmx,ioemu:hda,w', 'file:/home/domains/i386cd.iso,ioemu:hdc:cdrom,r' ]を [ 'file:/root/xenwinxp.img,ioemu:hda,w', 'file:/root/winxp.iso,ioemu:hdc:cdrom,r' ]に変更。 ※実CDを使用するとNetBSDがフリーズしたためCDイメージを定義しています。 (6)boot='d'行はコメント化して(#boot='d')、xm create でboot=dを指定するようにします。 (7)「sdl=1」という行を追加します。

    
    
  • HVMドメインの起動
    
    # cd /usr/pkg/share/examples/xen
    # xm create xmwinxp.hvm boot=d
    
    これでWindows XPのインストール画面がHVMXENウィンドウに表示されます。
    ※ウィンドウタイトルは「HVMXEN-WinXPHVM」となりますがQEMUを直接使用しているのと同じ感覚です。
    
    
    
    インストール中の自動再起動も問題なく行われます。
    インストール完了後HVMドメインは自動終了します。
    
    
  
  
• HVMドメインの手動起動
  
  # cd /usr/pkg/share/examples/xen
  # xm create xmwinxp.hvm
  
  
• 最初のデスクトップ
  Windows XPの最初の画面解像度は800x600x24です。
  これを1024x768x24に変更します。
  
  
  
  実寸画像はこちらです(Windows XP側が1024x768)。
  
  

• Vine Linux 4.1
  NetBSD 4のXen HVM環境でVine Linux 4.1をインストールして利用することができます。
  
  
  
  
  
  
  
• Fedora Core 6 LiveCD
  通常通りデスクトップが表示されますがマウスポインタが勝手に移動したりします。
  
  
  
  
• Windows Vista
  インストーラをブートすると「Windows is loading fliles ...」出た直後に自動リブートされて同じ画面が出ます。
  しかしその画面はすぐに消えてHVMドメインが終了します。
  
  
• NetBSD 3.1/4.0
  インストーラが途中でハングアップしてインストールメニュー表示には至りません。
  
  
• FreeSBIE 2.0(RC1)
  BTX haltedが繰り返し表示されてブートできません。